とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない













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第2章 『初めての混沌』
第2話
「僕の目から何かが…これは?」

『涙』

「涙?」

『生き物は身体が痛いとき以外は涙を流さないって。悲しみで涙を流すのは人間だけだって』
『ありがとう』

「え?」

『ありがとう。あなたの涙。でも泣かないで。あなたは生きてるの。生きているって、ね、きっと楽しいことなんだから』



『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲より引用』



………………………



ミュウスリー
「ン…」


「………」


ワタシは聖に抱かれていた。
聖の体は温かく、布団の中でワタシは聖と寝ていた。
ワタシは朝の日差しに目覚める。
光に目をすぼめ、ワタシは聖の胸に顔を擦り付けた。
聖は唸り、体を動かす。
そして、聖は目を覚ました。



「ふあ…もう朝か」
「結局、ミュウツーから連絡は無かったな…」

ミュウスリー
「ウー…」


ワタシは唸って聖に訴える。
すると聖はワタシの顔を見て微笑んだ。
ワタシは体が温かくなる。
こんな感覚はハジメテだった。
そして聖はワタシの頭を撫でてくれる。
ワタシはあまりのキモチ良さに目を細める。
聖の手は、とても優しい。



「ん…っと」
「ミュウスリー、良く眠れたか?」

ミュウスリー
「ン…?」


ワタシは理解しようとするが良くワカラナイ。
そもそも、ワタシはまだ人間の言葉を全部理解出来ない。
だから、察するしかない…ワタシは聖に今はスッキリ、とだけ答えた。
聖は笑い、ワタシを抱き抱えてくれる。
ワタシは聖の首に手を回し、落ちない様にしっかりとしがみついた。
本当は超能力で浮けるけど、こっちが良い。



………………………



悠和
「おはようございます、聖様」
「ミュウスリーも、おはよう」


下に降りると悠和が食事を並べていた。
見た事も無い食べ物で、ワタシは鼻をクンクンと鳴らした。
良い匂いがする…これも美味しそう。



「へぇ、パンとスープか」

悠和
「はい、これならミュウスリーも食べやすいと思いまして」
「ほら、ミュウスリー…先におしぼりで手を拭いて」


悠和はおしぼりという物でワタシの手を拭いてくれた。
そして悠和はパンと呼ばれる食べ物を手に取る。
それをスープと言う物に浸けてそこから口に運んだ。
ワタシもそれを真似する。
そして、その味にワタシはまた酔いしれた。


ミュウスリー
「〜〜〜!?」


「はは、毎回忙しい反応だな…まぁ悠和ちゃんの料理は美味しいから当然か」

悠和
「そ、そんな…私なんて!」


悠和は顔を赤くしてモジモジしていた。
どうやら恥ずかしい様だ…聖もそれを見てニコニコしている。
ワタシはとりあえずパンの山を片っ端から平らげていく、聖たちは苦笑していたが、ワタシは一切気にしなかった。



「ミュウスリー、ちゃんと体が膨れてきたな」

悠和
「はい、やっぱりほとんど食事を与えられていなかったんですね」


ワタシは確かに体が太くなった様に感じる。
沢山食べ物を食べた事で調子も良い。
痩せ細っていた指先も今は太く見える。
ワタシはワタシの知らない体に変化している様に感じた。



「しかし、一体誰がミュウスリーを」

悠和
「気になりますよね…どうして聖様の命を狙わせたのか」


ふたりは沈んだ顔で食事を取っていた。
そしていくつか意味不明の会話を交わし、食事は滞りなく終了する。


悠和
「あれから誰も近くは通っていない様です」
「武装集団もパッタリと現れなくなってます」


「何で銃撃戦なんて…しかも俺を狙ってるのか?」

悠和
「もしかしたら、ミュウスリーと一緒に抑える予定だったのかもしれませんね」
「どちらにしても、聖様の命は確実に狙われています」


聖は暗い顔をする。
ワタシはイヤなキモチになった。
聖のそんな顔は見たくない。


ミュウスリー
「さと、し…どう、した? 」


「えっ? あ、いや…大丈夫、気にするなよ」
「お前は俺が絶対に護ってやる、だから信じてくれ」


聖は笑って言う。
ワタシは大半の意味が解らなかったものの、何となく察する。


ミュウスリー
「さと、し…ワタシ、スキ?」


「…そうだな、好きだよ」


そう言って聖はワタシの頭を撫でてくれる。
ワタシはまた体が温かくなった。
聖の事が益々スキになる。
このキモチは、何?



………………………




「…クソ、やっぱり繋がらないか」

悠和
「ミュウツーですか…一体何故聖様の番号を知っていたのでしょうか?」


ふたりはあれからずっと外を警戒しながら会話をしていた。
主にはこれからどうするか?と言う内容だった。
ワタシは聖に抱き付いてそれを聞く。
解らなくても、理解しようとする事は大事。
ワタシはふたりの会話を記憶し、それを学習しようとする。
何となく意味は察した。多分大丈夫…


ミュウスリー
「ミュウ、ツー…どこに、いるの?」


「ミュウツーの事知ってるのか?」


ワタシはコクリと頷く。
そして、ワタシは少しづつ言葉を繋げる。


ミュウスリー
「ミュウ、ツー…ワタシ、の…お姉、ちゃん」

悠和
「姉…ですか」


「…それなら俺たちはミュウツーに会うべきだ」
「ミュウスリーの姉なら、一番情報を持っている可能性も高い」


聖は何かを決心し、拳を握る。
そして立ち上り、悠和と共に頷き合った。
ワタシは聖に抱き付いたまま移動する。
聖は少し辛そうだった…ワタシは聖から手を離し、超能力で浮遊する。
そして聖の横を並んで移動した。



「悪いなミュウスリー…」

ミュウスリー
「ンー…ン」


ワタシはゆっくりと首を横に振る。
合ってるかどうか解らなかったけど、ちゃんと伝わった様だ。
聖は微笑んでくれた…ワタシはそれがウレシイ。



「ミュウスリーは良い娘だな、よしよし♪」


ワタシはまた撫でられ体を温かくする。
やっぱり、このキモチは何かチガウ。
ワタシは、聖がスキ…聖も、ワタシがスキ。


悠和
「とりあえず駅前に向かいましょう」
「そこなら何か情報が得られるかも…」


「多分交通機関も止まってるだろうな…当分自分の足で移動か」

ミュウスリー
「ン〜…さと、し…?」


「え…おわっ!?」


ワタシは聖の体を超能力で持ち上げる。
聖は驚いたが、それがワタシの力であると解ると安心した様だった。
ワタシはそのまま悠和に付いて行く。
悠和も察したのか、スピードを上げた。
ワタシはそれに付いて行く様にスピードを上げる。
そして聖も一緒に運んだ。



………………………




「な、何だよ…これ!?」

悠和
「そんな…駅が全壊してる」

ミュウスリー
「ウー…」


そこはイヤな臭いがしていた。
所々、何か赤い液体が飛び散っている。
良く見ると何か手足の様な物も転がっていた。



「冗談だろ…死屍累々じゃねぇか」

悠和
「一体、誰がこんな酷い事を…!」


「酷いねぇ…こっちも問答無用で殺されかけてるってのに、そっちは酷くねぇのか?」

ミュウスリー
「!?」


気が付くとボロ布を被った人間がいた。
いやチガウ…コイツは人間じゃない。
ワタシと同じ、ポケモンだ。


ミュウスリー
「ミュウ、ツー…」


「やれやれ…随分面倒事になったな」
「まぁ良い、それならそれで計画通りだ…」
「特異点、とりあえずお前を貰う!」


悠和
「聖様!!」


ミュウツーは右手をかざし超能力を放つ。
ソレは足元を抉り、聖に向かって行く。
悠和は聖の盾となりそれを受け止めた。


ミュウツー
「ちっ、悪タイプか…面倒だな」
「おい、ミュウスリーお前はさっさと消えろ、後は私がやる」
「また追っ手もすぐに来るぞ…」

ミュウスリー
「ア、ウー!!」


ワタシは唸ってミュウツーを睨む。
それを見てミュウツーは大きく息を吐いた。
そして、ワタシに向かって黒い球体を一発放つ。
ワタシは咄嗟の事に反応が遅れそれを直撃されてしまった。



「ミュウスリー!!」


聖が叫ぶ。ワタシは爆発音と共に後ろへ大きく吹き飛び、壁にめり込んだ。
かなり痛い…すぐには動けない。
でも、ワタシは目を細めて聖を見る。
聖は怒っていた。ミュウツーに対して。
ミュウツーはそれを見てまたため息を吐く。


ミュウツー
「よくもミュウスリーをあそこまで手懐けたな…おかげで計画にズレが出た」


「計画だと!? もしかしてお前がミュウスリーを造ったのか!?」

ミュウツー
「勘違いするな、私じゃない…最も、ミュウスリーは元々使い捨てだ」
「寿命はせいぜい持って後2日…もうそんなに時間は無い」
「本来ならさっさとお前を拐って来させる予定だったが、まさか懐柔されてたとはな…」


聖はそれを聞いて黙ってしまった。
そして、ワタシも知る…もうワタシはそんなに生きられないのだと。
ワタシは獣の様に大声で叫ぶ、そしてそれはミュウツーの警戒を高めた。
ワタシは痛む体を動かし、壁から脱出する。
そして全力で超能力をミュウツーに放つ。
空間をねじ曲げ、ミュウツーの体を引き裂こうとした。


ミュウツー
「ちっ…! バカ力が!!」

悠和
「今だ! これでも…!!」


悠和は動きを止めたミュウツーに向かい、拳から黒い嵐を巻き起こす。
あれはワタシが昨日食らった技だ…悪タイプの技。
ミュウツーは同時攻撃に苦しみ、ボロ布が吹き飛ぶ。
そしてミュウツーの姿が露になった。
髪は短いが綺麗な薄紫で切り揃えられており、頭には角の様な突起が2本生えている。
ワタシのそれと違い、ミュウツーのは太く短かった。
服は紫のシャツに白のズボン、尻からは長い尻尾が生えており、怪しく動いていた。


ミュウツー
「邪魔だぁ!!」


ミュウツーは目に見えない速度で飛ぶ波動弾で悠和を吹き飛ばす。
あれは確か格闘タイプの技だ…悠和は地面に倒れ、頭から血を流して起き上がらなかった。
ワタシは更に力を強める。
だけど、ミュウツーはそれを押し返し始めた。
ワタシは必至に力を込める。
ミュウツーは笑い、それを両手で抑え込む。
このままじゃ、ワタシはやられる…!
ワタシがやられたら、聖が死ぬ!



「クソッタレがぁ!!」

ミュウツー
「何っ!?」


何と聖はミュウツーの後ろから飛び蹴りを放った。
ミュウツーは背中にそれをもらい、仰け反ってバランスを崩す、その瞬間ミュウツーはワタシの超能力の奔流を全身で浴びる。


ミュウツー
「ガッアアアアアァァァッ!!」


「ど、どうだやったのか!?」

ミュウツー
「な、めるなぁ!!」


ミュウツーは波動弾をワタシに放つ。
ワタシはそれを直撃され地面に落下する。
辛うじて叩きつけられる前に浮遊出来た…


ミュウツー
「はぁ…はぁ…手間をかけさせるな!」


ミュウツーはすぐにダメージを再生させていく。
ワタシも同じ様に再生し、ダメージを回復させる。
でも、このままじゃダメだ…ワタシの今の力だとミュウツーは倒せない。
どうすれば、聖を護れる!?



「くっそ…やっぱり反則的な強さだな!」

ミュウツー
「ふん、もうあんな不意打ちは通用しない」
「その勇気は見事だが、もうお前を護る者は存在しない」


ミュウツーは右手をかざす。
そして同時に左手をこちらにかざして波動弾を放つ。
ワタシはまたも吹き飛ばされ地面を転がる。
そしてミュウツーは余ってる右手で聖を狙う。


ミュウスリー
「アアアアアアアアアァァァッ!!」


ワタシは咆哮する。
そして最速で超能力を練る。
力はいらない、ただ止めるだけで良い!!


ミュウツー
「ぐっ!?」


「くっそ、ミュウスリー!!」


ワタシが超能力でミュウツーの動きを止めると、聖はこちらに駆け寄って来る。
ワタシはすぐに飛び立ち、聖を超能力で持ち上げた。
そして、ワタシはミュウツーとすれ違い様に波動弾を放つ。


ミュウツー
「がっ!?」


爆発音と共にミュウツーは吹き飛ぶ。
威力はいらない、確実に当てるのが重要…覚えた。
ワタシはすぐに悠和の近くまで行き、そこからテレポートする。



………………………




「ぐはっ!?」

ミュウスリー
「はぁ…はぁ…」


ワタシはテレポートを完了して息を吐く。
聖は突然地面に落ち、痛みに声をあげていた。
ワタシはすぐに悠和の側に寄り、傷を癒そうとする。
ワタシの両手から出る淡い光は悠和を包み、みるみる内に傷は治っていった。



「!? お前、『癒しの波動』が使えるのか!?」

ミュウスリー
「ウ…? よく、解ら…ない」
「でも、これで…傷、治せる」

悠和
「う…! こ、ここは…?」


悠和は目を覚ます。
ワタシはまだ癒し続けた…もう少し、かかる。



「ここは、こすぷれ〜んか…戻って来たんだな」

悠和
「あ、ありがとうミュウスリー…もう、大丈夫」

ミュウスリー
「…ン」


ワタシは悠和に頭を撫でられる。
悠和のもとてもキモチ良かった…ワタシは目を細めて体を温める。
そして悠和は真剣な顔をして立ち上がる。
聖も真剣だった…そして聖はこう言う。



「ミュウツーは初めから俺が目的だったのか?」

悠和
「そうですね…ミュウツーは計画と言ってましたし」
「聖様を拐うのが目的だった様ですが…」


聖は考える。ワタシは良くワカラナイ。
でも、聖は助けたい…聖の事は、スキ…だから。
悠和も、スキ…
ワタシはミュウツーの事を考えて心が痛くなる。
ミュウツーは、本当は優しい娘なのに…
ミュウツーは……



「とにかく、現段階でミュウツーは危険過ぎる」
「ただでさえ他にも敵がいるのに、ミュウツーまで相手をしてたらこっちが持たない」

悠和
「ですが、妙じゃありませんか? どうして駅前にあれだけの大惨事があったのか…」
「そして狙い済ましたかの様なミュウツーとの遭遇」
「もしかして、ミュウツーは武装集団と戦っていたのでは?」
「それらしい事も言っていましたし、武装集団は別口なのかも…」


聖はそれを聞いて黙る。
そして考えている様だった。
だけど、聖は眉を潜める。何かを思い付いた様だけど、あまり良い考えじゃなさそうだ。



「どっちにしてもミュウツーは危険過ぎる」
「躊躇いもなく人を殺せる様な奴なら、尚更だ…」


やっぱり、ミュウツーは聖に認められなかった。
ミュウツーは、優しい…でも容赦はしない。
ミュウツーはきっと、ワタシの事を心配している。
だから、聖を攻撃する…それを選んだから。


ミュウスリー
「さと、し…」


「ん…どうしたミュウスリー?」

ミュウスリー
「…ミュウ、ツーは、助け、たい…」


聖は顔を一瞬しかめた。
でもワタシのキモチを理解してくれる。
聖はすぐに笑ってワタシの頭を撫でた…ワタシは目を細めて体を温める。
聖は優しい声でこう言った。



「分かった…ミュウスリーがそう言うなら、俺はミュウツーを救うよ
「だけど、教えてくれ…何故ミュウツーは俺を攻撃しようとするんだ?」


ワタシは考える。
そして、思い付く限りの考えを聖に述べる。
ワタシは…まだよくワカッテないけど。


ミュウスリー
「ミュウ、ツー…は、ワタシを…助け、たい」
「で、も…特異、点…邪、魔」


「どういう事だ…? ミュウスリーを助けるのに俺が邪魔?」

悠和
「まさか、聖様の雫が何か関係あるのでしょうか?」


聖は難しい顔で考えている。
ワタシは更に言葉を続ける事にした。
やっぱり、伝えるのまだ難しい。


ミュウスリー
「さと、し…拐う、さと、し…狙われ…てる」
「敵、一杯…特異、点…邪魔」
「ン〜…難し、い」


「俺が狙われてる? …敵、一杯」
「くっそ、断片的すぎるな」

悠和
「…もしかして、この世界にはもうひとり特異点がいるのでは?」


聖はそれを聞いて絶句する。
どうやら伝わったらしい。ワタシはホッとする。
そして、悠和は色々推測を立て始める。


悠和
「紛らわしいですが、特異点は聖様を含めてふたりいる」
「ミュウツーの真意はともかく、この特異点を拐うと言う事が何かしらミュウスリーに関わっているのかも…」


「まさか…夢見の雫を狙ってるのか?」
「ミュウスリーを助ける為に、雫の力を?」


聖はワタシを見てそう言う。
ワタシにはよくワカラナイ…そこまでは聞かされてない。
ワタシはミュウツーに指示されて聖を拐おうとしたけど…
ミュウツーが何を考えていたのかは、ワタシにはよくワカラナかった。
そして、特異点はふたりいる…聖と、もうひとり。
敵は一杯…今は潜んでる。
ミュウツーは沢山殺した…それでも敵はやって来る。
もう、時間も無い…ワタシは、2日以内に死ぬ。


悠和
「やはり腑に落ちません…雫が必要ならミュウツーは聖様に普通に頼めば良いはず」
「それとも頼めない理由が…?」


「そもそも、俺が死ねば雫の継承権は完全ランダム抽選だ」
「狙って他者が得られる権利じゃない」
「となると、俺を洗脳して利用するって所か…ゾッとするな」


聖は顔を少し青くする。
とても辛そうだった…ワタシは胸が痛くなる。
でも聖はすぐに立ち直った…顔を引き締める。



「とにかく、もうひとりの特異点が何者なのかは解らないが、きっとロクな奴じゃない」
「そんな奴に雫の権利を渡すわけにはいかない…後、何とかミュウツーを説得しないと…」

悠和
「そうですね、ミュウスリーの寿命もあります」
「慎重に、迅速に動きましょう」


どうするかは決まった様だ。
ミュウツーを助ける…ワタシは付いて行く。
聖は特異点、それでもワタシはスキ。
ミュウツーも、きっとスキになる…ワタシと同じだから。



………………………




「で、段々死体が増えてるんだが?」

悠和
「酷い有り様ですね…生きる為とはいえ、凄惨です」

ミュウスリー
「ミュウ、ツー…容赦、しない」
「敵なら、倒す…」


もう所々に敵の死体が転がっていた。
いずれも手足が千切れたりしており、グチャグチャに潰されてるのもある。
全てが銃を持った敵…やらなければ、やられる。



「近くにいるのか?」

ミュウスリー
「多、分…いる」
「ミュウ、ツー…ワタシたち、探す」

悠和
「聖様、伏せて!!」


瞬間、銃撃。
悠和は聖を地面に伏せさせ、体で銃弾を弾く。
今悠和の体は鋼タイプになっている…とても、硬い。
ワタシは超能力で敵の銃だけを破壊していく。
聖とのヤクソク…人は、コロスナ。


敵兵A
「くそっ、全武器やられた!」
敵兵B
「退却だ! 奴も来るぞ!?」


敵は一目散に逃げ出す。
それを見て悠和はすぐにメモリを切り替えた。
ワタシは感じる…ミュウツーの存在を。
向こうも感じてる…ワタシの存在を。


ミュウツー
「覚悟は決めたか? 特異点…」


「待てミュウツー! 何故俺を狙う!?」
「ミュウスリーを助けたいなら、何で協力しない!?」


聖の叫びを聞いてミュウツーは顔をしかめる。
そしてイラついた様に聖を睨んだ。
だけど聖は怯まない。強い表情でミュウツーを見ていた。


ミュウツー
「お前は不確定要素だらけだ、信用出来ない」
「だったら、私はもうひとつの方法を選ぶ!」
「ミュウスリーがお前に懐いたのは本当にイレギュラーだ…」
「本来なら拐って洗脳すりゃ、さっさと夢見の雫とか言うのを使う予定だったんだからな」


「馬鹿な!? 何でそんな無理矢理な方法を選ぶ!?」
「ミュウスリーを助けたいのは同じだろ!?」

ミュウツー
「冗談じゃない、俺はお前を信用しない」
「人間なんて信用出来るか…! 私やミュウスリーを生み出した人間なんか!!」
「ミュウスリーは私が助ける…もう時間が無いんだ!」


ミュウツーはそう言って手をかざす。
ワタシは無言で聖の前に出る。
それを見てミュウツーは更に顔をしかめた。


ミュウツー
「どけミュウスリー…邪魔だ」

ミュウスリー
「どか、ない…さと、し…スキ」
「ミュウ、ツーも…スキ」

ミュウツー
「止めろ、もうこっちに帰って来い!」
「そいつはお前を救わない! どうせ見捨てられる!! 救えるのは私だけだ!!」
「それとも、使い捨てのまま死ぬ気か!?」
「ただ利用されて死ぬのか!?」


ミュウツーは必至に叫ぶ。
ワタシは胸が痛くなった。でも、退かない。
よくワカラナイけど、この痛みはイヤ。


ミュウスリー
「ミュウ、ツー…さと、し…信じ、て?」

ミュウツー
「…無理だ、万にひとつの失敗も許されないのに!」


「ミュウツー! 俺を信じろ!!」
「ミュウスリーは必ず俺が救う! 雫の継承者として、俺が必ずお前たちの悲しみを消してやる!!」


聖は突然何かの球体を手に浮かべていた。
ワタシたちはそのキレイな透明の輝きにココロを奪われる。


悠和
「ダメです聖様! 今ここで雫を使ったらこの世界は…!」


「解ってる…だけど、俺が覚悟を見せなきゃミュウツーは信用してくれない!」

ミュウツー
「…覚悟?」


聖は真剣な顔だった。
ミュウツーと悠和は不安そうな顔。
ワタシはよくワカラナかった…



「最初に言っておくぞ、この雫はデメリット無しで奇跡を起こせる様なチートアイテムじゃない」
「必ずそれに見合った対価がいる…しかも使える回数は限られている」
「更に、もし悪意や邪気を持った者が使えば世界を滅ぼす」
「お前はそれでも選ぶか?」

ミュウツー
「何…だと? そんな事、聞いてないぞ…?」


「予想通りか…お前が誰からコイツの事を聞いたのかは知らないが、お前踊らされてたな?」
「ソイツにしてみれば、後で誰かを犠牲にして雫を使用するつもりだったんだろうな…手頃な使い捨てがいるんだから!」


聖は吐き捨てる様にそう言う。
ミュウツーは明らかに狼狽えていた。
信じている物を崩された顔…ワタシを見てミュウツーは震えている。
そして、次第にミュウツーの顔は憎悪に歪んでいく。
聖は険しい顔をした…そしてミュウツーはこう言い放つ。


ミュウツー
「ふざけるなよ…それじゃ、私じゃ救えないってのかよ?」
「違う! 私じゃなきゃ救えない!!」
「だからその雫がいるんだ…その雫で救うんだ!!」


「ダメだ、今のお前じゃ世界を確実に滅ぼす」
「例え俺を犠牲にしてミュウスリーを救っても、そこに未来は無い」
「例え俺を洗脳しても、雫は必ずお前の憎悪に満たされる」
「俺はそれを許すわけにはいかない」


聖は真っ直ぐミュウツーの目を見てそう言う。
聖の言葉は優しく叱りつける様だった。
ミュウツーは首を横に振り、否定する。
聖はそんなミュウツーに優しく微笑んだ。



「安心しろ、俺がミュウスリーを救う…必ず」
「だから約束しろ…必ず世界を救うと」
「俺は信じるぞ、お前の事」

悠和
「聖様、まさか本当にここで!?」


「俺はここで雫を使ってミュウスリーを救う、後はふたりと協力して世界を救ってくれ」
「俺はこの世界から消えるかもしれないが、後の事は、多分何とかなるさ…」


聖は笑ってそう言う。
だけど、ワタシは胸が痛くなった。
この痛みはイヤ…ワタシは思わず聖に飛びつく。
聖はバランスを崩し、地面に倒れてしまった。



「こ、こらミュウスリー! いきなり何すんだ!?」

ミュウスリー
「ヤダ…ヤ、ダ…」
「さと、し…消えちゃ、ヤダ…!」

ミュウツー
「ミュウ、スリー…」


ワタシは聖の胸に顔を擦り付けて懇願する。
聖と離れたくない…皆一緒が良い。
ワタシは何故だか、聖と離ればなれになるのを恐れていた。
目から熱い何かが零れ落ちる。
聖はそれを見て優しくワタシを抱き締めてくれた。
ワタシは胸が温かくなる…これはスキ。



「ゴメンな…少し軽率だった」
「分かった、大丈夫、俺はミュウスリーの側にいるよ!」
「…ってなわけでスマン、雫使うのはキャンセルだ!」
「でも、絶対に最後には救う! だから、信じてくれないか?」

ミュウツー
「…もう良いよ、信じてやる」
「ミュウスリーが涙まで流してくれる男だ…私はそれを信じるよ」
「…これから、よろしくな」


ミュウツーは弱々しく右手を差し出す。
聖はワタシを抱き締めたままその手をギュッと握った。
そして、悠和も近付いてその手に自分の両手を乗せる。
ワタシはそれを真似して右手を悠和の手の上に置いた。
奇妙な静けさの中、聖は笑っていた。
ワタシも、嬉しくなる。
まだ、聖と一緒にいられる…ワタシはまだ大丈夫?



『ミュウスリーの残寿命、残り約45時間…』










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第2話 『ミュウスリー、そのココロ』


To be continued…


Yuki ( 2019/04/21(日) 21:44 )