とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない













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第1章 『新たなる生活』
第9話

「バイトするならタウンワーク!」


唐突だが、俺は叫んでしまった。
というかぶっちゃけた話、俺の事忘れてる読者もいるんではなかろうか?
沖縄編以来、めっきり出て来なかったからな…
っていうか、新キャラにお株奪われ過ぎて、俺が割かし古参キャラなの覚えてる奴いないだろ?
これでも、騰湖と一緒に前シリーズ第2章からの登場なんだぜ…信じられるか?
まぁ、その後触れられる事すらなく第5章まで出て来ないわけだが…



「ぶっちゃけ半熟○雄の更新ペースじゃねぇんだぞ!?」

騰湖
「10年振りの出番でございまーす!」


俺の叫びに騰湖がボケる…俺はもはやツッコム気力も失い、その場で項垂れた。
ちなみに、今は白那さんの城の大浴場を騰湖と一緒に掃除してる。
とりあえずはやる事無いし、何とかニートにだけにはならんようにせねば…
つーか、俺視点の話って初めてだから新鮮だわ…



「って、今回もしかして俺が主人公!?」

騰湖
「的な?」

鳴&騰湖
「ウェーーーイ!!」


思わず騰湖とハイタッチしてしまった。
いやぁ〜、遂に我が世の春が来たな〜♪
これで、俺もようやく聖とラブラブに…って、それは無いな。
うん、無いわ…まず騰湖とセットの時点で。



「あ〜あ…俺、別に変態キャラじゃ無いのになぁ…」

騰湖
「何を言う、変態は変態なりにキャラが濃くなるから意味があるぞ?」


「俺はそんな方向で濃くなりたくねぇ!!」


俺はツッコミに疲れてまた項垂れる。
つか、この大浴場広いんだよな…モップがけだけでも大変だぜ…


騰湖
「とりあえずもう少しで終わりだ、さっさとやるぞ」


俺は特に反論せず、黙々とモップでタイル床と浴槽を洗っていった。
そしてしばらくしてようやく終わる…くっそ、疲れる。
俺たちは、脱衣所で着替えて部屋に戻る事にした。



………………………




「あー何かもうちょっとやり甲斐ある仕事無いかなぁ〜?」

騰湖
「とは言っても、我々の翼や尻尾は目立つ」
「薬を飲んでも誤魔化すのは辛かろう…」


そうなんだよな〜…
何で俺はゼクロムだからってこんなに苦労するのか…
まぁ、この悩みは俺だけじゃないし、贅沢は言えねぇけど…


喜久乃
「でも鳴さんでも、外に出る位は良いでしょう?」


「喜久乃…まぁ、そりゃそうかもしれねぇけど」


俺は熱湯をグビグビ飲む喜久乃に言われて頭を掻く。
ちなみに、喜久乃は常時水筒に熱い水を入れて持ち歩いている。
そうしないと人間形態を維持出来ないからだそうだ。
何だか、○ーファイターズみたいな設定になってきてるな…
『痛み分け』で味方を疑似回復も出来るし、何だかそれっぽい。
この状態の喜久乃はバサバサの茶髪で、服はとりあえず着やすい白のTシャツと黒の短パンを穿いていた。
後ろの腰からは尾ビレが短パンからハミ出しており、無理矢理曲げて出している。
ちにみに身長は140cmと12歳としてはまぁまぁ適正か?
胸は意外にもそこそこあり、細い体に確かな膨らみがある。
この状態なら普通に会話出来るし、性格もやっと理解出来た。


喜久乃
「騰湖さんはともかく、鳴さんは真面目ですし、やれる事は多そうですけど」

騰湖
「ちょっと待て! それでは我が不真面目みたいではないか!?」


「まぁ、不真面目とは言わんが、真面目でもねぇだろ…」
「そもそも、お前は聖以外の言う事を聞かなさすぎだ」

喜久乃
「正確には聞かないんじゃなく、別の解釈で勝手に結論付ける、ですね」


言われて騰湖はうっ…と唸る。
喜久乃は何気に結構頭の回転が良いのか、この年にしては達観している方だった。
言いたい事は結構ずけずけ言うし、毒舌とまではいかなくても辛口の言葉を放つ事も多い。
本人にはまるで悪気は無いだけに、慣れてないと性格が悪く思われるかもしれないな…


騰湖
「はぁ…聖殿のダッチワイフになりたい」

喜久乃
「それで満足なのですか? でしたら、遠慮なくやってみれば良いでしょう」
「恐らく10秒で放置されて忘れ去られるダッチワイフの気分が体験出来るでしょう」


「生々しいな…ありえそうだけど」


騰湖は唸りながらベッドでゴロゴロする。
翼が邪魔だから、うつ伏せでゴロゴロするのがコツだ。


喜久乃
「騰湖さん、後何回も言ってますけどこの部屋でオナニーするの止めてもらえませんか?」
「3人共同部屋なんですから、臭いがキツいです…」


「あ〜それな、マジでそれは勘弁してくれって…」
「せめて誰もいない時に風呂場でやりゃ良いだろ?」

騰湖
「むぅ…我としては抱き枕を抱きながらやるのが好きなのだ…」
「やはりベッドの反発性とセットだからこそ感じ方も変わってくるのだから!」


そう言って騰湖は唸りながら自分専用の抱き枕に抱き着いて股間を擦る。
ダメだコイツ…ホントに言っても聞かねぇ。
喜久乃も頭を抱えて俯いてる。
まぁ、騰湖の性欲は今に始まったわけでもないけどさ…


喜久乃
「本気で部屋割り変えてもらいましょうかね…もう嫌だこんなルームメイト」


「っていうか、まだ部屋余ってるんじゃねぇの?」
「もう、いっそ個室に変えてもらおうぜ…」

喜久乃
「うーん、でもそれだと寝起きにお湯を補給してくれる人がいなくなるんですよね…」
「今は鳴さんが毎日やってくれるから良いですけど」


そうか、確かに喜久乃の場合は個室だとそういう不具合が出るのか。
寝起きはいつも喜久乃はペラペラモードになってるし、朝は誰かがお湯を飲ませてやらないと人間モードになれないもんな。



「なら、騰湖だけここにして、俺と喜久乃で相部屋にしてもらうか?」
「それなら安心だろ?」

喜久乃
「でも、鳴さんの邪魔になりませんか?」
「今だって朝早くからお湯を用意して飲ませてもらってるのに…」


喜久乃は何故か申し訳なさそうにそう言う。
俺は全く理解出来ず、笑ってこう言った。



「何でそう思うんだ? 俺は別に俺がやりたいから毎日やってるだけだぜ?」
「だから喜久乃が気にする事ねぇよ、お姉さんを頼れって!」

騰湖
「お前はいつもそうだな…無意識に誰かを救う事を考えている」
「理想を描くのは否定しないが、あまりに無意識に優しさを振り撒くと、いつか後悔するぞ?」


俺は騰湖に言われて少し考える。
理想…か、確かに俺はそうなのかもしれない…
俺は誰かを排斥したり、仲間外れにするのは好きじゃない。
そりゃ、止むを得ない時はある…最初に守連と戦ったのも、記憶を失ってそれしか思い浮かばなかったからだ。
可能なら、皆一緒に楽しめる方が良いはずだろ。


喜久乃
「鳴さんは色々損してますよね…見た目も美人で、気立ても良くて、力もあって」
「何でそれでこの城で清掃員なんかやってるんだろう?って、私は普通に疑問を浮かべますよ」

騰湖
「そうだな、我と違って誰にでも優しいのは鳴の優れている所だ」
「まぁ我も聖殿相手ならいくらでも気立ての良い所は見せてやるがな!!」


「そう言う所が真実のお前らしいよ…」
「基本、まずは疑ってかかるもんな…お前は」


俺が皮肉を込めて言うと、騰湖はため息を吐く。
そして、返す刀でこう言い返す。


騰湖
「無条件で他人を信用するお前が我には理解出来ん」
「理想家のお前らしいとはいえ、見てると危うくて仕方がない」


「ん…? 何気に心配された?」

喜久乃
「まぁ、騰湖さんも本質的に優しいのは同じですからね」
「第三者から見ますと、ふたりとも似た者同士ですよ」
「ただ、全てが正反対なだけで」


俺は喜久乃に言われて考えてみた。
確かに、俺と騰湖は正反対だ。
俺は初めから他人にもなぁなぁで友好的だけど、騰湖はまず相手の真意を確かめないと基本信用しない。
俺は恋には臆病だけど、騰湖はイケイケで情熱的。
俺は力が自慢だけど、騰湖は特殊が高い。
俺は甘い物が好きだけど、騰湖は辛い物が好き。
…挙げていったらキリが無いな。
確かに全てが正反対だ。
結局、互いに行き着く所は聖の所だって言うのに…


騰湖
「…そんな悲しそうな顔をするな、別にお前はお前だろう?」
「お前には我に出来なくても出来る事がある」
「同時に、お前には出来なくても我には出来る事もある」

喜久乃
「そうですね、鳴さんはとても良い人ですよ」
「ですから、前向きに考えましょう」
「それはそうとして、とりあえず部屋の相談に行きましょう…」
「鳴さんが良いと言ってくれるなら私は大歓迎ですので」


とりあえず、気が付いたら相部屋になるのは確定した様だ。
俺はふぅ…と息を吐き、喜久乃と一緒に白那さんの所に行く事にした。



………………………



白那
「え、他の部屋?」

喜久乃
「はい、出来れば移りたいのですけど、ダメでしょうか?」


「せめて、喜久乃だけでも別の誰かと相部屋にしてもらえないかな?」


俺たちは直接白那さんの部屋に乗り込んで聞いてみる事にした。
すると、白那さんはうーん、と考えてこう言う。


白那
「まぁ、部屋自体は余ってるし、空いてる部屋なら好きに使ってくれて良いよ?」
「でも、急にどうしたの? 騰湖ちゃんと喧嘩でもした?」


「いや、そうじゃないんですけど…」

喜久乃
「性癖的にどうしても我慢出来ない事があるんです!」


俺たちの説明に白那さんは?を浮かべ、すぐにあはは…と笑った。
何となく察してもらえたらしい…
まぁ、解りやすいっちゃあ解りやすいからな…


白那
「まぁ、とりあえず好きにしてくれて良いよ」
「鍵は櫻桃が管理してるから、どの部屋が良いかはそっちに相談すると良いよ」

喜久乃
「ありがとうございます!」


「どうも〜…」


俺たちは礼を言って部屋を出た。
白那さんって、やっぱりシンプルな内装が好みなのかな?
折角1番大きな部屋なのに、内装はほとんど白い壁紙で埋め尽くされてて、必要最小限の家具しか置いてないもんな…
他の部屋は城らしく色々凝った内装なのに。



(逆成金って奴か…? いや、ちょっと違うか…)

喜久乃
「んぐんぐ…とりあえず櫻桃さんの所に行きましょう」


お湯を補給して喜久乃はそう言う。
俺は喜久乃の隣を歩いて、櫻桃さんがいると思われる厨房に向かった。
櫻桃さんは厨房の近くの部屋に住んでるし、いなかったらそっちも訪ねれば良いだろ。
まぁ、仮にもメイド長なんだから、動き回ってる可能性も高いけど…
結局、そんな考えとは裏腹に櫻桃さんは厨房にいたのだった…



………………………



櫻桃
「うん? 空き部屋?」

喜久乃
「はい、どこが空いてますかね?」

櫻桃
「えっと、今空いてるのは1階のここらへんと、2階はこのへん全部」
「3階は今は空いてないな…最上階は軟禁室だけ空いてるけど」


櫻桃さんはサッと見取り図を出して説明してくれた。
何で厨房に見取り図あるのか解らないが、櫻桃さんが普段から持ち歩いているんだろう。
喜久乃はとりあえず吟味して考える。


喜久乃
「鳴さんはどこが良いですか?」
「私としては、風呂場の近い1階か、厨房の近い3階なんですけど」


「二択か…俺なら1階かな、風呂場の掃除終わったらすぐに戻って休めるし」

喜久乃
「では、1階のここにします」

櫻桃
「ん、じゃあこれ鍵ね」
「前の部屋は騰湖がひとりで使うんだね?」


櫻桃さんはポケットから鍵束を取り出し、指定の鍵を取って俺たちに渡す。
俺たちは頷いてそれを貰った。
それを確認すると、櫻桃さんはとりあえず色々考えながら調理を始める。
何て言うか流石メイド長…片手間でも料理とか出来るんだもんな〜
この広い厨房でひとりで全部やってるんだよな…改めてデキる女は違うな。



………………………



喜久乃
「ちゃんと掃除はされてますね…流石は櫻桃さん」


「よっと…ベッドはひとつで良かったな」


俺は前の部屋から持ってきたベッドを新しい部屋に置く。
見ると内装は前の部屋とほとんど一緒で、ベッドがひとつなのが違いな位だった。
とりあえず、タンスもクローゼットもあるし、後は着替えとか小物を持ち込めばOKだな。
あっと、電気ポットも持ち込まないと…喜久乃には必須だからな。
俺は必要な物を粗方想像し、一旦部屋を出る事にした。
喜久乃も付いて来て、俺たちは一緒に歩く。
思えば、出会ってから何気に俺と喜久乃ってずっと一緒なんだよな…
俺はそんな事を考えながらもう一度前の部屋に向かった。



………………………




「騰湖、入…」

騰湖
『聖殿っ、はぁっ! あぁん!! あんっ♡ あっ、あっ、あっ♡』

喜久乃
「…絶賛お楽しみ中ですか、こっちが搬送で忙しいって時に!」


俺たちはしばらく離れて待つ事にした。
喘ぎ声がモロバレている部屋を、俺たちは頭を抱えて見ていた。
やがて、大音量で盛大に絶頂する声を聞いて、俺たちは深いため息を吐く…
そして、余韻が残っている内に俺たちは中に乗り込んだ。



「ったく、入るぞ〜!?」

騰湖
「ダメ…もう子宮が満タンで入らない♡」

喜久乃
「妄想乙…そのまま寝ていろぉ!!」
「もう嫌だこの部屋…悪夢だよ」


喜久乃は本気で泣きそうになっていた。
騰湖の愛液の臭いが充満する部屋で、俺たちは必要な物を全て外に出し、そして扉を封印した。
やれやれ…解っちゃいるけど、もう少し空気読めんかな?
俺たちはやるせないため息を吐いて、荷物を新しい部屋に持って行った。



………………………




「はぁ…空気が上手い」

喜久乃
「やっとまともな空気が吸えますね…やっぱりあの部屋は色々とおかしかった!!」
「これですよこれ! この普通の空気…こ……そぉ……」


気が付くと喜久乃がペラペラになり始めていた。
おっと、そう言えば水筒切れてたな…またお湯沸かさないと。
俺はポットの電気を繋ぎ、湯を沸かす。
まだしばらくかかるし、喜久乃は風呂に連れて行くか。
俺はそう思い付き、自分と喜久乃の着替えを持ち、なおかつ喜久乃を背負った。


喜久乃
「…まっ、ぎょ」


「気〜にすんなよ、俺がしたいからしてるんだから♪」


俺はいつの間にかだが、何となくこの状態の喜久乃の思惑を読み取れる様になってた。
こう言う時の喜久乃は大体謝っている時だ、声に張りが無い。
俺は笑いながら風呂場の脱衣所に入った。
うん、やっぱ近いのは良いな♪



………………………



喜久乃
「はぁ…どうもご迷惑を」


「良いって…ほらあんまり動くなよ、背中洗ってやるから」


俺は喜久乃の小さな背中を石鹸とタオルで優しく洗ってやった。
喜久乃は照れている様だが抵抗する様子は無い。
俺は背中を流すと、そのまま髪も洗ってやる事に。


喜久乃
「め、鳴さん、頭ぐらい自分で洗えます!」


「良いから良いから♪ 俺は好きでやってんだ、嫌なら嫌って言えよ?」


喜久乃は黙って俯いてしまう、嫌じゃないんだな。
俺は笑いながら喜久乃のボサボサの頭をシャンプーでしっかり洗ってやった。
その後、トリートメントをかけてやり、俺は喜久乃の髪を優しく整えてやる。



「ほい、終わり! 後は自分でやれるな?」

喜久乃
「あ、ありがとうございます…大丈夫です」


喜久乃は恥ずかしそうに礼を言う。
俺は笑い、自分の体を洗っていく。
うーん、やっぱ翼と尻尾が大変なんだよな…
どう考えても大きい翼と尻尾はとにかく面倒だ。
特に尻尾は漏電の可能性もあるし、慎重にやらなきゃならない。
電気タイプでも痺れる物は痺れる!


喜久乃
「お返しです、今度は私が鳴さんを洗ってあげます!」


「おっ、そりゃ助かるぜ♪」


俺が笑って言うと、喜久乃は小さな手で翼と尻尾を洗ってくれた。
喜久乃は地面タイプだし、『柔軟』だから痺れる事無いもんな〜
俺は気持ち良く洗ってもらい、大満足だった。



「あ〜今日はホントに疲れたな…」

喜久乃
「まぁでもこれからは安眠が約束されていますよ…」
「もう、あの喘ぎ声に悩まされる心配は無い!!」


喜久乃はオーバーにポーズを取って叫ぶが、実際嫌だったんだろうな…
まぁ、俺も相当あれで安眠妨害されてたわけだが…気が付いたら慣れちまったもんな。


騰湖
「ふっ…こちらとしても、ようやく思いっきり自慰に耽る事が可能になった!」

喜久乃
「…堂々と変態宣言しないでください!」


「は、ははは…」


いつの間にか騰湖が風呂場に来ていた。
喜久乃は俺の翼と尻尾を洗い終え、湯船の方にさっさと向かった。



「あらら、すっかり嫌われちゃって…」

騰湖
「ふん、趣味の違いだ仕方あるまい」
「それより、翼と尻尾を洗ってくれ…ひとりだと時間がかかって仕方ない」


俺はハイハイ…と言って騰湖の翼と尻尾を丁寧に洗う。
騰湖の尻尾も慎重にやらんと正常に燃焼出来なくなるそうだ。
ホント俺らの体って実生活には不便だよな〜



「ったく…いっその事、風路さんみたいに翼も尻尾も切り落とした方が良いのかね?」

騰湖
「バカな事を言うな、翼はともかく尻尾は我々のもうひとつの心臓だぞ?」
「下手をすれば死ぬかもしれん、冗談でも止めておけ」


騰湖は胸を揉み洗いしながらそんな事を言う。
何だ、意外にも心配してくれてるのか?
俺はとりあえず、軽く返事して騰湖の背中も洗ってやった。



「お客さん痒い所はありませんか〜?」

騰湖
「そうだな、最近クリトリスが疼いててな…聖殿の事を考えると、いつも…」

喜久乃
「こんな所でまで発情しないでくださいよ…もうやだホント」


喜久乃は顔を赤くしてプイッと背けてしまった。
まぁ、子供には刺激の強いネタだわな…



「騰湖、お前も少し周りを良く見ろ」
「子供の喜久乃の教育によろしくないんだから、こう言う状況では自重しろ」

騰湖
「…まぁ、善処しよう」
「どのみち部屋で延々と出来るしな…」


延々とやるんかい!!
コイツ、ホントに桃色脳ミソだな…
まぁ、今更やる事に関しては何も言わんが。



「ほい、終わり! 俺も湯船に浸かる!」

騰湖
「ん、すまないな…」


こう言う時は騰湖も素直で良いんだがな…
いかんせん頭のネジが2〜3本外れてるから、暴走すると止め様が無い。
コイツは悪い意味で女胤の影響受けまくったせいだろうな…
人化する前から変態だったしコイツ等…(-_-;)



「あ〜良い湯だ〜!」

喜久乃
「鳴さんって、ホントに尽くすタイプですよね」


「ん? そうか…?」


俺は考えてみるがどうとも言えない。
俺は大概の事は好きでやってるし、尽くしてるなんてイメージは全く無いからな。
喜久乃はやや呆れた様だが、それでもこう言った。


喜久乃
「鳴さんなら、良い奥さんになれるのに…もったいないなぁ」


「お、おおお、奥さん!? って、誰のだよ!!」

喜久乃
「もちろん聖さんの」


俺は想像して絶句する。ついでに赤くなるのが自分でも解った。
あの聖と俺が…夫婦?





「鳴、今夜は着床するまで抱き続けるからな?」


「うん、朝まで付き合ってもらうから♡」





「無いわぁー!! つか、無理! 絶対恥ずかしくて死ぬ!!」

喜久乃
「ど、どんな妄想を…?」

騰湖
「大方、聖殿との子作りでも想像したんだろ…」
「コイツは純情を通り越して、恋愛の存在を否定しているタイプだからな…想像すると逆に過程をすっ飛ばす」
「全く、その程度でなんだ…我など常に多様なシチュエーションで妄想していると言うのに!」


俺はあまりに恥ずかしくなって口まで湯船に浸かった。
ボコボコと口から泡が出るが、もう気にもならない位恥ずかしかった。


喜久乃
「うわぁ…鳴さん可愛い! これは聖さん的にはクリティカルですよ!」
「絶対聖さんは純情派ですので!」

騰湖
「ぐ…否定は出来んな」
「確かに、華澄殿や悠和殿は皆よりも一線越えた位置にいる気もする」
「コイツもそうだと言うのか?」


ふたりは俺を見てうーむ、唸っていた。
くっそ…理想を司る俺はこう言う妄想ってリアル過ぎてやなんだよ〜(>_<)
騰湖は真実だから、いくら妄想しても妄想でしかないから割り切れるんだろうなぁ〜



「もう良い! 忘れる!!」
「こういうのは考えたらダメだ!!」

喜久乃
「結局脳筋の発想で立ち直った…」

騰湖
「まぁ、いつも通りだな…やはりコイツが一線を越える事は無理だ」


俺は無視してさっさと上がる。
喜久乃もそれに付いて来て、俺たちは風呂場から出た。
騰湖はもう少し入浴する様だ。
俺たちは脱衣所で着替えをする。



「よっと…」

喜久乃
「今更ですけど、それだけ翼が大きいと着れる服は自ずと制限されますよね〜」


俺は背中のホックで留めるだけのブラと同様の留め具がある黒のシャツを装着する。
シャツは肩と腹は覆っていないタイプで、まぁ動きやすさ重視だ。
外に出てももうそんなに寒くはないだろ。
下は尻尾が邪魔だけど、尻尾の下まで下着を着る。
尻尾の付け根は尾てい骨から出てるから、ギリギリ尻の谷間は隠れる位だ。
その上に黒のジーンズも同じ様に吐く。
後は腰に赤いスカーフ巻いて完成!
スカーフに隠れて後ろは自然に見せるって寸法だ。


喜久乃
「うーん、やっぱりスタイル抜群ですよね…筋肉質ではあるけど、ガチムチ好きなら生唾物でしょうし」


「か、勘弁してくれよ…俺は聖以外の男の視線なんか浴びたくねぇし」

喜久乃
「やはり純情…! ですが、外に出れば必ず目立ちますしねぇー」
「この際、聖様の家に1度お邪魔してみれば?」


俺は考えてみた。
そう言えば、聖の家自体にはすぐ行けるもんな…
一応、考えておくか…



「まぁ、明日で良いだろ」
「平日は聖も学校でほとんどいないし、行くにしても夕方だろ?」

喜久乃
「そうですね、午後4時位が妥当かと思われます」


とりあえず、明日は平日だし聖は朝から学校だ。
確か悠和も一緒に通ってるんだから、アイツが帰って来たら聖も帰って来てるだろ。


喜久乃
「とりあえず、行く方向で良いんですよね?」


「良いんじゃねぇの? たまには聖に甘えてもバチは当たらねぇだろ



俺はそう言って脱衣所を出る。喜久乃もすぐに付いて来た。
さて、とりあえずまだ寝るには早いし、とりあえず晩飯かな?
俺はそんな事を思い、喜久乃と一緒に部屋に向かった。



………………………




「しっかし、何だでやる事無いよな…」


俺たちは食事後、部屋でダラダラしていた。
正直、やれる事がほとんど無いのが最大の難点だよな…


喜久乃
「そうですね…せいぜい聖さんから借りたトランプがある位ですし」
「それも、今やふたりなので出来る遊びは限られていますからね…」


確かにふたりでトランプは微妙に盛り上がらない。
賭け事なんて俺たちには賭ける物が無いし…
かと言って他の連中イチイチ呼ぶのもなぁ…


喜久乃
「この際、電気は通ってるんですから、いっそテレビゲームでも借りた方が…」


「ん〜それも手だな…俺たちで出来るゲームってよく解かんねぇけど」


俺たちはふたりして黙る。
夜になるとホントにここは静かだ…例外除いては。
ちなみに、この城での時間はいわゆる日本時間と同じらしいので、基本的には聖たちと同じ時間を過ごしていると思って良いらしい。
なので、暇でも夜になると遊びに行く事は推奨出来ないってわけだが…


喜久乃
「んぐ…まぁ、もう寝てしまうのも手ですけどね」


「そうだな、飯も食ったしもうやる事無いか〜」
「騰湖も今頃ハッスルしてんだろうな…」


俺は想像するが、もはや表現するのも危険な姿が想像出来た。
近くの部屋に住んでる奴は御愁傷様だな…


喜久乃
「その、鳴さんは逆にそういうのは興味無いんですか?」


「えっ? いやぁ〜俺は流石に」
「そういうのって、自分じゃなくて好きな人に触って欲しいし…」

喜久乃
「ぐはぁっ! もう嫁にしたい位可愛い!!」
「モジモジはやはり反則ですね! 悠和さんのも破壊力高いですし!!」


うーん、そんなに俺は純情なのか…? ただ恋愛に臆病なだけだと思うけど。
聖は、どう思ってんだろうな…?
何となく、気になってしまった。
聖は、俺の理想が現実になった人だ…俺の、愛する理想の男性。
騰湖にとってもそう…聖は騰湖が愛する真実の男性。
何で、俺は理想だったんだろ?
理想を常に描いているから、俺は苦悩もするし葛藤もする。
騰湖は逆だ、真実しか見ないから誰も彼も簡単に信用しないし、自分を疑わない。
やっぱり、違うよな…俺とアイツは。


喜久乃
「また、悩んでますね〜」
「そんなに悩むなら、聖様に相談しましょうよ?」


「そう、だな…」


相談…か。聖は何て言うかな…?
アイツは、俺の理想が現実になった男だ…もう俺には理想の男性像が無い。
そんな俺は、これから何を求めて生きれば良いんだろう…?
聖は、答えてくれるのかな…?
俺は心に穴がぽっかり空いた様な気分だった。
今の生活はそれなりに楽しい、他の皆も良くしてくれる。
でも、俺は聖と一緒にいたい…聖の側にいたい。



(だけど、怖い…理想が崩れるのが)
(俺の理想は理想でしか無いと、気付かされるのが怖い)


俺が恋愛に臆病な理由はこれだ。
理想を描くのは簡単だ…でも真実を知ればそれは脆くも崩れ去るかもしれない。
現実はきっと残酷だ…俺は、内心聖を怖がっている。
そんな事絶対無いと、俺には言えない。
騰湖なら言うだろう、でも俺には言えない。


喜久乃
「鳴、さん?」


「ゴメン…もう寝る」
「大丈夫、明日は絶対に聖と会うから」


俺は枕に顔を埋め、無理にでも眠る事にした…
喜久乃も気を使って何も言わずに部屋の明かりを消してくれる。
俺は押し潰されそうな不安を胸に、眠れない夜を過ごす事になった…



………………………




「テーレッテー! お前はもう、死んでいる!!」

赤ん坊
「きゃっ、きゃっ♪」

守連
「わ〜可愛いね〜♪」


俺は今、赤ん坊を抱いてあやしている。
もちろん俺の子ではないのでご安心を!
流石の俺もまだパパになるつもりはない!
これは、ちょっと訳有りで少しだけ預かる事になった子だ。



………………………




「え、夜まで預かってほしい?」

光里
「うん、ちょっと親戚の子なんだけど、ウチじゃ流石に狭いし…私仕事もあるから、あんまり赤ちゃんにはよろしくないんだよね…」
「だから、聖君の家を調べて連れて来たんだけど、大丈夫かな?」


そう、それは俺が学校から帰宅した後だった。
突然光里ちゃんが俺の家にやって来て、赤ん坊を連れて来たのだ。
一応守連たちには隠れる様に言ってあるので大丈夫とは思うが、見られたら色々事だな…
さて、とはいえ赤ん坊ねぇ…



「とりあえず何時まで?」

光里
「バイトが終わったら迎えに来るよ」
「だから19時過ぎ位かな?」


まぁ、その位なら良いか…と俺は了承する。
そして、一応のオムツとミルクが入った袋を受け取り、俺は赤ん坊を抱く事になった。



………………………




「しっかし、案外懐いてくれるモンだな」

守連
「そうだね〜聖さんの事好きなのかな〜?」

赤ん坊
「う〜?」


守連はゴム手袋越しに赤ん坊の頬をツンツンする。
赤ん坊は不思議そうに守連の指を見ていた。
まぁ、ゴム手袋の指だしな。


愛呂恵
「お待たせしました、ミルクの完成です」


「はい、ありがとうございます」


俺は愛呂恵さんからミルクを受け取り、それを赤ん坊に見せる。
すると、赤ん坊も解っているのか、両手を振ってミルクをねだっていた。
うーむ、やっぱ可愛いよなこう言うの♪



「よしよし、今あげるからな〜」


「おーい、聖いるか〜?」

喜久乃
「お邪魔しまーす」


突然の来訪者。俺たちは玄関を見る。
するとそこには鳴と喜久乃がいた。



「何だ、わざわざどうした? ああ、ちょっと待っててくれ、今ミルクやってるから…」

赤ん坊
「ん〜!」


俺はとりあえずミルクを優先して赤ん坊に飲ませてやった。
すると赤ん坊は嬉しそうにそれを飲む。
俺はそのまま優しく抱いててやった、そして赤ん坊の気の済むまで哺乳瓶を支えてやる。



「…だ」

喜久乃
「鳴さん?」


「誰を孕ませたんだよ聖ーーー!?」


「いや違う!! 待て、あらぬ疑いがかかるだろうが!?」
「この子は別の所の子だ!! 今理由があって預かってんの!!」

赤ん坊
「んー! んーん!!」


「ああ、ゴメンゴメン! 大丈夫か?」


俺はつい思いっきりツッコンでしまい、赤ん坊の事を忘れかけていた。
しかし、意外に落ち着いてるな…もっと泣き出したりするのかと思ってたが。
赤ん坊はミルクを飲んで満足そうに欠伸した。
おやおや、眠くなってきたのかな?



「そ、そうか…勘違い、別の赤ちゃん…か」

喜久乃
「ですね、人間のでしょうが」

赤ん坊
「ん〜…」


「ん? 眠れないのか…ゴメンな、ちょっと静かにするな」


俺がそう言って人差し指を口元に当て、皆に合図する。
すると、少しの静寂の後、赤ん坊はすやすやと寝息をたて始めた。



「…ん」


俺は赤ん坊が寝たのを確認すると、哺乳瓶を愛呂恵さんに渡す。
愛呂恵さんはそれをすぐに洗いに行った。
守連はニコニコして赤ん坊の寝顔を見ている、実に楽しそうだな。



「なぁ、それ…俺も抱いて良いか?」


「ん? 流石に女の子だし、興味あるか?」


鳴は静かにコクリ…と頷く。
俺は笑って赤ん坊をそっと鳴の両腕に乗せてやった。
鳴は驚いた顔をしながら、赤ん坊を優しく抱く。
そして口をポカンと開け、放心した様な顔で鳴は赤ん坊の寝息を聞いていた。


喜久乃
「可愛いですねー、鳴さんの巨乳に挟まれるとは役得ですなこの赤ん坊は」


「妙な事を言うな、この頃から変態に目覚めたらどうする?」

喜久乃
「う…それは嫌ですね」


喜久乃は明らかに嫌そうな顔をして両手で口を塞いだ。
余計な事は言わない様にするつもりか…



「………」


鳴はゆらり、ゆらりと体を揺さぶり、赤ん坊を抱き続ける。
鳴の顔は段々と優しい微笑みに変わっていった。
そして、鳴の髪のお下げがゆらゆらと揺れる。
何だか、本当の母親みたいに見えるな…似合ってる。
やっぱり鳴は何だでこう言うのが好きなのかもしれない。
普段は大雑把であっけらかんとしている鳴だけど、意外と繊細な所もあるのだと俺は感心した。


守連
「良いなぁ…私と違って感電しなくて」


「そう言えば、鳴も電気タイプだけどそういうのは無いのか?」


「えっ? あ、ああ…そりゃ、発電すりゃそうなるけど」
「普段の状態なら、特に問題ねぇよ…制御は出来てるし」

喜久乃
「私も触れるのは厳禁ですね…静電気では無いですけど」
「何かあったら責任取れませんし」


おやおや、電気タイプはやっぱり大変だな。
その点、鳴は流石に伝説のポケモンか…こと電気の使い方なら1番優れているのかもな。



「…♪」


鳴は嬉しそうに笑う。
若干頬を赤らませ、まるで本当に我が子を抱き締めている様に、優しく体を揺らしていた。
やっぱり、女の子は憧れるのかな…? 自分も母親になる事を。
鳴を見てると思う。やっぱりポケモン娘だって結婚には憧れるし、子供を産む事が幸せなのかもしれない。
でも、それはきっと困難な道だろう。
俺は、最終的にどんな道を選ぶだろうか?
考えてもロクな未来は見えない。
だったら、俺は現実を見る。
今、目の前にある現実が幸せならそれで良い。
未来の事は未来で考えよう。



「なぁ…聖」


「ん…どした?」


鳴は赤ん坊を直視しながら俺に声をかける。
その顔は幸せと不安を同時に秘めている様なそんな表情だった。



「…俺が、赤ちゃん欲しいって言ったら、○ックスしてくれる?」


「………」
「……」
「…」


場が静寂する。今この場は赤ん坊の寝息だけに支配されていた。
俺たちは全員停止し、思考だけを張り巡らせる。
そして、俺はある程度冷静になった所でこう言葉を放った。



「どうしたんだ鳴!? まさか騰湖の爪の垢でも飲んだのか!?」
「だったら吐きなさい汚いから!!」

喜久乃
「鳴さん、目を覚まして!! あんな変態に染まらないで!!」

守連
「あっはは…騰湖ちゃん散々な言われようだね」

愛呂恵
「まぁ仕方ないでしょう、彼女は相当性欲の強い女性ですので」
「そんな彼女と常々一緒にいる鳴さんも、そう思われても仕方ないのかもしれません」


それぞれそう言葉を放った俺たち。
だが、鳴は少し悲しそうな顔をする。
俺は、少ししまった…と思った。
鳴はもしかして本気で言っていたのか…?
だとしたら、ちょっと可哀想な事をしてしまったかも…



「ゴメン…聞かなかった事にして」


「あ、いや…その、こっちもゴメン…」
「まさか、お前に限ってそんな事言うとは思えなかったから…」


鳴は基本的にエロネタに走るイメージが無い。
むしろ、エロの塊の騰湖を嗜める役割で、いつも自分はそっち方面には興味無い、みたいな風に振る舞っているからな。
とはいえ、鳴もやはり女…子供はやっぱり純粋に欲しいのか。



「やっぱり、さ…無理だよな」
「俺はきっと、子供なんて産めない…それは、俺の理想でしかないんだ…」


鳴は諦めた様な顔で笑っていた。
そして、腕の中で唸る赤ん坊を優しく揺する。
赤ん坊は安心したのか、鳴の腕の中でまた安らかに寝息をたて始めた。


守連
「やっぱり、私たちって子供産めないのかな?」

愛呂恵
「極めて難しい問題でしょう」
「藍さんが、常々研究しておられますが、やはり実践無くして結果は生まれません」
「ですので、この際いかがですか聖様?」
「いっその事、このまま5P突入と言うのは?」
「この人数なら誰かしらヒットする可能性は高いかと」


「勘弁してください…流石に高校生の身でそれはダメです」

喜久乃
「っていうか、さらりと私も数えられてますよね!?」
「私、年齢的には高校生所か小学生ですよ!?」


そう言う意味では守連も中学生だな…
って言うか成人は愛呂恵さんしかいねぇ!
法律改正されれば鳴も成人認定だが、あれが適用されるのはまだ何年も先だ…



「あはは…でも、良いよ」
「例え理想でも、俺は幸せならそれで良い」
「良いんだ…例え現実は残酷でも」


鳴は何かを思い詰めている様に感じた。
俺は、そんな鳴に言葉を送ってやる事しか出来ない。
まだ俺には、事に及ぶだけの覚悟は無いから。



「その、さ…鳴は本当に自分の子供が欲しいのか?」


「…うん、そうかも」
「この子見てると、何となくそう思った…俺でも、母親になれるのかな?って…」


そして、それは理想だ。
だけど、現実は残酷…本当は鳴にそんな機能は備わってないかもしれない。
下手に期待させて、やっぱりダメだったとかは1番辛い事だ。
せめて、検査のひとつでも受けられれば何か解るかもしれないけど…



「藍に検査とかしてもらえないかな? アイツ大学で姓科学研究してるんだし、そう言う施設も使わせてもらえるんじゃ?」

愛呂恵
「成る程、それは名案かと」
「ですが、今の時間ですと藍さんの学校は午前3時頃…藍さんも寝ている時間ですね」


そういや、時差があったな…やれやれ面倒なモンだな。
しかし、相談だけでもしたい所だが。
3時って事は後4時間程で起床する位か?
こっちだと21時…夜中になるな。



「しょうがない、夜になるけど21時に藍に聞きに行こう」
「一応、城にはいるんですよね?」

愛呂恵
「はい、寮生活は鬱陶しいと愚痴を言っていましたので」
「今でも城から白那さんに送迎してもらってるそうです」


と言う事は白那さんわざわざ深夜に起きて迎えに行ってるのか…
白那さんも娘にはホント甘いよな…まぁ、それも白那さんらしいけど。



「ほ、本当に検査するのか?」


「だって、気になるだろ? 子供が欲しいって言うなら、それこそハッキリさせとかないと」


「いや、でも俺、聖以外の男と子供作りたくないし…」


「だったら、俺が高校卒業したら作ってやる…それでも良いか?」


場がいきなり静寂した。
いや、我ながらとんでもない事を言ったという自覚はある。
だが、それ以上に何か視線が熱かった…


守連
(うわぁ〜聖さん大胆発言…)
喜久乃
(堂々と発言しましたね…これは後が怖いですよ)
愛呂恵
(つまり卒業したらヤりホーダイ!)


「えと…鳴?」


「あ、あああ…ダメだ! 恥ずかしすぎて顔も見れない!!」


鳴はそんな事言って背中を向けてしまった。
後ろから見ても解る位顔を赤くしてるな。
まさかこんな反応されるとは…意外だった。


守連
「あはは…鳴ちゃん結構純情なんだね♪」

喜久乃
「そうなんですよー、だからもったいなくて」
「まぁ、聖さんが処女貰ってくれるそうですので良かった良かった♪」


「止めろバカ! 恥ずかしいだろうが!?」

赤ん坊
「ん〜!」


「ああ、ゴメン! よしよし…怖くないからな〜?」


気が付くと赤ん坊が目覚めてしまった様だ。
鳴は赤ん坊を笑顔であやしていた。
自然にああいう事出来るのは何気に嫁ポイント高いぞ…
やはり鳴の潜在嫁スペックは相当だったな…侮っていたわ。



「やれやれ…こりゃ、下手な事言ったかな」

愛呂恵
「いえ、むしろご褒美です」
「卒業さえ出来れば聖様の子種は貰いホーダイ」


「愛呂恵さん!? 何か拡大解釈してません!?」


俺はとりあえずこれ以上下手な事は言わぬ様に努めた。
と言うか、広がらない様に注意せねば!


華澄
「ふぅ、ただいま戻りました…」


「ああ、お帰り華澄…」


「ほーら、おっぱい吸うか? 流石にミルクは出ないけど」
「ん…結構吸う力強いんだな、あっ&#9825;」


華澄さんは一瞬で凍りついていた。
事もあろうに鳴は片乳さらけ出して赤ん坊にそれを吸わせているのだ。
しかも喘ぎ声…一瞬俺の息子も反応してしまった。
っていうか、人様の子相手に何やってるんですかね鳴さん!?


華澄
「さ…」
「聖様に赤子がいらした〜〜〜〜〜!?」
「しかも鳴殿といつの間に!?」


「よし、とりあえず落ち着こう華澄さん!」
「まずは一から説明するからね!」


俺は涙目で叫んだ華澄を宥め、その場で正座させて事の成り行きを説明した。
華澄は状況を理解し、深くため息を吐いてこう言う。


華澄
「申し訳ありませぬ…取り乱してしまい」
「そうですな、流石に聖殿でも鳴殿を孕ませるなど…」
「聖殿の事、ちゃんと避妊はしていたはず」


「よし、華澄さんまずは誤解を解こうか!」


既に肉体関係を持っている前提で話をしている華澄さんに、俺は少々強めに説明した。
すると華澄さんはより深いため息を吐いて謝る。


華澄
「た、度々申し訳ありません…拙者まだ取り乱していた様です」


「ホント頼みますよ!? 華澄さんだけが最後の良心なんですから!!」

愛呂恵
「大丈夫です、聖様が高校卒業の暁には全員子供を孕ませてやると大々的に宣言してくださいました」


「愛呂恵さぁん!? 益々拡大解釈してません!?」


もはやこの流れを変えるのは俺には無理だ…この際行くとこまで流されよう。
その内皆静かに忘れるだろ…
だが、この後女胤、阿須那と連続で同じコントをやる羽目になったのは言うまでもない…



………………………



光里
「あはは…何か賑やかだったね」


「頼む、さっきの叫びはすぐに忘れてくれ…」


俺は阿須那とのやりとりをモロに光里ちゃんに聞かれてしまっていた。
光里ちゃんは苦笑しながら赤ん坊を抱く。
そして、一言俺に礼を言った。


光里
「とりあえずありがとう聖君、今日は助かったよ♪」
「でも、まだ学生の内はあまりヤりすぎるのはダメだよ?」
「避妊してても被弾する時は被弾するんだから!」


「よし、とりあえず誤解を解こうか光里ちゃん!」


結局、光里ちゃんにまでこの流れをやる羽目になった…
同じネタは三度まで!!
俺はこの上なく疲れ、光里ちゃんは楽しそうに帰って行った。
やれやれ…ホント迂闊な事は言うもんじゃないな。
まぁ、鳴のあの顔見たらそうでも言ってやらんといかんと俺も思ったわけだが…



(実際問題、ホントに作れるのか?)


少なくともゲーム的に言えばゼクロムは当然タマゴ未発見グループだ。
どの組み合わせでもタマゴが発見される事は無い。
つまり、これは子供が産めない…と客観的に判断出来る。
だが、今の鳴はほぼ人間だ…人間同様の生理現象もあるし、あながち無理だとも思えない。



(…近縁種、か)


前に藍が言っていた言葉だ。
人間と、人化したポケモン娘…種族的には恐らく近縁種。
だが、それは交配可能か? と言われれば疑問符が付く。
現状、人間に最も近い類人猿でも人間と交配は出来ないのだから…



(でも、だったら鳴が可哀想だ)


鳴は純粋に子供が欲しいと言った。
それは女性として当然の欲求。
好きな人との子供を育みたい…母親になりたい。
鳴は、純粋にそれを望んだ。
そして、それを理想だと自分で切り捨てた。
そんなの…悲しいじゃないか。



「………」

阿須那
「あ、聖…もう晩御飯にするで?」


俺はああ…と答え、阿須那と家に入る。
そして、今夜は鳴と喜久乃も含めての賑やかな食事となった。


………………………




「うん、美味い! 愛呂恵さんのカレーは凄いな!」

愛呂恵
「前に甘口が好みと言っておられてましたので、鳴さんには特製の甘口カレーにしてあります」


「へぇ、こっちのはフツーに辛口なのに、わざわざ分けて作ったんですか?」


俺が聞くと愛呂恵さんは、はいと答える。
何でも、全員辛さの好みが違うから、基本の味からそれぞれ分けて味を変えてるらしい。
手間はかかるものの、全員が満足行く辛さになるのだから、その手間の価値も高いか。


喜久乃
「うーん、櫻桃さんのカレーも美味しかったですけど、やっぱり愛呂恵さんの方が絶妙に美味しいですね」

愛呂恵
「ある程度は好みの問題もあると思います」
「櫻桃さんは一度に数10人分の量を一気に作る為、味を変えている余裕が無いのでしょう」
「ですので、喜久乃さんの口に合う味とは限らないだけかと」
「少なくともカレーに関しては、櫻桃さんはかなりレベルが高いと私でも評価していますので」


へぇ…櫻桃さんのカレーはそこまで評価されてるのか。
俺が初めて食ったカレーはまぁフツーの味だったが。
次に櫻桃さんの世界で食ったカレーは確かに美味しかった…
でも、俺的にも愛呂恵さんの味の方が好みかな。


華澄
「カレーと言っても千差万別…作り手だけでなく、食べる方の好みでも評価は変わってしまうのですな」

阿須那
「せやな、誰が誰の為に作るんか…それが1番重要やとウチは思うわ」
「愛呂恵のはそれを皆別々に作った…せやから皆が皆美味しいと言えるんや」
「料理にちゃんと手間をかけるのは一流の証やな」


誰が誰の為、か…そうだよな、やっぱり作るからには美味しいと言ってほしい。
それが好きな人の為なら、当然の事だよな。



「…俺でも、カレー作れるかな?」

愛呂恵
「もちろんです、カレーはシンプルな料理ですので、入門には最適かもしれません」
「櫻桃さんに頼めば嫌々ながらも教えてもらえると思いますよ?」


「嫌々かよ…まぁ、あの人本来的には仕事嫌いだもんな」

女胤
「ですが、最近の櫻桃さんはそれ程愚痴を言ってはいない様ですが?」


確かに、あまり聞かなくなったよな…
城にいた頃なんか早く止めたい…って愚痴りまくってたのに。


愛呂恵
「恐らく、もはや働いているという自覚が無くなったのでしょう」
「櫻桃さんにとって、メイドの仕事はもはや生活習慣と化したのかもしれません」

守連
「あはは、それはそれで凄いね…あ、愛呂恵さんお代わり〜♪」


生活習慣か…そこまでいったらもはや神だな。
櫻桃さんはメイドの神に昇格したのだ…神は働かない。
櫻桃さんにとってのご奉仕は呼吸の様な物という事か。
しっかし、守連の奴のは特盛だったのにもうお代わりするのか…
以前より更に食う量が増えてないか…? よくアレで太らないものだ。
まぁ、フードファイターならそれ位フツーなのかね?
テレビで見るフードファイターも全然太ってないもんな〜


喜久乃
「改めて見ても守連さんは圧巻ですよね…何であんなに入るのか」

守連
「美味しい物ならどんどん食べられるよ〜♪」


「今度大食い大会にでも連れて行ってやろうか…多分時の人になれる気がする」


守連は大食い大会!?と、結構良い食い付きだった。
ホントに優勝しそうだな…今度調べてみるかな?



「俺もお代わり! 大盛で頼む!」

愛呂恵
「分かりました、少々お待ちを…どうぞ守連さん」

守連
「ありがと〜♪ はむはむはむ!!」


愛呂恵さんは守連に特盛カレーを渡し、次は鳴の皿を受け取った。
鳴も結構食うな…まぁ、体も大きいし鳴は適正か。
身長185cmはあるし、体格で言ったらこの中でもダントツに大きいからな…


喜久乃
「うーん、私は流石にこれで満足です、ごちそうさまでした!」


喜久乃は並盛一杯で満足した様だ。
喜久乃は喜久乃で適正か…体も細いし、12歳ならそんな物だろう。
喜久乃は熱々のお湯をグビグビと飲み、皿を洗い場に持って行った。
喜久乃も意外としっかりしてるよな…これからは喜久乃の事もちゃんと見てやらないと。
俺たちはその調子で食事を終え、時間が来るまでしばらく時間を潰す事にした。



………………………



喜久乃
「むっ、3連鎖です!」

守連
「あ〜やられた〜…喜久乃ちゃん、強いね〜」


守連と喜久乃は○ァミコンミニのDr.○リオで対戦していた。
喜久乃は初めて触ったゲーム機だが、すぐに操作を覚えて守連と良い勝負をしている様だ。


喜久乃
「これ面白いですね〜♪ 城だと遊び道具が少ないから暇なんですよね…」

守連
「そうなの? だったら、暇な時はこっちで遊ぶと良いよ♪」

喜久乃
「良いんですか? 迷惑じゃ…」


守連はニコニコ笑う。
無言で良いよと言っているな…まぁ、俺としても別に構わない。
むしろ、今まで誰も乱入して来なかったのが不思議な位だからな…


女胤
「この家で迷惑だと思う方はいませんよ?」
「ですので自分の家だと思ってくつろいでください♪」

喜久乃
「女胤さん…ありがとうございます!」


喜久乃は頭を下げて女胤に礼を言う。
喜久乃的にも、同じ世界での先輩である女胤の存在は偉大なんだろうな。
最も、変態性に関しては全く尊敬していない様だが…
騰湖といい女胤といい、あの頃の俺は四六時中体を狙われていたのか…恐ろしい。


喜久乃
「では、もう1度対戦しましょう!」

守連
「うん、良いよ〜♪」


ふたりは楽しそうに再戦する。
それを見て、俺たちもにこやかに笑っていた。
ちなみに、鳴は今愛呂恵さんからカレーの作り方を教えてもらってる。
とりあえず簡単な料理だし、基本を鳴は学んでいる様だ。
どれ、ちょっと見てみるかな?


愛呂恵
「野菜はもう少し小さくても構いません」
「ですが、小さすぎると煮込みの段階で溶ける可能性がありますので、小さくし過ぎない様に気を付けてください」


「へぇ、一口サイズってこの位かと思ってた」

愛呂恵
「よく勘違いされますが、一般的に一口サイズとは、幼い子供の口のサイズに合わせた一口です」
「なので、成人のサイズに合わせてしまってはいけません」
「子供が食べる時苦労してしまいますので…」


「子供が…うん、分かった」


鳴は真剣に愛呂恵さんから学んでる。
初めて使う包丁も丁寧にゆっくりと使っていた。
愛呂恵さんも教え甲斐があるのか、細かいテクニックも要所要所に交えている様だ。



(頑張れよ、鳴)


俺は心の中で応援する。
あのカレーが誰の為かは想像つくが、俺は期待しておく事にした。
鳴はきっと現実が怖いのだろう。
理想は理想でしかない…そう思わされるのが怖いから。
だから俺は、鳴の理想が正しいのだと証明してやらなければならない。
俺は、鳴の理想なのだから…










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第9話 『鳴はママになりたい!』


To be continued…

Yuki ( 2019/04/21(日) 19:15 )