とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない














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第1章 『新たなる生活』
第6話
女胤
「感性のリビドーが質的崩壊により、パライソに達する……解りますね?」


「言いたいことは解る、希望に添えられないのは残念だが」
「ところでお前は知っているか? 真理に背く愚者の哀れな末路を」

女胤
「重ねた議論は報われず、費やした時間も戻らない…往々にして人生はそうなりがちですね」
「薄氷の上に飾られた氷細工の様な危うさ、この世界を例えるならそんな所ですか」


「もう少し議論を重ねたかったが…今のままでは接点が見つからない様だ」


突然、何を言ってるんだ!?と、思われた方々…ご心配なく。
正直、私(わたくし)たちにも理解不能ですので、ただのネタだと流してください!
というか、改めてこの元ネタの冥王様は意味不明な思考の持ち主なのだと理解出来ます。
私はとりあえずネタはここまでに、本題に入る事にしました。


女胤
「とりあえず、今回は相談があってここに来たのです」


今はゴールデンウイークと言われる連休の最中。
私は仕事の休みを貰い、今は白那城に来ています。
そして、そこの地下の一室で藍さんに会っていました。

藍さんは、今は青色のTシャツに藍色のジーンズと割と普通の格好をしている。
尻尾はジーンズの上からはみ出ていますが、あれもファッションセンスみたいな物でしょうか?
とりあえず藍さんは椅子に座りながら軽く伸びをし、欠伸(あくび)をひとつしてダルそうにこう言った…



「相談ね…まぁ、俺様も連休はゆっくりするつもりだし、面倒が無い程度なら聞いてやらんでもない」


そう言えば、藍さんは大学に通っていたのでしたね…
話によれば、白那さんの空間転移でここから直接通っているそうですが、時差などは大丈夫なのでしょうか?
確か日本からですと13時間程の差があるはずですが…
眠そうにしているのも、やはりそれが原因なのかもしれませんね…少し日を置いてから訪ねるべきだったかもしれません。
私とした事が、配慮が足りませんでしたね…


夏翔麗愛
「女胤お姉ちゃん、いらっしゃ〜い♪」


気が付くと夏翔麗愛さんが嬉しそうに浮遊し、私の胸にに抱き付いて来た。
ちなみに夏翔麗愛さんも棗さんと一緒に、近くの小学校に通っているそうです。
ふたりは小学5年で、それなりに楽しくやっている様ですね。



「…あら、こんな所でどうしたの?」
「…わざわざモニタールームでって事は、久し振りに何か作る気なのかしら?」


棗さんも部屋に入って来る。
そう、私たちが今いる部屋はモニタールーム。
以前、私たちが彼女たちと戦った際、ここは指令室と呼ばれていたそうです。

部屋の壁には今何も映っていませんが、本来ならいくつもの映像を映すモニターが出力される。
それらは藍さんの超能力によって出力されるのです。
そして…私はそんな藍さんの能力に目を付け、今回相談に来ました。


櫻桃
「おいクソ主人、飲み物を持って来てやったぞ!」


今度は、櫻桃さんが中に飲み物を持って入って来る。
櫻桃さんも、今はメイド服は着ていないのですね…
まぁ、いつ外に出るかも解りませんし、あのメイド服は流石に問題がありますものね…
かくいう私も普段来ているカジュアル服で来ていますし、こちらの世界ではこちらの世界の基準に合わせる方がやはり良いのでしょう。



「…で、何の相談なんだ?」


藍さんはフルーツミックスジュースを飲みながら、机に肘を付いてそう聞く。
私は藍さんの隣にある椅子に座り、少し俯く。
その後、両手を組んでそれを口元に当て、私は両肘を机に立ててこう呟いた…


女胤
「藍さん、貴女は確か仮想現実の世界をゲームの様に作る事が可能なのですよね?」


「ああ…体験したなら解るだろ?」
「極めて単純だが、確かにほぼ現実と変わらない世界は構築出来る」
「もちろん、お前たちが冒険した世界は母さんが作った広大な空間でやった規模だから、俺様だけに出来る規模はたかが知れてるぞ?」


成る程、あくまで白那さんの協力無くしては、あそこまで広い世界は構築出来ないと。
ですが、今回の私の企画はそれ程の広さは必要無い。


女胤
「では、どの位の規模なら出来るのでしょうか?」


「そうだな、デバッグ用に用意してる訓練室があるが、その部屋程度なら問題無い」
「広さは精々、横10mx長さ10m高さ5m…500㎥程度だな」


私はそれを確認し、そして少し低めの声色でこう告げる事にした。
自ずと場の空気が重くなったが、私は気にしません。
この目的の為であれば、この際体裁すら捨ててみせますので!


女胤
「藍さん、もし可能なのでしたら…」
「仮想現実の聖様とイチャラブ出来る様な世界は、構築出来ますか?」
「無論…本番ありで!!」


「テメェ…!?」
「天才かっ!! 流石の俺様も、そんな面白そうなゲームは思い付かなかったぜ!」


藍さんは予想通り相当乗り気の様でした。
ちなみに、夏翔麗愛さんはニコニコし、棗さんと櫻桃さんは呆れていますわね…
やはり、この想いを共有出来る方は少ない様です…



「しかし、そうなると聖のデータを作るには、それなりの行動パターンを知る必要があるな」

女胤
「ご心配なく、ここに私秘蔵のデータファイルがありますわ!」
「このノートは聖様を逐次観察して出来ている完全な内容!」
「朝の起床から夜の就寝まで、様々なリサーチも反映し、もはや余す所無く行動パターンを網羅しておりますわ!!」


私の渡したノートを藍さんはパラパラとめくり、少し唸る。
都合上、仕事で家にいない時や聖様が学校に行っている時は正確に観測出来ていないのですが…
夢の世界の時の記憶も残していますし、情報量としては十分だと思われます。
そして一通りページをめくって確認した藍さんは、それを棗さんに渡してこう言った。



「コピーしてくれ姉さん」


「…嫌よ、疲れるもの」


成る程、横着しようとしましたね…
棗さんの能力で手っ取り早く記憶にペーストしようとするとは…
まぁ、あっさり断られましたが…

棗さんの記憶操作は本人に相当な負担となるらしいですからね…
普段から力を抑える為に目を瞑っているそうですし。



「ちっ、面倒だが自力でやるか…」
「とりあえず、1日待て…そしたら、多分試作品は出来てる」


「…本当にやる気? どうなっても知らないわよ?」

夏翔麗愛
「聖お父さんを攻略するエロゲーですなっ!?」

櫻桃
「とりあえず、この事は家主に報告しておくぞ?」


「馬鹿止めろ!? 大人なんだから、ここは見逃せって!」


藍さんは櫻桃さんに睨まれ、明らかに狼狽える。
さて、流石にここまで来て私も退くつもりはありません…なのでここは助け船を出す事にした。


女胤
「櫻桃さん、今回はどうかこれで…」

櫻桃
「!? し、仕方無いね…今回だけは見なかった事にしておくよ」


そう言って櫻桃さんは私から受け取った写真をズボンのポケットに突っ込んで黙認する。
ちなみに密かに渡したのは聖様の水着姿のブロマイドだ。
沖縄の時にしこたま撮っておいたのが、ここで役に立ちましたわね…
櫻桃さんも何だかんだで、聖様の虜に違いは無いという事です。



「よし…なら、とりあえず今日は久し振りに製作活動するか…」
「とりあえず女胤は出て行け、ネタバレになるからな…」
「他もネタバレが嫌な奴は出て行った方が良いぞ?」

女胤
「分かりました、では明日を楽しみにしておきます」

夏翔麗愛
「じゃあ私も出ておくのです!」


「…まぁ、私は興味無いけど出て行くわ」

櫻桃
「アタシは興味無いとは言わないっすけど、とりあえずここで見とくっす」
「ネタバレした所で何か変わるとも思わないし…」


とりあえず、櫻桃さん以外は出て行く様ですね。
私たちはすぐにモニタールームから外に出て行った。
その場には藍さんと櫻桃さんだけが残される。



………………………




「さて、と…」


俺様は3人が出て行ったのを確認し、久し振りにモニターを起動させる。
最近は講習、講義で忙しかったし、こんなのやる暇無かったからな。
まっ、とりあえず基本的なイメージは簡単に決めといて、後はノート見ながら調整すりゃ良いだろ…


櫻桃
「しっかし、このノート本当に気持ち悪い位詳細に書いてあるな…」
「改めて女胤の変態性が分かる…」


「まっ、変態と天才は紙一重だからな…」
「ああいう奴だからこそ、発想も他とは一線を画する」
「まぁ、それが評価されるかは時代次第だろうがな…」


俺様はサクサクと基本プログラムを組んでいく。
ちなみにここはプロジェクターの様なモニターしかない。
あくまでこのプログラムは俺様の超能力によって構築される物だ。

だから、俺様はいわば念じるだけでプログラムを構築し、それをモニターに表示させてるわけだな。
それ故に、パソコンなんぞよりも遥かに速い速度で構築は組み立てられていく。
後1時間もあればキャラクリエイトの基本は終了。
後は世界観設定と細かいルールの構築だな。


櫻桃
「相変わらず鮮やかっすね〜」


「頭の回転が速いエスパータイプなら、ぶっちゃけ誰でも出来る」
「お前でも、少し位なら超能力は使えるだろ?」

櫻桃
「アタシにこれは無理っすよ…『サイコキネシス』使えるからってこんな面倒な作業は絶対無理!」


櫻桃はそう言って両手で×を描く。
まぁ、コイツの場合はただ面倒臭がりなだけだからな…
その癖、やる気無くても他より仕事が出来るんだから、ある意味アホだ。



「そういや、お前は未だに俺様たちの所にいるが、他に移る気は無いのか?」
「愛呂恵も出て行っちまったし、明海たちも4人で別の仕事やるって言ってたしな…」
「悠和はとりあえず学生だし…ひとり残ったお前はどうなんだ?」

櫻桃
「ん〜? 別にアタシは、元々アンタの側にいるのがそれなりに居心地良いし」
「今は借音たちもここにいるから、離れる理由も無いっすよ」


櫻桃は特に迷う事も無く言い放つ。
いや、それよりもはっきりと居心地が良いとか言いやがった。
そんなの聞いたの初めてだぞ…何か逆に恥ずかしいな。


櫻桃
「お、照れた?」


「るさいっ! とりあえず何か小腹空いてきたからポテトプリーズ!」
「後フルーツミックスジュースお代わり!」

櫻桃
「はいはい、じゃ面倒だけど作ってやりますかね〜♪」


櫻桃はそう言って空のコップを持って部屋を出た。
くそ…何気におちょくられた気もする。
何かアイツに素直になられるって反応に困るな…
何だかんだ言って、アイツも精神年齢上は35年分生きてるしな…

肉体年齢は25歳だが、アイツも俺様も10年余分に生きてる…
互いに、心は大人になっちまってるせいか、今では何か割り切った部分もあるんだろうが…

夏翔麗愛なんか、むしろいつまで子供のつもりでいる気なのか…?
姉さんは元々達観してるし気にならないが…
夏翔麗愛は小学生が似合いすぎてるからな…麻亜守と同レベルの思考だし。
まぁ、学校に通う事で少しでも大人に近付けば良いんだが…
姉さんは事実上夏翔麗愛のお目付け役で通ってるからな…
最初は姉さんが小学生行くとか聞いた時は、タチの悪い冗談かと思ったわっ。



「まっ、姉さんの家族思いは今に始まった事でも無いからな」


俺様は聖(仮)のアルゴリズムを構築しながら呟く。
元々姉さんは子供らしくない子供だった。
いつも俺様たち妹や、母さんの事を大事に考えて行動している。
そのせいか、今のこの世界でも姉さんは未だにワガママのひとつも言わない。
母さんも、それは気にしてるだろうな…きっと。



………………………



櫻桃
「ほい、フライドポテトとジュース」


「サンキュ、助かるぜ♪」


俺様は自然に笑い、素直に礼を述べる。
すると、不意を突かれた櫻桃はあからさまにキョドった顔をした。


櫻桃
「…お、おう」


「照れた?」

櫻桃
「て、照れてねぇし!!」
「くっそ…仕返しのつもりっすか!?」


俺様はケラケラ笑ってやった。
だけど、櫻桃も顔を赤くして苦笑いするだけで、特にそれ以上は言わない。
こういう所も、俺様が精神的に大人になった証拠だな…



「おっ、相変わらず美味い…流石に上達したよな〜お前の料理も」
「まぁ、10年も経験上乗せすればこうもなる、か…」


俺様はポテトを一口食べて絶賛する。
10年前のとは流石に大違いだ、しっかりと外カリ中フワで塩の加減も丁度良い。
今はすっかり料理任せて大丈夫だからな…こっちに来てからは、櫻桃がずっと俺様たちの食事を担当してくれてたし。
俺様たちの舌の事も、すっかり理解してくれてる。


櫻桃
「まぁ、実際ここで料理やったから元の世界でもやる気になったんすけどね…」
「あの経験が無かったら、ここまでにはなれなかったすよ? 実際…」


「そうか? お前の事だから結局それなりにはなってそうだがな」

櫻桃
「それなりはそれなりっすよ」
「でもそれじゃ、アンタの好みの味は多分作れなかった」


またコイツは真顔で恥ずかしい事を…
反応を見られたのか、今度はケラケラ笑い返された。
おのれ…本気なんだろうから反応に困るんだよ。


櫻桃
「また照れた?」


「くっそ、もう良い!」
「何かどんどん悪ノリしていく気がする!」


俺様はそれ以上対抗しない様にした。
結局、櫻桃が俺様より年上なのは変わらないのだ…
そうなったら口で勝てるわけがない。
そして、俺様たちはふたりで雑談でも交わしながら、ゲーム世界を構築していった…



………………………



女胤
「え、華澄さんが!?」


「ああ、数日は帰れないみたいだ…まぁ、華澄に限って万が一は無いと思うが」


それは、聖様が帰宅なされてからのお話でした。
何でも、聖様のお知り合いのお墓参りに華澄さんがご一緒したそうですが、その方の遺族の無念に我慢出来ず、ひとりで飛び出したと…

聖様も万が一は無いと言うものの、表情は不安でしかない様です。
私はどうしようか考えるも、聖様は頭を下げてこう言った。



「頼む女胤、華澄の好きにさせてやってくれ」

女胤
「…聖様がそう仰るなら、私は何も言いませんわ」
「華澄さんがやらねばならない…聖様がそう判断したのでしたら、それは華澄さん自身がやるべきでしょう」


私が笑顔でそう言うと、聖様は少し笑ってくれた。
私の望みは、全て聖様の為。
そして聖様の望みは、私の望み。
であれば、私は華澄さんを信じましょう…彼女が決して聖様を不幸にはしないと。


女胤
「守連さんと阿須那さん、後…愛呂恵さんには?」


「まだ、話してない…俺からちゃんと話すよ」

女胤
「そうなさってください…聖様が直接言われるのでしたら、誰も手を出しはしないでしょうから」


聖様は頷いて2階に上がった。
とりあえず、私も覚悟はしておきましょう。
本当に万が一…いえ億が一でも何かあった場合は、私が必ず始末を付けると。

そんな風に私は決意を固め、その日は特に何も起こらずに日は変わる…
そして私は皆さんに悟られない様に自然と振る舞い、踊る心を抑えていた。



………………………



女胤
「さて、とりあえず次の日ですが…仕事は休みを頂いてますし、とりあえず藍さんの元に向かいますか」

守連
「あれ、女胤ちゃん出かけるの?」


私が玄関でハイヒールを履いていると、守連さんが声をかけて来た。
私は軽く微笑み、頷く。
そして守連さんにこう言った。


女胤
「今から白那さんの城に向かいますので、何かあれば城の方に言伝てを」

守連
「あ、白那さんの所に行くの?」
「じゃあ、ついでに頼み事しても良いかな?」

女胤
「ええ、構いませんよ」


私は軽くそう言うと、守連さんはニコニコ笑う。
そして、ありがとう♪と言って、私にノートを渡した。
数学…と書いてありますね。


守連
「とりあえず、ノルマ終わらしちゃったから、それを白那さんに渡してほしいの」
「今日は家庭教師お休みだから、多分城にいると思うんだけど…」

女胤
「成る程、分かりました」
「ですが、それでしたら守連さんが直接渡すべきなのでは?」

守連
「私は魔大陸攻略に忙しいんだよ…」


私は絶句する…まだやり込んでたのですね。
私は苦笑し、とりあえずノートを持って行く事にした…



………………………



白那
「ん、確かに受け取ったよ…へぇ〜あの量をもう終わらせちゃったんだ」

女胤
「守連さんは、優秀な生徒ですか?」


私は先に白那さんの部屋を訪れる。
白那さんにノートを渡して私がそう聞くと、白那さんは笑顔でうん、と頷いた。

そしてペラペラとノートをめくり、軽く採点をしている様です。
何気に速いですね…1ページ見るのに数秒かかってませんよ?
白那さんも相当な頭の良さとは聞いてましたけど、確かにこういう何気無い所で凄みを見せてくれますね…


白那
「守連ちゃんの吸収力は物凄いね…とても中学3年相当とは思えない」
「多分、知能指数調べたら結構高いんじゃないかな…?」
「守連ちゃんが何も出来なさそうなのは、多分何もさせなかったからだと思うよ?」


確かに、聖様は守連さんには基本家事位しかやらせてなかったですからね…
見た目の問題もありましたし、外出はほとんど禁止してましたから。
守連さんには、そういった機会自体が与えられなかったとも言えますね。
ですが、守連さんは基本考えるのは苦手だと、自分で言っていた気もしますが…


白那
「守連ちゃんは、ただ知らないだけ」
「考えるのが苦手なんじゃなく、解らないから考えないだけなんだろう」

女胤
「成る程、だから吸収ですか…」
「解る事なら、守連さんは何でも吸収、習得してしまうと…」


白那さんは頷いた。
そして、改めて私は守連さんの潜在能力を知る。
守連さんは、これからどこまで大きくなるのでしょうか?
私には想像も付かなかった…守連さんがそんなにも天才肌だったとは。


白那
「うん、全問正解…非の打ち所が無いね」
「これ、一応一流高校の入試レベルだったんだけど…」


私は絶句する…
守連さん、その気になれば一流高校ですらトップ入学出来る可能性があるのですね…!


白那
「全教科満遍なくコレだからね…ただ、その分弱点もあるんだけど」

女胤
「弱点? 非の打ち所が無いのにですか?」


白那さんは、ため息を吐いて頭を抱える。
そして、この口から放たれた言葉は…


白那
「守連ちゃん、自分で考えるという所まで意識を上げさせるのが、とにかく大変なんだ」
「基本、誰かが教えてあげないと理解しようともしない」
「本人が考えるのが苦手って言ってるのは、ある意味本質を捉えてるんだよね…」

女胤
「つまり、教科書や説明書を見ても理解しませんが…」

白那
「誰かが解りやすく教えれば、すぐに理解するっていう事…」
「もしくは、誰かの行動を見て覚えさせる事だね…」
「どっちにしても、守連ちゃん本人がやる気を出さないと無駄なんだけど…」


成る程、守連さんは解らないなら考えない…と。
裏を返せば、教科書や説明書を見ても理解しようとしないと言う事。

ですが、それを誰かが実践して教えれば、すぐに覚えてしまう。
ある意味、絶対記憶に近いですね…確かに1度覚えれば守連さんは絶対に忘れませんし。

ゲームの事でも、気が付けば説明書も攻略本も無しに、ネットでプレイ動画を見て理解していた…
本人がRPG好きなのも、アクション要素がほとんど無いから、トレースしやすいという理由もあるのかもしれません。


白那
「とりあえず、守連ちゃんには連休はゆっくり休む様に言っておいて…」
「オレはちょっと学習メニューを調整しておくよ」

女胤
「分かりました、伝えておきます」
「それでは、私はモニタールームに行きますので…」


白那さんは少し疲れた顔で背中を向けて手を振った。
私はそれを見て白那さんの部屋を出る。
さて、いよいよ本番ですね…さすがに緊張します!



………………………




「来たな…出来てるぞ、試作品が」

櫻桃
「まぁ…でも、コレ実際どうなんだろう?」

夏翔麗愛
「ドキドキなのです! あの聖お父さんと、シューティング○クロス出来るのですね!?」


「…仮の聖さんだけどね、本当にそれで良いの貴女?」


夏翔麗愛さんはそれを聞いて複雑そうな顔をした。
気持ちは解ります…ですが私は一向に構いません!
この際、仮でも相手が聖様なら私は遠慮無くオーガズムに達しましょう!!


女胤
「それで、その聖様とはどこまで出来るのですか?」


「お前、舐めてんのか?」
「俺様を誰だと思ってやがる! もちろん生本番まで完全再現だ!!」
「都合により、その場合は疑似精液で妊娠はまず無理だが、子宮に疑似精液が叩きつけられる所までは余す所無く完全再現!!」
「まぁ、クリア出来ればの条件付きだが…聞くまでも無いな?」


私はククク…と薄ら笑う。
そしてカッと目を見開いて、こう言い放つ。


女胤
「望む所です! 初見ノーコンクリアでベッドシーンまで行ってみせますわ!!」


こうして、私は地下のデバッグルームに赴く…
そして仮の聖様とのイチャラブ学園ライフが始まった…
デバッグルームの扉を開けた先には、もうそこは仮想現実なのだ…



………………………



ここは、私立ときめけポケモン学園。
ここには、貴女の大切な人が同じクラスにいます。
貴女はその人と幸せになる事が出来るでしょうか?
それは、全て貴女の努力次第です…さぁ、頑張りましょう!


女胤
「………」


突然ナレーションが流れましたね。
恐らく借音さんの声だと予想出来ましたが、似合いすぎていますわ…
しかし、今の私には聖様しか見えていない。
そして、これはあくまでゲームの世界!
つまり! 何をしても私は許される!!



聖(仮)
「おっ、女胤じゃないか…今帰りか?」


まずは開幕始業式が終わってからの放課後イベント。
私は右手を額に掲げ、まずこう言った。


女胤
「聖様、今から子作りいたしましょう!」

仮聖
「短い付き合いだったな…アバヨ!」


女胤はフラれた!
残念、女胤の学園生活はこれで終わってしまった!


テレテンテンテンテン! テレレンテンテンテン!!


そんな何処かで聞いた様なジングルが鳴り響き、最後に視界が暗転して死神の映像が何故か視界を覆い尽くし、私はがめおべ〜らしてしまった…


女胤
「っていうか、今時即死ゲーですか!?」
「後、開幕から流石に難易度高くありません!?」


『馬鹿者、これは本格的シミュレーションだぞ?』
『そもそも、お前の信頼度をまず考えてみろ…』
『正確には信頼度はともかく、実生活における好感度は最悪にも程があるはずだぞ?』
『これは、そんな設定をも盛り込んだ、いわゆる死ぬがよい…の難易度だ』


藍さんの声が部屋のスピーカーから響く。
モニタールームから直接話しているのは理解出来た。
ですが、私は思わずこう叫ぶ。


女胤
「せめて、イージーモードからお願い致します!!」


『甘えるな…そもそも聖は落とすのが極めて難しい裏ラスボスだぞ?』
『あの不沈艦を落とす気なら、それなりの覚悟を決めろ』


う、迂闊でしたわ…藍さんはあくまで現実的な難易度として聖様を捉えている。
つまり、落ちる未来が見えない…これ、本当にエンディングあるのですか?
っていうか、フラグ自体あるのですか?



『ちゃんとベッドシーンまでは搭載してるぞ?』
『ただ、死んでも到達出来るか知らんがな…』

女胤
「テメェらの血は、何色だーーーー!?」

夏翔麗愛
『赤!』


『青!』


『…黄』

櫻桃
『何かツッコム?』


私はネタすらあっさり返されて崩れ去る。
しかし、諦めてはいけません…! これは確かにクソゲーですが、クリア不能ではないはず!
きっと…必ず何か落とし穴があるはずです!
私は無言でコンティニューを選択する。
そして、再び聖様と放課後て対峙した。



………………………



聖(仮)
「おっ、女胤じゃないか…今帰りか?」

女胤
「ええ、よろしければ一緒に帰りませんか?」

聖(仮)
「悪いが、急いでてな! スタコラサッサだぜぃ!」


聖様はさっさと立ち去ってしまった…
一応、ゲームオーバーでは無いのですが…


女胤
「タイムリープしてもよろしいですか?」


『甘えるな、セーブすら搭載してないんだぞ?』
『まぁ、コンティニュー位は無限にさせてやるから、気長に頑張れ』


私は藍さんのアドバイスをスピーカーから聞き、とりあえず何とか続ける事にする。
この際、私は相当嫌われている前提で考えましょう。
それならそれで、チクチク好感度を稼ぐしかない!


女胤
「とりあえず、まずはデートに誘わないと…聖様の番号は、これっと」


しかし、聖様は一向に電話には出てくれず、空しい呼び出し音が鳴り続けるだけでした…
どうやら、本格的に好感度が足りていないらしく、かなりドン底の状態から何とかしなければならない様ですわね!

まぁ、着信拒否されてないだけマシとも言えますし、ある程度上げられれば活路は見えてくるはず…!

しかし、当然の様に好感度を楽に上げる事は不可能。
となると、自ずと攻略法は限られてきますね…


女胤
「やはり基本には忠実…まずは自身のステータスを高めて向こうの気を引くしかありませんわね!」


一般的な恋愛シミュレーションなら鉄板の攻略法です。
とはいえ、初代○きメモなんかですと、下手に上げすぎたら難易度上がる事もありますので注意は必要でしょう。
何事も程ほどが肝心…あくまで聖様好みのステータスがあれば良いのですから!



『そうそう…言い忘れてたが、これはあくまで現実的なシミュレーションだ』
『ゲームみたく、一週間や二週間でグングン能力上がると思うなよ?』

女胤
「酷いぃぃぃぃっ!! あぁんまぁりですわぁぁぁぁぁっ!!」


もはや、私には何も希望は残されていない事を突き付けられる…
そして、そのままダラダラとアプローチを続けるも、一向に聖様の好感度は上がらず、むしろマイナス選択肢が多すぎて、最初よりも下がるまでありました…



………………………



女胤
「というより、これ本当に攻略可能ですの!?」


『理論上はな』


理論上…つまり、ゲーム的に解釈するなら理論値出さないと攻略不可と!?
つまり、これは明らかな調整ミスの難易度であり、クリアした時点でRTA認定!
というより、むしろTASさんにでもチャレンジしてほしい所ですわね!


女胤
「…参考までに、藍さんがTASったら追記何回位でいけますの?」


『…恐ろしい事を聞くな、クリアする頃には人生終わるぞ?』

女胤
「それもう事実上クリア不能では!?」


一体、どれ程の追記回数が要求されるのでしょうか…?
あの藍さんが恐ろしいと言う程なのですから、もはや考える事すら放棄した方が良い気もしますね…


女胤
(しかし、諦めたらそこでゲームオーバーですわ!!)


理論上クリア可能と言う以上、エンディングは存在するのです。
ならば、この際正攻法は無理だと思いましょう。
となれば、自ずとバグらせてエンディングを引っ張り出す方向になるのですが…


女胤
(あくまでこれは試作品…つまり本来ならマスターアップ前の体験版という事)


まぁ、エンディングまで搭載されてる体験版とか、聞いた事もありませんが。
ともかく、このシミュレータはあくまでまだ試作品。
つまり、本来なら時間をかけて綿密にデバッグしなければならないはずなのです。
ですが、これはたった1日で完成された物…

いかに藍さんの天才的アルゴリズムを持ってしても、そもそも想定していない挙動を行えば何かしらバグる可能性は高いという事ですわ!


女胤
「ともかく、ゲーム的にはまだまだ序盤!」
「まだ1年生ですし、後2年も余裕がありますわ!!」


『ちなみに解ってると思うが、聖は3年生だから1年以内に攻略しろよ?』

女胤
「鬼畜ですか貴女は!? ただでさえ無理ゲー難易度なのに、更に追い討ちかける心折設計にしてどうするんですの!?」


そもそも、あくまでゲームなのですから、そこはゲーム的に手加減が欲しい所ですわね…
いくらリアリティ特化とはいえ、プレイヤーを苦しめる方向に特化したリアリティは、クソゲーのテンプレですわよ?



『まぁ試作品だからな〜今後暇があったら調整はしてやるよ』

女胤
「つ、つまり今は、この理不尽難易度でやるしかないという訳ですわね…」


とにかく、我武者羅にやっても無理なのは目に見えている。
季節は既に夏休み…
本来ならここで連続デートでもして好感度を稼ぐのですが…


女胤
(未だに電話すら出てもらえませんし、そもそも同じ家に住んでない設定なので、自宅でキャッキャウフフも出来ない…)


そこはあえてゲーム的な設定なのに、何故難易度方面だけリアリティを追求するのか…?
藍さんの事ですから、ひたすらにマゾヒズム的な難易度にしたかっただけなのかもしれませんね…
つまり、コレは完全に想定内の難易度設定であり、ストロングスタイルのクソゲーと言えます。

選択肢の無茶振りも賽の河原システムレベルの難易度ですし、そもそもあれで本当に聖様が正しく反応するのか疑問でもあります。


女胤
「と、とにかく電話ですわ! 無駄と解っていてもやらないとゲームが進まないですし!!」


私はとにかく電話をかけてみる。
しかし、相変わらず聖様は出る事すらせず、空しい時間が更に加速していく…
色んな意味で忍耐力が問われるクソゲーですわね…

とはいえ、バグ込みでも本番まで行けるなら、これは神ゲーになる可能性も高い!
とにかく、今は想定外の行動を起こすしかありませんわ!


女胤
「電話がダメなら、直接訪問! 聖様の家に向かえば良いのですわ〜♪」



………………………



警察
「ストーカー容疑で逮捕する!」

女胤
「何で、こ〜うなるのっ!?」


私は呆気なくブタ箱に放り込まれた。
このゲームの世界観では、少年法などカス程にも存在せず、私はめでたく懲役200年となったのです…


女胤
「電気椅子も絞首台も無用!」


『下された判決は懲役200年!!』


というわけでゲームオーバーですわね…
セーブ&ロードも存在しない心折設定ですし、コンティニューして直前からやり直すしか無い。


女胤
(ん? 直前からリスタートという事は…)


私はちょっとした疑問を抱く。
このゲームには確かにセーブもロードも無い。
しかしコンティニューに関しては無制限であり、再開する際には直前の行動選択前から再開出来る。

それはつまり…


女胤
(今は日曜日の午後で、行動選択前…)


このゲームは限りなく現実に近い世界なものの、時間設定に関してはゲームらしく飛び飛び。
すなわち、○きメモの様に電話するだけで午前が終わってしまう為、事実上休日での行動は午前と午後の2回のみ。

そして、このゲームでは理不尽なデッドエンドに合わない限りは、継続してプレイ出来る。
逆に言えば、何度死んでも行動直前からやり直せる訳で…

私はあえて、先程と全く同じ行動を取ってみる。
すると、予想通り全く同じ結末でゲーオーバーになった。
私は軽くほくそ笑む…このゲームはやはり試作品!



………………………




「…ようやく、仕様に気付き始めたか」

櫻桃
「突貫工事で製作したゲームっすからね〜、そんなにルート数は作れなかったって事っすよね?」


俺様はジュースを飲みながらも、ああ…と答える。
正確にはルート数自体は膨大だ。
たった1年間の設定とはいえ、違う日で別の日のゲームオーバーパターンは出ない様、設定はしてある。

舞台設定は○きメモっぽく作ってるが、実質ゲーム内容はほぼ○ャドウゲイトだからな。
ただ、ちゃんと主人公や聖(仮)にもステータスは設定してある。
主人公の行動でそれ等はしっかりと変動し、それに合わせて起こるイベントは変わるからな。

ただ、やはり突貫工事で作った弊害はある。
全く同じ行動を取られた場合、起こるイベントも全く同じになるからな…
女胤はそれに気付いた様だが、だからと言ってこのゲームをクリア出来るとは限らない。

そもそも、グッドエンドやハッピーエンドはひとつしかないしな…
つまり、ほとんどどんな行動を取っても女胤はゲームオーバーにしかならないし、そもそも聖(仮)の好感度を上げる事がまず無理ゲーレベルだ。

特に女胤じゃまず達成出来ないだろ…全家族の中でも、最高難易度レベルのデスモードだし。
これで主人公が母さんとかなら、ベリーイージーになってヌルゲー化するんだがな!

まぁ、ぶっちゃければ全部女胤が悪い。
普段から脳ミソお花畑のエロ脳だし、マトモな選択肢を選ぶ事すら稀だろ。


夏翔麗愛
「これって、自動生成でイベント組まれてるの?」


「ある程度はな…だが、ステータスや好感度に変動が無いと、さっきみたく既出のゲームオーバーになる」


「…ちなみに、これってもしかして…既に詰んでたりするの?」


俺様は呆れた顔で姉さんを見る。
まぁ、姉さんも解っててあえて聞いたんだろうけど…



「…俺様は、コンティニューは無限にさせてやると言っただけだからな」

櫻桃
「すなわち、今更どんなRTA攻略しようがバッドエンドは確定…と」


まぁ、当の女胤は知る由も無いんだが…
最初の選択肢の時点で詰んでるからなぶっちゃけ…
そもそも、その時点で諦めて最初からやり直すのが攻略の大前提だ。

つまり、女胤は初めからしくじっているのでどうやってもグッドエンド以上のエンディングには到達出来ない…と。


夏翔麗愛
「…ここまで惚れ惚れする程のクソゲーは、中々見れないですよ〜」


「まぁ、女胤専用の難易度と言えるからな…」
「お前がやったら、程よい位の難易度に収まるんじゃないか?」

夏翔麗愛
「それはそれで心が折れるかも…」


夏翔麗愛らしい答えだな…コイツは何をトチ狂ってるのか、良ゲーになればなる程ダレるという、異端のゲーマーだ。
それだけにコイツから素晴らしいクソゲーと言われるのは、最大の誉め言葉であり、賛辞。

なので逆に出来が良すぎるとコイツから評価されんという事だな…
まぁ、良作でもバカゲーならコイツは楽しくやるみたいだが。


櫻桃
「…まぁ、自分でやりたいとは思わねぇっすね」


「同感だ…自分で作っといて何だが、攻略出来る気はしないからな」


「…それ、自分であまり好かれてないと認めてるのよね?」


俺様は答えなかった。
まぁ、その通りだからな…
べ、別に聖の事が嫌いな訳じゃないんだぞ!?

ただ、性格的にアイツと俺様はソリが合わないって言うか…


櫻桃
「…うん、クソ主人が聖に懐かれる状況が想像出来ない!」


「止めんか! 一瞬想像したわ!!」
「冷静に考えたら、凄まじい恐怖体験が出来る可能性を秘めているのかコレ…?」
「汎用性度外視で設計したけど、もしかしたら俺様でも予想出来ない様なイベントとか出来るのか?」


「…そうなったら、女胤さん的にはハッピーエンドなのかしら?」


いや、どうやったって女胤じゃ良いとこ陵辱エンドだろ。
一応、そういうバッドエンドもあるにはあるし、ルート次第では有り得るが…



「…仮にもアイツは自制出来てるからな」
「流石に気が狂いでもしなければ、陵辱成功エンドには到達しないと思うが…」

夏翔麗愛
「でも…自制出来るのは現実だからであって、ゲームの中なら何やっても許されるって、本人は間違いなく思ってるですよ?」

櫻桃
「…チーン」


「…お母さんには、とても見せられなさそうね」


そりゃ間違いない。
ああ見えて母さんは、エロい事には超消極的だからな…
女胤が聖を襲う所なぞ、死んでも見せられんわ!
一生のトラウマになりかねんし…

とまぁ、こんな感じで女胤は悲しいプレイを続けていく。
かなりぶっ飛んだ選択肢や行動もチラホラあり、改めて女胤が本気なのだと俺様たちは知る羽目になった…



………………………



女胤
「ふ…ふふ、ふ」
「よもや、登録されてる聖様の電場番号が、そもそも違う方の番号だったとは…!!」


ある程度は聖様の好感度も上がった為なのか、聖様から初めて電話をいただいたのです…がっ!
その時に表示された携帯電話の画面には、未登録の電話番号…
思わず拒否ってしまいそうになったのですが、もしやと思って期待を込めれば案の定聖様でした!

用件は特に無く、あくまでただの雑談程度でしたが、恐らくこれが最低限必須のイベントだったのだと思えます。
つまり、これからはちゃんと聖様と電話が出来ると!


女胤
「しかし悲しいかな…既にクリスマス!」
「当然ひとりでクリスマスパーティですわ〜!!」


私はひとりで寂しくクラッカーを鳴らす。
そして無駄に美味しいケーキをひとりで平らげた…
む、空しい…


女胤
「とはいえ、希望は最後まで捨てません!」
「最悪、既に詰んでいる可能性も否定出来ませんが、この経験は次の周回で生きるはず!!」


凄まじく後ろ向きな考え方ですが、これはあくまでシミュレーション。
ゲームはゲームなので、例え失敗しても構わないのですから!

…とはいえ、藍さんの趣向がドS一直線なのだと気付かされる無数のバッドエンドは正直キツいです!
そもそも、何でちょっとでも無理そうな行動取ったら即死なんですの!?

朝から待ち伏せしようとしたら、守連さんにハリケーンミキサーで殺されますし、聖様の後ろ姿を見付けて追いかければ、暴漢かと勘違いされて阿須那さんに灰にされますし…

酷い時には何故か学校の底が抜けてマグマに落ちて死ぬとか、完全に別のジャンルと間違えてるのでは?と疑いたくなる程理不尽でしたわ!

とはいえ、それでもめげずにようやくここまで…
新年はとりあえず、聖様を誘って初詣ですわ!



………………………



女胤
「もしもし、聖様?」

聖(仮)
『おう、何か用か?』


心なしか、まだ他人みたいな反応ですわね…
そもそも、そこまで好感度も高く無いのでしょうし、仕方無い所ではありますが。

とりあえず、今回はあくまで初詣のお誘い。
断られる可能性が高すぎますが、やらないよりかはマシ作戦ですわ!


女胤
「えっと、聖様…今から初……」

聖(仮)
『おっとキャッチホンだ、またな!』


あまりに予想通りの展開にもはや涙も出ません…
こんな調子でどうにかなるのでしょうか?
とりあえずマルチエンド方式とは聞いていますので、根気良く周回するしか無さそうですわね…

と…そんなこんなで特に進展もイベントも無く、聖様の卒業式…
私は結局1度もデートは成功出来ず、電話しては全て失敗に…
改めて、家族ではなく他人という設定から聖様を攻略するのが、これ程まで無理ゲーだとは思いませんでしたわ…orz

後はどんなエンディングになるやら…もはや結果は期待すら出来ませんが、とりあえず1週目という事で興味はあります。


女胤
「とりあえず、ベタですが最後に机の中に手紙を…」

生徒
「大変だ! 核戦争が起こったぞ! もうここもダメだ…!!」


そんな台詞が聞こえた瞬間、私たちの学校は核の炎に包まれた…
そして、突如として現れたゾンビたちの集団が私たちに襲いかかって来る…
私たちは、そのまま謎のゾンビ集団と激闘を繰り広げ、学園を守る為に戦う事となったのだ…

愛する魔更 聖のいた学校を守る為、戦え女胤!
俺たちの戦いはこれからだ!!



………………………



女胤
「こんなクソゲー、KOTYに突き出してやりますわ!!」


「だったらまず選評を書け…話はそこからだ」

夏翔麗愛
「紛れもなくクソゲーですよコレは!」
「でも女胤お姉ちゃん専用なので、KOTY候補としては弱い気がするのです!」


とにもかくにも、こんな無理ゲーどうしようも無い!
いくらプレイヤーごとに難易度が違うとはいえ、何故に私の場合は最難関なのか…?


櫻桃
「まぁ…家族でも何でもない女胤からいきなり迫られたら、そりゃ聖人君子の聖でもマシンガン片手に威嚇するわな〜」

女胤
「それもう○斗羅ですよね!? 私は○ッドファルコンなのですか!?」


「まぁ、○ドムガー位のポジションは与えても良いな」

夏翔麗愛
「むしろ、陰獣○ムコウでもしっくり来るのですよ!」


もはや言いたい放題ですわね…それだけ私の評価が低い、と。
おーまいが、ですわ!


女胤
「くっ…! 私が妖艶になるのはあくまで聖様だけですのに!!」


「…まぁ、確かに聖さんが絡まないなら、比較的マトモな人だとは思うけれど」

櫻桃
「とはいえ、本性1回でも見てれば、その評価は裏返るからな」


そ、そこまで言われるとは…!
これは、本格的に私の立場を見直した方が良いのでしょうか?
とはいえ、家族の間ではもはや後の祭り…
私はあくまで私であり、この性格は変え様が無いのですから…


女胤
「…ま、まぁ良いですわ! とにかく次はもっと良いエンディングを目指します!」
「そして目指せレッツ子作り! ですわ!!」


「どんな苦境でも、前向きなのはお前の良い所だと俺様は思うよ…」
「まぁ、今回のはあくまで試作品だし、今回のデータを元にもう少し難易度調整してみるかな…」

女胤
「期待しておきます…流石にこんなRTA要求は、クソゲーにも程があるので」

夏翔麗愛
「でも、クソゲーじゃなくなったらそれはそれで寂しいのです…」


夏翔麗愛さん、それは流石にどうかと思う意見ですわよ?
そういえば、夏翔麗愛さんはやけにクソゲーが好きらしいですわね…
ある意味、今回のシミュレーションは夏翔麗愛さん好みのマゾ難易度だったのでしょうか?



「まっ、これからもやりたいなら、データ保存しておくからいつでもここでデータを呼び出せ」
「俺様がいなくても、夏翔麗愛か姉さんに頼めば読み込みだけなら出来るし…」


成る程、それならある意味誰でもプレイ出来る訳ですね…
まぁ、クリア出来るかは置いておいて!


女胤
「ちなみに、他の家族なら難易度はどの位変わるのですか?」


「ん? そうだな…あくまで俺様の評価での難易度だが」


そう言って、藍さんはモニターを表示させてリストを出す。
そこには大まかな難易度表記が映っていた。



守連 …難易度HARD

守連自身の性格も考慮し、この難易度に…
あくまで他人スタートでの守連は評価も低く、聖を攻略するには難があるだろう


阿須那…難易度NORMAL

良くも悪くも普通の難易度
聖としても阿須那の評価は悪くなく、阿須那の匙加減で攻略法はいくらでも出てくるはず…


華澄…難易度BEGINNER

基本的にクリア出来ない方がおかしい!
逆にヌルゲー過ぎて別の意味でクソゲーになりそうな雰囲気はある


女胤…難易度DEATH

死 ぬ が よ い


愛呂恵…難易度EASY

簡単すぎるとはいかず、案外詰まる要素も有り
そもそも愛呂恵の性格も考慮すると、そこまで積極的に聖にアプローチをかけられるのかは疑問


白那…難易度VERY EASY

基本的に詰まる要素無し
そもそも母さんの性格から言っても攻略出来ない方がおかしいし、聖との相性は抜群のはず…

とはいえ不安要素が無いわけではないので、この位置とする




「こんな所だな…」

女胤
「私のだけあんまり過ぎません!?」
「初めから評価外って事ですか!?」

櫻桃
「まぁ、大体納得だよね…」

夏翔麗愛
「流石は藍お姉ちゃん! 大体あってる!!」


「…まぁ、妥当でしょう」


改めて私の評価がドン底なのだと理解出来ましたわ…!
しかし、これで諦めてはいけません!
私は何としてでもこのクソゲーを攻略してみせますわ〜!!


女胤
「覚えておきなさい!? 生膣出しで必ず妊娠エンドしてやりますわ!!」


「だからお前はアホなのだぁ〜!!」


最後に藍さんの叫びが木霊した…
それは、まさしく私の本質を捉えた叫びと言えるでしょう…










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第6話 『ボーイフレンド聖様(仮)』


To be continued…

Yuki ( 2019/04/21(日) 11:00 )