とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない













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第1章 『新たなる生活』
第6話
女胤
「感性のリビドーが質的崩壊により、パライソに達する……解りますね?」


「言いたいことは解る、希望に添えられないのは残念だが」
「ところでお前は知っているか? 真理に背く愚者の哀れな末路を」

女胤
「重ねた議論は報われず、費やした時間も戻らない…往々にして人生はそうなりがちですね」
「薄氷の上に飾られた氷細工の様な危うさ、この世界を例えるならそんな所ですか」


「もう少し議論を重ねたかったが…今のままでは接点が見つからない様だ」


突然、何を言ってるんだ!?と、思われた方々…ご心配なく。
正直、私(わたくし)たちにも理解不能ですので、ただのネタだと流してください!
というか、改めてこの元ネタの冥王様は意味不明な思考の持ち主なのだと理解出来ます。
私はとりあえずネタはここまでに本題に入る事にしました。


女胤
「とりあえず、今回は相談があってここに来たのです」


今はゴールデンウイークと言われる連休の最中。
私は仕事の休みを貰い、今は白那城に来ています。
そして、そこの地下の一室で藍さんに会っていた。
藍さんは、今は青色のTシャツに藍色のジーンズと割と普通の格好をしている。
尻尾はジーンズの上からはみ出ていますが、あれもファッションセンスみたいな物でしょうか?
とりあえず藍さんは椅子に座りながら軽く伸びをし、欠伸(あくび)をひとつしてダルそうにこう言う。



「相談ね…まぁ、俺様も連休はゆっくりするつもりだし、面倒が無い程度なら聞いてやらんでもない」


そう言えば、藍さんは大学に通っていたのでしたね…
話によれば、白那さんの空間転移でここから直接通っているそうですが、時差などは大丈夫なのでしょうか?
確か日本からですと13時間程の差があるはずですが…
眠そうにしているのも、やはりそれが原因なのかもしれませんね…少し日を置いてから訪ねるべきだったかもしれません。
私とした事が、配慮が足りませんでしたね…


夏翔麗愛
「女胤お姉ちゃん、いらっしゃ〜い♪」


気が付くと夏翔麗愛さんが嬉しそうに浮遊し、私の胸にに抱き付いて来た。
ちなみに夏翔麗愛さんも棗さんと一緒に、近くの小学校に通っているそうです。
ふたりは小学5年で、それなりに楽しくやっている様ですね。



「…あら、こんな所でどうしたの?」
「…わざわざモニタールームでって事は、久し振りに何か作る気なの?」


棗さんも部屋に入って来る。
そう、私たちが今いる部屋はモニタールーム。
以前、私たちが彼女たちと戦った際、ここは指令室と呼ばれていたそうです。
部屋の壁には今何も映っていませんが、本来ならいくつもの映像を映すモニターが出力される。
それらは藍の超能力によって出力されるのです。
そして…私はそんな藍さんの能力に目を付け、今回相談に来ました。


櫻桃
「おいクソ主人、飲み物を持って来てやったぞ!」


今度は櫻桃さんが中に飲み物を持って入って来る。
櫻桃さんも、今はメイド服は着ていないのですね…
まぁ、いつ外に出るかも解りませんし、メイド服は流石に問題がありますものね…
かくいう私も普段来ているカジュアル服で来ていますし、こちらの世界ではこちらの世界の基準に合わせる方がやはり良いのでしょう。



「…で、何の相談なんだ?」


藍さんはフルーツミックスジュースを飲み、机に肘を付いてそう聞く。
私は藍さんの隣にある椅子に座り、少し俯く。
その後、両手を組んでそれを口元に当て、私は両肘を机に立ててこう呟いた…


女胤
「藍さん、貴女は確か仮想現実の世界をゲームの様に作る事が可能なのですよね?」


「ああ…体験したなら解るだろ?」
「極めて単純だが、確かにほぼ現実と変わらない世界は構築出来る」
「もちろん、お前たちが冒険した世界は母さんが作った広大な空間でやった規模だから、俺様だけに出来る規模はたかが知れてるぞ?」


成る程、あくまで白那さんの協力無くしては、あそこまで広い世界は構築出来ないと。
ですが、今回の私の企画はそれ程の広さは必要無い。


女胤
「では、どの位の規模なら出来るのでしょうか?」


「そうだな、デバッグ用に用意してる訓練室があるが、その部屋程度なら問題無い」
「広さは精々横10mx長さ10m高さ5m…500㎥程度だな」


私はそれを確認し、そして少し低めの声色でこう告げる。
自ずと場の空気が重くなったが、私は気にしません。
この目的の為であれば、この際体裁すら捨ててみせますので!


女胤
「藍さん、もし可能なのでしたら…」
「仮想現実の聖様とイチャラブ出来る様な世界は、構築出来ますか?」
「無論…本番ありで!!」


「テメェ…!?」
「天才かっ!! 流石の俺様も、そんな面白そうなゲームは思い付かなかったぜ!」


藍さんは予想通り相当乗り気の様でした。
ちなみに、夏翔麗愛さんはニコニコし、棗さんと櫻桃さんは呆れていますわね…
やはり、この想いを共有出来る方は少ない様です…



「しかし、そうなると聖のデータを作るには、それなりの行動パターンを知る必要があるな」

女胤
「ご心配なく、ここに私秘蔵のデータファイルがありますわ!」
「このノートは聖様を逐次観察して出来ている完全な内容!」
「朝の起床から夜の就寝まで、様々なリサーチも反映し、もはや余す所無く網羅しておりますわ!!」


私の渡したノートを藍さんはパラパラとめくり、少し唸る。
都合上、仕事で家にいない時や聖様が学校に行っている時は正確に観測出来ていないのですが…
夢の世界の時の記憶も残していますし、情報量としては十分だと思われます。
そして一通りページをめくって確認した藍さんは、それを棗さんに渡してこう言った。



「コピーしてくれ姉さん」


「…嫌よ、疲れるもの」


成る程、横着しようとしましたね…
棗さんの能力で手っ取り早く記憶にペーストしようとするとは…
まぁ、あっさり断られましたが…
棗さんの記憶操作は相当な負担となるらしいですからね…普段から力を抑える為に目を瞑っているそうですし。



「ちっ、面倒だが自力でやるか…」
「とりあえず、1日待て…そしたら、多分試作品は出来てる」


「…本当にやる気? どうなっても知らないわよ?」

夏翔麗愛
「聖お父さんを攻略するエロゲーですなっ!?」

櫻桃
「とりあえず、この事は家主に報告しておくぞ?」


「馬鹿止めろ!? 大人なんだからここは見逃せって!」


藍さんは櫻桃さんに睨まれ、明らかに狼狽える。
さて、流石にここまで来て私も退くつもりはありません…なのでここは助け船を出す事にした。


女胤
「櫻桃さん、今回はどうかこれで…」

櫻桃
「!? し、仕方ないね…今回だけは見なかった事にしておくよ」


そう言って櫻桃さんは私から受け取った写真をズボンのポケットに突っ込んで黙認する。
ちなみに密かに渡したのは聖様の水着姿のブロマイドだ。
沖縄の時にしこたま撮っておいたのが、ここで役に立ちましたわね…
櫻桃さんも何だかんだで、聖様の虜に違いは無いという事です。



「よし、ならとりあえず今日は久し振りに製作活動するか…」
「とりあえず女胤は出て行け、ネタバレになるからな…」
「他もネタバレが嫌な奴は出て行った方が良いぞ?」

女胤
「分かりました、では明日を楽しみにしておきます」

夏翔麗愛
「じゃあ私も出ておくのです!」


「…まぁ、私は興味無いけど出て行くわ」

櫻桃
「アタシは興味無いとは言わないっすけど、とりあえずここで見とくっす」
「ネタバレした所で何か変わるとも思わないし…」


とりあえず、櫻桃さん以外は出て行く様ですね。
私たちはすぐにモニタールームから外に出て行った。
その場には藍さんと櫻桃さんだけが残される。



………………………




「さて、と…」


俺様は3人が出て行ったのを確認し、久し振りにモニターを起動させる。
最近は講習、講義で忙しかったし、こんなのやる暇無かったからな。
まっ、とりあえず基本的なイメージは簡単に決めといて、後はノート見ながら調整すりゃ良いだろ…


櫻桃
「しっかし、このノート本当に気持ち悪い位詳細に書いてあるな…」
「改めて女胤の変態性が分かる…」


「まっ、変態と天才は紙一重だからな…」
「ああいう奴だからこそ、発想も他とは一線を画する」
「まぁ、それが評価されるかは時代次第だろうがな…」


俺様はサクサクと基本プログラムを組んでいく。
ちなみにここはプロジェクターの様なモニターしかない。
あくまでこのプログラムは俺様の超能力によって構築される。
だから、俺様はいわば念じるだけでプログラムを構築し、それをモニターに表示させてるわけだ。
だからパソコンなんぞよりも遥かに速い速度で構築は組み立てられていく。
後1時間もあればキャラクリエイトの基本は終了。
後は世界観設定と細かいルールの構築だな。


櫻桃
「相変わらず鮮やかっすね〜」


「頭の回転が速いエスパータイプなら、ぶっちゃけ誰でも出来る」
「お前でも少し位なら超能力は使えるだろ?」

櫻桃
「アタシにこれは無理っすよ…『サイコキネシス』使えるからってこんな面倒な作業は絶対無理!」


櫻桃はそう言って両手で×を描く。
まぁ、コイツの場合はただ面倒臭がりなだけだからな…
その癖、やる気無くても他より仕事が出来るんだからある意味アホだ。



「そういや、お前は未だに俺様たちの所にいるが、他に移る気は無いのか?」
「愛呂恵も出て行っちまったし、明海たちも4人で別の仕事やるって言ってたしな…」
「悠和は学生だし…ひとり残ったお前はどうなんだ?」

櫻桃
「ん〜別にアタシは元々アンタの側にいるのがそれなりに居心地良いし」
「今は借音たちもここにいるから、離れる理由も無いっすよ」


櫻桃は特に迷う事も無く言い放つ。
いや、それよりもはっきりと居心地が良いとか言いやがった。
そんなの聞いたの初めてだぞ…何か逆に恥ずかしいな。


櫻桃
「お、照れた?」


「るさいっ! とりあえず何か小腹空いてきたからポテトプリーズ!」
「後フルーツミックスジュースお代わり!」

櫻桃
「はいはい、じゃ面倒だけど作ってやりますかね〜♪」


櫻桃はそう言って空のコップを持って部屋を出た。
くそ…何気におちょくられた気もする。
何かアイツに素直になられるって反応に困るな…
何だかんだ言って、アイツも事実上は35年生きてるしな…
年齢上は25歳だが、アイツも俺様も10年余分に生きてる。
互いに、心は大人になっちまってるせいか、今では何か割り切った部分もあるんだろうな…

夏翔麗愛なんか、むしろいつまで子供のつもりでいる気なのか…?
姉さんは元々達観してるし気にならないが…
夏翔麗愛は小学生が似合いすぎてるからな…麻亜守と同レベルの思考だし。
まぁ、学校に通う事で少しでも大人に近付けば良いんだが…
姉さんは事実上夏翔麗愛のお目付け役で通ってるからな…
最初は姉さんが小学生行くとか聞いた時は、タチの悪い冗談かと思ったわっ。



「まっ、姉さんの家族思いは今に始まった事でも無いからな」


俺様は聖(仮)のアルゴリズムを構築しながら呟く。
元々姉さんは子供らしくない子供だった。
いつも俺様たち妹や母さんの事を大事に考えて行動している。
そのせいか、今のこの世界でも姉さんは未だにワガママのひとつも言わない。
母さんも、それは気にしてるだろうな…きっと。



………………………



櫻桃
「ほい、フライドポテトとジュース」


「サンキュ、助かるぜ♪」


俺様は自然に笑い、素直に礼を述べる。
すると不意を突かれた櫻桃はあからさまにキョドった顔をした。


櫻桃
「…お、おう」


「照れた?」

櫻桃
「て、照れてねぇし!!」
「くっそ…仕返しのつもりっすか!?」


俺様はケラケラ笑ってやった。
だけど、櫻桃も顔を赤くして苦笑いするだけで、特にそれ以上は言わない。
こう言う所も俺様が精神的に大人になった証拠だな…



「おっ、相変わらず美味い…流石に上達したよなお前の料理も」
「まぁ、10年も経験上乗せすればこうもなる、か…」


俺様はポテトを一口食べて絶賛する。
10年前のとは流石に大違いだ、しっかりと外カリ中フワで塩の加減も丁度良い。
今はすっかり料理任せて大丈夫だからな…こっちに来てからは櫻桃がずっと俺様たちの食事を担当してくれてたし。
俺様たちの舌の事も、すっかり理解してくれてる。


櫻桃
「まぁ、実際ここで料理やったから元の世界でもやる気になったんすけどね…」
「あの経験が無かったら、ここまでにはなれなかったすよ? 実際…」


「そうか? お前の事だから結局それなりにはなってそうだがな」

櫻桃
「それなりはそれなりっすよ」
「でもそれじゃ、アンタの好みの味は多分作れなかった」


またコイツは真顔で恥ずかしい事を…
反応を見られたのか、今度はケラケラ笑い返された。
おのれ…本気なんだろうから反応に困るんだよ。


櫻桃
「また照れた?」


「くっそ、もう良い!」
「何かどんどん悪ノリしていく気がする!」


俺様はそれ以上対抗しない様にした。
結局、櫻桃が俺様より年上なのは変わらないのだ…
そうなったら口で勝てるわけがない。
そして、俺様たちはふたりで雑談でも交わしながら、ゲーム世界を構築していった…



………………………



女胤
「え、華澄さんが!?」


「ああ、数日は帰れないみたいだ…まぁ、華澄に限って万が一は無いと思うが」


それは聖様が帰宅なされてからの話でした。
何でも聖様の知り合いのお墓参りに、華澄さんがご一緒したそうですが、その方の遺族の無念に我慢出来ず、飛び出したと。
聖様は万が一は無いと言うものの、表情は不安でしかない様です。
私はどうしようか考えるも、聖様は頭を下げてこう言った。



「頼む女胤、華澄の好きにさせてやってくれ」

女胤
「…聖様がそう仰るなら、私は何も言いませんわ」
「華澄さんがやらねばならない…聖様がそう判断したのでしたら、それは華澄さん自信がやるべきでしょう」


私が笑顔でそう言うと、聖様は少し笑ってくれた。
私の望みは全て聖様の為。
そして聖様の望みは私の望み。
であれば、私は華澄さんを信じましょう…彼女が決して聖様を不幸にはしないと。


女胤
「守連さんと阿須那さん、後…愛呂恵さんには?」


「まだ、話してない…俺からちゃんと話すよ」

女胤
「そうしてください…聖様が直接言われるのでしたら、誰も手を出しはしないでしょうから」


聖様は頷いて2階に上がった。
とりあえず、私も覚悟はしておきましょう。
本当に万が一…いえ億が一でもあった場合は、私が必ず始末を付けると。

そんな風に私は決意を固め、その日は特に何も起こらずに日は変わる…
そして私は皆さんに悟られない様に自然と振る舞い、踊る心を押さえていた。



………………………



女胤
「さて、とりあえず次の日ですが…仕事は休みを頂いてますし、とりあえず藍さんの元に向かいますか」

守連
「あれ、女胤ちゃん出かけるの?」


私が玄関でハイヒールを履いていると、守連さんが声をかけて来た。
私は軽く微笑み、頷く。
そして守連さんにこう言った。


女胤
「今から白那さんの城に向かいますので、何かあれば城の人に言伝てを」

守連
「あ、白那さんの所に行くの?」
「じゃあ、ついでに頼み事しても良いかな?」

女胤
「ええ、構いませんよ」


私は軽くそう言うと守連さんはニコニコ笑う。
そして、ありがとう♪と言って私にノートを渡した。
数学…と書いてありますね。


守連
「とりあえず、ノルマ終わらしちゃったから、それを白那さんに渡してほしいの」
「今日は家庭教師お休みだから、多分城にいると思うんだけど…」

女胤
「成る程、分かりました」
「ですが、それでしたら守連さんが直接渡すべきなのでは?」

守連
「私は魔大陸攻略に忙しいんだよ…」


私は絶句する…まだやり込んでたのですね。
私は苦笑し、とりあえずノートを持って行く事にした…



………………………



白那
「ん、確かに受け取ったよ…へぇ〜あの量をもう終わらせちゃったんだ」

女胤
「守連さんは、優秀な生徒ですか?」


私は先に白那さんの部屋に訪れる。
白那さんにノートを渡して私がそう聞くと、白那さんは笑顔でうん、と頷いた。
そしてペラペラとノートをめくり、軽く採点をしている様です。
何気に速いですね…1ページ見るのに数秒かかってませんよ?
白那さんも相当な頭の良さとは聞いてましたけど、確かにこういう何気無い所で凄みを見せてくれますね…


白那
「守連ちゃんの吸収力は物凄いね…とても中学3年相当とは思えない」
「多分、知能指数調べたら結構高いんじゃないかな…?」
「守連ちゃんが何も出来なさそうなのは、多分何もさせなかったからだと思うよ?」


確かに、聖様は守連さんには基本家事位しかやらせてなかったですからね…
見た目の問題もありましたし、外出はほとんど禁止してましたから。
守連さんには、そういった機会事態が与えられなかったとも言えますね。
ですが、守連さんは基本考えるのは苦手だと自分で言っていた気もしますが…


白那
「守連ちゃんは、ただ知らないだけ」
「考えるのが苦手なんじゃなく、解らないから考えないだけなんだろう」

女胤
「成る程、だから吸収ですか…」
「解る事なら、守連さんは何でも吸収、習得してしまうと…」


白那さんは頷いた。
そして、改めて私は守連さんの潜在能力を知る。
守連さんは、これからどこまで大きくなるのでしょうか?
私には想像も付かなかった…守連さんがそんなにも天才肌だったとは。


白那
「うん、全問正解…非の打ち所が無いね」
「これ、一応一流高校の入試レベルだったんだけど…」


私は絶句する…
守連さん、その気になれば一流高校ですらトップ入学出来る可能性があるのですね…!


白那
「全教科満遍なくコレだからね…ただ、その分弱点もあるんだけど」

女胤
「弱点? 非の打ち所が無いのにですか?」


白那さんは、ため息を吐いて頭を抱える。
そして、この口から放たれた言葉は…


白那
「守連ちゃん、自分で考えるという所まで意識を上げさせるのが、とにかく大変なんだ」
「基本、誰かが教えてあげないと理解しようとしない」
「本人が考えるのが苦手って言ってるのは、ある意味本質を捉えてるんだよね…」

女胤
「つまり、教科書を見ても理解しませんが…」

白那
「誰かが解りやすく教えれば、すぐに理解するって言う事…」
「もしくは、誰かの行動を見て覚えさせる事だね…」
「どっちにしても、守連ちゃん本人がやる気を出さないと無駄なんだけど…」


成る程、守連さんは解らないなら考えない…と。
裏を返せば、教科書や説明書を見ても理解しようとしないと言う事。
ですが、それを誰かが実践して教えれば、すぐに覚えてしまう。
ある意味、絶対記憶に近いですね…確かに1度覚えれば守連さんは絶対に忘れませんし。
ゲームの事でも、気が付けば説明書も攻略本も無しに、ネットでプレイ動画を見て理解していたみたいですし…
本人がRPG好きなのも、アクション要素がほとんど無いから、トレースしやすいという理由もあるのかもしれません。


白那
「とりあえず、守連ちゃんには連休はゆっくり休む様に言っておいて…」
「オレはちょっと学習メニューを調整しておくよ」

女胤
「分かりました、伝えておきます」
「それでは、私はモニタールームに行きますので…」


白那さんは少し疲れた顔で背中を向けて手を振った。
私はそれを見て白那さんの部屋を出る。
さて、いよいよ本番ですね…さすがに緊張します!



………………………




「来たな…出来てるぞ、試作品が」

櫻桃
「まぁ、でもこれどうなんだろう?」

夏翔麗愛
「ドキドキなのです! 聖お父さんとシューティング○クロス出来るのです!!」


「…仮の聖さんだけどね、本当にそれで良いの貴女?」


夏翔麗愛さんはそれを聞いて複雑そうな顔をした。
気持ちは解ります…ですが私は一向に構いません!
この際、仮でも相手が聖様なら私は遠慮無くオーガズムに達しましょう!!


女胤
「それで、その聖様とはどこまで出来るのですか?」


「お前、舐めてんのか?」
「俺様を誰だと思ってやがる! もちろん生本番まで完全再現だ!!」
「都合により、その場合は疑似精液で妊娠はまず無理だが、子宮に疑似精液が叩きつけられる所までは余す所無く完全再現!!」
「まぁ、クリア出来ればの条件付きだが…聞くまでも無いな?」


私はククク…と薄ら笑う。
そしてカッと目を見開いてこう言い放つ。


女胤
「望む所です! 初見ノーコンクリアでベッドシーンまで行ってみせますわ!!」


こうして、私は地下のデバッグルームに赴く…
そして仮の聖様とのイチャラブ学園ライフが始まった…
デバッグルームの扉を開けた先には、もうそこは仮想現実なのだ…



………………………



ここは、私立ときめけポケモン学園。
ここには、貴女の大切な人が同じクラスにいます。
貴女はその人と幸せになる事が出来るでしょうか?
それは、全て貴女の努力次第です…さぁ、頑張りましょう!


女胤
「………」


突然ナレーションが流れましたね。
恐らく借音さんの声だと予想出来ましたが、似合いすぎていますね…
しかし、今の私には聖様しか見えていない。
そして、これはあくまでゲームの世界!
つまり! 何をしても私は許される!!



聖(仮)
「おっ、女胤じゃないか…今帰りか?」


まずは開幕始業式が終わってからの放課後イベント。
私は右手を額に掲げ、まずこう言った。


女胤
「聖様、今から子作りいたしましょう!」

仮聖
「短い付き合いだったな…アバヨ!」


女胤はフラれた!
残念、女胤の学園生活はこれで終わってしまった!


テレテンテンテンテン! テレレンテンテンテン!!


最後に死神の映像が何故か視界を覆い尽くし、私はがめおべ〜らしてしまった…


女胤
「って言うか、今時即死ゲーですか!?」
「流石に難易度高くありません!?」


『馬鹿者、これは本格的シミュレーションだぞ?』
『そもそもお前の聖からの信頼度をまず考えてみろ…』
『正確には信頼度はともかく、実生活における好感度は最悪にも程があるはずだぞ?』
『これは、そんな設定をも盛り込んだ、いわゆる死ぬがよい…の難易度だ』


藍さんの声が部屋のスピーカーから響く。
モニタールームから直接話しているのは理解出来た。
ですが、私は思わずこう叫ぶ。


女胤
「せめてイージーモードでお願い致します!!」


『甘えるな…そもそも聖は落とすのが極めて難しい裏ラスボスだぞ?』
『あの不沈艦を落とす気なら、それなりの覚悟を決めろ』


う、迂闊でしたわ…藍さんはあくまで現実的に聖様を捉えている。
つまり、落ちる未来が見えない…これ、本当にエンディングあるのですか?
って言うか、フラグあるのですか?



『ちゃんとベッドシーンまでは搭載してるぞ?』
『ただ、死んでも到達出来るか知らんがな…』

女胤
「テメェらの血は、何色だーーーー!?」

夏翔麗愛
『赤!』


『青!』


『…黄』

櫻桃
『何かツッコム?』


私はネタすらあっさり返されて崩れ去る。
しかし、諦めてはいけません…! これは確かにクソゲーですが、クリア不能ではないはず!
きっと…必ず何か落とし穴があるはずです!
私は無言でコンティニューを選択する。
そして、再び聖様と放課後て対峙した。


………………………



聖(仮)
「おっ、女胤じゃないか…今帰りか?」

女胤
「ええ、よろしければ一緒に帰りませんか?」

聖(仮)
「ただでさえ、友達と思われてるのも嫌だってのに…勘弁してくれよ」


聖様はさっさと立ち去ってしまった…
一応、ゲームオーバーでは無いのですが…


女胤
「タイムリープしてもよろしいですか?」


『甘えるな、セーブすら搭載してないんだぞ?』
『まぁ、コンティニュー位は無限にしてやってるから、気長に頑張れ』


私は藍さんのアドバイスをスピーカーから聞き、とりあえず何とか続ける事にする。
この際、私は相当嫌われている前提で考えましょう。
それならそれで、チクチク好感度を稼ぐしかない!


女胤
「とりあえず、まずはデートに誘わないと…聖様の番号はこれっと」


ツーツーツーツー…


どうやら、無視されている様です…今時携帯に着信相手が表示されるのは当たり前…
むしろ着信拒否されてないだけマシですね…!
しかし、これでは楽に好感度を上げる事は不可能に近い。
つまり、まずは自信の能力を高めて向こうの気を引ければ…



『言い忘れてたが、これはあくまで現実的なシミュレーションだ』
『一週間二週間でグングン能力上がると思うなよ?』

女胤
「酷いぃぃぃぃっ!! あぁんまぁりですわぁぁぁぁぁっ!!」


もはや、私には何も希望は残されていなかった…
そして、気が付けば聖様が卒業の日…私は何とかゲームオーバーせずに辿り着けたものの、聖様には嫌われっぱなしでデートすらしていない…


女胤
「せめて、最後に机の中に手紙を…」

生徒
「大変だ! 核戦争が起こったぞ! もうここはダメだ…」


そんな台詞が聞こえた瞬間、私たちは核の炎に包まれた…
という夢オチでゲームは終わった…つまりはバッドエンド。


女胤
「こんなクソゲー、KOTYに突き出してやりますわ!!」


『そもそも、現実に落ちる未来が見えねぇのに聖が攻略出来るわけねぇだろ…』

女胤
「それはごもっともでしたわぁ〜〜〜っ!!」


それは、私の心の叫びでした…ちゃんちゃん♪
って! 現実の聖様は流石にここまで酷くありませんわよ!!










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第6話 『ボーイフレンド聖様(仮)』


To be continued…

Yuki ( 2019/04/21(日) 11:00 )