とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない














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終章 『第七の黙示録』
第5話

「男が目指そうとする道は…所詮坂道でしょう?」

光里
「こ…この時代に、命を賭ける事の出来る男に巡り合えるとは思わなかったわ…」

守連
「あはは〜聖さんならきっと登れるよ〜♪」


うむ、今回もネタは好調だ!
第2期ももうすぐ終わりだというのに、こんなバカな事してる余裕があるのは実に良い事だな♪

ちなみに、俺たちは今絶賛登校中。
約束通り俺は守連をボディーガードにし、学校まで一緒に登校していた。


光里
「うふふ、何か守連ちゃんが一緒だと新鮮だね〜♪」

悠和
「そうですね、いつもは同じメンバーですし…」


悠和ちゃんの顔は少し暗い。
理由は知っているだけに、素直には笑えないだろう。
光里ちゃんは結構洞察力あるから、案外気付かれるかもしれないけど…まぁ、とりあえずは大丈夫か。


光里
「でも、そっか〜来年には守連ちゃんも高校1年だもんね〜」

守連
「あ…確かに、そうですね♪」
「そっか…来年からは、聖さんと一緒に…」


守連は少し顔を赤くしていた。
多分、俺との登校風景を想像して恥ずかしくなったんだろう。
そんな事、きっと想像すらした事無いだろうから。



「そうか…来年は守連も高校生か」
「って、守連は義務教育卒業してないから、無理なんじゃないのか?」

光里
「あ、そう言えば…確かに」

守連
「…私、高校生になれないの?」

悠和
「それは別に大丈夫では? 私も同じ条件ですし…」


言われてみりゃそうか…悠和ちゃんは過去まで偽造して通ってるからな。
棗ちゃんの記憶改竄がなけりゃ、まず無理だったが…



「って、冷静に考えたら俺たちは来年いないだろ」

光里
「そりゃそうだね…卒業してるし」

守連
「あ…そう、だったね」


守連は笑っているものの、少し寂しそうだった。
本当は一緒に登校してみたかったんだろうな…そう思うと、俺も少し寂しくなる。
そして…俺は何となくだけど、こう思ってしまった。



「…良くも悪くも、ポケモンに優しくないよな〜この世界は」


俺は思わず愚痴を溢してしまう。
この現実を選んだのは俺の意志だが、改めて思うとポケモン娘には辛すぎる。
せめて、そう言った概念も変えてしまえば良かったのかな…?



(って、そんなバカな事願えるかよ…どんだけ雫を濁す気なんだ!)


あの時アルセウスさんが許してくれた、たったひとつのワガママ…
俺は、決して後悔はしていない。
だけど、そんな世界概念すら変えてしまっていたら、きっと姉さんは悲しんだだろうから…


光里
「でも、七幻獣ねぇ…よくあるファンタジー系のボスって感じだけど」


「確かに、その場合大抵2〜3人は小物が混じってるよな〜」

光里
「そうそう! 臆病者とか、ただの暴れん坊とか…後ズル賢いの!」

守連
「七○雄…?」

悠和
「知ってるんですか守連さん…?」


まぁ守連は中々のゲーマーだからな…最近は新たに○マサガ2のリマスターやってるし。
何だかんだで難しめのRPGもクリア出来る様になってるし、守連は成長型なのがよく解るよな〜


守連
「うう…最近はアリがトラウマだよ〜」


「どうしても辛いなら、引き継ぎでやり直すのも手だぞ?」

守連
「う〜でも、それだと負けた気がするから何かヤダ…」


コイツ、自分に対してはひたすら負けず嫌いだよな…
何だかんだで高難易度のDODもクリアしてたし、誰かと争わないならストイックに突き詰める奴だからな…


光里
「ふーん、守連ちゃんは結構やり込み派なの?」

守連
「えっ? どうなのかな〜?」


「いや間違いなくそうだろ…何の実績も残らないのに、全ドロップ品揃えるとか、並みのやり込みじゃないぞ?」

悠和
「…私には全く解りませんけど、とにかく凄いんですね?」


守連は予想通り自覚症状は無かった様だ。
守連は自分に厳しい分、とにかく自分には過小評価を下す女だからな…
気長にプレイが出来るRPGに関しては、守連はそれこそトコトンまでやる女だ。


守連
「ん〜凄いのかどうかは解らないけど、とにかくやらなきゃダメな気がするんだよ! ポケモンとして!!」


ポケモンとして…ね。
まぁ、ポケモンは本来収集ゲーだし、それこそ集めてナンボのゲームシステムだからな。
守連は自覚してなくとも、ポケモン本来の野性的な何かでそうなってしまっているのかもしれない。



「しかし、現実に干渉か…混沌の王ってのは、そこまでして世界をリセットしたいのか?」

悠和
「謎が多すぎますよね…あのレヒレが末端の兵隊と考えますと」

光里
「伝説のポケモンだっけ? そんな存在が下の下って、確かに異様にも感じるけど…」


まぁ、伝説つってもピンキリだからな…
誰もが無茶苦茶な性能してるわけでもないし、それこそ子供なら相応の力しかない。
夏翔麗愛ちゃんなんか、初めて会った時はそれこそただの幼女って感じだったし。

とはいえ、成長に合わせてその力は存分に発揮されてるんだよな〜
今じゃ夏翔麗愛ちゃんもCPは相当高くなってるみたいだし。
藍や棗ちゃんも、直接戦ってる所は見た事無いが、変わらない位には訓練してるみたいだしな…



(思えば、こんな時が来るのを事前に予知していたんだろうか?)


棗ちゃんは以前から何かを感じていたのか、積極的に家族へ訓練を促していた。
華澄や女胤も自主的に訓練してたし、守連は半分趣味の粋。
忙しい阿須那や愛呂恵さんだって、鈍らない程度には常に訓練してるらしいからな…


光里
「穹ちゃんもゲームは大好きだけど、あまりRPGとかはやってる所見た事無いなぁ〜」

守連
「そうなんですか? 確か、前にシューティングとかが好きって聞きましたけど…」

光里
「そうそう! 最近は古いのだけど、ガンシューティングとかやり出してて、色々大変だったんだよね〜」


「大変って、何で?」

光里
「いやね、アレって専用コントローラがあるじゃない?」


「そりゃガンシューなら当然だろ」

光里
「…家にあるテレビって、液晶なのよ」


俺は完全に理解した。
読者の皆さんに経験ある人がおられるのだろうか心配だが。
成る程ね…『古い』ガンシューか。


守連
「どういう事?」


「古いガンシューの専コンは、液晶テレビだと反応しないんだよ」

光里
「そっ! でも家にあるハードって古いのしかないからさ〜」
「わざわざ通販で、海外製の液晶対応コントローラ買う羽目になったって訳…」


そりゃ御愁傷様だな…今時古いガンシューは周辺機器に金がかかっちまうからな〜
とはいえ、それさえ乗り越えれば液晶の大型モニターでプレイ出来るし、アーケードさながらの臨場感でプレイ出来るのは魅力でもある。


悠和
「どうして液晶だと、本来のコントローラはダメなんですか?」


「昔のガンコンは、光を発生させてモニターに直接認識させるやり方だったからさ」
「通称、光線銃…ライトガンとも言われる所以だ」
「詳しい事は割愛するけど、液晶モニターだと銃から発射される光では、直接認識させる事が出来ないって訳」
「ブラウン管式の古いモニターなら大丈夫なんだが、今更そんなモニターを買い直すのも面倒だし、汎用性が無いからな…寿命の問題もある」


悠和ちゃんは目をパチクリさせて理解しようとはしていた。
まぁ、この辺はゲーマーでも理解してる人間はそんないないだろうからな…
守連も全く理解出来て無いみたいだし…


光里
「とりあえず、新しいコントローラでプレイ自体は出来る様になったんだけど、今度は距離的な問題がね…」


「確か2m位は離した方が良いんだっけか? 狭い部屋だと何気にギリギリだよな〜」

光里
「そうそう! 4畳半の部屋で3人暮らしなのに、そんな距離開けられるかってのよ!!」


実に切実な問題だ…
光里ちゃんの家は、かなり安い賃貸で借りてるアパートだし、費用的にも仕方無い部分は有るのかもしれないな。



「って言うか、引っ越した方が良いんじゃないのか?」
「今研修期間だったら、給料も結構貰えてるんじゃないの?」

光里
「そう簡単にはね〜弟の学校もあるから、あんまり場所変えたくないし」


「だったら、旅立ち壮に移れば? 悠和ちゃんもそこだし、そんなに距離は変わらないと思うけど」

光里
「いや、でもやっぱり費用がね?」


「あそこ俺の会社の管轄だから、費用はある程度融通利かせるよ?」
「しばらくキツいって言うなら貸しにしとくし、ちゃんと働いて返せる様になったら、そこからコツコツ返してくれれば良い」


俺がそう言うと、光里ちゃんはう〜んと首を傾げて唸る。
少なくとも悪い話じゃないはずだ。
どう考えてもあの家じゃ3人は狭すぎるし、それなりに生活は苦難だろう。
ただでさえ寒くなって来たこの季節、穹の冷気に震えながら、エアコンも無しに乗り越えるのは地獄過ぎるはずだが。


光里
「…やっぱり、そこまでして貰うのはちょっとね〜」


「…まぁ、本人が嫌なら仕方無いけど」

光里
「嫌って訳じゃないんだけど…聖君には、何から何までして貰ってるし」


光里ちゃんは割りと真剣な顔だった。
光里ちゃんも最近はしっかりと大人に近付いているのか、こうやって自分の主張を強く放つ時がある。
俺は何となく、そんな光里ちゃんの主張には勝てないのも理解していた。

俺の善意は、必ずしも人は救わない。
光里ちゃんにとって、俺の善意はある意味余計であり、邪魔なお節介になっているのかもしれないな…



(メロディさんの言葉が痛いな…俺は、確かに少し過保護すぎるのかもしれない)


望めば、ある程度何でも叶えられる奇跡。
だが、それには代償を必ず伴い、悪意が少しでもあれば破滅の危険がある諸刃の剣…
今はそこまで危険な奇跡は望んでいないものの、それでも使う時には覚悟を決めなきゃならない。

俺は…誰も失いたくはないのだから。



「ねぇ〜そこのお兄さ〜〜〜ん?」


「はい?」


俺たちは突然背後からの声に振り向く、すると…そこにはギョッとする見た目の……痴女がいた。
身長はかなり高く、2mはある。
深緑色の長いウェーブヘアーで、長さは腰位まで。
背中にはまるで船舶の舵輪の様な物を背負っており、俺はこの時点で既に相手が人間でないのだと予想出来た。

服は、局部を覆うだけの『藻』の様な緑色の物が付着しているだけの様にも見える。
胸も尻もかなり大きく、身長の高さを差し引いても、かなりのナイスバディと言えるだろう。
しかし、そんな痴女のイメージを軽く覆す『得物』を見て、俺は軽く恐怖を覚えた。

それは…巨大な鋼鉄の錨。
舵輪と直結している様で、歩いて来るだけでジャリンジャリン!と鎖が揺れる音がする。
彼女の身長の倍近くはあろうかと言うその得物は、彼女の種族を明確に示していた…
そして、彼女はまるでハンドバッグを振り回すかの様な軽快さで錨をグルグル回す。
そのままある程度俺たちに近付いた所で、彼女はおっとり気味にこう言った…



「貴方の大切な物と、私の処女…交換しな〜い?」

聖&光里&守連&悠和
「あんた、だ〜〜れ〜〜〜?」


「……いや〜〜〜ん♪」


「って、流石に古いだろ!? もはや今時の子供世代は本当に?しか出んぞ!?」

光里
「いや、知ってる私たちも大概だと思うけどね〜」

守連
「あ、はは…ネタだから仕方無いね」

悠和
「そ、それよりもこの人は…!!」


俺たちは一気に緊張感を高める。
相手は間違いなく『ダダリン』だ!
まるで昭和のギャルみたいな立ち振舞いで実に古臭いが、見た目の古臭さと強さは関係無い!
恐らくは完全な重戦車タイプだと予想するが、どうにか出来るか!?


ダダリン
「あ〜ん♪ そんなに警戒しないで〜?」
「お姉さん、特異点に用があるだけだから〜♪」

守連
「ダメだよ…聖さんは渡さない」

悠和
「そうです! 貴女はここで止めます!!」


守連と悠和ちゃんがすぐに俺たちの前に出て構える。
幸い、2対1! これなら守連もいるし負ける事は無いはずだ。



「光里ちゃん、先に逃げてくれ…君を巻き込みたくはない」

光里
「か、格好良い事言ってもダメだからね!?」
「私だって、一緒に頑張らせてよ!!」


俺は、そんな光里ちゃんの震えながら言う言葉に顔をしかめる。
間違いなく恐怖してる。
光里ちゃんはあくまでただの一般人だ。
穹がいるならともかく、ただの女子高生に何が出来る?
ましてや相手は俺が狙い…光里ちゃんの事など、相手には全く無関心のはずだから。



「ダメだ、光里ちゃんは逃げろ」
「震えながら突っ張ってても、邪魔なだけだ」

光里
「っ!?」


俺はワザとそう言い、光里ちゃんを手で後ろに突き出す。
キツい言い方だが、光里ちゃんを危険に晒すわけにはいかない。
それなら、多少嫌われようが突き離した方が彼女の為だ。

光里ちゃんは耐える様に拳を握って俯き、すぐに走り出す。
これで良い、後はこっちで対処すれば良いからな…
だが、今回ばかりはいつもとは違いすぎた…
敵は俺が思っているよりも遥かに狡猾であり、そして異常…



「言った側からまた油断…」


「バカは死ななきゃ治らない!?」

守連&悠和
「!?」


守連と悠和ちゃんはすぐに俺の方に振り向く。
しかし、気が付けば俺は瞬時に移動させられていた。
…何者かに、抱き抱えられて。


ダダリン
「あ〜ん♪ スカア様ったら〜、もう少し待っててくれても良かったのに〜?」


ダダリン女は首だけを後ろに向け、妖艶に笑う。
俺は気が付けばダダリン女の背後まで連れ去られていたのだ。
そして、俺を両手で強く抱き締める何者かを見る。
見た目は、まるで第6世代のオカルトマニアみたいな顔をしているが、こっちは正確にはポニーテールで髪色は黒に限りなく近い灰色。
前髪には団子みたいに丸めた髪で整えられており、それが対になっていた。



「い、一体お前は…!?」

スカア
「うふ…うふふ…うふ、うふうふうふっ!!」


俺を抱き締める力が一層強くなる。
まるで、そのまま絞め殺されるんじゃないかと思う位の怪力だ。
だが、相手はそんな状態で俺の胸にすり寄っていた。
それこそ、恍惚とした表情で嬉しそうに。


スカア
「特異、点…私の、物…♪」

ダダリン
「は〜い、これで任務完了〜♪ 後はさっさと退散〜」

守連
「させないよ!?」


体から紫電を放ち、守連が飛び込んで来る。
流石のスピードにダダリン女は反応出来ず、守連はキッ!とした顔で俺に手を伸ばした。
…が、スカアと呼ばれた女は、そのスピードにあっさりと反応する。


ダダリン
「はいキャッチ〜♪ もっと触っても〜良いのよ〜〜?」


「おっぱい地獄!? 巨女スゲェ!!」


俺は瞬きする間もなくスカアに投げられ、ダダリン女の胸にダイブした。
その胸はまさに規格外の代物で、想像以上に柔らかくて一瞬意識を奪われそうな位の凶器だった…


守連
「!?」

スカア
「うふ、うふふ…? ただのピカチュウが、私に挑む?」

ダダリン
「ス・カ・ア・さ・ま〜? それ、ただのピカチュウと〜思わない方が、良・い・で・す・よ〜?」


(コイツ等、偽装薬使ってるのにも関わらず、正体を知ってるのか!?)


俺はそんな事を思うも、ダダリン女は俺をギュッ!と胸に沈めさせ、大事そうに抱いてくれた。
そして実におっとりとした口調で妖艶に笑い、それを見てスカアは自分の指を噛み千切る。

ブチィ!とここまで聞こえる音であり、スカアの指からボトボトと赤い血が滴っていた。
そして、鬼の様な形相でこちらをギロッと見る。


スカア
「ホクレア〜? 私の許可無しに特異点を堕とさないで!!」


ホクレアとは、このダダリン女の名だろう。
彼女はスカアの形相を見て、なお微笑む。
まるで、この反応が予定通りと言うかの様に。


守連
「聖さんを…離……」

スカア
「無視するな!!」


ほんの一瞬の出来事…
守連は電光の速度で俺を助けようと方向を変えたのに、スカアはそれを超える速度で守連の足を掴み、振り回して足元のアスファルトに叩き付けたのだ。
その際、スカアは影を操って守連の影から何かの力を奪い取った。
すると、守連は顔をしかめて体を震わせる。


守連
「…っ! スピードが、奪われた…?」

スカア
「私は、貴女よりも速い…! 『高速移動』も無駄!」


スカアは守連から手を離し、妖艶に笑う。
既に勝ち誇った顔であり、守連はヨロヨロとしながらも立ち上がる。
そして、あえてこっちではなく守連はスカアを睨んだ。



「守連! 能力変動の変化技は使うな!! 全部奪われるぞ!?」

ホクレア
「あ〜ん、ダ〜メ〜! 余計な事〜言・わ・な・い〜♪」


「もがががごっ!?」


ホクレアは俺の顔を胸で挟み込み、そのままギュッと抱き締める。
天にも昇りそうな苦しさだが、俺は呼吸困難に耐え、根性で意識を保っていた。


悠和
「くっ!! 今の内に聖さんを!!」

ホクレア
「ん〜? アタシの相手したいの〜?」


悠和ちゃんはホクレアに向かって突っ込む。
見た目通り、ホクレアは鈍重みたいだ。
少なくとも悠和ちゃんのスピードなら…


ズドォォォォン!!



「…え?」


俺はホクレアの腕の力が一瞬緩んだ所で、顔を悠和ちゃんの方に向ける。
すると、悠和ちゃんがいた場所には誰もいなく、そこから一直線上にある、全ての『障害物』をブチ抜いて鎖が伸びていた。
距離にしたら、100m以上は伸びている。
そして、その先端には巨大な錨が付いており、家屋やら何やらお構い無しに問答無用で貫いていたのだ…

悠和ちゃんは、それに突き刺されていた。
ここからだとほとんど見えないが、悠和ちゃんはどこかの壁に突き刺さっており、動く気配は見えない…


守連
「!? は、悠和ちゃん…?」

ホクレア
「は〜い、アタシの『アンカーショット』で、あの娘は釘付け〜♪」

スカア
「上出来よ…後はこのピカチュウだけ!」

守連
「!? っ!!」


守連はすぐに近付いて来るスカアに反応し、拳を振るった。
だが、想像以上にスカアの速度が速すぎる。
守連の拳が届く前にカウンターでスカアの拳が決まってしまった。
そして、守連はそのままサンドバッグにされる様に、スカアの連撃を食らわせられる…

守連はパワーもスピードもあるが、ただひとつの弱点がある…それは、防御力が全く無い事。
所詮ただのピカチュウでしかない守連は、スカアの連撃ですぐにボロボロになっていった…
その光景は、まさにただの暴力だ…



「か、守連が…一瞬でズタボロに…!?」


まるで悪夢を見ている様だ。
守連は戦闘力だけなら家族でもトップクラスなのに。
その守連が…格闘戦で、こうもあっさりとやられるのか!?

こんな、こんな化物が…後、7人も?


スカア
「…飽きた、もう帰る」


ドサッ!と、守連は血塗れにされてアスファルトに落ちる。
ピクリとも動かず、まるで死んでいるかの様な状態。
俺はもうどうする事も出来ず、選択肢は残されていない様に見えた。


ホクレア
「は〜い、じゃあこれでゴメンね〜?」


そんなおっとりとした声で、俺は三半規管を強打で揺らされて意識を絶たれる。
本当に…本当にあっさりと、終わってしまった……



………………………



スカア
「うふ、うふふ…特異点、ゲェ〜ット♪」

ホクレア
「楽勝でしたね〜、流石スカア様〜♪」


ホクレアはジャラジャラと錨の付いた鎖を元の長さに戻し、それを背負って笑う。
ムカつく性格と体だけど、部下としては優秀だ。
私は一気に脱力感が増し、その場で項垂れた。
このままではすぐに大騒ぎになる…このバカが後先考えずに世界に被害を出したからだ。
私は項垂れながらもギロリとホクレアを睨むが、ホクレアは口笛を吹きながら知らん振りした。


スカア
「…無駄に被害出すなって自分で言わなかった?」

ホクレア
「ん〜? 何の事ですか〜? 別にこの世界がどうなろうと関係無いって言ってたのは、スカア様ですよね〜?」


私はギリッ!と爪を噛み、とりあえず怒りを抑える。
既に右人差し指は噛み千切ってしまったから、今度は親指の爪を噛んでいた。
しかし、これで目的は達成…後は持ち帰って、王の顕現に雫を捧げる。

その後は特異点に用は無い…私の物にしても、誰も文句は言わない…♪

私はあまりの嬉しさに笑みを抑えきれなかった。
こんなに簡単な仕事は無い。
ペルフェやウォディが手間取ったのは無能だからね…
私は違う…私は優秀!


スカア
「うふ、うふふふふふふふふっ!」

ホクレア
「スカア様〜? 正義のサイレンが鳴ってますよ〜?」
「速く〜拠点に転移しないと〜〜……」


「こうやって、獲物を奪われるよ?」


その声は、突然空間を裂いて放たれた。
私はハッ!?となり、声の方を向くとホクレアがいない事に気付く。
そして代わりに目の前にいたのは、褐色アラブ系の服に身を包んだ女。
私よりも短い黒髪のポニーテールをし、身長はほぼ同じ。
両手と腰には金のリングをはめており、動く度にそれは揺れている。

やや斜に構え、野性的とも言える鋭い目でソイツはこっちを見て笑っていた。
私はその姿を知っており、ワナワナと震える。
そして、私は一言こう言った。


スカア
「私の特異点をどこにやったの!? 『シーニャ』!?」

シーニャ
「言うと思う? だったら想像力が足りないよ…」


そう、そこにいるのは『いたずらポケモン』と呼ばれる『フーパ』だった。
かつて七幻獣のひとりであり、元『強欲』担当…
しかし、あまりに制御の効かない暴走気質であり、王自ら枷を与えた程の異端者…

そのフーパが、何故ここにいる!?


シーニャ
「言い忘れてたけど、シーニャという名はもう捨てた…その名で呼ぶのは今後止めてくれ」

スカア
「返せ…」

シーニャ
「…言っても聞かないか、相変わらずだね」
「だけど、断る…あれは私に必要だ」

スカア
「返せ、返せ返せ返せっ!!」


私は怒り心頭にシーニャへと踏み込む。
が、シーニャは一瞬で金のリングをひとつ前に出し、それを大きく広げた。
私はすぐに反応し、ブレーキをかけて踏み留まる。
危なかった…あのまま突っ込んでいたら、どこに飛ばされていたか。

しかし、それは同時にシーニャの姿をも消してしまっていた。
リングからはドサッ!と音をたて、気絶したホクレアだけが外に出される。
そしてリングは収縮し、そのままこの世界から消えた…
私はブチブチブチィ!と、まだ噛んでいなかった左手の親指を噛み千切り、その場で咆哮する。
あまりの嫉妬心に怒りしか沸かなかった。
だけど、もう手遅れ…アイツの移動先など見当も付かない。
つまり…特異点は奪われ、私には無能と同類の汚名を被せられる事になったのだ。



………………………



スカア
「………」

真姫
「あら…戻ってたのね? 速かったじゃない…」


私はあれからすぐに拠点へと戻り、廊下で真姫と出会った。
私はあまりに機嫌が悪い為、ギロリと目を見開いて睨むが、真姫はただ妖艶に笑う。
まるで私の心を見透かしているかの様なその顔は、酷く不快だった。


真姫
「その顔じゃ失敗したわね? まぁ、予想は出来てたけど…」

スカア
「うるさい!! シーニャの邪魔さえなければ…特異点は私の!!」


私は唇を噛み、屈辱に耐える。
アイツだけは絶対に許さない…!
今度会ったら、四肢をバラバラに引き裂いて魚の餌にしてやるから!


真姫
「ふ〜ん、で…特異点は良い男だったの?」

スカア
「…顔は60点、でも中身は満点!!」


私は正直な感想を言う。
正直見た目は平凡で、どこにでもいそうな子供だった。
でも、私たちを前にして一切退かなかったのは面白い。
自分よりも仲間を大事にしようとするのは、正義のヒーローみたいだ。

私は、そんなバカは嫌いじゃない♪
だからこそ…絶対に私の物にする!!


真姫
「そっ、なら私には興味無いわね…じゃ、お疲れ様♪」

スカア
「…!? し、真…姫……!?」


その瞬間、私は真姫に微笑まれて意識が朦朧とする。
いや、これは眠気だ…つまり、真姫は私を……!?



………………………



真姫
「ふふふ…お前に恨みは無いけれど、しばらく目覚める事の無い悪夢を見続けるが良い」
「これで、全て計画通り…後は、どうなるかしらね〜?」


カツ…カツ…と、私の足音が廊下に木霊する。
私は眠ったスカアを抱き抱え、そのまま連れ去った。
誰にも見付かる事無く、それこそ…暗黒の闇に紛れて。










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第5話 『新たなる刺客、そして蠢く計画?』


To be continued…

Yuki ( 2020/02/18(火) 13:22 )