とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない














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終章 『第七の黙示録』
第4話

「…どうしたもんかね?」

阿須那
「まず、相手の目的が解らへん…一体ゲノセクトには何があるんや?」

華澄
「…ましてや、混沌とも思えぬ現実世界で、その様な事件が起こるとは」

女胤
「事態は深刻と言えるでしょう…少なくとも狙われるからには理由があるはずでしょうし」


俺たちは家族で話し合っていた。
現在リビングには、9人がテーブルを囲んで椅子に座っている。
守連、阿須那、華澄、女胤、愛呂恵さん、三海、二海、そしてジェノ…
全員がやや不安そうな顔をしており、原因究明に向けて話し合っている。


二海
「ジェノ…ノーマは一体何を考えていると思う?」

ジェノ
「アイツは妹たちを救うと言っていた、それは絶対に嘘じゃない」
「俺とは違うやり方で、アイツはアイツなりに妹たちを考えているのさ…」


ノーマ…ジェノの妹であり、次女。
本来なら上位スペックであるジェノに勝てる能力は無いらしいが、そのノーマはジェノを完膚なきまでに叩きのめしてしまったのだ。


三海
「…しかし、不気味だな」

二海
「何がだ?」

三海
「ほぼ上位互換と思われるジェノさんを圧倒出来るノーマは、どうやってその能力を得た?」


三海のもっともな疑問に全員が黙る。
確かに不思議な事だ…少なくともそれまでの妹たちは全てジェノが圧倒して倒していたというのに。
なのに、何故ノーマだけが突然…?


阿須那
「そのウォディっちゅうのが怪しいやろ」
「ソイツが何か力与えたとかちゃうんか?」

二海
「それは無い…アイツに限ってそんな良心は有り得ない」


二海は即答する。
阿須那は眉をひそめるも、二海は本気でそう思っている様だった。


二海
「…ウォディは自分が1番上だと思ってる傲慢な女だ」
「その実力も確かにあるし、間違いなく強い」
「そんなウォディが、ノーマにわざわざ無償で力を貸すとは思えない」

女胤
「…とはいえ、シェイミたちとの連携は明らかに協力関係と思われますが」


「ゲノセクトの姉妹を拐え…だからな、ノーマの目的を考えてもそっちと仲間なのは間違いない」
「ウォディ、ノーマ、シェイミ、レヒレ…この4人は少なくとも仲間だと思うべきだろう」


恐らく共通の認識。
ここは多分覆らない。
今後対策を練るとしても、その4人に注意する必要があるって訳だ。


愛呂恵
「…その方たちの実力は、いかほどの物なのでしょうか?」

二海
「…ウォディに関しては、少なくとも私よりも強い」
「前は幸いメガ進化出来たから何とかなったものの、あれは向こうも知らなかったから通用した様な物だ」

愛呂恵
「では、三海さんと比べてはどうでしょうか?」


二海は三海を見て少し黙る。
やや目を光らせ、三海の能力を探っている様だ。
三海のスペックは家族の中でもダントツに高い…マトモな勝負で勝てる家族はそういないだろう。
逆に言えば、三海で勝てないなら多分誰にも勝てないって事だが…?


二海
「…あくまで戦った私での見立てだ」
「今の三海なら、ウォディには勝てるだろう」
「多分、あのノーマにも…」

ジェノ
「そんなに強ぇのか、この妹は?」

三海
「ふふふ…人を見た目で判断しない方が良い」
「とはいえ、私が全力で戦えるのは精々3分だ…それまで逃げられたりしたら、私でもどうしようもないな」


そりゃごもっともだった…
元々突然現れて突然消える様な連中だ。
正面衝突で勝てないと解れば、策を練って来る可能性も高い…か。


愛呂恵
「でしたら、私たちでもそれなりに戦えると私は判断します」

華澄
「ふむ…確かに三海殿程の戦力にはなれませぬが、一対一に拘らねば何とかなるやもしれませぬな」


「確かに、今の所こっちの方が戦力は多い」
「向こうが何人いるかは解らないが、上手く多対一を作れれば勝機はあるか…」


藍や棗ちゃんもそんな風に言ってたしな…
基本的にこっちの最高戦力をぶつけていけば問題無い…って。
だが、奴らに謎の能力があるのも厄介だ。
特にシェイミのあの空間を『喰う』能力。
喰われた後はどうなるか解らないが、少なくとも味方を喰ってワープする様な突飛な能力だ。
恐らく、ウォディとかいうのにもそう言った能力があると思って良いだろう。


阿須那
「…ホンマに、そう上手くいったらええけどな」

守連
「阿須那ちゃん? 何か気になるの…?」


守連は不安そうに阿須那に尋ねる。
阿須那は両腕を組み、やや険しい顔で俯いた。
頭はキレる女だからな阿須那は…とりあえず何か不安はあるって感じだが。


阿須那
「…何でソイツ等、この世界に唐突に現れたんや?」

女胤
「…確かに、目的はともかくとして、混沌すら介さずに現れましたからね」


それは初めから沸いていた疑問…
そう、忘れてはならない…ここは現実の、俺たちの世界なのだ。
いつもなら唐突に混沌に巻き込まれ、俺たちが飛ばされる側だった。
だが、今回は相手から堂々とやって来たって感じだ。
そんな事が易々と出来る相手だというのだろうか?

そもそも、色さんの監視すらすり抜けて現れているのだろうか?
色さんはあれから1度も姿を見せていない…文字通り視てるだけなのだろう。
逆にそれは安心感も生まれる…色さんが動かないという事は、まだ秩序は保たれているという事。
少なくとも、今はまだ…



(アルセウスさんは、何も気付いていないのか?)


元々、アルセウスさんは現実に存在しているのかも怪しいが。
いつも会えるのは、混沌の後の夢の中。
アルセウスさん自身は、現実の世界には干渉する気はないのだろうけど…

逆に、どれだけ世界が乱れようが、アルセウスさんにとっては意味の無い事なのかもしれないな。



(だけど、アルセウスさんは信じてくれる)


きっと、俺たちがどうにか出来るって…
俺は少なくとも、その信頼に答えなければならない。
それこそが、夢見の雫を引き継いだ俺の使命だと思うから。


ピンポーン!!


守連
「あれ? 誰かな〜?」


「あ、俺が行こう…皆は座っててくれ」


突然のインターホンに全員が注目する。
俺はひとり先に立ち上がり、皆をその場に留めて玄関へと向かった。
そして、扉を開けるとそこにいたのは……


メロディ
「やっほ〜! 遊びに来ちゃった♪」


「メロディさん!? 何でまたいきなり…!?」


そう、それはバトルフロンティアで最後まで歌い続けたメロディさんだった。
幻のポケモンと言われるメロエッタであり、恵里香の親友。
あのペルフェとも何かしら関わりがあり、イマイチ謎が多い人でもある。


メロディ
「…そうか、まだ無事か」


「はい? あ、とりあえず上がってください!」
「愛呂恵さーん! 悪いけど椅子の追加と何か飲み物をー!!」


俺は玄関から叫び、メロディさんを中に案内する。
メロディさんはニコニコしながらも鞄ひとつ持たず、前と同じ服装でややキラキラしていた。
うーむ…改めて見ても、まさにアイドルって風貌だよな〜
純粋に美人だし、ちょっと沸点低いのが気になるけど。


メロディ
「ん〜? 惚れちゃいかんぞ〜? 恵里香に呪い殺されたくないし」


「はは…呪いですか、そりゃ怖い」

メロディ
「冗談だけどね♪ あの恵里香にそれ位の嫉妬心があれば良いけど…」


何故か、メロディさんは一瞬悲しそうな目をした。
一体何を思ったのか俺には解らなかったが、とりあえずメロディさんは家族たちに挨拶をし、それから新たに用意された椅子に座る。
俺はその隣に座り、まずは一旦呼吸を置く事にした。


女胤
「メロディさん…でしたわね?」

メロディ
「そういう貴女はポーションさんだっけ?」

女胤
「いきなり黒歴史を掘り起こさないでください!?」


「あれは酷かった…メインキャラにあるまじき噛ませ犬だったからな〜」

阿須那
「まぁ、どこぞの有名漫画やとそんな扱いのメインキャラも多いけどな」


あえて何かとは言わないか…
まぁ、劇場版○ラゴンボールの○ジータとかが良い例だな。
女胤はそれ以前にあの時は敵役で出てるから、それ以前の扱いだと思うが。



「つーか、話に聞いたけど阿須那も大概だったんじゃないのか?」
「ルナリーさんにボコボコにされたとか…」

阿須那
「アホッ! こっちも○イジングストームで反撃したったわ!!」

女胤
「そして無敵無いので、そのままカウンター食らったと…」

守連
「あはは〜阿須那ちゃんのは息子仕様だったんだね〜♪」

阿須那
「息子舐めんなや!? 客演したら無敵付くんやから!!」


まぁ、本家で弱いのは仕方が無い。
どっちにしても阿須那の立ち位置が危ぶまれるな…
良くも悪くも、家族内での戦闘力は下位グループみたく扱われるし。
実力はあると思うんだが、やっぱ玄人向けなのかねぇ?


三海
「で、何の目的でここに?」

メロディ
「うーん、ちょっと面倒事があってね…」
「ウォディやチキがこの世界に現れたって聞いたから」


全員が一気に顔色を変える。
メロディさんは名指しでそのふたつの名を言った。
ひとりはミュウのウォディ…だがもうひとりは?



「ま、まさか神竜○ーガの血を引く幼女が!?」

メロディ
「覚醒では大人だから孕ませられるけどね〜♪」

女胤
「流石に関係無いでしょう!? そろそろ真面目にやりませんか!?」


おっと、女胤がいい加減ヒートアップしてきたな…
しかし良い感じだ…久し振りに女胤の地位が戻って来た感じがする。
やっぱ女胤はボケよりもツッコミの方が向いてると俺は思うのよ…


二海
「で?」

メロディ
「チキはシェイミの名…人呼んで『暴食』のシェイミ」


「暴食…の?」

三海
「ほう、七つの大罪か?」

メロディ
「厳密には違うけどね…いわばそれが二つ名」
「チキは暴食としての能力を王に与えられ、その力はありとあらゆるものを喰らい尽くす」
「特筆するのは、喰った物は自由に吐き出す事も出来る点」
「自分自身を喰う事により、その場から別次元に転移すら出来る厄介な能力ね…」

ジェノ
「…別次元、だと?」

阿須那
「空間操作とは違うって白那はんも言うとったしな〜」


そう、空間を操るパルキアの白那さんですら、解明不可の能力だった。
次元を超えるって…具体的にはどういう?


メロディ
「あくまで王の力の一端だけど、特にチキの能力は応用が利きやすいって所かな?」
「次元を超えた世界移動を自由に行うには、世界の扉を潜る必要があるから」


「世界の…扉? メロディさんも、それが出来るんですよね?」


俺の疑問にメロディさんは黙る。
全員が注目する中、メロディさんは少し躊躇った感じで言葉を詰まらせていた。


三海
「先にハッキリとさせて欲しい…貴女は、何者なんだ?」
「敵の事にそこまで詳しいとは…ただ者とは思えないが?」

メロディ
「…そうね、そろそろ話すべきかもね」

華澄
「メロディ、殿?」


メロディさんは厳しい顔でそう言った。
覚悟は決めてる…そんな顔だな。
多分、ここにわざわざ来た時点で、話すつもりはあったんだろうけど。


メロディ
「私は、元『七幻獣(しちげんじゅう)』のひとり…『憤怒』のメロエッタ」


「!? メロディさんが、憤怒…?」

女胤
「成る程、合点がいきましたわ…それで相手の名前も能力も知っていたのですね?」


メロディさんはコクリと頷く。
そして、メロディさんは静かに語り始めた…


メロディ
「ご察しの通り、七幻獣とは七つの大罪から名を取り、それを二つ名として与えられている」
「傲慢のミュウ、嫉妬のマーシャドー、色欲のダークライ、暴食のシェイミ…そして」
「強欲の…ディアンシー」


「!? ディアンシーって、まさかペルフェ?」


メロディさんは頷いて肯定する。
そして、俺は事態の深刻さを更に理解した。
つまり、今回の事件は完全に組織絡み。
しかも何だか解らないが、相手は混沌関係無しに世界に乗り込んで来る。
どうやらその上に『王』ってのがいる様だが、そいつに皆従ってるって訳か?


愛呂恵
「憤怒はメロディさん…では、怠惰は誰なのですか?」

メロディ
「…今は誰がやってるか知らないけれど、私がいた時の担当は」


「それは、ボクから言うよ…」


それは、突然背後から放たれた。
あまりに馴染みのあるその声に、俺はガタッ!と思いっきり立ち上がって後ろを見た。
そこにいたのは、本来そこにいるはずの無い少女がいたのだ。



「え…恵里、香?」

恵里香
「…初めまして、元『怠惰』のセレビィです♪」


そう、そこにいたのは紛れもなく恵里香だ。
全てが停止した最果てにいるはずの恵里香が、何故ここにいるんだ!?


守連
「恵里香ちゃん…この世界に来てたの〜?」

恵里香
「正確には、今来た…だけどね」
「メロディが全てを話すと決めたのなら、ボクも流石に話さなきゃならない」
「本当は…言う気も起きなかったんだけどね」

メロディ
「仕方無いわよ…それが貴女の『咎』なんだから」


咎…? 何だ、一体何の事?
恵里香には、まだ俺たちが知らない秘密があったって事なのか?
いや、それよりも…!


阿須那
「怠惰…元? ほな、恵里香も元々は敵やったんか?」

恵里香
「まだキミたちが生まれるよりも遥か昔の話だよ…」
「ペルフェと会うよりも、更に昔の…」


「待てよ!? メロディさんと会ったのはその後じゃ無かったのか!?」
「お前まさか、俺に嘘を吐いていたのか!?」

メロディ
「落ち着きなさい聖君…恵里香を責めちゃダメ」
「恵里香が受けた怠惰の『咎』は、それ程重いのよ」

女胤
「怠惰の咎? それは一体どんな物なのですか?」

メロディ
「簡単に言うなら、裏切り者に課せられた『枷』よ」
「七幻獣を束ねる、混沌の王がかけた呪いの様な物」
「恵里香は、ありとあらゆる事に対し、一切の興味を引かれなくなった」
「そして同時に、好きな人にさえ本音を話す事は出来ない…」


俺たちは全員固まる。
じゃあ、今までの恵里香は全部嘘だったのか?
本音を語れない、何にも興味を引かれない。
なら、何で恵里香は俺を頼った!?



「恵里香…お前は、何で世界を救ってって…?」

恵里香
「それは間違いないよ…ボクは確かにそれを望んだ」
「いくら咎を受けようと、ボクの本当の気持ちだけは縛らせはしないから…!」


恵里香は俯いて握り拳を握っていた。
ギリッ…!と、ここまで聞こえる位の力で握っており、恵里香の感情が伝わって来るようだった。


メロディ
「心配しないで、恵里香は本音を言えないって言っても、嘘しか吐かない訳じゃない」
「ワザと回りくどく言えば、案外本音は語れるのよ」


俺は理解する。
何故、今までの恵里香はドッジボールみたいな会話が多かったのか。
そもそも、その咎って奴のせいで、恵里香はそんな風に端折った話し方しか出来なかったんだ。
特に、本音に近付けば近付く程、その咎の影響が大きくなる…


恵里香
「言いたい事は色々あると思う…でも、信じて欲しい」
「ボクは…誰よりも、キミが好きだから♪」


そう言ってニッコリ笑い、恵里香は光の粒子となって消えてしまう。
一瞬トラウマを呼び起こしそうになるが、別に俺たちの記憶は消えてない。
とりあえず…今はこれが限界って事か。
その咎ってのは、よっぽど厄介な枷らしいな。



「ん? そういえばメロディさんも同じ裏切り者なら、咎ってのがあるんじゃ…?」

メロディ
「おっ、良い所に気が付いたね〜♪ って、私の咎はもう解ってると思うけど……」


ドズゥゥゥゥンッ!!と、凄まじい音がリビング内に響き渡る。
そしてベキバキと音をたて、リビングの床がオルガンで叩き割られていた…
全員が声も出せずに目をパチクリさせ、状況を理解出来ずにいる。
そして、メロディさんは凄まじい形相でこう叫んだ。


メロディ
「このクソ虫がぁ!! 人様の家で堂々と餌を漁ってんじゃねぇぞ!?」


「虫ごときにオルガン振り下ろすなよ!? アンタが人様の家に危害加えてるよ!!」

阿須那
「あ〜あ…まぁ、予想はしとったけど」

華澄
「こ、これが…憤怒の咎ですか」

守連
「メロディさ〜ん、あれじゃ虫さんも可哀想だよ〜」


メロディさんはすぐにニコニコ顔になり、あはは〜と笑う。
いや笑い事じゃねぇ!!
どうすんだよこの床!?


メロディ
「いや〜ゴメンね〜私、少し怒りっぽくて〜♪」

愛呂恵
「…相当重症ですね、これは」

三海
「やれやれ…今から修理屋を呼ぶか?」

二海
「堪ったモンじゃないな…」

ジェノ
「たかが害虫にコレか…下手な事は言えねぇな」


とりあえずそれから俺は修理屋を電話で呼ぶ事にした。
その後、メロディさんから一通り七幻獣の事は聞き、そしてその目的とかも知る事が出来た。



「…目的は、俺か? いや…」

メロディ
「十中八九、夢見の雫でしょうね…あれは本来人の手には余るわ」
「むしろ、よく暴走させずに使える物よ…」


褒められてるの呆れられてるのか…
メロディさんはどっちとも取れる表情で笑っていた。
それにしても、人の手に…余る、か。
まぁ、実質最初は失敗してアルセウスさんを暴走させちまったんだがな…


メロディ
「王が求めているのは黙示録…本来ならとっくに起こっていたはずの、ね」

阿須那
「何なんや、その黙示録って?」

女胤
「現実に置いての解釈とは、当然違うんですよね?」


メロディさんは頷く。
そして、その上でメロディさんはこう語る。


メロディ
「黙示録とは、混沌の王が世界に降臨し、世界のリセットを行う事を指すわ」
「あくまで解りやすく言った場合だけどね…実際にどうなるのかは私には良く解らない」
「少なくとも、ここ千年以上は起こってないらしいし…」

華澄
「千年…!? メロディ殿たちは、一体どれ程の時を生きているのですか?」

メロディ
「私はまだ700年位かな? 七幻獣の中じゃ1番若かったし、他の連中はペルフェ以外、千年は超えてるみたいだけど…」


実に桁が違う話だ。
まるで神様だな…いや、幻系だし間違いでもないのか。
どっちにしても、世界のリセットだと…?
それはまるで、アルセウスさんが暴走した時の様な物なんじゃ…?
いや、それは違うか…最果ての結果が全てを示している。
暴走したアルセウスさんは次の世界を創造せずに、ただ崩して別の次元に行ってしまったらしいし…


メロディ
「とにかく、王の顕現には夢見の雫がいる」
「だから、聖君は極力外に出ないで…出るにしても必ず護衛を付けてね?」

華澄
「ならば、拙者が付かず離れず見張りましょう」
「こうなっては、仕事も休まねばなりませぬ」


「ダメだ、そんな勝手は俺が許さない」
「仕事を甘くみるな! ここまで築いた信頼とかを無碍にするな!」

俺がキツ〜く言ってやると、華澄はしゅん…となってしまう。
実に可愛い仕草だが、いくら華澄さんでも絶対に許さん!



「いくら俺が危機でも、他に動ける家族はいる」
「仕事がある家族はあくまでそれを優先! 俺はそこは曲げないからな!?」

阿須那
「…まぁ、ええんちゃう? この一件が終わって仕事が無くなった〜ってなっても困るしな」

女胤
「どの道、聖様がこうと言われたら絶対に曲げませんよ…」
「私たちは、その上でしっかりとフォローしましょう!」


女胤がそう言うと、阿須那はため息を吐くも頷く。
華澄も渋々了解はした様だった。
とりあえず、当面は俺の問題か…相手が何処から来るかも解らんのは厄介すぎるな。



「学校休む訳にもいかんし、明日からは考えにゃならんな…」

守連
「悠和ちゃんだけじゃ不安かな? 私も一緒に行こうか?」


守連がか…? まぁ、これ以上の適任はいねぇからな。
確かにボディガードとしては最強レベルの家族だが。



「…電撃のコントロールは?」

守連
「大丈夫♪ 定期的に城で発電させてもらってるし、回りに被害が出ない様には出来ると思う」


「逆だ、もし手加減出来ない相手だったら大丈夫なのかって事だ」


俺が厳しめの顔でそう言うと、守連は少し真剣な顔をする。
コイツがこんな顔をするのは珍しいな…本気でゲームに打ち込む時とか、よっぽど腹減ってる時の顔だぞ。


守連
「その時は、きっと上手くやってみせるよ」


「お前がそこまで自信満々に言うなら問題無い、明日から頼むよ♪」


俺はそう言って守連の頭を優しく撫でた。
少しだけ静電気がビリッと来たが、すぐに何とも無くなっている。
ちゃんとコントロールは出来てる証拠か…以前なら、触れられる事にすら恐怖していたからな。

守連は俺に撫でられてニコニコしている。
コイツだって、本当はこうやって甘えたかったはずなんだ。
だから、守連は努力して、特訓して、やっとここまでになれた。
なら、コイツのワガママのひとつ位、聞いてやらないとな♪


愛呂恵
「では、そろそろ私は買い物に行ってきます」
「メロディさんも食べていかれますか?」

メロディ
「そうしたい所だけど…遠慮するわ、私がいたら明日には家が倒壊しかねないし」


そりゃ大変困るお客さんだ…メロディさんに悪気は一切無いんだろうけど。
咎のせいで怒りが抑えられないとは…難儀なモンだ。


メロディ
「とりあえず、常に近くにはいるようにするわ」
「七幻獣の誰が来るかも解らないし、もしチキがまた現れたら、一瞬で拐われてしまうかもしれない」


「そういえば、どうしてソイツ等は俺たちを死んだ人と再会させたんですか?」
「ずっと気になってたんですけど…」


メロディさんは?を浮かべて呆れた顔をしたが、すぐにああ…と頭に手を当てて何かに気付く。
そして、やや鬱陶しそうな顔でこう言った。


メロディ
「シェイミの1番好きな物って知ってるわよね?」


「えっと…グラデシアの花とか?」


メロディさんは両手でバツの字を描き、ぶっぶー!と言った。
一見可愛らしく見えるが、逆に子供っぽ過ぎてギャップが酷いだけだったな…
俺は少し呆れながらも、メロディさんからの解答を待つ。


メロディ
「シェイミは何ポケモンだっけ〜?」


「そりゃ感謝ポケ……あっ!?」


俺はそこで気付いた。
シェイミは感謝の気持ちが大好物で、それに集まったりして綺麗な花を咲かせると言われるポケモンだ。
つまり…チキって奴は、ま…さか?

俺は考えて青くなる。
そんな恐ろしい事を平然とやるのはソイツは?
感謝の気持ちを……餌に?


メロディ
「…彼岸に誘われて生還出来たのは運が良かったわね」


「…まさか、5年前から既に網を張られていたのか?」
「俺を誘い出す為に、わざわざ部下を送って」

メロディ
「恐らく、たまたまだったんだとは思うわ」
「たまたま、貴女はレヒレの目に止まってしまった…」
「たまたま、それがチキの従者だった…」
「そして、その時点で特異点として貴女は目を付けられていた」


「待ってください!? だからと言って、夢見の雫の力に便乗して5年前に行けるんですか!?」
「便乗してるなら、守連たちと一緒に来てないと辻褄が…!」

メロディ
「そんな物は、王の力の前には些細な事でしかないわ」
「王の力を借りれば、チキは従者ごと時を遡る事も出来るから…」


メロディさんの言葉はあまりにもあっさりで、そして無情だった。
俺は改めて混沌の王の異能に恐怖する。
その王様ってのは、そこまでチートなのか…?


メロディ
「とはいえ、チキ能力は燃費が悪いからね…多分、5年前位から喰い続けないと蓄えが足りなかったんでしょ」


「燃費…ですか?」

メロディ
「うん…特に、世界の扉を開くには相応の力がいる」
「いくら王といえど、そうポンポンと部下に力を貸す訳じゃないわ」
「借りるからには、相応の見返りも要求される」
「チキにとっては、多分その5年分の蓄えが最低条件…」
「そして、扉を開けるには王の力が必須、つまり…?」

三海
「帰りは自分の力で帰らなければならない…か?」


俺たちの間に割り込む様に三海が笑って答える。
メロディさんはクスリと笑い、それを肯定していた。


メロディ
「半分正解…でもちょっと違うかな?」
「さっきも言ったけど、扉を開けるには王の力が必須」
「そして、王の力を借りるには見返りがいる…アンサーは?」

三海
「成る程…5年もの間潜伏し、往復分の見返りを用意しなければならなかったわけか」
「確かに燃費の悪い能力みたいだな…」


メロディさんは両手で丸を描き、ぴんぽーん!と笑って言う。
そして、すぐに真剣な顔をしてこう付け加えた。


メロディ
「多分、七幻獣は全員この世界に来ているわ」
「帰るには全員見返り必須…だけど、それを7人分踏み倒すだけの見返りがこの世界にはある」


俺は言われてゾッとする。
つまり、それこそが…俺、ではなく。



「夢見の雫…」


改めて、俺は今自分が置かれている状況を理解出来た。
王が求めるのは、世界のリセット。
そして、それを成すには夢見の雫がいる。
それを使えるのは俺だけ…敵は、それを欲している。

俺は明日からの登校が憂鬱になりそうだった。
果たして、俺はこの危機を乗り越えられるのか?
何気に、また世界の命運を握らされてしまった気がする。
だけど、俺は後悔なんてしていない…だって俺は、魔更 聖だから。











『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第4話 『語られる真相、そして黙示録とは?』


To be continued…

Yuki ( 2020/02/08(土) 21:45 )