とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない













小説トップ
華澄GAIDEN
特別編 『Over Limit World Line』
華澄
(それは、どこかで見た事のある街並…)
(どこかで見た事のある人々…)
(ですが…何故?)










『とりあえず、彼氏いない歴19年の拙者が異世界で悲しい夢を見た。ですが、後悔は必要ない』



特別編 『Over Limit World Line』










華澄
「………」


拙者は、立ち尽くしていた。
拙者の服は、お気に入りの白いTシャツに、青のジーンズ。
実にいつも通りの姿でござる。
しかし、どこか記憶が曖昧…
何故か、拙者はこの街を知っている様で知らない感じがする。


華澄
(そうだ、家に…帰らなければ)


拙者はそう思う。
ゆっくりと踵を返し、拙者は商店街と思われる場所から離れて行く。
季節は秋…気温も徐々に下がっており、本格的に9月も終わりかけている…はず。


華澄
(…何故なのだ、違和感しか無い)


拙者は歩けど歩けど、そこに住んでいる人が微妙に違うのだと理解する。
どこか似ている…でも違う。
まるでこれは…


華澄
(…混沌?)


そうであれば、この奇っ怪な違和感も証明出来そうではある。
そして何より、混沌であるならば、聖殿がどこかにいるはず。
拙者は、まずそれを確認する為、家に向かったのであった…



………………………



華澄
「…公園、ここはほとんど変わらない」


ここだけは、違和感が無かった。
誰も遊んでいない所も、そっくりでござるな…
とはいえ、この世界では逆に違和感。
どこも似ているだけなのに、ここだけは逆なのだ。
この公園は、聖殿にとっても思い出の公園…幼き時は、よく風路殿に連れられて遊びに来ていたと言う。
拙者にとっても、ここはある意味思い出深い。


華澄
(夢の世界ではありました…それでも、拙者はここで成長したのです)


あの世界で真具(まつぶさ)殿に信念を貰い、聖殿に拙者の生きる意味を問われました。
そして、拙者は変わった…守るべき者は、ひとりでは無いと。
そう、拙者は救える者は全て救う。
この混沌に何の意味があるのかは解りませぬ。
しかし、拙者がここにいると言う事は、必ず意味があるはずなのでしょう。
拙者はすぐに家に向かって歩く。
もう少しで目的地に着く…しかし、この言い様の無い不安は何なのでしょうか?
いつもなら走れば良い、なのにそれが出来ない。
それは、拙者の中にある言い様の無い不安。
この先に行ってはいけないのでは?と言う、自問自答。
しかし、拙者は歩みは止めなかった。
例え何があっても、拙者は決して絶望などしない。
それが、聖殿との約束なのですから。



………………………



華澄
(家は、特に変わり無し…そのままですな)


あくまで外観の話。
だが、中はどうなっているか解らない。
拙者は、流石に躊躇った。
このまま、堂々と入るのが躊躇われたのだ。
やがて、拙者の後からひとりの影が通りすぎて行く。
拙者は、その姿を見て…不覚にも立ち尽くしてしまった。
その背中は、かったるそうな猫背。
夏休みだと言うのに、制服を身に着け、鞄を肩に担いで帰宅していた少年の背中。
拙者は、頭がグチャグチャになりそうだった。
間違いなく、あれは聖殿?
いや、雰囲気がまるで違う。
それに、聖殿であるなら、拙者を無視して通りすぎるなんて…


聖?
「はぁ…ただいま〜」


「あ、お帰り〜♪」

聖?
「くらぁ!? 出て来るなっつーの!!」
「近所から変態扱いされたらどうする!?」


あ、あのノリは間違いなく聖殿!?
そして出迎えたのは、守連殿だ!
つまり、この家はやはり聖殿の……


華澄
(え…? 何故、それなら守連殿は外出を止められている?)


少なくとも偽装薬があるから別に外に出るのは問題無いはず。
拙者は違和感が加速する。
そして、すぐに気配を消し、拙者は聖殿の部屋が見える位置に潜んで部屋の中を見て見る事にした。
そこには誰もおらず、中はやはり違和感だらけ。
聖殿の部屋に違いは無いものの、どこかが違う。
拙者は聖殿の気配を感じて移動する。
そして、今度は中庭の影からリビングの様子を見た。
すると、そこには見覚えのある顔が……


華澄
(え…? 阿須那殿?)


の様に見える誰かがいた。
間違いなく、金髪九尾のキュウコンだとは解ります。
ですが、阿須那殿にしては、やや幼い?
身長は同じ位に見えますが、表情が違う。
どちらかと言うとクール気味な雰囲気の阿須那殿よりも、あどけない笑顔に見えますな…

次に守連殿を見付ける。
こちらは本物と大差無い感じです。
ただ、いきなりパンをかじり始めました…や、やはりどこか違和感を覚えます!


華澄
(ん…次は女胤殿……?)


拙者はここで最大の違和感を覚える…いや違う!
もし、ここに聖殿がいたらこう叫ぶでしょう。

『誰だお前は!?』…と、


守連
「あ、恵里香さんご飯まだ〜?」

女胤?
「守連さん、パンを食べながら喋ってはお行儀が悪いですよ?」
「ほら、このハンカチで口元をお拭きになって」


拙者はここでもはやこの家は知っている家では無いと確信した。
それに、恵里香殿?
この家では、あのドレディア殿が恵里香殿なのですか?
とにかく、あのドレディア殿は全てが女胤殿と一致しない!
そもそも、頭の花は小さく、まるで髪飾りの様にそっと耳の上に添えられてる感じです。
見た目はとにかくお淑やか、強いて言うなら借音殿が1番近いでしょうか?
いや、借音殿よりも更に丁寧に感じる。
こ、こうなると…拙者のポジションは一体?



「そこのロリ巨乳、何隠れてデバガメしてんのよ?」

華澄
「!?」


拙者はあまりの衝撃に、接近する者に気付かなかった。
逃げようと思ってももう遅い、拙者はとりあえず目だけ向けて相手を確認する。
そこにいたのは、身長2mはあろうかと言う長身。
腰から延びている水色と黒の模様をした尻尾は蛇の様であり、先端にはヒレの様な物が着いている。
そして赤い髪は腰まで伸びる長髪。
揉み上げも腹辺りまで伸びており、睫毛もまた相当長かった。
それは、一目見て水ポケモンだと拙者は理解する。



「アンタ何者? まさか、また新入りのポケモン娘とかじゃないでしょうね!?」

阿須那
「ん? 何や美九里(みくり)〜!? 誰やその娘!?」


美九里、それが彼女の名前。
つまり…それは、まさか?


華澄
「…そなたは、聖殿の?」

美九里
「ん〜? そうよ! 私こそが聖公認の正妻!!」

阿須那
「ドアホ、んな訳あるかい! あぁ、堪忍な嬢ちゃん!」
「コイツ、ちょっと頭アレなポケモンやから!!」

聖?
「アホはお前だ!! ポケモンとバラすなっちゅーに!?」

恵里香
「…はぁ、これですから無能なポケモンは」

阿須那
「誰が無能やねん!? 恵里香はん、ウチはついうっかりしてただけで…」

守連
「あははっ、パン食べる〜?」

華澄
「…あ、い、いえ、拙者は…その」


拙者は圧倒されていた。
と言うか、この空気に耐えられない!?
何なのですかこの空気は!?
そもそも、この世界は一体!?



………………………



聖?
「…とりあえず、日本語でおk」

華澄
「…はぁ」

恵里香
「聖様、それでは無能さを見せ付けているだけでは?」

聖?
「いや、トンでもだろ!? 俺無能!? ねぇ、どうなの!?」

阿須那
「ええ加減にしましょうや恵里香はん…話が進まへん」
「とりあえず、理解出来るんなら、説明してくれなはれ」


や、やはりこのドレディア殿は女胤殿とは似ても似つきませんな…
どうやら、かなりの毒舌化の様で、頭は切れるものの周りを引っ掻き回すタイプかもしれませぬ。
対して、阿須那殿は完全にアホの娘になっておられる…
聖殿と同列に扱われる辺りが哀愁漂いますな…


美九里
「要は異世界から来たって事でしょう? 別に難しくも何とも無いじゃん」
「つか、やっぱ無能オブ無能ねぇ〜?」
「キュウコンは尻尾に全部脳ミソ持ってかれてるんじゃない?」

聖?
「ったく、○ジラクラッシャー撃ち込んで破壊すんぞ?」

阿須那
「何やねん○ジラクラッシャーって!? つか、どんな武器!?」


拙者は頭を抱えてツッコムのを我慢した。
これと同列になってはいかぬ…! 聖殿の品位が…!!


守連
「華澄ちゃん、ラーメン食べる?」


「お前はいい加減食い終われ!? 食料を枯渇させる気かっ!?」


守連殿はひたすらに何か食っていた。
普段でも大食いですが、ここまで食欲だけが表面化はしておらぬのに…!


恵里香
「ほらほら、守連さん…華澄さんが困ってらっしゃるから、お昼寝しましょうね〜♪」

守連
「う〜ん、はーい」


守連殿はラーメンを口一杯に頬張り、嬉しそうにどんぶりを恵里香殿に渡して2階に上がって行った。
やれやれ…あれではまるで以前の三海殿ですな。
改めて、こちらの守連殿はまだまともだったのだと理解出来ます。


阿須那
「それで、アンタは一体何なん? 華澄って名前は解ったけど…ポケモンなんか?」

聖?
「流石に違うんじゃないか? 見た目は髪色以外人間だぜ?」


今の拙者はマフラーをしていませんからな。
特徴はほとんど隠せていますし、バレる事は無いはずですが。


美九里
「間違いなくポケモンね…それも、私と同じ水タイプ」


美九里殿は顔を拙者に近付けてそう断言する。
流石に、ポケモン相手に誤魔化すのは難しいですか…
しかし、別に隠す必要はそれ程無い故、構わぬと言えばそれまでですが。


恵里香
「あらあら、根拠も無く断言しては無能をさらけ出してしまいますよ?」

美九里
「誰が無能かっ!? 阿須那や守連と一緒にするなっての!」

阿須那
「同類にすな!? 守連よりかはマシや!!」


それでも無能なのは認めるのですな…
ま、まぁ…この阿須那殿は別の阿須那殿ですし!
しかし、改めて見て世界が違えばここまで家族が変わろうとは。


華澄
(…そして、拙者だけは、存在すらしていないのですな)


拙者は俯いて空笑いする。
そうなのだ、ここではピカチュウもキュウコンもドレディアもいると言うのに…


華澄
(ゲッコウガは…存在すらしていない)


そう、ここにいるのはミロカロスの美九里殿。
性格はやや高飛車ですが、それなりに頭は切れ、自信過剰な所が珠に傷。
拙者とは、何から何まで違いますな…


聖?
「まぁ、その何だ…色々あったみたいだけど」
「帰る宛が無いなら、ここにいても良いからな?」

阿須那
「聖〜? そんな気軽に言うなや〜?」
「結構給料ギリギリなんやで?」

恵里香
「そうですわ、私以外に家事が誰も出来ませんのに、無能な食いぶちをこれ以上を増やすのは…」


さりげなく無能扱いされましたな…
こちらの恵里香殿は少々口が過ぎる様です。


華澄
「安心してくだされ、拙者はすぐに立ち去ります」
「拙者の居場所は、ここではありませぬ…」


そう言って、拙者は茶をいただいた礼をして家を出る。
何だかんだ言っても、ここもまた聖殿の家。
可能性の無かった、世界線。



………………………



華澄
(…拙者は、何故存在しているのでしょうか?)


この可能性の世界を見た拙者は、自分の存在価値に疑問を持ってしまった。
拙者は、本来いなかった存在。
もしかしたら、誰かの可能性を殺してあそこにいたのでは?


華澄
(…でしたら、拙者はもしかして天罰を受けたのでしょうか?)


拙者は公園のベンチにひとり座って考えていた。
ひょっとしたら、今聖殿の側には美九里殿がいるのかもしれない。
拙者は、誰かを犠牲にして、あの幸せな世界にいたのかもしれない。
そう考えると、拙者はとても悲しくなった。
そして顔を抱えて涙してしまった。
拙者は、本当は誰にも必要とされてなかったのかもしれない。
あの聖殿は、拙者が割り込んでしまったから、だから優しくしてくれたのかもしれない。
本当は…本当……は………



『何故、泣く? 我が子よ…?』

華澄
(!?)


顔を上げると、そこは曖昧な世界になっていた。
まるで、夢現の公園。
情景はおぼろ気で、全てがどこか儚い。
拙者は声の方を向くと、そこには美しい白髪の女性が隣に座っていた。
拙者はこれまでに無く驚く。
その方は、紛れも無く神。
全ての世界を創造し、かつては暴走して拙者たちと戦ったポケモン。


華澄
『ア、アルセウス…殿?』

アルセウス
『…どうやら、迷い混んでしまった様だな?』


迷い混んだ…?
それは、つまり…


華澄
『アルセウス殿、拙者は存在して良いのですか?』


それは自分で解る程に消え入りそうな声だった。
もはや、己では何も判断出来ない。
すがりたかった…誰かに違うと否定されたかった。
ですが、アルセウスさんが答えた言葉は…


アルセウス
『それは、そなた自身が決める事だろう?』
『我にすら抗って見せたそなたらしくはないな』
『何故、それなら我に抗ったのだ?』


拙者は、少しづつ思い出した。
そうだ、拙者は聖殿を守ると決めた。
聖殿が守りたいと思う全てを拙者も守ると決めた。
なのに、今の拙者は何と無能か…


華澄
『…拙者は、罰を受けねばならないのでしょうか?』

アルセウス
『ふむ、そうだな…全ての者は、生きている限り何かしら罪を背負って生きている』
『しかし、それはあくまで全ての者に課せられた、生きる罪だ』
『そこに罰が必要かは、そなたの大事な存在が決める事だろう…』
『我は、あくまでひとりの神に過ぎぬ』
『裁きを下す存在ではあるが、我は我が子らの存在を嬉しく思っている』
『そなたたちの様に、真剣に生きている子供たちを、我は守ってやりたいのだ』


アルセウス殿は優しく拙者の手を取ってくれた。
それはまさに母の様な大きさで、拙者は自然と涙が出る。
そして、理解した。
拙者は生きなければならないのだと。
生きて、真剣に罪と向き合わなければならないのだと。
拙者は、もう迷いは無かった。
そして、帰りたいと、ただ願った。


アルセウス
『そう、それで良い…さぁ、戻るが良い』
『そなたを待ってくれる、その大切な者の元へ……』


アルセウス殿は光と共に消えて行く。
同時に拙者の意識も微睡み、やがて覚醒に近付いていく。
この時、拙者はただ聖殿の笑顔を、思い浮かべていた…
すると、すぐに笑いが込み上げて来るのがどこか可笑しかった。
そうだ、拙者は居て良いのだ。
むしろ、居なければならない。
聖殿や、他の家族を護る為に。

帰ろう……守るべきものの為に………










…To The Ture World!




















『後書き』


今回はあくまで特別編。
いわゆる、可能性の殺された世界線と言う設定です。
とはいえ、この別世界の聖君たちが絶望する訳ではないのであしからず!
こちらの聖君たちは、別の分岐点で楽しく幸せに暮らしていますので♪

とりあえず、最後にプロトタイプの設定を少しばかり公開…



『守連』

ぶっちゃけ、アホの娘。
初期設定ではただ食う事しか考えておらず、戦闘以外は本当に無能の娘と言うペット存在でした。
改めて、ギャグに振りきるならこれでも良かったのかもとは思いますね…



『阿須那』

初期設定ではお姉さんではなかったキャラ。
バイトで生活費稼ぐも、周りに振り回されながら何とか頑張るちょっとダメな脳ミソの娘と言う設定でした。
ちなみに、年齢順にすると…

守連→聖→阿須那→美九里→恵里香となります。



『美九里』

ミロカロスの水担当。
本来なら華澄の代わりに採用される予定のはずだった家族の3人目。
とはいえ、色々と気分的な問題もあり、結局は華澄ちゃんに落ち着いた次第。

結果的に考えればこの娘だと華澄ちゃん程の存在感出せたかは甚だ疑問ではあります。
とはいえ、設定的には勿体無いと思うのも事実。
まぁ、それもあくまで可能性を殺された世界ですので…残念!

ちなみに、性格は高飛車で自信過剰。
基本的に自分の美しさを誇りに思っている設定で、あの手この手で聖を誘惑する年上キャラでした。
今考えると、阿須那と女胤を足して割った様なキャラになっていたかも…



『恵里香』

こちらではセレビィの設定が無かったので、恵里香になる予定だったドレディア。
家族唯一の家事スキルSで、基本的にお淑やかなお嬢様設定。
とはいえ、実の所毒舌化で発せられる言葉は容赦の文字が無い。
色んな意味で本家女胤を殺してる程の個性を持ってるキャラですね…

紆余曲折あり、結局は本家の恵里香や愛呂恵さんに性格は分配された感じ。
ちなみに本家の女胤要素は何一つ無かったり…(゚Д゚;)



『聖』

何と言うか、とにかくギャグ主人公ですから!
本家と違い、超常能力はありませんし、ただの平凡『以下』な高校生です。(ここ重要!本家の聖君は微妙に平凡『以上』の高校生です)

まぁ、こっちは予定ではとにかくトラブルまみれエロまみれ、今考えても突き抜けたギャグ主人公になる予定でした。
本家は良くも悪くもシリアスに突き抜けたなぁ〜と染々思います。
とはいえ、何だかんだで主人公らしくはなっているので、それはそれで聖君なのだと、今は思います♪


さてさて、いかがだったでしょうか?
もしかしたら、こんな未来もあったのかもしれない、そんな世界線。
しかし、本家の聖君の物語はまだまだ続きます…
そう、続くったら、続く!!
BACK | INDEX | NEXT

Yuki ( 2019/07/09(火) 15:47 )