とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない













小説トップ
第8章 『聖の選択』
第9話
それは、未だに考えていた。
この世界の在り方と、護るべき者の監視について。
この世界は特に混沌としている。
それは継承者の周りだけに限る事ではない…

ある国では交通事故が起き、またある国では子供が産まれる。
人間が溢れ返っているこの地球という惑星において、人は数えきれぬ程死に、産まれていく…
そしてその数は今や死亡数の方が多い。
産まれてくる人間よりも、死ぬ人間の方が多いのだ。
これにおいては、元々増加傾向にあり続けた人口の推移故に、まだそこまで大きな問題では無いのだろうが。

それは考えた。
この世界は、危険なのではないか?と…
守るべき秩序は、この世界に必要なのか?と…
だが、それは迷っていた…
何故なら、それにとって世界の秩序などと言う物は、今やたったひとりの少年の価値にすら劣るのだから。



………………………




「行って来まーす!っとぉ!!」


少年は今日も学校へと向かう。
特に遅刻する事も無く、ほぼ規則正しい時間で必ず家を出る。
そして登校中に友人と出会い、共に歩く。
少年の顔は満ち足りていた、嬉しいのだろう。
多くの混沌を乗り越えたとはいえ、少年の顔に迷いは無い。
恐らく、今から混沌に巻き込まれたとしても、少年はすぐに戦いに気持ちを切り替えるのだろうから…



………………………




「………」


少年は学校で真面目に勉強をする。
ダラける生徒も多い中、少年は授業を受けてノートに内容を書き記す。
ただの書き写しだが、それでも少年は理解している。
解らない事は後から解明すれば良いと思っているのだろう。
やがて授業は終わり、出された宿題の内容を聞いて少年はノートを再確認する。
特に問題が無いと思ったのか、少年はノートを鞄に入れて背を伸ばしていた。



………………………




「…! …!」


体育の授業。
少年は校庭のトラックを走り、先頭を維持する。
あれから体も太くなり、並の同級生には劣らぬ体力を今は持っているだろう。
自ら戦う術もちゃんと身に付けた少年は、汗を拭いながらもトップでゴールした。
しかし少年の顔は少し暗い、成績に満足がいかなかったのだろうか?
少年は水分を補給し、少し休んだ…



………………………




「そうそう! あれは面白かったよな〜」

光里
「だよねー♪ やっぱりあのノリが重要なんだって!」

沙譚
「………」

悠和
「…♪」


昼休み、いつもの4人で少年は昼食を食べる。
他愛も無いゲームの話題に笑顔を浮かべ、少年は楽しそうにしていた。
友人も釣られる様に微笑みを見せる。
そこには、確かな友情があるのだろう。
全員、混沌には巻き込まれた事のある者たち。
この先も、何処かで巻き込まれる事はあるのだろう。



………………………




「………」


午後の授業。
科学の実験で少年は色々試す。
基礎的な事ばかりではあるが、少年は真面目に取り組み、結果を自分なりに吟味していた。
時折バカな言葉を交えながらも、少年は至っていつも通り。
しかし、私は少し疑問もあった。

少年は、クラスでは浮いているのだ。
友人がいない…とも思えるが、あまりクラスに馴染んではいない様で、少年はほとんどがひとりだった。
だが、暗い顔をする事も無く、少年はそれなりに楽しくやっている。
その顔に、寂しさは微塵も感じられなかった。



………………………




「………」


下校…少年はひとりで歩き、少々ダルそうに鞄を肩に乗せている。
気温は9月下旬、まだまだ暑さはあり、夏服でも問題が無い気温だろう。
汗はかくものの、少年はタオルで顔の汗を拭く。
やがて、少年は公園の前で立ち止まり、おもむろに視線を向けた。

この時間は遊んでいる子供もおらず、相変わらず寂しい光景。
少年は数秒何かを考えながらも、やがて何かを決心したのか公園に入る。
そしてやや古臭いベンチに腰を下ろし、少年は鞄を自分の隣に置いて俯いた。

近くに人の気配は無い。
いてもそれは家屋の中であり、少年の存在に目を引かれる者は多分いないだろう。
喧騒の声もほとんど無く、聞こえるのは風の音と、虫や鳥の鳴き声。
日差しも夕方へと向かっており、次第に気温も下がってくる。
そんな中、少年は尋ねた。



「…この世界は、色さんが整えなきゃならない世界ですか?」


それは、私に対しての問いだと私は理解した。
しかし、私は答える事が出来ない。
形を成す事は出来る…しかし、それはこの世界の均衡を揺り動かす可能性となる。
私は、それを望まない。
故に、私が出来る最大限の事は、小さな細胞の塊を見せる事だけ…



「………」


「…俺は、選択しなきゃならないのかもしれない」


少年はやや辛そうにそう語る。
私はそんな少年をただ視る事しか出来ず、どうする事も出来なかった。
少年はそんな私の小さな姿を見て、悲しそうに呟く。



「色さんは、望んでここにいるんですか? それとも、帰る方法を探しているんですか?」


「………」


声は出せない。
だが答えは出ている。
私は望んでここにいるのであり、この少年の為に監視しているのだ。
しかし、私の存在はこの世界においては危険すぎる。
下手な干渉は神の怒りを買いかねない、良くも悪くもこの少年は神に愛されているのだから…
私は所詮…神の番外にすら据えられなかった存在。
他の世界において、私の存在は何かと秩序を脅かす。
故に、今はこんな小さな姿でしか私は姿を見せられない…



「…もし、俺の余計な選択のせいで色さんが苦しんでいるのなら、俺は責任を取って色さんを元の世界に戻します」
「俺には、色さんが何を考えているのかは解らない…だけど、正しいと思う事を俺は選択します」


私は考えていた。
このままでは、また何も必要とされない世界に私は戻らされてしまう。
しかし、少年に私の遺志を伝える方法は無い。
少年が本気でそれを願えば、私は強制的に帰還させられてしまうだろう。
それを私は望まない。
ならばどうすれば良い?
どうすれば、少年に私の遺志を伝えられる?
形を形成する? リスクが大きすぎる…
この場は消えるか? 夢見の雫からは逃げられない…
どうすれば良い? どうしようもない…

何という無駄な自問自答。
どの道、私に選択肢は無い。
これも、神が定めた運命なのだろう。
私の遺志に関わらず、大いなる手は常に運命を指差している。
この世界にも、私は必要とされていない…
私は…誰にも必要と、されない……



「色さん、答えてください…貴女が、どうしたいのかを!」


少年の手に、美しき透明の球体が出現する。
これこそが、神より造り出されし奇跡の宝具。
少年が願えば、私は抗う事は出来ない。
そしてその輝きは、どこか悲しさを秘めた様な光を放ち、やがて私は全てを丸裸にされてしまう…
少年の願った奇跡は、あまりにも単純な願いだった…



………………………




「………」


「ようやく、本当の姿で会えましたね…」


そこは、ただの暗い空間。
何も存在せず、感覚も曖昧、そして全てが停止している世界。
いや、世界とは呼べないのかもしれない。
ここは、全てが終わった成れの果て…だな。



「…ようこそ、異世界の監視者」
「そして久し振り、ボクの旦那様♪」


クスクス笑って真下から真上に歩いて来る小さき少女。
特徴その他から察するに、恐らくはセレビィ…か。
しかし、このセレビィからはおおよそ力を感じない。
まるでこの空間と同様に全てが停止している様に感じる。
いや、そもそも聖や私自身も停止しているのだ。
私は体を分解させようとしても、一切セルが反応しない。
どうやら、相当特異な場所の様だな。



「…やれやれ、こうやって会うのも71話振りか、確かに久し振りだな…恵里香」

恵里香
「まぁ、前作の最終話以来だからね…混沌が繰り返されて、こことの境目が曖昧になっちゃったんだろうし」


「…ここは、何なのだ?」

恵里香
「強いて言うなら、全てが終わった最果て…ここでは時間も空間も再生も破壊も無となる」
「全ての創造が終焉した虚無の場だよ…」


成る程、それならば納得がいく。
すなわち、ここでは私の力などただの人間と代わらぬ…そういう事か。
秩序すら必要としない、完全な無。
神の座とは真逆の…全てが始まる場では無く、終わった場。
白ではなく黒というのも、どこか因果を感じるな。
ここでは、創造主すら力を行使出来ない…



「…して、ここで私の答えを聞くという事か」


「はい、貴女自身が答えを出さないのでなく、出せないのでは?と仮定して、この場を選びました」
「ここなら、有りとあらゆる干渉は無となりますので、心行くまで話す事が出来ますよ?」

恵里香
「まぁ、好きなだけ話し合うと良いよ…」
「ここで何億時間話そうが、現実では1マイクロ秒も過ぎないから」


成る程、それならば問題はあるまい。
ここにおいては私の存在も停止している、他の神が口出しをする事も無いというわけだ。



「ならば、改めて名乗ろう」
「私の名は『色(しき)』…魔更 聖の秩序を護る監視者なり」


「え…? 俺の、秩序…?」

恵里香
「全く、随分な大物を惚れさせたね?」
「この人は、その気になれば世界の混沌すらひとりで整えられる格の存在だ」
「元の世界では必要とされなかっただけで、その力は正に神に等しい」
「この人の前では、全ての『命』が等しく扱われる」
「生きる者が死に、死ぬ者が生きる…それ位の事はやってのける人だよ?」


どうやら、相当詳しい様だな。
この恵里香と呼ばれたセレビィは、かなり博識の様だ。
私は特に反論もする必要がなく、ただ驚いている聖の顔を見て微笑んだ。



「何となく、スゴいとは漠然と思ってたけど…そうだよな」
「ゼルネアスやイベルタルの力を反転させる程の存在なんだから…」

恵里香
「あまりゲーム的な尺度で計らない方が良いよ?」
「この人のオーラは、万物全ての能力を抑え込む」
「この人の前では、タイプ相性すら正常に機能しない」
「抜群で食らうフェアリーを半減させたり、本来通らない地面を飛行に抜群とする…」
「とにかく、語り出したら全てがデタラメな法則になりかねない程の能力だ」


聖はそれを聞いて絶句する。
むしろ私からすれば、このセレビィはどうやってそこまで知ったかの方が気になるがな…?
少なくとも私自身は1度たりとも、生まれた世界ではそこまで力を行使していない。
聖との邂逅が初の顕現であり、そして初めての戦闘。
その時点ではさほど力は行使していない。
つまり、元の世界で私の能力の全てを知る機会は有り得ないわけだが…

このセレビィがそこまで知っているという事は、何かしら似た存在を見た事があるという事か。
私と同質のジガルデが、他の世界にも存在するという事だな。



「…そこまで知ってるって事は、同一時間軸の並行世界にも似たジガルデはいたのか?」

恵里香
「そりゃ歴史上にはね…この人程の力を有したのは見た事無いけど」


ふむ、随分と持ち上げられる物だな。
私の力など、所詮アルセウスや創造主の力から見れば、赤子の呻き声に等しい程度だが。
しかし、確かに聖の世界に来てからはそれ程の存在は感知出来ない。
唯一アルセウスのみ存在は知れているが、あまりにも強大すぎるのか、その姿を視る事は1度も出来なかった。
つまり、それだけ規格外の存在と言えるだろう。
あちらのアルセウスと違い、自らの存在が世界に良い影響を与えないと理解しているからだろうな…
本来神とはそういうものだ…神とは人と極力関わるべきでは無い。

その存在は、用意に人に奇跡を見せてしまうのだから…



「…色さん、貴女は望んで俺たちの世界に来たんですか?」


「そうだ、お前は私に名を与えた」
「その時点で私はお前の監視者となり、お前だけのジガルデとなったのだ…」


もっとも、この世界に辿り着いた時点で『契約』は効果を及ぼさんのだがな…
あくまで、名を与えられた時点で私自身が契約を認めたのだ。
故に、私は望んでここにいる。



「私は、誰にも必要とはされなかった」
「ただ、保険として造られただけの存在で、実際には必要となる事は1度も無かったのだ」


「そんな…貴女ほどの存在が、ただの保険?」

恵里香
「それも数ある世界の選択肢だよ…」
「彼女のいた世界においては、ジガルデの力さえただの使徒に過ぎない」
「必要が無ければ、永遠に視ているだけの監視者さ…可哀想だけどね」


可哀想…か。
初めてだな、そんな受け取られ方をしたのは。
私の生まれた世界において、私は文字通り視ているだけの監視者。
創造主の生み出す絶対の秩序の元、アルセウスですら選択権の無い世界。
そんな世界において、私が可哀想とは誰も思わなかったし、私も疑問には思わなかった。



「所詮、私は神の座にも選ばれなかった存在だ」
「誰も必要としなかったし、人が認知出来る存在でも無い」
「ただ、視ているだけの存在…お前が、現れるまでは」


「やっぱり、俺の…せいで」


聖は俯いて悲しそうな目をする。
私は理解が出来なかった。
聖がそんな顔をする必要は無い、これは私が望んだのだから。
そして、私に意味を与えてくれたのは紛れもなく聖だ。



「お前を初めて視た時、私は初めて存在が許された」
「有ってはならない、夢見の雫の重複」
「故に、私は初めて秩序の監視者として顕現を許されたのだ」
「しかし、私が思っていた秩序は、何ひとつ意味を成さなかった」
「聖を取り巻く混沌は、聖を中心に全て調和される…」
「私は思った、やはり私は不必要な存在なのでは?と…」
「だが、お前は認めてくれた…私に名を与え、存在を認めてくれた」
「初めてだった…私がそこに居ても良いのだと思えたのは…」
「お前は、私の求める秩序だ…そして、お前だけの監視者」
「私が、居て良いのは…ここだけなのだ、きっと」


私は俯き、聖に手を伸ばす。
そんな私を見て、聖は優しく手を取ってくれた。
そう、聖はそういう人間なのだ。
例え私の様な規格外の存在でも、等しく扱ってくれる。
私は、この時だけは…特別でなくて良いのだ。



「…色さんの気持ちは、よく解りました」
「だったら、俺は受け入れます」
「色さん、良ければ…俺たちの家族に、加わってください」


「…有難い、が」
「私はあの世界では、話す事も出来ない」
「ただ、視ているだけの存在だ…それでも、構わないのか?」


聖は微笑んでいた、
解っていた…聖ならそうなのだと。
故に、私の問いは何の意味も無かった。
私の、自問自答の日々がようやく終わる。
もはや、疑問は必要無い…私は居て良いのだ。
聖だけの監視者として、視ていて良いのだ。
ならば、使命を果たそう…秩序の監視者として。



「…後悔は、しないな?」


「するなら手は取りません、俺はもう絶対に無意味な後悔はしないと決めてますから」

恵里香
「とりあえずおめでとう…とはいえ、現実世界では相変わらずだろうけどね」


まさしくその通りだ。
あの世界において、私は視ているだけの存在でしかない。
余程の混沌が無ければ、姿を形作るのは危険だろうからな。



「…そんなに、色さんが姿を見せるのは危険なのか?」

恵里香
「危険なんて物じゃない、命を等しく扱えるって言ったでしょ?」
「それは、世界の生命バランスを容易に変えかねないって事なんだ」
「そして、恐らく色さんはその力を完全には制御出来ない」
「もし、何かあれば…アルセウスの均衡が崩れる可能性もあるんだ」


聖は顔を青くして息を飲んだ。
理解はしているのだな、最悪の場合も。
仮にもアルセウスより正式に認められた、夢見の雫の継承者。
アルセウスの造りし世界は、ギリギリの均衡で満たされているのだ。
それが少しでも傾けば、どれ程の悲劇が生まれるか…
故に、私は決して表に出てはならない。
私が表に出るという事は、それだけ聖を取り巻く秩序が崩れている時だろう。



「…色さんは、辛く無いですか?」


「さて? 私にとってはそれが普通だからな」
「私は監視者…常に視ているだけの存在」
「故に、私はそれが普通なのだ」

恵里香
「まぁ、聖君は気を遣いすぎない事だね…」
「キミが思っているよりも、色さんはずっと強いよ?」
「だから、安心していると良い…この人がいる限り、キミは相当安全だから」


そう言って恵里香は何も無い場所に手を伸ばし、光の道を示した。
その光の先には、聖の世界が見えており元の世界に通じるであろうと、予想が出来た。
これは、セレビィの能力なのか? 初めて視る類いの能力だが…
とりあえず、聖は迷わずにその光の道を歩く…そうか、信頼しているのだな。


恵里香
「貴女も行くと良い、それともここで永遠の雑談でも交わすかい?」


「…何故、真実を明かさない?」


恵里香は目を細めた。
聖には聞こえない様に配慮はしている。
私は背中を向け、恵里香にこう語った。



「ふ…全てを超越していても、アルセウスは恐れるか」

恵里香
「…ノーコメントとしておくよ、だけど余計な口を出すなら」


「互いに消えるか? その方が聖には良いかもしれんな…」


私は微笑んでそう言い、聖の背中を追った。
世界は、人間が思っているよりも遥かに小さい。
ギリギリの容量で保たれている器は、常に限界なのだから…



………………………




「…色さん?」


俺は名前を呼ぶも、色さんは現れなかった。
そりゃそうか…何があるか解らないモンな。
でも、色さんは紛れもなく家族になった。
色さんは、この世界に居ても良いんだ。
アルセウスさんの創った世界はギリギリだが、この選択で余計な世界線は全て消える。
他の世界線ではどんな結果になったのかは解らないが、俺は正しい選択を選んだと思いたい。

俺は改めて立ち上がり、公園から出る。
とりあえず、皆に報告しておかないとな。



………………………



華澄
「何と、その様な事があったのですか?」

守連
「じゃあ、また家族が増えたんだね〜♪」

阿須那
「せやけど、そんな規格外な存在、ホンマに大丈夫なんか?」

女胤
「しかし、聖様が認める以上は大丈夫なのでしょう」
「恵里香さんも認めている様ですし、当面は特に影響も無いのでは?」


女胤の意見が正解だ。
とにもかくにも、色さんは話す事も出来ない位に力を抑えてるからな。
色さん自身が秩序と均衡を気にしている以上、自ら何かを起こす事はほぼ無いだろう。
逆にあったら、それは相当俺がピンチだって事だろうしな…あまり想像したくないピンチだが。


愛呂恵
「とにかく、新たなライバルが加えられたというのは間違いないでしょう」
「その人は巨乳ですね?」


うん、そうね! 確かに巨乳よ!?
でも、そこだけ見て家族にしたんじゃないからね!?
まぁ、色さんはかなり特殊な見た目してるけど…

多分初見なら異様としか言えない。
色さんの体は白銀と水色で構成された、色違いジガルデの配色。
下半身は蛇の様になっており、長さは数mある。
背中からは5本の突起が飛び出しており、それはジガルデの特徴。
色違いらしく、左手は水色、右腕は白銀と通常カラーとは大きく異なる。
髪は腰まで届く美しい白銀で、常に優しげな微笑みを見せてくれるのが美しいポイントだ。
ある意味、アルセウスさんと似た所もあるよな…尊大そうな所とか。

ちなみに色さんの体はセルの構築で作られているせいか、服は一切着ていない。
見た目的に裸には見えない構築なので安心だが、その分色っぽさはそこまで感じないかもしれないな。


三海
「まぁ、聖のおっぱい好きは今に始まった事でもなし、ライバルと言うには弱いのではないか?」
「少なくとも、姿も見せられない、話す事も出来ないでは、何とも言えんだろう?」
「脳波や遺志を感知する事も難しいのだから、色んな意味で特殊すぎる」


そうなんだよな…色さんはミュウツーの能力を持ってしても感じ取る事が難しい。
アグノムやエムリットですら微弱すぎて無理だと言うわけだし、存在を認知出来るのはまさしく神しかいないのかもしれないな…


阿須那
「しっかし、保険だけの為ねぇ…けったくそ悪いな」

華澄
「仕方無いのかもしれませんが、それ程の存在を容易に造り出せる神の方にも問題は有りそうな感じですな」

女胤
「神…ですか、アルセウスの様な創造を司る神であれば、そんな事も容易く出来てしまえるのでしょうね」


「だけど、この世界のアルセウスさんはそんな事はしない」
「…多分、だけど」


流石に俺もアルセウスさんのやった事を全部知ってるわけじゃないし、ひょっとしたらやってるのかもしれない。
でも、あのアルセウスさんが、色さんみたいな悲しい存在をただの保険で生み出すだろうか?
俺は、そこに関しては否定したかった。


守連
「私はよく解らないけど、聖さんがそう言うなら、きっとそうなんだと思う」
「だって、聖さんが信じる事は、いつも正しいもん♪」

愛呂恵
「確かに、聖様が正しいと思われる事は、いつも誰かを救っています」

三海
「そうだ、私たちがここにいられるのは、そんな聖のお陰なのだから…」


皆は黙って納得する。
何だかんだで、それが決定打か…
まぁ、信頼されているのだと思っておこう。
俺がいつでも正しいとは、限らないと思うけどな…



(俺の救済は、心を腐らせる…か)


メロディさんの言葉を俺は思い出す。
ただ救われるだけの存在は、やがてそれが当たり前になってしまう。
奇跡とは、本来起こすべき物では無いのだ。
あくまで、本当にどうしようも無くなった時の、最終手段でなければならない。



「皆には、あらかじめ言っておく」
「これから先、夢見の雫を前提に混沌と向き合わないでくれ」

阿須那
「…何や急に? そんなん、当たり前やん」

華澄
「確かに、拙者たちはあくまで出来る事は自分でやりますし…」

女胤
「夢見の雫は確かに重要ですが、それだけを頼りにするのは愚行でしょう?」

守連
「うん、私たちは聖さんの為ならいつでも全力を尽くすよ?」

愛呂恵
「聖様の力は、あくまで最後の力」

三海
「私たちが、どうにもならなくなった時…ようやく頼るべき力だな」


皆は、初めから解っている様だった。
だが、家族全員がそうでは無いだろう。
自らの力で戦い抜ける家族はともかく、そうでない家族はどこかしら俺の力を宛にしてる部分はあるはず…
その辺も想定してこれからは雫の事もコントロールしないとな。


阿須那
「…まぁ、確かに頼りたくなる時はあるやろうけどな」

華澄
「それ程に、夢見の雫は神がかり過ぎますからな」

三海
「しかし、それが無ければ私たちは誰ひとりここにいられなかった」
「それこそ、永遠の闇に囚われていたかもしれないのだから…」


そうだ、良くも悪くも俺は雫の力で家族を救い続けた。
そして俺は後悔していない。
これからも、後悔は…しない。


女胤
「もう良いでしょう、夢見の雫はあくまで聖様の判断に委ねられる事」
「私たちは自らの鍛練を欠かさず、頼らなくても大丈夫だと聖様に思っていただかなくては」

守連
「うんっ、私ももっとトレーニングして強くなるよ♪」
「そして、ちゃんと勉強もして賢くなる! 後は、ゲームもやって遊びも上手くなるよ〜♪」

愛呂恵
「守連さんは前向きですね…ですが、共感します」
「私もメイドとして精進いたします…戦闘訓練ももちろんです」
「では、そろそろ休みましょう…明日も平日、学校に仕事にと、また頑張らなければ」


愛呂恵さんがそう促すと、皆は軽く笑って解散する。
俺も息を吐き、とりあえずコーラを飲みきって立ち上がった。
ここの所、混沌は成りを潜めているが、またデカイ混沌でも来るかもしれない。
いつでも巻き込まれる覚悟はしておかないとな…
って、言っててフラグ臭いが、大丈夫だろうか?

俺は思って笑った。
きっと大丈夫だ…だって、これからも俺たちを視てくれるスゴい監視者がいるんだから♪










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第9話 『聖の監視者』

第8章 『聖の選択』 完


To be continued…

Yuki ( 2019/06/08(土) 21:37 )