とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない













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第8章 『聖の選択』
第2話
守連
「ハムハム! 美味しい〜〜〜!!」

香飛利
「とろける〜!!」

三海
「これが松阪牛か!? 全くその辺の肉とは違うぞ!」

夏翔麗愛
「フランクフルトもあるのですよ! 野菜もしっかり食べるのが子供のマナーなのです!!」

麻亜守
「むぐぐ…ピーマンは苦手なのだ!」

光輝
「スッゲェぞ姉ちゃん!? こんな肉、絶対もう食えねぇ!!」

光里
「今の内に味わっとくのよ!? こんなチャンス滅多に無いんだから!!」

沙譚
「光里の奴、そんなに貧乏なのか…?」

悶々
「へぇ〜こういうのも美味しいモンですね〜♪」


ははは…美味しそうに食ってくれて何よりだ。
俺もとりあえず串に刺さってる肉をいただく。
流石に高級肉だな…等級も良い奴選んだし、脂身が良い感じだ。


白那
「よっと…聖君、浮狼…今日は愛呂恵の所で食べるってさ」


「あ、そうなんですか? 気を遣ってくれたのかな…」

白那
「かもね、あっちは華澄ちゃんと女胤ちゃんだけでしょ? 浮狼の事だから、そっちの方が気になったんだろうね」


浮狼さんらしいよな…あくまで自分より誰かを気にする。
まぁ、それなら何も言う事は無い。
とりあえずこっちはこっちで楽しむとしよう!



「おっ、このタレ美味しい〜辛口だけど、酒に合いそう♪」

悠和
「それ、私が調合してみたんです♪ もしかしたらこれ位の辛さがある方が良いかな?って思って…」

唖々帝
「へぇ、確かに私にはこの辛さが良いな…」

土筆&未生羅
「私たちには少し辛い〜!」

櫻桃
「はいはい、甘口もあるからこっちにしな〜」

借音
「ふふ、子供用の辛さにしてるから、ふたりにはそっちの方が良いかも♪」


おやおや、土筆さんと未生羅さんは甘口派か…
まぁ、この辺は流石にお姉さんには合わせられないって所だな。
しかし、悠和ちゃんはやっぱスゴいな…足りなさそうな味のレパートリーに気付いて調合したのか。
愛呂恵さんのタレは良くも悪くも万能タイプの味だからな…辛さ特化、甘さ特化と今回用意してなかったみたいだし。
混沌の後で怪我の治療も残ってたから、流石の愛呂恵さんも多くは用意出来なかったんだろうな…


鐃背
「うむ! これは日本酒に合うの〜♪」

大愛
「ほう、この世界の酒も中々悪くないな…」


「うん、私もこれは好き♪」

神狩
「私は洋酒派かな…オススメはウイスキー」


こっちは昼間から飲んでるよ…まぁ、強いみたいだし良いか?
杏さんなんかはすぐに酔い潰れるから自重するって言ってたけど…
しかし、何気に大愛さんと穹は飲めるのな…意外だわ。



「先輩、本当に良かったんすか? こんな良い肉タダで頂いて…」


「良いんだよ、思い出作りだし…俺は、2年間何もしなかったから」


俺は少し思い出して物思いに更ける。
もしあの頃から友達とか作ってたら、全然違う高校生活だったんだろうな…
もっとも、その場合はこんな素敵な家族には…絶対に出逢えなかっただろうが…


白那
「聖君、どうかしたのかい?」


「いえ、何でもありません…白那さんも、沢山食べてください♪」


俺が笑顔でそう言うと、白那さんも微笑んでくれた。
そうだ、俺は自分で正しいと思ったからこの道を選んだんだ。
それなら、絶対に後悔しない。
俺は何があっても皆を愛してみせる!



………………………




「………」


「…そんなに気になるの?」


「ああ…今まで気付かれる事なく付きまとってたのに、今頃になって感知されるとか、あまりに不自然すぎる」


俺様はこの形容しがたい謎の『意志』に対して、掌握を試みていた。
しかし、あまりに微弱かつ曖昧なこの意志は、俺様の能力でも掌握が出来ない。
正確には、掌握出来るだけの意志が存在してないんだろう。
だが、この意志はとてつもない要素を含んでいた。



「冗談みたいな話だが、この超微弱な意志は世界中に恐らく存在している…」


「…世界中に? それだけの数がいるって事?」


「恐らくな…だが確実なのは、これらの意志は何かを視ており、そして聖に干渉してる」


「…! 干、渉? それって、大丈夫なの?」


俺様も懸念してはいる。
今までは何も無かった、だが今は何かがあるのかもしれない。
そしてそれは、下手すれば世界全体に影響を与えかねない何かって可能性だ。



「…姉さん、このポケモンは何だと思う?」


「…該当に存在しない個体かもしれないわね、でも…もし可能性レベルで挙げるとしたら」
「…ジガルデじゃないかしら?」


俺様は息を飲む。
もし姉さんの予想が当たりなら、トンでもない事になっていたのかもしれない。
秩序ポケモンと呼ばれるジガルデは、大きく分けて2種類存在する。
ひとつは、『スワームチェンジ』という特性を持つ個体。
コイツはコアが本体であり、それに無数のセルが集合する事でジガルデとなるタイプだ。
聖が過去に戦ったのがこのタイプ…この時は舞桜がコアを破壊し、ジガルデは崩壊したらしい。
元母や穹の例を考えたら、ソイツがこの世界に来る可能性はあったんだろうが…コイツは間違いなくそのタイプじゃない。



「クソが…まさか、本当にこの世界に根付いてやがったのか?」
「再生と破壊のバランスを常に監視し、必要があればそれを整える…神にも等しい存在のジガルデ」


「…あまりに謎が多いポケモンよね、セルで構成されてるのは同じはずなんだけど、『オーラブレイク』の個体はコアを持たない…」


「そして、そのセルの規模は世界全体に粒子レベルで散らばってやがる…そのひとつひとつが、全て奴の眼だ…!」


つまり、常に俺様たちは監視されていたのだ…聖が、セルを持ち帰っちまったせいで。
今まで害が無かったのは、恐らくセルの分裂が追い付いて無かったんだろう。
今更だが、もうこの世界は奴の監視下に入っていると断言して良い。
俺様は段々確信し始めていた…この世界には秩序を容易くぶっ壊す要素がある。
聖は気付いているみたいに見えたが、本当に大丈夫なのか?



「…信じてみたら?」


「………」


俺様は何も言えなかった。
これも聖が解ってて選んだ道なら、俺様たちはそれを護るしかない…か。
俺様は頭を掻き、とりあえず考えるのを止めた。



「もういい、視たけりゃ好きにしやがれ…だが、俺様は家族に手を出されるなら抵抗する」
「秩序だとか、そんな物は些細でしかない…俺様は、家族が大事なんだ」


「…その台詞、聖さんに聞かせてあげたら? きっと喜んで抱き締めてくれるわよ…」


「誰がするかっ! バラすなよ姉さん!?」


「…良いネタが入ったわね、しっかりと記録しておくわ」


最悪だ…下手な事言わなきゃ良かった。
これ絶対その内弄られるパターンだよ…



………………………




「………」


『ソレ』は、常に聖を『視て』いた。
この世界に僅かな細胞を連れて付いて来ていたソレは、ただ聖だけを『視て』いたのだ。
だが、ソレはあまりに大きな存在。
その気になれば世界のどこにでも顕現し、秩序の安定の為に力を行使出来る。
しかし、そこまでになるのには時間はかかっていた。
今、ソレはようやく本来の力を発揮出来るまでになったのだ。



「………」


しかし、ソレは理解が出来なかった。
何故、彼らはあんなにも楽しそうにしているのかが。
それが感情に基づく機能なのは解る。
だが、それだけではない何かが、あの集団にはある。
これまで聖を視続けていたが、聖の周りはあまりに混沌としている。
なのに、彼は常にそれを調和し続ける。
創造神より与えられし雫を持ちて、彼は常に混沌と戦っているのだ。



「………」


ソレは悩んでいた。
むしろそんな自分に疑問を持っている。
私は、どうすれば良い?
そんな事を自分に尋ね、自分は何も答えられない。
きっと、答えはもう出ているのに…



………………………



光輝
「っしゃあ!」

麻亜守
「何の〜!」

夏翔麗愛
「ちょこざいな! なのです!!」


光輝君はサッカーボールを蹴り、麻亜守ちゃんはそれをヘディングで返す。
すると夏翔麗愛ちゃんはすかさずそれを浴びせ蹴りで跳ね返した。


喜久乃
「よっと! 危ない危ない…」


喜久乃は夏翔麗愛ちゃんからのボールを蹴り上げ、それを綺麗にリフティングしてキープする。
4人がやっているのは定番の遊びで、4つの四角いマスの中でボールを蹴り合う奴だ。
これなら少人数でも出来るし、場所も取らないから気軽に遊べるよな〜


夏翔麗愛
「むぅ…流石は喜久乃お姉ちゃんなのです!」

喜久乃
「さーて、まずは誰を落としますかね〜?」


喜久乃は笑いながら3人を見る。
そして視線を光輝君に捉えた瞬間、ボールは夏翔麗愛ちゃんの方に向かった。
フェイントを入れた上でのキックに夏翔麗愛ちゃんは驚く。
流石に読心無しではこれは読めないだろう。


夏翔麗愛
「むぅ〜! 奇襲とはやるのです!」


夏翔麗愛ちゃんは大きくボールを弾き、外にボールを出してしまう。
すぐに念力でボールを止め、夏翔麗愛ちゃんは外に出てボールを喜久乃に返した。
流石にこの中じゃ光輝君と並んで年長だし、身体スペックも高いわな。
麻亜守ちゃんは逆に最年少だが、超能力の使用は有りというハンデは与えてある。
唯一光輝君はハンデ無しだが、それでも経験者らしくそれなりに立ち回っていた。



「喜久乃が手加減してるとはいえ、光輝君も運動神経は良いな」

光里
「まぁ、それでもあくまで同年代の人間の中じゃね…」
「やっぱり、ポケモンと比べたら話にならないし…」

沙譚
「まぁ、ポケモンでも人間以下の奴もいるみたいだがな…」

悶々
「僕はそもそも変身以外に能力無いんですから、ひ弱なのはしょうがないんですってば…」


「いや、十分スゲェだろ…つまり大愛さんみたいな伝説系でもコピー出来るって事なんだろ?」
「タイマンは弱くても、チーム戦ってなったらエースが倍になるってのは長所じゃねぇか?」


万丁君は流石に考えてるな。
しかしまだ甘い、万丁君は悶々の事を知らなさすぎる。


沙譚
「…悶々にその頭があれば、ある意味最強だった」

悠和
「変身しても、性欲の事しか頭に無いですもんね…」

光里
「それはそれで勿体無いなぁ…エンターテイナーとしても面白そうな能力なのに」

悶々
「ご安心を! どんな無茶なシチュエーションでも、しっかりAVにしてみせます!!」


ドムウッ!と、赤城さんのチョップが悶々の頭にめり込む。
さながら○斗神拳だが、○ート様以上に柔軟の体をしている悶々にはノーダメージだった。
この不死性も十分長所ではなかろうか?
どんな物理技でも無効化しちまうもんな…



「…本来メタモンは防御力なんて無いのに、どうしてこんな特徴を有してるのよ?」

悶々
「生存本能ですかね〜? それともこれも人化の影響?」
「まぁ、僕以外のメタモンはここまでじゃないみたいなんで、単に僕の特徴なのかも♪」

三海
「成る程、興味深いな…柔らかければ物理的衝撃はほぼ緩和出来る」
「ある意味最強の盾になれるわけだ」

沙譚
「良かったな悶々、就職先が見付かったぞ?」

悶々
「既に盾にする気満々!?」


「何というバカガード…その気になりゃ○ンシャインマグナムも使えるんじゃないか?」


「それだと、○ころてんマグナムだろ…絶対役に立たん奴だ」


確かにな…まぁバカだし、盾になれれば十分か。



………………………



白那
「…そうか、それなり…か」

大愛
「…ああ、決して悪くは無い」
「思ったよりも良い物だな…人の暮らしという物は」


「私も気に入った、人が作ったゲームは面白い」

鐃背
「ゲームも良いが、たまには体も動かさんといかんぞ?」

神狩
「その方が良い、伝説のポケモンでも鍛えておく事に意味はある…」

騰湖
「ふ…その点我は問題無い、更に良いアイテムも手に入れたからな!」


「お前の運動は意味違うだろ…どこを鍛えてるんだか」


俺は頭を抱えた。
騰湖の奴、また変なモン手に入れて遊んでるみたいだが、どんどん変態性が上がっている気がする…
やっぱ何かちゃんとした仕事をさせるべきだと思うんだよな〜
このままじゃ騰湖がどんどん堕落して行きそうだ…



………………………




「………」


ソレは、迷っていた。
姿を見せるべきなのか、それともこのまま視続けるべきなのか?
監視者たる存在が、私事でそんな事をして良いのか?
そんな自問自答が、ソレの中で何度も繰り返されている。
しかし、その問答に意味は無い。
何故なら、この世界はソレが本来いた世界では無いのだから…



「………」


秩序を守る…それはソレに与えられた使命。
だが、本来いた世界ではソレに価値は無かった。
何故なら、ソレがいなくとも秩序は常に造られるのだから…
ソレは、特別な何かが無ければ動く必要も無かった。
たまたま…たまたまだったのだ。
魔更 聖…夢見の雫を受け継ぎし、特異点。
ソレは、危険を感じ接触を試みた。
だが、聖を取り巻く絆は、常に混沌を調和し続けた。
例え記憶を失おうが、彼は何も変わらなかったのだ。
次第に、ソレは興味を抱いた。
自分が必要とされていない世界で、ソレは初めて意味を持たされたから…
初めて、彼は名を付けてくれた…その瞬間、ソレは聖の為だけの監視者となった。
この世界においても、ソレはただそれだけを糧に、聖を視続けている。



「…シ……キ………」


それは、希望であり望み。
自分には、意味がある。
存在して構わないのだと、きっと彼は言ってくれる。
だが、この世界には既に神はいる。
ソレは、ただ視ている事しか…出来なかった。



………………………



土筆
「やぁっ!」


「甘い! その程度じゃまだまだ戦えないよ!?」


私は土筆に戦闘訓練を施していた。
既に未生羅にも施しており、ふたりは明らかにレベルが足りてないのだとアタシは実感する。
これじゃ、進化も出来なくて当然か…


唖々帝
「動き自体は良いんだがな…特性にかまけすぎて戦い方のひとつも覚えちゃいない」

未生羅
「お姉ちゃん今日は厳しい〜…」


「甘ったれんな! アンタ等はアタシと聖さん、どっちが大事なんだ!?」


ふたりはビクッ!と体を震わし、同時に俯いた。
そしてアタシはため息を吐く…ふたりだって、望んで選ばれたはずなのに、ここまで意識に差があるとは思わなかったよ。


唖々帝
「…厳しいかもしれんが、私たちは聖を愛している」
「仮にお前等がピンチになっても、聖がピンチなら私たちは聖を選ぶ」


「だけど勘違いすんなよ? 聖さんは絶対にアンタ等を見捨てたりなんかしないんだから!」

土筆&未生羅
「………」


ふたりは俯いたままだった。
いつまでも子供のままでいさせるわけにはいかない。
ふたりよりも年下で立派に戦ってる奴もいるんだから…



「これから先、アタシに指1本でも触れられない様なら…姉妹の縁を切る!」

土筆&未生羅
「そんな〜!?」

唖々帝
「ふたりがかりでも良いんだぞ? 杏にどっちかが触れられればそれで終わりだ」
「時間はある、精々頭を使ってみせろ…」


アタシは軽くステップを踏む。
これでも訓練は欠かした事無い…家族の中じゃあまり強くないかもしれないけど、こと戦術とスピード勝負なら、そうそう負ける気はしないからね!



「さぁ、どこからでもかかって来な!?」
「それとも、諦めて元の世界に還されるか!?」

土筆
「!! うああああああああぁぁぁぁっ!!」

未生羅
「土筆!? 正面からじゃ…」


アタシは馬鹿正直に突っ込んで来る土筆の顎を蹴り上げる。
手加減はしてるけど、それでも後方に一回転して土筆は倒れた。



「頭使えって言ってんだよ!? アタシにタイマン出来るとでも思ってんのか!!」

未生羅
「土筆! 撹乱するんだよ! 別々の方向からタイミング合わせて攻撃だ!」

土筆
「く、くっそ…! 絶対に、絶対に諦めないんだからぁ!!」


アタシは泣きたいのも我慢してふたりを睨む。
そしてステップを踏んでアタシは加速する。
あっという間にふたりの後方に周り、アタシは『岩雪崩』を足元から放った。
当たれば効果抜群! さぁ足掻いてみせな!!


土筆
(速すぎる…! 例えこれをかわしてもすぐに追撃される!)

未生羅
(容易く同時攻撃で対処して来る…ふたり同じ事をしていても絶対無理だ!)


迫り来る岩雪崩に対し、ふたりは同時に動く。
まずは土筆が周囲に『撒き菱』を放つ。
続いて未生羅が『守る』で技を防ぎ、土筆を守ってみせた。
アタシは撒き菱のせいで踏み込むのを躊躇い、次の行動が遅れる。
やるじゃないか…少しは考えたね。



「だけど、これならどうだい!?」


アタシは即座に『地震』を放ち、再び同時攻撃する。
ふたりはそれを食らって膝を着くが、目は生きていた。
アタシは更に加速し、ふたりの周囲を回る。
土筆は更に撒き菱を撒き、未生羅はその場で『鉄壁』のポーズを取る。
アタシは再び岩雪崩を放ち、上から攻撃を加えた。
今度は未生羅が土筆を庇う様に覆い被さり、無理矢理防御力で耐えてみせる。
未生羅は血を吐くも、効果抜群のダメージに踏ん張って耐えていた。
そして、未生羅はそこからすぐに動き出し、アタシに向かって走り出す。
決して無策とは思えない、必ず何か仕込んでいる!
こんなんでもアタシの妹だ、言葉にしなくてもふたりは作戦を打ち合わせているはず!



(だけど、それで良い…アタシの読みを越えてみせろ!!)

未生羅
「!!」


未生羅は加速しながら突っ込む…だが、その加速度は予想外だった。
アタシは理解する…今のは『高速移動』! 今まで使えなかったはずなのに…
だけどアタシはそんな未生羅の顎に膝を叩き込み、空中に浮かせる。
未生羅は手を伸ばして触れ様とするが、アタシは追撃せずにその場から1歩退く…その瞬間、アタシは足に痛みが走り、顔を歪めた。



「なっ…!? 撒き、菱!?」

未生羅
「ああっ!!」


未生羅は浮きながらも口から『毒針』を多数発射する。
流石にかわせない! ここは『守る』で防ぐ!!


土筆
「!!」

「!?」


何と、既に背後から土筆が迫っていた。
やはり、未生羅を囮にして回り込んでいたのか!
しかも、この速度は土筆も『高速移動』を!!
アタシは障壁を展開し、全身を防御する。
これで触れられる事は無い。
アタシの速度なら、一瞬で切り抜けられる!


土筆&未生羅
「うああああぁぁぁぁぁぁっ!!」


突然、土筆と未生羅は体を光らせる。
遂に、来たのだ…この時が。
ふたりは体の構築を進化させ、アタシとそっくりな特徴に変化する。
そして、ふたりは守るの障壁が解けた瞬間、全力で加速した。
アタシは足の痛みに耐えながら、たった一足でその場から離れる。
同時に『地震』を放ち、ふたりを攻撃する…が、土筆はその場で守るを使い、その背後から未生羅が障壁を駆け上って飛び込んで来た。
その速度はアタシの硬直が解ける前に飛び込めるギリギリの速度。
身長がかなり高くなった未生羅は今までに無い長い腕を伸ばしてアタシに迫った。
アタシはそれに対し、蹴りをカウンターで合わせ様とするが、未生羅の考えを読めてなかったのに気付く。
未生羅はむしろ誘っていたのだ…アタシが反応する様に。
未生羅は蹴りを顔面で受け止め、同時にアタシの足を両手でしっかり握った。
アタシは俯き、そして微笑する。
やりゃ出来んじゃん…♪



………………………



土筆&未生羅
「え〜ん! え〜ん!!」


「ったく…進化しても性格は変わらないのか」

唖々帝
「ガタイだけ、やけにデカくなっちまったな…」


ふたりは身長が180p位まで上昇しており、服がピッチピチになってしまっていた。
特に胸の辺りがかなり苦しそうで、そっちも相応にデカくなった様だ…



「もう、これでアタシに頼らなくても戦えるな?」

土筆&未生羅
「え〜ん! うぅ…はい!」


アタシはとりあえず満足した。
まだまだ教える事は多いけど、これを切っ掛けに独り立ち出来れば1番良いんだけどね…



………………………



櫻桃
「そうそう、味付けはそんな感じで良いよ」

香飛利
「ん〜良い匂い〜♪」

借音
「香飛利ちゃんもすっかり料理が上手くなったわね♪」

守連
「スゴいなぁ〜香飛利ちゃん、ちゃんと焼けるんだ〜」


香飛利ちゃんは櫻桃さんと借音さんに師事して、バーベキューの焼き方と味付けを学んでいた。
綺麗に焼けた1本の串焼きはとっても良い匂いで、私もお腹が空いてくる香りだ。


香飛利
「〜♪ 美味し〜幸せ〜♪」

守連
「うわぁ…そんな顔されたら私も欲しくなるよ〜!」

櫻桃
「まだ、夜の分もあるんだから、程々にしなよ?」

借音
「ふふ、でもふたりは大食いだし、少し位は大丈夫ね♪」


そう言って借音さんは私にも1本焼いてくれる。
私はそれが出来るまでは香りだけ楽しむ事にした。


守連
「あ〜! 良い匂いだよ〜!」

櫻桃
「犬みたいだな…本当はネズミなんだけど」

借音
「ふふ、守連ちゃんらしいわね♪」

香飛利
「…? 貴方も食べる〜?」

櫻桃
「!? な、何…ソレ?」


香飛利ちゃんは何かの存在に気付き、串を差し出していた。
それにはまだ肉が残っており、香飛利ちゃんはそれを食べさせてあげようとしているみたいだ。
だけど、私たちは絶句する。
足元にいるソレは、水色の体の何かだったのだ。
見た事も無い形で、無造作に宙を浮いている。
目がふたつ付いており、何かの生物だとは思う…けど、ソレは何も反応せずに、串をただ見ていた。


借音
「あら…何かのポケモン? お腹は空いていないみたいだけど」

守連
「解るんですか?」

借音
「かなり微弱だけど、思考はあるみたい…でも、ちょっと解り難いわね」

櫻桃
「もしかして、これが例のポケモンなんじゃ?」

守連
「あ、そういえば…そうなのかな?」


ソレは小さく、体長は30p程みたいだった。
未だに串を見続けており、興味があるのかどうかも解らない。


守連
「とりあえず、聖さんの所に連れて行くね!」

借音
「あ、守連ちゃん! これ!」


私はすぐに反応し、一口で串の肉を全て口に放り込んだ。
そしてそれを噛み締め、味わいながら小さなポケモンを聖さんの所に連れて行く事にする。



………………………




「…久し振り、ですね」


「………」


俺は、すぐにソレが何なのか察した。
守連が抱き抱えて俺に持って来たのは、ひとつの…ジガルデセルだったのだ。
そして、この通常色とは違う色を見て、俺は確信した。
やっぱり、ずっと視ていてくれてたんだ…



「色(しき)さん…まさか、付いて来ていたなんて」
「でも、どうしてこの姿で? 元の姿にはなれないんですか?」


「………」


色さんは何も言わなかった。
やがて色さんは粒子化し再び消えてしまう。
一体…どうしたんだ?



「まさか、名前まで与えてたとはな…」


「すまない…こうなった以上は全部話すよ」


俺はそう言って皆を集め、あの時起こった混沌の事を話す。
すると、守連だけはその場で反応していた。



………………………



守連
「聖さんも…そうだったんだ」


「成る程、って事は守連もか…」


お互いに、その時の事を細かく話す。
考えていた事は大体同じだった様で、向こうの世界の人に迷惑をかけない様にと黙ってたんだな…
しかしそうか…あの人が、守連たちを守ってくれてたのか。


三海
「…そうか、あの時のか…ワタシも思い出した」
「てっきり、夢だと思ってたが…そうか、夢じゃ無かったのか」


誰もその時の事を語らないなら、夢だと思うわな…
特にあの時の三海はまだ幼年期だし、記憶の整理も大変だったろうからな。


白那
「しかし、オレに似た別人ね…」

大愛
「とりあえずその話はいい、問題はそのジガルデが敵かどうかだろう?」


「…どちらでも無い、と思います」
「あの人は、あくまで監視者…中立の立場だから」


「…だけど解せないわね、それなら何で姿を見せたの?」


確かに、解らない事だらけだ。
しかし、それならそれで俺は名軍師に頼る事にする…
つーか、今まで放置してたが、初めから聞いときゃ良かったよ!
ってな訳で俺はスマホに耳を当てる。



「…もしもし、聖です」

恵里香
『おお、ボクの可愛い聖よ! 残念ながら彼女は敵じゃない!』
『だけど、彼女は常にキミを視ている…理由は解らないけどね』


恵里香はネタを混ぜながらそう返す。
流石に蛙使ったら恵里香も通話出来ないし、ネタとしては入りが悪かったな!



「ちなみに敵じゃない根拠は? 後、次のテメーの台詞は勘さ…だ!」

恵里香
「もちろん勘さ…はっ!?」


俺はニヤニヤしながらしてやったりと思う。
こういう曖昧な時の恵里香は大抵勘だからな…
俺はスマホを仕舞い、とりあえず考えた。
色さんは敵じゃない…なら、何故姿を見せたんだ?
色さんが姿を見せるのは、秩序が乱れた時のはず…今はその状態なのか?
とにかく、これ以上は考えても仕方が無い。
俺はただこう呟いた…



「俺は、信じていますよ…色さんとの廻り合わせは、決して偶然なんかじゃ無かったって」


優しい風が吹いた。
だがその場に色さんは現れない。
いや、現れてはいけないなのだろうか?
もしかしたら、何か悩みがあるのかもしれない…
でも、不思議と安心はしていた。
何故なら、色さんはいつでも側にいる。
それなら、きっとまた話をする事だって出来るはずさ…
俺は、そう信じた。










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



第2話 『秩序を護る監視者』


To be continued…

Yuki ( 2019/05/17(金) 20:58 )