とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない













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序章 『魔更 聖、17歳への道』
第1話

「リア充やっぱり爆発しろ」


突然だが、俺の名は『魔更 聖』(まさら さとし)…至ってフツーの高校生だ。
…オイコラ、何言ってんだテメー?とか今言った奴、誰だ?
まぁ、俺の事は別にもう良い…
そもそも、続編なんだからイチイチ自己紹介なんていらんだろ…と思うのだが、これは素人考えだろうか?

あ? シリーズ完結したんじゃねぇのか?だって…?
バッカだなオメー…前シリーズは前シリーズ、これは新シリーズだからノーカンよ!
あん? 屁理屈こねてないでさっさとエロい娘出せ?



「この作品はギリギリCERO Zだっ!! なのでエロシーンは無い!」


まぁ、実際審査してZで収まれば良いのだが…
そもそもR18でもHシーン皆無なクソゲーもあるし…この場合はどう分類されれば良いのか…



「つか言っててアレだが、前作なんかは下手すりゃグロシーンの方が多いわっ!!」
「切断とか爆殺とか圧殺とか、今考えたら結構色んな趣向の殺し方あったなホント!?」


冷静になると、やはりこの作品は最低でも17歳以上指定が無いとアカン気がするわ…ポケモン作品なのに。( ; ゚Д゚)



「つか、新シリーズ開始から飛ばしてんなぁ〜」
「まぁ、そもそも現実世界の日常回とか、実は初めてだったりするんだけどね…」


前作の1〜3章では夢の世界で現実じゃなかったからな…
まぁ夢見の雫の力で、現実とほぼ変わらないクオリティの夢世界ではあったのだが…
つーかメタな話、読者的にはあんま変わらんわな…
と言うわけで、流石にそろそろ日常を進めようかと思う。

そこっ! 遅ぇよ…とかツッコムな!!



「ったく…折角の新年明けましてだってのに、面倒なこった」


俺はちなみに今ランニングしている。
時間は早朝で、現実に戻ってからは欠かさずやってる。
流石に冬真っ盛りの季節にこれは相当寒いのだが、それでも動き続けていれば体は暖まる。
俺は上下赤色のジャージに身を包み、とりあえず街を走っていた。
距離にして約10km、とりあえず毎日の目標だ。
まだまだもやしの体は強くならない…俺が退院したのがクリスマス後だから当然だわな。

あれから、俺はとりあえず家の事や姉さんの事、そして守連たちポケモン娘の事を色々と情報整理した。
守連たちの事は姉さんにしか今の所明かしておらず、世間的には当然秘密の存在だ。
何だかんだで無理はあると思うが、それでも近所相手には誤魔化してあるし、姉さんも協力してくれてるから今の所大丈夫だ。
実の所、問題点と言えるのは食費なんだが…それも阿須那や華澄が何とかしてくれるとの事。
まぁ、夢の世界での経験もあるし、阿須那はまた姉さんの所で働く気だろう。
華澄も新聞配達の経験は活きるだろうし、きっと大丈夫。

となると、後は守連と女胤なんだが…



(守連はまぁ仕方ないしにしても、女胤もなぁ…)


いかんせんあの頭の花は誤魔化しが効かん。
正直阿須那も見た目はそうなんだが、こっちは姉さんのフォローがあるから多分大丈夫だしな。
とはいえ、やっぱり対策は欲しい所か…後、資金。
そうそう、言い忘れていたが俺は何気に元金持ちだ。
実は俺の両親は『マサラITエンジニアリング』と言う、世界でも有数のIT企業の社長&会長で、その遺産は数10億にも上る。
そして、その遺産の分配は息子である俺に5割、残りが親戚に分配という形で一応処理されていた。
がっ! それはあくまで俺が物心つく前に終わった話であり、俺を引き取った親戚は事もあろうに俺の持っている資産を私物化してやがった。
この事は俺が退院した後、あえて詳しく調べたから解った物で、今は弁護士に正式に依頼して調査してもらってる。
今はその結果待ちだが、上手くいけば遺産の大半は俺の手元に戻る事だろう。



(以前の俺は、全てに絶望して何もかもどうでも良くなってたからな…)


近付く者全ての手を払い、俺は勝手に諦めて勝手に裏切って勝手に自殺した。
だが、今の俺は違う!
俺はちゃんと今回は真摯に生活と向き合い、断固たる決意を持って親戚を法的に裁くと決めたのだ。
まぁ、とりあえずこれは調査結果待ち…今は何とかなけなしの資金で何とかするしかない。
幸い姉さんも資金は援助してくれると言ってくれたし、しばらくは甘えさせてもらうしかないだろう。



………………………




「ふぃ〜…ただいま〜っと」


「ああ、お帰り聖君…ご飯にする? それともお風呂? それとも、オ・レ?」


俺は玄関でいきなりそんな夢の様な出迎えを受けた。
その人は傍目に見て間違いなく美女と言える女性で、パールホワイトの長い髪がサラリと靡く長身美人。
白い長袖の服と、薄紫の長ズボンを身に纏ったその人は、優しい微笑みで俺をニコニコ見ていた。
その際のポージングは前屈みで、胸の谷間をわざと見せ付ける悩ましいポーズ!
俺はあまりに突然の出来事にしばらく呆然とするも、すぐに吹き出して笑ってしまう。
すると相手もクスクス笑い、互いに笑い合いながら、やがて俺は笑顔でこう言った。



「この場合は、こっちがお帰りと言いたいですよ、『白那』(しろな)さん♪」


そう、この人は白那さん。
パルキアというポケモンで、空間を自由に操れるチートお母さん。
3人娘がおり、それそれがユクシー、アグノム、エムリット。
とはいえ、血を分けた親子ではなく、あくまで養女という形で白那さんが育てた子供なんだそうだ。


夏翔麗愛
「お父さ〜ん!」


「わっ! あっはは…夏翔麗愛ちゃんも元気そうで何より♪」


俺に浮遊して飛び付いて来たこの娘が、エムリットの夏翔麗愛(かとれあ)ちゃんだ。
3姉妹の末女で、一応10歳となる。
とはいえ、この娘は見た目そう見えるだけで、精神的には実際20年分の経験を積んでいる、ちょっと複雑な事情の娘だ。
まぁ、その辺の細かい設定は前作見てくれると助かる…
俺は夏翔麗愛ちゃんを抱き締め、優しく頭を撫でてあげた。
って、流石に失礼か? 仮にも精神年齢は上だもんな…


夏翔麗愛
「むふふ…お父さんが望むのであれば、幼児プレイも一向に構わんのですよ?」

白那
「こらこら…聖君が困るからそういうの言わない!」


「あ、はは…だけど、いつこっちに?」


俺が夏翔麗愛ちゃんを離してそう聞くと、白那さんはおっとりとした表情でニコニコ笑う。
白那さん、普段はこうやって昼行灯な性格してるからな〜
本気になると、マジに怖いのでそこは要注意だ。


白那
「ついさっきね…元の世界から呼ばれる様に転移させられたよ」
「気が付いたら、あの城と一緒にこの世界に来てね…」


「城って…あの夢の世界の!?」


それは、かつて守連たちと白那さんたちが戦った場所。
かつて俺が軟禁されていた城でもあり、白那さんたちとの出逢いの場でもある。
本来なら偶然白那さんが見付けて、そのまま住み着いたって話だけど…


夏翔麗愛
「とりあえず、城は前の戦いで一部倒壊してしまったので大変なのです!」


「前の戦いって…え!?」

白那
「そっ、どうやらあの城は夢の世界の建造物じゃ無かったって事みたいでね…」
「だから、破損した部分もそのままだったみたい」


成る程な…現実のどこかにあった物を白那さんが手に入れて空間剥離させていたのか。
…とりあえず、細かい用語は前作を見てくれ!
この作品にtips機能とかいう便利な仕様は無いんだ!


白那
「まぁ、とりあえず城の修復はボチボチやるし、その辺は気にしなくても良いよ♪」


「そうですか…そういえば棗ちゃんや藍は?」

夏翔麗愛
「ふたりとも城の方にいるのです! 後でお父さんも来るのですよ♪」


そうか…それなら後でお邪魔しないとな。
さて…って事は他にも、こっちの世界に来てるメンバーはいるかもしれない。
俺の願いはかなりアバウトに皆を呼び寄せたものだからな…最低でも俺を気にかけてくれる人以外は来てないと思うが。


阿須那
「とりあえず、そんな所で立ち話せんでさっさと着替え!」
「朝食出来たさかい、早よ食べるで!」


奥から阿須那(あすな)がそう言ってエプロン姿で顔を出す。
彼女はキュウコンの『阿須那』で、我が家のおかん。
家では最年長で、料理も得意な頼れるお姉さんだ。


白那
「それじゃ、とりあえずオレたちは一旦戻るよ…」

夏翔麗愛
「なのです! 後でまた来るのです♪」


そう言ってふたりは手を振り、白那さんの空間転移でその場を離れた。
あらら、どうせなら一緒に食べていけば良いのに…とは思ったが、他のメンバー考えたらこの食卓に集まるのは無理だと思った…まぁ、しゃあないな。



………………………




「おっ、シンプルに焼きサバか…相変わらず上手そうだな」

阿須那
「守連は足りんかったらいつでも言いや?」

守連
「うん、分かった〜いただきま〜す♪」


ピカチュウの『守連』(かみつれ)は、早速凄いスピードで食い始める。
ご飯がどんぶり満杯だもんな…流石はフードファイター。
体は小さいけど、運動神経は抜群のパワーファイターでもある。
何気に筋トレが好きらしく、腹筋は割れてたりするからかなり凄い。


華澄
「それでは拙者も、いただきます…」


ゲッコウガの『華澄』(かすみ)もいつも通り、ゆっくりとした手付きでしっかり食べる。
華澄は少食だから、俺たちよりも更に少ない量をゆっくりと食べていた。
守連よりも更に小さな体の華澄は、こう見えても18歳のお姉さんで、阿須那と並んで家を支えてくれてるひとりだ。
阿須那が仕事の時は華澄が家の事はやってくれてたからな…


女胤
「……むむ」


ドレディアの『女胤』(なたね)は、相変わらず魚の骨を取り除くのが苦手の様だ。
とはいえ、それでも成長はしているのか、今ではそれ程拙くも無い感じ。
元々女胤は料理以外の家事は出来るし、何よりちゃんと家族への気遣いが良く出来る、『傍目』には良い女だ。
俺はそんな皆の食事を見ながら自分も食べる事にした。
うん、流石は阿須那…和食はまたまだと言っていたが、それでも良い味だ。



「阿須那は今日は『こすぷれ〜ん』に行くんだよな?」

阿須那
「とりあえず、店長の『勇気』(ゆうき)はんに顔見せだけやけどな…」
「ホンマは後でもエエんやけど、年始はイベントやる言うてたから店出てるらしいし、面接がてらとりあえず行ってくるわ」

華澄
「今は年始との事で、仕事は控える物と思っておりましたが、こすぷれ〜んでは違うのですか?」

阿須那
「あくまでイベントやかららしいで? 昼から夕方までのゲリラ開催らしいし、多分そこまで急がしはないんちゃうか?」


ああ、そう言えば姉さんがそんな感じで前に説明してくれてたな。
何でも毎年の事らしいから、ゲリラっていっても客にとっては周知の事実で、むしろかなり忙しいらしいが…
まぁ阿須那は夢とはいえ経験者だし、多分何とかするだろ…


女胤
「聖様、生活費の方は大丈夫なのでしょうか?」

守連
「うぐ…もしかして、私食べ過ぎた?」


「あ〜お前らは気にすんな! 生活費の事は何とかすっから、とにかく食え!」
「特に守連は大食いなんだから、しっかり食え!」


女胤は心配そうな顔をしながらも、やがて食事を続ける。
守連は躊躇いながらも、やはり食欲には勝てないのかガツガツと食べ始めた。
全く…気を使ってくれるのは嬉しいが、家の事は家主の俺を信じてほしい物だ。
…まぁ、頼りないと言われたら仕方ないんだがな!


阿須那
「…とりあえず、当面の事はウチが何とかするわ」
「風路(ふうろ)はんも全面的に助けてくれるし、しばらくは大丈夫やろ」


ちなみに風路とは、ケンホロウであり、俺の姉さんでもある。
血は繋がってないけど、俺にとっては育ての親でもあり、一番大切な家族のひとりだ。


華澄
「拙者も、早めに仕事を見付けるでござるよ」
「新聞配達なら経験がありますし、また同じ仕事をやってみるでござる」


華澄は以前の経験を活かしてみるつもりだな。
まぁそれでなくても華澄は何でも出来るし、やろうと思えば何でも出来ると思うんだけど…



「何だったら、阿須那と一緒にこすぷれ〜んで働いたらどうなんだ?」
「そっちも夢の中でなら経験済みだし、華澄なら文句無しだろ」

華澄
「め、めめめ滅相もない! そんな拙者にはやっぱり似合わないでござるよ!!」


おやおや、華澄さんともあろうお方がここまで狼狽えるとは…
華澄さんなら阿須那と並んで2枚看板になれる逸材なんだがな。


阿須那
「…まぁ、華澄なら確かに人気出るやろうけどな」
「せやけど、本人にやる気無いなら止めた方がエエわ、お客さんかてそういう空気は読めるし」


おっ、ここはさも経験したとばかりに阿須那が口を挟んだな。
実際に現実でやるのは阿須那も初めてだろうに…
とはいえ、実際問題阿須那ならやれば出来るだろうし、姉さんが現役の内にモノになれば問題は無い、か…

ちなみに、風路姉さんはこの街の商店街にある喫茶店『こすぷれ〜ん』で働いてる店員だ。
家がそのまま店でもあるし、家業とも言えるか。
名前で察せられるとは思うが、こすぷれ〜んはコスプレによる接客をメインとしたいわゆるソッチ系のお店。
とはいえ、そんじょそこらのメイド喫茶とは訳が違い、日本でもかなり有名な店だ。
細かい設定は夢の中の時と同じなので割愛するが、姉さんはそんな店でコスプレしながら店員してるってわけだ。
とはいえ、その仕事も今季限りって話だけど…


阿須那
「なぁ、聖…風路はん引退するってホンマなん?」


「みたいだな…来期の4月からは2号店立ち上げて店長やるって言ってたけど」

華澄
「おお、風路殿が店長でござるか…流石でござるな」


って華澄感心してるが、現実での姉さんの事は解ってないだろうに…
まぁ、夢の世界での姉さんは他人設定でも性格はそのままだったけどな。


女胤
「…しかし気になるのですが、何故風路さんはあの夢の世界では他人だったのでしょうか?」
「聖様にとって、姉とも言える重要な家族が、何故?」


「…ぶっちゃけ、俺が細かく設定してなかったせいもある」


俺は、今更だが初めて皆に説明をする事にする。
何故、あの夢の世界を造ったのか、その時俺はどんな状態だったのか…



「全てを諦めて、全てに絶望して、俺は最終的に自殺をした」
「そして死ぬ瞬間に俺は心の中でただ幸せを願った」
「その時の曖昧な願いを『夢見の雫』が叶えてしまったのが、あの夢世界の発端さ」


夢見の雫とは俺が現在進行形で継承中の、唯一無二のチートアイテム。
創造神たるアルセウスさんが誰かの幸せの為にと思い、造り出された奇跡を起こすアイテム。
それは、先代たる姉さんから俺に受け継がれ、今でも俺の心の中に存在する。
その力は、どんな奇跡でも起こすというチート効果。
ただ、その効果にはデメリットもあり、軽々しく使おうものなら世界を消滅させる程のデメリットも起こり得る。
ぶっちゃけ、怖くてそうそう使えないってのが本音だ。
だけど、それでも頼らなきゃならない事もある…
護りたいモノがあるから、その為なら俺はコイツを使いこなしてみせるさ。


阿須那
「せやけど、それが何であんなクソルールになったんや?」
「ウチ等4人が選ばれたんはともかく、何でそれ以外が弾かれる様なルールを?」


「俺はあくまで、幸せを願っただけだ」
「だから、ルールに関しても雫が勝手に設定しただけの物だったんだろう」
「俺の願いは、ずっと幸せな夢を見ていたい…大好きなポケモンとずっと」
「…まぁ、その時お前たちの顔が浮かんだからそれを雫が重要と判断したんだろうな」


そして、結果悲劇を引き起こすわけだが…
まぁそれも過去の思い出、今となってはあれも良い経験だった。
もっとも、アレは2度と引き起こす事は許されない程の悲劇だけどな。
思い出すだけでも、俺は怒りと後悔が溢れる。
俺は拳を軽く握り、あの時の想いを少しだけ思い出した。


女胤
「しかし、それでしたら完全に設定ミスと言えますね」
「わざわざルールに穴を作って、他の者が成り代われるシステムを作るだなんて…」

阿須那
「…確かにな、そのせいであんな争いが起こったんやから」


ふたりも、あの時の戦いを思い出して俯いてしまった。
あの戦いは、意味こそあれど起こすべきでは無かった争いだ。
それも全部、俺と夢見の雫のせいなんだが…



「他の者が参戦出来るのは、完全にイレギュラーだったと思う」
「だが同時に、それだけ俺は他の人にも愛されていたのだろう…」
「雫にとっては、俺が認めるのであれば、4人は誰でも良かったのかもしれない」
「だけど、世界の維持の為に俺に真相を明かす事はNGとした」
「雫にとっては、あくまで俺の願いに応えた幸せの世界」
「だから、俺が夢から覚めるのは根本的に世界の崩壊」
「あのクソルールの理(ことわり)は、雫の防衛システムでもあったんだろう…」


守連
「…ご馳走さま」


俺がそこまで説明すると、守連は酷く落ち込んだ顔で立ち上がった。
食器を流し台に持って行き、そのまま2階の自室に向かう。
やれやれ、解りやすい奴だな。


華澄
「守連殿は、1番あの戦いを嘆いていましたからな…」

阿須那
「元々争うのは嫌いなやっちゃ…しゃあないやろ」

女胤
「ですが、この場で話す話題では無かったかもしれませんね…」


3人とも俯いてしまった。
全く…折角の新シリーズでいきなり暗くなるなよな。
って、大体俺のせいなんだが…一応、前作で説明してなかったから、読者への解答でもあるんだよな。



「とりあえず、もう終わった事だ…今は忘れろ」
「後、そんな顔絶対に白那さんたちに見せるなよ?」

華澄
「は、はいっ! 申し訳ありません!!」
「そうですな…今は白那殿も家族の一員、仲間でござる」

阿須那
「…とりあえず、ウチは準備して出るわ…帰りはどうなるか解らへんから、とりあえず誰か家にはおって」

女胤
「分かりました、最低でも私か守連さんで留守番をしておきます」


とりあえず皆朝食も終わり、それぞれ片付けをした。
女胤は洗い物を担当し、華澄は家の掃除を。
阿須那は自室に戻って着替えるのだろう。
さて、俺はとりあえず部屋に戻るかな…



………………………




「………」


俺は自室で冬休みの宿題をやる。
何だで入院中は出来てなかったから、だから少しメニューは多めだ。
サボったら癖になるからな…習慣はやっぱ大切にしないと。
成績は至って平凡だが、これ位で俺は構わない。
何やるにも平均点あれば良いのが俺の考え方だからな。
とはいえ体も鍛えなきゃならないし、今後は大変だ…少し生活習慣見直さないとなぁ。



「やれやれ、すっかりゲームやる暇も無いし、置きゲーも溜まる一方か」


俺は棚に収まってる3○Sのソフトを見る。
中古で安く買って、そのまま手を付けてないのも多数あるからな…
肝心のポケモンも、ウルトラは触ってもいない。
まぁ、高校入ってから俺はやさぐれてて、マトモにゲームとかやってなかったんだが…



(特に、ポケモン系は避けてたんだよな…最後にやったのはムーンだっけか)


俺はふと思い出し、何となく本体を手にした。
そして充電ケーブルを差して、電源オン。
画面が起動し、俺はソフトを確認する。
そこには確かにムーンが表示されており、やはり最後に起動したソフトの様だった。


夏翔麗愛
「おっ、ゲームが色々あるのです!」


「うわっ!? 夏翔麗愛ちゃんいつの間に!?」


気が付いたら夏翔麗愛ちゃんが部屋にいた。
ドアを開いた形跡は無いし、一体どうやって?
って、冷静に考えたら簡単か…


夏翔麗愛
「とりあえず、お母さんの能力でちょちょいのちょいですよ!」


「ですよね〜」


そう、これが白那さんの空間操作…
白那さんはこんな風に空間を繋げたりしてワープもお手の物。
自分以外の物も送り付ける事が出来るし、本当に凄い能力だよな…


夏翔麗愛
「むぅ、タイトルだけだと流石に内容が解らない…」


「やってみるか? やり方教えてやるよ」


俺がそう言うと、夏翔麗愛ちゃんは目を煌めかせて興味津々になっていた。
元々、こういった娯楽に縁が無かったみたいだし良い機会だろ。
俺は簡単に操作方法を教えてあげ、夏翔麗愛ちゃんは流石の才能でそれを覚えていく。
やっぱエスパータイプって、学習能力高いのかね…



………………………




「じゃあ、好きなゲームやってて良いよ、俺はまだ宿題あるから」

夏翔麗愛
「はいです! それじゃあまずはどきどき○女神判を…」


開幕からレベル高ぇな!! それ、あんまり女の子がやるゲームじゃないと思うよ!?
まぁ、バカゲーだしその辺は割とどうでも良いのかもしれないが…
俺はとりあえずそのまま勉強に集中し、時折聞こえる美少女の喘ぎ声に、少し悶々としながら宿題を終えた。
画面見てないとやっぱエロゲーみたいだよ!!



………………………




「やれやれ、まだ昼には早いか…」

夏翔麗愛
「そういえば、城には来るのです?」


あぁ、そういや城が修復予定とか言ってたな。
他の人にも挨拶とかしたいし、とりあえず行ってみようかな?
俺は終わった宿題のノートやプリントを机の棚に仕舞い、夏翔麗愛ちゃん見てこう聞く。



「それじゃあお邪魔しようかな…どこにあるんだ?」

夏翔麗愛
「じゃあ案内するのですよ♪ あ、これ借りてても良いのです?」


「ああ、良いよ…他にもソフトいるなら持って行っても良いから」


俺がそう言うと、夏翔麗愛ちゃんは喜んでゲーム機を抱えた。
ははは…こういう所は子供のままなんだな。
とりあえず、俺は夏翔麗愛ちゃんに案内され、一旦外に出る事に。



………………………




「…夏翔麗愛ちゃん、人目に付かない様にな?」

夏翔麗愛
「大丈夫なのですよ、すぐそこなので」


は? すぐそこって…おいおい、夏翔麗愛ちゃん庭の方に向かって行ったが、何があるんだ?
俺が夏翔麗愛ちゃんに付いて行くと、やがて庭を抜けて家の裏側に回る。
そこはいわゆる物置きであり、普段使わない物を置いてある場所なんだが…
夏翔麗愛ちゃんはその内の、ほとんど使ってない倉庫の扉を開けた。
中身は何も入ってなく、本当に使ってないのが良く解るな。
しかし、夏翔麗愛ちゃんはその倉庫に入ると、姿を消してしまった。
な、何がどうなってるんだ!?
俺は倉庫の中を見てみるが、何の変哲もない。
しかし、夏翔麗愛ちゃんは消えてしまった。
俺が立ち尽くしていると、突然倉庫の中から首だけ出す夏翔麗愛が。


夏翔麗愛
「こっちですよ、早く来て!」


そう言って夏翔麗愛ちゃんは俺の手を引き、そのまま倉庫の中に引き入れる。
するとどうだろう…気が付けばそこは見覚えのある庭園だった。



「嘘…だろ?」

夏翔麗愛
「これが現実なのですよ! お母さんの能力で空間を繋げたのです!」


成る程、そうだったのか。
白那さんの空間操作で入り口にしてたんだな…
俺は改めて庭園を歩く。
あれから時間が経っているのか、やや花々は元気を失っている様にも見える。
しかし、それでもそんな花々の手入れをしている人はいた。
俺はその人を見付け、駆け寄って声をかける。



「浮狼(ふろう)さん!」

浮狼
「聖様! お元気そうで何よりです…」


そう、そこにいたのはラランテスの『浮狼』さん。
この庭園の管理人であり、手入れや剪定をしていた人。
彼女は今は普段着を着ており、白のカッターシャツにピンクのズボンを穿いている。
手には小さな鎌を持っており、今も花の剪定をしているみたいだ。



「浮狼さん、無理矢理呼び寄せた様な形でしたけど、大丈夫でしたか?」

浮狼
「はい…正直不安はありますが、それでも民たちは助け合う心を学んでくれたとは思います」

浮狼さんは嬉しそうな顔をしてくれたものの、それでも内心かなり辛そうにも感じた。
責任感は強い人だ…女王打倒は成功したとはいえ、そこから世界はどうなるのか…それが気になっているのだろう。


浮狼
「…申し訳ありません、私はきっと王としては失格です」
「聖様にお会い出来て、心から嬉しい反面…私は残された民たちを見捨てたのかもしれません…」


「…それは、俺のせいにすれば良いです」


俺はなるべく優しい声でそう答える。
浮狼さんは辛そうな顔をし、それても涙を堪えて顔を押さえていた。
浮狼さんはそれ程に俺を愛してくれているのだ…俺は、逆に何て身勝手な男なのか。


浮狼
「聖様は、やはり優しすぎます」
「その優しさは、私の罪悪感すら塗り潰そうとしてしまう…」


「なら、好きなだけ甘えてください…もう、この世界で我慢する必要はないですから」


俺がそう言うと、浮狼さんはピタリと震えを止める。
そして涙を拭い、しっかりとした顔で俺を見た。
そこにいるのは、いつもの浮狼さんだ。


浮狼
「お見苦しい所をお見せしました…ですが、まだ私は弱くなるわけにはいきません」
「これからは聖様の剣となり、いかなる障害をも払ってみせましょう!」


そう言って浮狼さんは片膝を着き、騎士の様な敬礼をする。
俺は逆に照れ臭くなり、頬を掻いて目を逸らした。


夏翔麗愛
「むふふ〜♪ お父さん照れてるのです!」


「だぁ〜! とりあえず浮狼さん、そういうのは良いですから!」
「仕事の邪魔をしてすいませんでした…俺、他の人にも挨拶してくるんで」

浮狼
「!! いえ、そこまで配慮が至らなかったのは私の不備です!」
「申し訳ありませんでした、どうぞ…先へお進みください」


俺は浮狼さんにそう促され、照れながら庭園を進む。
やれやれ…前と違って完全にVIPだな。
この扱いだと、他にも…



「おっ! 聖様じゃん!!」


突然横から抱き付かれ、俺はバランスを崩す。
何事かと思うが、俺を抱き締めていたのは長身の女性で、紫の長髪と2本の角が特徴のポケモンだった。


浮狼
「こらペンドラー! いきなりは聖様が驚かれるでしょう?」

ホイーガ姉妹
「アハハッ! お姉ちゃん怒られた〜♪」


そう、俺を抱き締めて笑っているのはポケモン娘のペンドラーさん。
浮狼さんの参謀でもあり、斬り込み隊長でもある。
やや粗っぽそうな性格ではあるものの、頭の回転はすこぶる早く、作戦を立てるのも得意な智将の面も持つ凄い人だ。
そして同じく笑っているのは妹さんのホイーガ姉妹。
それぞれライト、レフトと、そのまんま過ぎる名前が付けられており、ふたりは双子らしくよくシンクロする。
動きから話すタイミングまで見事に合っており、ある意味双子エスパーも真っ青だ。
ホイーガ姉妹のふたりは、ふたりとも同じ服を着ており、正直見た目が全く判別付かない。
体の所々にホイーガらしい棘が突き出しており、角もある。
虫タイプらしい特徴とは言えるが、やはり人化したポケモン娘としては少々見た目が不利とも取れた。
その辺お姉さんのペンドラーさんはまだマシなんだけどな…


ペンドラー
「あっはっは! まさか、アタシたちまで呼ばれるとは思ってなかったよ〜」
「てっきり、大将だけだと思ってたのに…」


「それは、ペンドラーさんたちが少なからず望んでくれていたからですよ」
「俺が願った願いは、あくまで俺と共に幸せを望むポケモンを家族に迎える事…」
「ペンドラーさんたちがここにいるって事は、ペンドラーさんたちが望んだから…だと思いますけど」


俺は言っててかなり恥ずかしくなった。
かなり直球に言ってしまったが、そのまんまは流石に失礼だったかもしれない。
だけど、ペンドラーさんたちはポカーンとしており、その後すぐにアハハッと笑っていた。


ペンドラー
「そっか〜アタシにもまだ、そんな気持ちは残ってたか〜…」


「…え?」

浮狼
「…ペンドラー! そろそろ仕事に戻って!!」
「聖様はまだ挨拶回りの途中、邪魔をしてはいけません」


突然、話を切る様に浮狼さんはそう言った。
それを聞くと、ペンドラーさんたち3姉妹はすぐに表情を切り替え、如雨露を手に持って花の水やりを開始する。
俺は流石に気になったが、浮狼さんのこの反応を見ると、あまり立ち入らない方が良いのかもしれないと、何となく思ってしまった。


夏翔麗愛
「…お父さん、今は気にしないで」


「…あ、ああ」


夏翔麗愛ちゃんはそう言って俺の手を引く。
夏翔麗愛ちゃんもどことなく悲しげな感じがしたな。
エムリットである夏翔麗愛ちゃんは、他の者の感情を感知して心すら読めると言う。
こと読心能力や探知能力に関してはスペシャリストらしく、これは姉妹の中でも随一の物だそうだ。
そんな夏翔麗愛ちゃんは、ペンドラーさんからどんな感情を読んでしまったのか?
俺は気にはなるものの、まだまだペンドラーさんとは絆が浅い。
そんな俺が易々とペンドラーさんの心に触れる様な行為は、ただ傷付けるだけの行為でしかないだろう。
俺は、少し自分の立場を見直す事にした。
他に誰がこの世界に辿り着いたのかは解らないが、呼び寄せた以上は、俺は絶対にその人を悲しませたりはしない…
そして、絶対に裏切る事はしない…と。










『とりあえず、彼女いない歴17年の俺がポケモン女たちと日常を過ごす現実。やっぱり後悔はしていない』



序章 『魔更 聖、17歳への道』

第1話 『突撃! 白那さんのお宅訪問!!』


To be continued…

Yuki ( 2019/04/12(金) 19:24 )