1年生編
第9話 『四人娘のクリスマスパーティー』
紫音
「う〜! 寒いよ〜!!」

海南
「確かに…今年は特に寒い気がするね〜」


私達はいつもの様にふたり揃って登校する。
もう12月…気が付けば冬なんだね〜
そろそろ私的にはこたつが恋しくなるよ…


紫音
「うぅ…もうちょっと厚着すれば良かった」

海南
「あははっ、紫音ちゃんは寒いの苦手なんだ?」


私は鼻をズズッと鳴らしながらコクリと頷く。
そして上着のポケットに手を突っ込んでガタガタ震えていた。
そんな私を見て海南ちゃんは楽しそうに笑う。
海南ちゃんも私と変わらない位の服装に見えるのに、全然平気そう…


海南
「今年は…雪降るかなぁ?」

紫音
「うーん、どうだろ? 流石に12月で降るかは解らないけど…」

海南
「そういえば、紫音ちゃんクリスマスはやっぱり例のオジ様と?」


海南ちゃんはイタズラっぽく笑いながらそう聞いてくる。
私はうーん…と唸りながらも、どうするかは微妙だった。
いや、行きたくないわけ無いんだけどね…


紫音
「まだ期末テストの結果が解らないし、どうするかは未定かな…」
「もし成績悪かったら、勉強したいし」

海南
「うわ〜紫音ちゃん真面目すぎるよー!」
「折角のクリスマスなんだから、大切な人と過ごさないと!!」


そう言って海南ちゃんはガッツポーズを取って主張する。
既に私がオジさんの事好きだって確定してるみたいだ…
まぁ間違ってないんだけどね!!


紫音
「それなら、海南ちゃんはどうなの? 好きな人とか、いるの?」

海南
「おっと…そう来ましたか〜」


海南ちゃんは意味ありげなポーズを取りながらも、誤魔化そうとしている様だった。
まぁ海南ちゃんの今までを見てきた感じ、そんな雰囲気は微塵も無かったもんね〜


紫音
「海南ちゃんって、妙にレズっ気あるから男に興味無さそうだもんね…」

海南
「ひ、酷いよ!? 私は可愛い物が好きなだけで、女の子だけが好きな訳じゃないよ!?」

紫音
「…多分誰もそう思ってないと思うよ?」


私が呆れ気味に言うと、海南ちゃんはガーン!と口でわざわざ言ってから落ち込んでしまった。
海南ちゃん、部活ではかなり活躍してるみたいだし、それなりに見た目も悪くないからそこそこ話題とかにあがらないのかな?
まぁ、見た目がやや地味って言えばそうかもだけど…

海南ちゃんって、可愛い物好きな割には自分を着飾ったりしないんだよね〜
いっつも地味な私服だし、髪型も普通のストレートロング。
体格は良いものの、身長は至って平均的なんだよね〜
…うん、これじゃモテないのか?


紫音
「…海南ちゃん、もっと着飾ったらすぐ可愛くなりそうなのになぁ〜」

海南
「えー? 私は無いよ〜」
「それに…あんまり自分を着飾りたくないし」


着飾りたくない…?
海南ちゃんのポリシーだろうか?
それにしても今時の女子高生らしからぬセリフに思えた。


紫音
「何か理由があるの?」

海南
「…うーん、そういうのじゃ無いんだけどね」


何だかはぐらかされた?
それって、触れられたくない話題なのかな?
…だったら、あんまりツッコマない方が良いか。


紫音
(それにしても、海南ちゃんの秘密かぁ…)


考えてもみれば、海南ちゃんとは入学からずっと一緒だけど、海南ちゃんの過去の事はあまり聞かされた事が無い。
ただ普通に小学、中学と卒業して、高校に入った…
何でこの学校を選んだの?って聞いても、家が近いから…としか言わなかったしね。


紫音
(…もしかして、過去に何かあったんだろうか?)


海南ちゃんは私達とは違って人間だ。
いつもグリナやルナールさんと一緒に4人でいるけど、他人の目から見たらかなり奇異な行動に見えるのかもしれない。
でも、海南ちゃんはそんな目は気にしないし、いつもニコニコ笑って楽しそうにしてる。
別に人間と不仲って訳でもなく、クラスメートや陸上部員とは仲が良いし…


ルナール
「…何考え込んでんの? テストダメだったんで落ち込み系? そりゃ御愁傷様で…」

紫音
「違うよ〜…ちょっとした疑問があっただけで」


気が付いたらルナールさんとの合流地点まで来ていた様だ。
って、そういえばグリナと会わなかった?
いつもなら先に合流するはずなのに…


ルナール
「ん? グリナはどったの?」

海南
「あれ? そういえば…会わなかったね〜」

紫音
「寝坊…は有り得ないか、あの家族だと」


私はすぐにアセリナさんがグリナを叩き起こす様子が想像出来た。
何だかんだでアセリナさんって厳しそうなイメージだもんね〜


ルナール
「まぁ、いないならしゃあないし…アタシ等まで遅刻する訳にはいかんっしょ?」

海南
「そうだね〜遅れてるなら、すぐに走って追いかけて来そうだし♪」

紫音
「うん…」


私は、何となく妙な気持ちになった。
よくよく考えてみれば、もう12月…
あの事件から…もう1年なのか。



………………………



紫音
「え? 熱出して休み?」

海南
「そうらしいよ? さっき聞いて来たから…」

ルナール
「あらまぁ…こんな時期に風邪とはね〜インフルとかだったら洒落にならんがな」


ルナールさんは冗談交じりにそう言うも、中々笑えない話だった。
今の世界はPKMの協力もあり、様々な分野が発展している。
特に医療関係はかなり進展してるみたいで、PKMの細胞から人間にも効力のある薬とかが出来たりして、今まで対策の難しかった病気も怖くなくなったとか…

特に一時期話題になった新型ウィルスのパンデミックも、すぐにPKM細胞の応用で治療されたんだよね〜
特に毒タイプのは効果が凄いらしい…


紫音
「…うーん、あれだけ新たな薬があるのにインフルエンザは完全に対策出来ないんだよね〜」

ルナール
「あのウィルス、PKM用に進化して色々面倒らしいからね〜」
「永遠のイタチごっこっしょ…薬との戦いは」

海南
「あはは…私達も気を付けないとね〜」


本当にそうだ…特に私達はグリナと濃厚接触者になっちゃうし、もしかしたら感染してる可能性もある。
一応、病院で見てもらうべきだろうか?


紫音
「こういう時って、検査してもらった方が良いのかな?」

ルナール
「どうなんかね? 別に体調悪くないし、たまたまグリナだけが発症したんじゃね?」

海南
「でも、昨日まではグリナちゃんも元気だったよね?」


私達は3人で唸る。
あのグリナが熱出して倒れたって言うんだし、やっぱり気にはなるよね…


紫音
「とりあえず、お見舞い行く?」

海南
「あ、私は部活あるから…」

ルナール
「アタシもバイトあるんでパス」


じゃあ行くにしても私ひとりだね…仕方無い。
えっと、何か栄養のある物を買って、後マスクも買っとかないと。
お見舞いに行って感染してたら大事だもんね!



………………………



グリナ
「…そんな酷い熱じゃないですよ? 咳も酷くないですし」

紫音
「そっか〜それなら良かったんだけど…」


私はグリナの部屋で話をしていた。
グリナは顔が熱っぽいものの、そこまで辛くも無さそうだ。
でも何で急にこうなったのかな?


紫音
「原因は何だったの?」

グリナ
「急に寒くなって来ましたし、体調管理が悪かったんでしょう…」


グリナはそう言ってクシャミをする。
そしてティッシュで鼻をかみながら唸っていた。


紫音
「とりあえず、ゆっくり休んでね?」

グリナ
「はい…わざわざありがとうございます♪」


私は軽く手を振ってから部屋を出る。
後はそのまま帰路に着く事にした。



………………………



紫音
「あれ? 暴君だ…」


私はいつもの帰り道、コンビニを通りがかる所で暴君ことピースさんに出会う。
いつもならオジさんがいるはずなんだけどね…?
暴君は私の姿に気付くと、美味しそうに肉まんを頬張って睨み付けた。


ピース
「何です泥棒猫? そんなに見ててもあげませんよ!?」

紫音
「いやいらないから…それより何でここまで? わざわざ肉まん買いに来たの?」

ピース
「それ以外に何が? 私は今年のコンビニ肉まんを店舗別に食べ比べしてる所なんですよ!」


うわぁ暇人…それでコンビニにいたのかぁ〜
わざわざ店舗別にって…そんな違いあるのかなぁ?
少なくとも私にはよく解らない…あんまり食べ物に感心ある方じゃないし。


紫音
「あ、そういえば勉強教えてくれてありがとう!」
「お陰で成績上がったよ〜♪」

ピース
「ふん…そう思うならアメリカンドックのひとつでも奢りなさい!」
「肉まんはコンプリートしました! 次はアメリカンドックを制覇します!!」


私は苦笑するしかなかった…でもまぁ、108円で済むなら安いものと言えるのか。
私はポケットから財布を出し、小銭を確認してからコンビニに入店した…
そしてアメリカンドックを買って店を出る。


紫音
「はい、どうぞ〜」

ピース
「うむ! 苦しゅうない!!」


暴君はわざわざ偉そうなポーズをしてアメリカンドックにかぶり付く。
ただのジャンクフードを美味しそうに食べるなぁ〜ちょっと羨ましいかも。
少なくとも私に食レポは出来ないと確信は出来たね…


ピース
「もぐもぐ…ほれより、貴女クリスマスはほうふるんへふは?」

紫音
「食べながら喋らないの! どうしてそんな事聞くの?」


暴君はゴクンと口の中の物を飲み込んでこちらを見る。
そしてやや呆れた様な顔でこう言った…


ピース
「どうせ去年と同じ様に乗り込んで来るんでしょう? なら事前に確認しとけって蛭火(ひるこ)に言われてんですよ…」
「食材を無駄にしたくないからって…アイツは主婦ですか!?」

紫音
「あ、そっか…でも、返事は後でも良いかな? まだどうするか決めてなかったから」

ピース
「…? 珍しいですね、いつもなら絶対行くと言うでしょうに」


確かに去年の私なら間違いない。
でも今年は…折角友達も出来たんだし、可能なら皆で思い出を作りたいとも思うんだよね〜
私はここでピンと来た。


紫音
「…だったら4人で突撃すれば一石二鳥!?」

ピース
「何考えてんですか? 言っときますけど、ただでさえメンバー増加して部屋はカツッカツですからね!?」


うう…釘を刺された。
でもそうだよね〜…去年からふたり増えてるし、あの部屋で更に4人雪崩れ込むのは無謀だ。
やっぱりそう上手くはいかないかぁ〜


ピース
「…ふん、とりあえず返事は待ってやります」
「早めに連絡するんですよ?」


そう言って暴君はさっさと歩き去ってしまう。
うーん、やっぱりスタイルは抜群だよね〜
性格がアレじゃなかったら、間違いなく注目の的なのに…
下手に邪な目を向けたら即ビーム撃たれるから、大抵誰も目を合わせようとしないけど!
色んな意味で残念な美人だ…


紫音
(でもそっか…それなら)



………………………



海南
「え? 4人でクリスマスパーティ?」

紫音
「うん…折角同じ学校で友達になれたんだし、思い出作りにって思って」

ルナール
「ふーん、でもアタシはバイトあるから夜以外無理なんでそこよろ」

紫音
「あ、それなら大丈夫…ポケにゃんでやるつもりだから♪」


私がそう言うとルナールさんはゲッ…と露骨に嫌そうな顔をする。
あれからちょくちょくルナールさんのバイトを見に行ったりしてたし、今更文句は無いと思うんだけどね?


海南
「でも、当日は混まない? 流石にクリスマスとなるとイベントとかも絡むし…」

紫音
「あ、そっか〜…そうなると長居は出来ないもんね〜」

ルナール
「つーか、別に他の店でも良くね? 何ならアンタの家とかでも出来るっしょ?」


おっと…その発想は無かったよ。
私の家かぁ〜お婆ちゃんは喜んで許してくれるだろうけど…
でも、それも確かに良いかな?


紫音
「それなら帰ったら一応聞いてみるね? 大丈夫だとは思うけど…」

海南
「それじゃ、クリスマスは4人揃って紫音ちゃんの家に♪」

ルナール
「グリナはどうするん? 体調まだ良くないみたいだけど…」


今日も大事を取ってグリナは休みだ。
とはいえクリスマスまではまだ日があるし、流石にその頃には治ってるだろう。


紫音
「とりあえず私が後で電話しとくよ」

ルナール
「そっ…ならアタシは当日夜に向かうわ」

海南
「ルナールさん、紫音ちゃんの家知ってるの?」

ルナール
「あ、そういや知らないわ…後でマップデータ○INEで送ってくれん?」

紫音
「うん、分かったよ♪」


私達はこうしてクリスマスパーティーの約束を取り付けた。
今年は友達優先…オジさんとは、我慢だ!
高校生活は3年間…もし卒業したら、もう4人では会えなくなるかもしれない。
そう考えたら、私は今を大事にしたいと思った。
せめて高校生の間だけでも、絆を大事にしよう…
オジさんとの交流は、大人になってからでも出来るのだから。



………………………



ピース
「そうですか…ならそう伝えておきます」

紫音
「うん、ゴメンね…」

ピース
「…別に構わないですよ? 私は貴女がいなくて清々しますし!」
「余計な邪魔もなくダイゴとイチャイチャ出来ますもんね〜♪」


暴君は相変わらずだ…やっぱり口が悪い。
でも、一瞬だけ感情を揺らしていた…思う所はあったんだろう。
それが解っただけでも、私は何だか嬉しかった。


ピース
「で、年末年始は?」

紫音
「それも友達と過ごすよ…って言うか、高校生の間は出来る限りの行事は友達と過ごすつもりだから」

ピース
「…はっ、健全なJKですね〜思わず吐き気がします!」
「でもまぁ、どうせちょくちょく遊びに来るんでしょ?」


私はあははっと笑って頷く。
勿論、行く時は行くもんね!!
そんな私の返事を聞き、暴君はため息を吐いて去って行った。
…両手に大量のフライドチキンを抱えて!



………………………



…そしてクリスマス当日、遂にその日はやって来た!
私達は夜に集まり、私の家でクリスマスパーティー!!


海南
「お邪魔しまーす!」

ルナール
「どうもお邪魔しまーす…へぇ、和室とか初めて見たわ」

グリナ
「こんばんわ! 今夜はお邪魔させていただきます!」


とりあえず3人が各々靴を脱いで中に入って来る。
皆思い思いの荷物を持って来ており、中には何が入ってるのか?


お婆ちゃん
「こんばんわ…さぁどうぞいらっしゃい♪」


お婆ちゃんは優しい笑顔で皆を迎えてくれる。
その対応に絆されたのか、海南ちゃんとグリナ思わず微笑んでいた。
ルナールさんは…いつも通りの反応だね。


ルナール
「とりまお菓子とか買って来たけどどうする?」

紫音
「一応、晩御飯はもう用意してあるよ?」

海南
「じゃあ買って来たのは後で食べよう!」

グリナ
「私、お腹空きました〜早速いただきたいです!」

お婆ちゃん
「ふふ、それじゃあ先に食事にしましょうね♪」


お婆ちゃんはそう言って調理場に向かう。
私も追いかけて手伝う事にした。
やがて…次々と料理がこたつの上に並び、私達はそれを囲んで準備万端に。
お婆ちゃんはここで1度退室し、自室に入った。
この部屋から襖越しに隣だから、すぐそこなんだけどね。


紫音
「それじゃあ皆手を合わせて!」

4人
「いただきまーす!」

グリナ
「うまっ!? この焼き鯖すっごい油が乗ってる!!」

ルナール
「おお…この肉じゃがクオリティパネェ! これが真のジャポネーゼビーフシッチューか!?」

海南
「このおひたしもよく染み込んでる〜♪」

紫音
「あはは…皆の口に合って良かった♪」


私も早速いただく。
うん、いつものお婆ちゃんの味だ♪
皆あまりガッツリと和食は食べた事が無いそうだから、これも良い思い出になってくれると良いな。


グリナ
「ずず…ぷはぁ〜味噌汁も違う!」

海南
「凄いよね〜普通の豆腐とネギとワカメなのに、味わいがある〜」

ルナール
「日本に来てからあんま和食って食べてなかったけど、これ食ったら印象変わるわマジで…お婆ちゃんの味マジパネェ!」

紫音
「お婆ちゃん、若い頃は料亭で働いてたらしいからね〜」
「今でも、料理に関しては一流だよ!」


私も少しは習いたいんだけどね〜今は看護師の勉強もあるから、ちょっと先の話になりそうだ。
とはいえ、いつかはオジさんに手料理を食べさせたいなぁ〜



………………………



4人
「ご馳走さまでした!」

お婆ちゃん
「はい、お粗末様です♪ それじゃあお皿を片付けますね…」

紫音
「あ、運ぶの手伝うよ!」

グリナ
「それなら自分もやります!」

ルナール
「よし任せた、アタシの分もな!」

グリナ
「って、ルナールさんこういう時は動かないと!?」

ルナール
「なーに言ってんの、全員で言ったらゴチャゴチャして邪魔になるっしょ?」

海南
「そうだね…だから順に運んで行こ♪」


そう言って私達はリレー式でお皿を運ぶ。
お婆ちゃんはそれ等をひとりで洗うと言い、私達は再びこたつを囲んで次に何をしようか考える事にした。



………………………



ルナール
「はぁ〜もうこたつと結婚しても良い…」

海南
「ルナールさん、こたつは初めて?」

ルナール
「そりゃそうよ…今時のマンションとか普通冷暖房完備だし」
「でもやっぱ、こういう風情があるのはたまらんね!」

グリナ
「確かに、今時エアコンが無い家は珍しいですからね〜」

紫音
「…そうなんだ、私これが普通だと思ってたよ」


よくよく考えても見れば、この家にエアコンなんか無い。
自分の部屋にあるのもストーブとかだし、そういう事を気にした事も無かった。
そもそも、この街でこの家程和風の家は希少なのかもしれないね…


グリナ
「それより、何して遊びます!? 何ならDVDとかありますよ!?」

ルナール
「却下! そんな事してたらすーぐに時間が過ぎるっしょ?」
「それにアンタのは趣味全開だから全員が楽しめる訳無い」


グリナはそう言われてガーン!となる。
まぁ確かにあえて見たいとは私も思わないよ…


海南
「だったら、純粋にテレビゲームはどう?」
「私コレ持ってきたんだ〜♪」

紫音
「何それ? ちっちゃなゲーム機みたいだけど…」

ルナール
「ちょっおま…! コレ伝説の○Cエンジンじゃん!? アレでもこんなちっちゃかったっけ?」

グリナ
「違いますよルナールさん! コレは○Cエンジン miniです!!」
「かの有名な34タイトルをプリインストール済みであり、テレビに繋ぐだけですぐにプレイ可能なゲーム機です!!」


ああ、いわゆる復刻版とかそういうの?
って、海南ちゃん何気にゲームとか詳しいもんね…家では結構やってるみたいだし、今回もそれで…?


海南
「うふふ〜この日の為に、○mazonのブラックフライデーセールで買っておいたんだよ!」

グリナ
「おおぅ…しかもマルチタップまで!? コントローラーもわざわざターボパッド4つ!?」

ルナール
「って、そんな同時に遊べるゲームとかあんの?」

海南
「うーん、流石にこの人数だと○ンバーマン位かな?」


あ、あるんだ…同時にやれる奴。
とはいえ、私全くの初心者だから付いていけないと思うけど…
そんな私の考えを余所に、3人は着々と準備を進めていた。
やがてテレビにはゲーム画面が映り、海南ちゃんはゲームを選択する。


海南
「じゃあ○ンバーマンやる?」

ルナール
「こういう時は定番だしね〜」

グリナ
「でも紫音さんは初心者ですし、マトモにやると悲惨な結果になりますよ?」


流石にグリナは察してそう言ってくれた。
すると海南ちゃんはうーんと考え、何か思い付いたのかこう提案する。


海南
「それじゃあ特殊ルールとして、紫音ちゃんを倒したら負けってルールにしよう!」

ルナール
「なる…それなら橘は一切不利にはならんわな」

グリナ
「誤爆に注意しないといけませんね…紫音さん初心者だけに」

紫音
「とりあえず、やり方教えてもらって良い?」


私は海南ちゃんやルナールさんから、大まかに操作方法を教えてもらった。
そしていざバトルモードをスタート!
私達はそれぞれ違うキャラを動かし、相手を爆殺すれば勝ち…との事。
もっとも、私だけは爆殺されたら相手の負けになるローカルルールだけどね!


ルナール
「まずは無難にアイテム回収っと…」

海南
「あ、早速ルーイゲット〜♪」

グリナ
「むむ、あまり引きが良くない…」

紫音
「えっと、これで爆弾だから…」


私が拙くボタンを押していると、ドーン!と音がして私のキャラは爆死した…
それを見て全員が呆然とする。


ルナール
「…この場合の裁定は?」

海南
「じゃあ全員負けで!」

グリナ
「誰ひとり喜べない裁定ですね!!」

紫音
「うう…タイミングが解らないよ〜」


とりあえず自分の爆弾でも死ぬのは解ったけど、爆発までのタイミングは体で覚えるしかなさそうだ。
最初は動ける範囲も狭いし、上手く範囲も理解しないと…


海南
「あはは…やっぱりそうすぐ操作には慣れないよね」

ルナール
「ただでさえゲーム初心者に多人数○ンバーマンだもんね…自爆するなという方が無茶だったわ」

グリナ
「どうします? 仕切り直しますか?」

紫音
「うーん、折角だしもう少しやりたいかな…」


私はそう言ってもう1度コントローラを握る。
それ見て3人はおお…と感心し、1度ゲームをリセットしてやり直す事にした。
私は今度こそと思い、画面に集中してキャラを操作する。


紫音
「わ、何か爆発が長くなった!」

ルナール
「火力アップしたからね〜、そうやって強化しながら戦うんよ」


私は成る程…と思い、とにかく近くのブロックを爆破していく。
とはいえ、色んなアイテムを取って行くものの、効果がまるで解らない。
私はとりあえず皆の爆弾に巻き込まれない様、慎重に端へ逃げて行った。


グリナ
「うげっ!? そこでリモコン〜!?」

ルナール
「甘い甘い、耐火スーツ取りに行くの見え見えだし」

海南
「これでグリナちゃんは脱落だね〜♪」

紫音
「うわ、何か沢山アイテム出て来た!」


グリナが爆死した後、場には大量のアイテムが出現する。
私はそれを何個か広い、また巻き込まれない様に逃げ回った。


ルナール
「ちっ…ルーイをまず何とかせんとね〜」

海南
「あはは〜、紫ルーイだからそう簡単には被弾しないよー?」


そんな事を言いながら海南ちゃんは巧みにジャンプを駆使して動き回る。
対してルナールさんはリモコンと耐火スーツを駆使してかなりの広範囲に爆発を広げていた。
私は巻き込まれない様に動くも、スピードに差がありすぎて何とも出来なくなってきている。
このままだとまた死んでしまいそうだし、いっその事反撃してみる?
幸いふたりは互いの動きに集中してるし、案外隙は生まれるかもしれない。


ルナール
「おっと、そこは通行止だ!」

海南
「あちゃ! ジャンプ先塞がれた?」


ルナールさんは巧みに爆弾を設置して海南ちゃんのジャンプを封じる。
海南ちゃんは完全に逃げるタイミングを崩され、リモコンにより起動された爆発でルーイを失ってしまった。
そしてそのまま連鎖爆発で海南ちゃんは爆死する。


海南
「あーん、この時代のルーイって剥がされた後の無敵時間無いー!」

ルナール
「まぁ、じゃないとグデグデになるからね〜」
「で、どうすんの? これでアタシの勝ち?」

海南
「え? まだ紫音ちゃん残ってるよ?」

紫音&ルナール
「えっ?」


私達は同時に海南ちゃんを見る。
海南ちゃんはニコニコしてるけど、端から見てるグリナは空笑いしていた。
そして同時にルナールさんが一気に無表情になる。
私はとりあえず爆弾を設置して安全地帯に逃げた。
ルナールさんはそれを無視して自分の回りに爆弾を設置する。
勿論、逃げ場を無くす様に全方位で…


ルナール
「ざけんな! どうせ詰んでんならこうしてやるわー!!」


ルナールさんはそう叫んでリモコンで起爆する。
こうしてゲームは強制的に私の勝ちとなった…


海南
「紫音ちゃんの勝ち〜♪」

グリナ
「鬼や…」

ルナール
「もう何も言えねぇ…」

紫音
「あ、あはは…」


何だかなぁ〜、コレ勝った私も素直に喜べないよ!?
とはいえ海南ちゃんはすこぶる楽しそうだし、まぁそれはそれで良いのか…
…良いんだよね?



………………………



グリナ
「あ、爆弾爆発した」

海南
「やーん! 一気に好感度ダウン〜!」

ルナール
「八方美人になろうとするからそうなるんよ…本命だけに絞らんかい!」

海南
「ヤダ〜! 皆可愛いもーん!!」


あれから色んなゲームをプレイしたものの、今は海南ちゃんが○きめきメモリアルをプレイしていた。
既に3年目でもうすぐ終わるんだけど、海南ちゃんは一向に誰にも靡かれなかったのだ…


グリナ
「大体ステータスも無駄に体力重視ですもんね〜これはバッド確定でしょ?」

ルナール
「うーん、まぁ例外除けばだけどね〜」

紫音
「例外?」

海南
「最後まで諦めないもん!!」


海南ちゃんは、それでも爆弾処理に追われるだけの空しい戦いに身を投じていた。
やがて無為に時間は過ぎていき、いよいよ卒業式でエンディング。
海南ちゃんの結末は…?


グリナ
「僕たちずっと友達だよね!」

海南
「甘く無かったーーー!!」

ルナール
「まぁ、流石にステ低すぎるしねぇ〜…後グリナのネタはゲーム違う!」


ルナールさんはビシッとツッコミを入れる。
グリナはアハハと笑いながらもそれなりに楽しんでいた様だ。
私もそんな皆の反応を見て思わず微笑む。
そして、お婆ちゃんがケーキを私達に持って来てくれた。


お婆ちゃん
「はい…切り分けておいたから、どうぞ♪」

海南
「ありがとうございまーす♪」

グリナ
「わぁ〜、やっぱりケーキはイチゴですよね!」

ルナール
「ども〜、ゴチになるっす!」

紫音
「って、皆でお金出し合って買った奴だけどね〜」


そう、このケーキはこの日の為に私達がお金を出し合って買った物。
そんなに高い奴じゃないけど、それでも私達にとってはこれも思い出になる一品なんだ。


紫音
「それじゃ、皆…」

4人
「メリー! クリスマース!!」


私達はとっても楽しい聖夜を過ごす事が出来た。
今年も色々あったけど、本当に無事に過ごせて本当に良かった…
そして、私達はこれからも楽しく過ごすだろう。
そんな予感が…少なくとも今の私にはあ。

これから冬休みになり、来年には3学期…まだまだ高校生活はこれからだ!










『突ポ娘異伝録 春夏秋冬 〜四人娘の学園生活〜』



第9話 『四人娘のクリスマスパーティー』


…To be continued

Yuki ( 2021/12/03(金) 19:00 )