1年生編
第6話 『グリナ13 第一章 神々の黄昏』
グリナ
「あ〜今日は何しよっかな〜?」


私は今ひとりで下校していた。
今日はたまたま紫音さんたちとは一緒に帰れず、やや寂しい下校となっていたのだ。
とはいえ、元々私はあまり友達を作れる方でもなく、ぼっちなのは割と慣れているのは秘密だね…


グリナ
(…そもそも、自分のクラスに友達いないもんね〜)


作ろうと思えば作れると思うんだけど、どうにもその気になれない。
これに関してはそもそも私の趣味が問題であり、仕方の無い部分でもあるのだ。

って言うか、今時の女子高生がオタク属性ってどうなの?
いや、これでも人間達においては大分寛容になったと聞いてはいるけど、それでもPKMがそれってどうなの?
ぶっちゃけ、私自身かなり珍しい属性だというのは理解している。
全国見渡しても私みたいな趣味のPKMはレアだろう。



グリナ
(でも、共有出来る友人は欲しいよね〜)


紫音さんは苦笑いしながらも付き合ってはくれるけど、やっぱり属性違いなのは否めない。
海南さんは割と許容してはくれるものの、ガチ目の案件だと流石に付いては来れなさそうだし…
ルナールさんに至っては論外だ…まず退かれる。

つまり、中の良い友人間においても私は割と浮いてしまっているわけだ…


グリナ
(家でもお爺ちゃん位しか理解者いないし、やっぱり寂しいなぁ〜)


私は鞄を持ちながら両手を後頭部に当て、大きなため息を吐いた。
こればっかりは望んでも、どうにもならない現実。
やはり自分から歩み寄るしか無いのだろう。
…それで解決するならここまで悩まないのだけど…



………………………



グリナ
「…ただいま〜」

お爺ちゃん
「おお、お帰り…今日はどうした? 何か暗い顔しとるが?」


家に帰るとまずお爺ちゃんが出迎えてくれる。
お爺ちゃんはほんわかなイメージの、よくあるテンプレ系な温和タイプであるものの、その実態は私の今を作り上げてくれた張本人。
いわゆるオタクの鏡であり、こと特撮・アニメ関係の事に関してはエキスパートとも言える素晴らしいお爺ちゃんだ。

そもそも、お爺ちゃんの若い頃はそういったオタク文化は忌避されるレベルで嫌われており、大人が嗜むだけで犯罪レベルの扱いだったらしい。
今考えると有り得ない位扱いが悪かっただけでなく、子供にとっても悪影響しかないとして扱われていた、ある意味親御さんにとっては悪その物として認識されていたらしい…
そういう意味でも、私は今の時代に産まれて良かったのだと思える。


グリナ
「…お爺ちゃん、オタクってそんなに気持ち悪がられるの?」

お爺ちゃん
「何を言うとるか!? 好きな物を好きと言って何が悪い!!」
「そんな物はオタク文化の良い所も見ずに、勝手な意見だけ述べとるだけの惰弱よ!!」


流石はお爺ちゃん…若い頃からそうやって周りの意見を黙らせてきたんだから尊敬に値します。
とはいえ、私にそこまでの度胸は…


お爺ちゃん
「何じゃ、学校で何か言われたのか?」

グリナ
「ううん、そうじゃないけど…やっぱり同世代の女の子でも同じ趣味の人がいなくて」

お爺ちゃん
「あ〜…まぁ確かにの、グリナの趣味はどっちかと言うと男子寄りじゃからなぁ〜」


そうなのだ。
私の好みはあくまで暑苦しくて格好良いヒーロー系なのだ!
勿論それ以外にも好きな属性はあるけど、どれかと言われればコレだろう。
しかしながら、先述した通りそんな属性の女子はいない、
世界中探せばいくらでも見付かるかもしれないけど、少なくとも学校に都合良くいるとは思えないのだ…


お爺ちゃん
「とはいえ、今時そういう女子も少なくなかろう?」
「変に考えすぎなんじゃないか?」

グリナ
「そうかな? クラスの話題に耳を傾けててもそういう話はほとんど無いし…」
「ドイツもコイツも惰弱なライト勢ばかり! やはり私程のディープさと釣り合うには…」

お爺ちゃん
「まぁ、流石にそこは少し譲歩してやれ…相手に合わせてやるのも大人の対応じゃぞ?」


まぁ私はまだまだ子供なんだけどね!
しかし、お爺ちゃんの言う事ももっともだ。
そういうのも話してみなけりゃ何も解り合えない。
多少は相手に合わせて…


グリナ
「ダメだ! ストレスにしかならない!!」


私は結局イメージ段階で心が折れ、さっさと自室に戻る事にした。
後ろから呆れるお爺ちゃんの声が聞こえてきたけど、もう気にしない事にした!



………………………



グリナ
「という訳で…ここは女子高生らしくスマホのネットで掲示板でも〜」
「あ、あったあった…このスレっと!」


私は最近お気に入りのスレを見付けており、今日もそこに入り浸っていた。
このスレはいわゆるゲーマーのスレであり、女子専門のスレでもあるのが特徴だ。
参加してる人は皆気の良い人ばかりで、私も気さくに話題を触れるからかなり助かる。


グリナ
「さてと、まずは挨拶っと…」



0336 グリリナさん 20XX/09/19 15:54:33
こんにちは〜学校終わったので参加でーす♪



私がそう挨拶すると、数秒後には複数の返答が返ってくる。
既にいつものメンバーは何人かいるみたいで、私は歓迎された。



0337 トキトワさん 20XX/09/19 15:55:01
>>0336
お疲れ〜学生って大変よね〜


0338 月夜に舞う漆黒の救世主さん 20XX/09/19 15:55:29
>>336
ふっ、やはり来たか! 待っていたぞ我が同志よ!!


0339 黒竜雷電さん 20XX/09/19 15:55:34
>>336
乙〜
_人人人人人人人人人人人人人_
>ゆっくりしていってね!!!<
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y  ̄



とまぁ、こんな感じだ。
開幕から色々凄いコメントが出てきたりしてるけど、これがここのテンプレらしい。
これには流石の私も圧倒されるばかりで、やはり自分はまだまだアマチュアなのだと思い知らされる。
しかし、怖じ気付いていてはダメだ!
ここは自分からもしっかりとコメントを出していかないと!



0340 グリリナさん 20XX/09/19 15:56:12
どうもです! 今日はどうでしたか?



ここにおいてのどうでしたか?というのは、ゲームの話だ。
ここの参加メンバーはほぼ全員同じMMORPGをプレイしているらしく、毎日その話題が飛び出してくるのが定番だ。



0341 黒竜雷電さん 20XX/09/19 15:57:40
ん〜まぁまぁかな〜、そこそこのランクに入れたし今回のイベントは概ね成功だったと思うけど?


0342 月夜に舞う漆黒の救世主さん 20XX/09/19 15:58:23
ふっ、まぁこの私の魔力にかかれば当然の事!


0343 トキトワさん 20XX/09/19 15:59:26
良いわよねアンタ等は〜潤沢な資産あって…


0344 黒竜雷電さん 20XX/09/19 16:00:53
>>343
まだ微課金で頑張ってるもんね〜むしろそれで結構いけてる方だとは思うよ?


0345 トキトワさん 20XX/09/19 16:01:59
ああ…せめて後1万あれば天井狙えるのに!


0346 グリリナさん 20XX/09/19 16:03:04
>>345
あはは…苦労してるんですね〜



とまぁ、こんな感じだ。
この中では黒竜雷電さんがいわゆるスレ主であり、ゲームの方でもギルドマスターをやってる凄い人らしい。
で、他のふたりはそのギルドのメンバーだそうで、リアルな友人なんだそうだ。



0347 月夜に舞う漆黒の救世主さん 20XX/09/19 16:03:55
それよりも追加メンバーはどうなってる? 前に抜けた穴がそのままだと来月に響くぞ?


0348 黒竜雷電さん 20XX/09/19 16:05:21
ん〜中々アテがねぇ…個人的にはそこまでガチガチにしたくもないし、この際新規でも誘ってみたくはあるんだけど


0349 トキトワさん 20XX/09/19 16:06:47
新規って、それこそ都合良く見付かる?
アレそこそこ年期あるゲームだし、今から新規誘うのはリスク高すぎない?


0350 黒竜雷電さん 20XX/09/19 16:07:58
そうなんだよね〜だからまぁあくまで個人的には…最悪その辺のプレイヤーを誘うつもりではあるけど


0351 グリリナさん 20XX/09/19 16:09:42
皆さんがやってるゲームって、PCのなんですよね?


0352 黒竜雷電さん 20XX/09/19 16:10:59
おっ、まさか興味ある? 新規は大歓迎だよ〜♪


0353 トキトワさん 20XX/09/19 16:12:08
って、>>0351はパソコン持ってたっけ?



私はそのコメントを見て少し固まる。
確かに自室には無い…あるのはお姉ちゃんの部屋なんだよね〜
とはいえ、あれはお姉ちゃんが仕事でも使ってるプライベート物だし、流石にゲームするのに借りるのは無理がありすぎる!
お爺ちゃんに頼んで…ってそれも流石にダメだろう!

お爺ちゃんのは特に動画編集用で特化させてるらしいから、何かあった時が怖すぎる!
私PCはそこまで詳しくないから、触るのも少し怖いんだよね〜



0354 グリリナさん 20XX/09/19 16:14:11
すみません、個人用のは無いですね〜


0355 月夜に舞う漆黒の救世主さん 20XX/09/19 16:12:57
まぁ仕方あるまい、ただの一学生にゲーミングPC買えと言うのも酷すぎる


0356 トキトワさん 20XX/09/19 16:13:44
いや、そんなスペック無くても良くない?
動かすだけなら数世代前のでもいけると思うけど…


0357 黒竜雷電さん 20XX/09/19 16:14:35
ふむ…だったら僕のお古あげようか?
最近新しいのに変えちゃったし、サブに使うのもなんだかなぁ〜って思ってたから


0358 トキトワさん 20XX/09/19 16:15:06
>>357
アンタのその資金はどっから湧いてんのよマジで!?



な、何かいきなりとんでもない方向に話が進んでいる!?
え、いきなりお古あげますって…それ良いの!?



0359 グリリナさん 20XX/09/19 16:17:14
>>357
えっと…それっておいくら位のですか?


0360 黒竜雷電さん 20XX/09/19 16:17:55
去年のモデルだし、今だったら5〜6万位になるかな?
タダでフルセット送るから、届いたらすぐに使えると思うよ♪
その気があるなら、スレのテンプレに張ってる僕のメールに連絡くれれば良いから



うわ…何かマジな案件になってきた。
これ、ホントに大丈夫なんだろうか?
いや、スレの雰囲気的に基本悪い方達には見えないし、本気で言ってるんだとしてもいくら…



0361 月夜に舞う漆黒の救世主さん 20XX/09/19 16:19:22
まぁ待て待て、いくら何でもそんないきなりは怪しまれるだろう!
>>359は我々と直接面識が無いのだし、知らない所からそんなブツを送られれば親御さんにも迷惑をかけかねん



おお、実に良識的なお言葉だ…
こういう部分でも、このスレの住民は基本優しいんだよね〜



0362 黒竜雷電さん 20XX/09/19 16:20:46
あ〜まぁ確かにそうか…じゃあどうしよう? いっそオフ回で直接渡そうか?


0363 月夜に舞う漆黒の救世主さん 20XX/09/19 16:21:37
一般女子高生にゲーミングPCフルセットを手渡しするバカがどこにいる!?
しかもお前のはタワータイプのガチデスクトップモデルだろう!?
約15kg前後の手荷物をひとりで持ち帰らせる気かっ


0364 トキトワさん 20XX/09/19 16:22:46
まぁ待ち! それならアタシが送ってってあげるし、オフ会にも賛せー!
たまには身内で語るのも良いんじゃない?


0365 月夜に舞う漆黒の救世主さん 20XX/09/19 16:24:51
身内って…ひとりは完全新規さんだぞ?
…まぁ、オフ会に関しては異存無いが


0361 黒竜雷電さん 20XX/09/19 16:24:39
オッケー! じゃオフ会はやる方向で!!
予算は僕持ちで良いから、お店の段取りだけしてもらっても良い?
流石にイタリアからだと、予約とか解んないし…


0361 月夜に舞う漆黒の救世主さん 20XX/09/19 16:26:17
…なら、こちらで段取りはしておく
メンバー集めはどうする?


0362 黒竜雷電さん 20XX/09/19 16:27:32
どうせ、海外勢は来ないでしょうし…そっちメインで集めてもらっておk


0363 トキトワさん 20XX/09/19 16:29:15
だったら、妹誘っても良い?


0361 黒竜雷電さん 20XX/09/19 16:30:33
妹って、連絡先知ってるの?
アレ、誰にも所在地知らせてないよね?


0362 トキトワさん 20XX/09/19 16:31:46
いやそっちの妹じゃなくて…ああもう良いや!
とにかく誘うだけ誘うわ!


0363 月夜に舞う漆黒の救世主さん 20XX/09/19 16:33:26
ふむ…なら私も姉に連絡を入れておく
今日はスレに来れないそうだし、な



な、何か勝手に話が進んでる!?
い、いきなりオフ会って私どうなるんだろ!?
う、うわ〜何かスッゴイ緊張するんだけど!!



0364 黒竜雷電さん 20XX/09/19 16:35:47
それじゃ、>>359には後から連絡入れるから連絡先だけ教えてもらえる?
メールで構わないし、費用は気にしなくても良いから♪


0365 グリリナさん 20XX/09/19 16:37:10
あ、解りました…それでは後でメール送りますので



というわけで、まさかいきなりオフ会に突撃する羽目になってしまった!
うわーーー! 緊張しかしない!!
大丈夫かな私!? 上手く参加出来るかな〜!?
私はこれまでに無い程に頭をテンパらせながらも、連絡を待つ事にしたのだった…



………………………



グリナ
「…あ、来た!」


私はスマホに届いたメールを見て、まず内容を確認する。
黒竜雷電さんからのメールで、イタリアからのメールだ!!
改めてガチなのを理解してしまう…えっと、まずは開催場所を。


グリナ
「あ、あれ? ここって、すぐ近くのお店だ…」


私はその住所を見て驚く。
まさかのまさかで、オフ会は私の街にある居酒屋だったのだ…
って、居酒屋って私未成年だけど!?


グリナ
「えっと…日時は来週の土曜日かぁ〜」
「ど、どうしよう…何か一杯他の人も来るみたいだし、私も誰か誘うのはOKって事だし〜」


とはいえ、誰を誘う?
一応、これはオタク的な集まりのオフ会だし、紫音さん達を誘うのは流石にどうかな…とも思うし。
そもそも居酒屋って時点でお酒絡むの確定だよね!?
だとしたら、保護者同伴がベストな気もする、け…ど。



………………………



アセリナ
「はぁ? オフ会に随伴してほしい?」

グリナ
「う、うん…お姉ちゃん、来週空いてるよね?」


私は仕方無くお姉ちゃんに事情を話して同伴してもらう事にした。
他のメンバーも割かし家族連れとかみたいだし、私もそれなら…
と思ったのだ。


アセリナ
「まぁ、土曜の夕方からなら問題は無いが…」
「そもそも、何でそんな集まりに参加する気になったんだ?」
「どう考えても、人間の集まりだろう?」

グリナ
「う、うん…そうなんだけど」
「結構、ネットでは良くしてくれた人達だし、無碍に断るのもって思って…」


私がオドオドしながらそう言うと、お姉ちゃんははぁ…とため息を吐いて呆れる。
お姉ちゃん、流石にオタク属性とは縁遠いからなぁ〜


アセリナ
「まぁ、不安なら仕方無い」
「私に任せておけ! 例えどんな輩がいてもお姉ちゃんが必ず大切な妹は守ってやる!!」


そう言って胸に手を当てて宣言するお姉ちゃんはとても格好良いヒーローに見えた。
私は思わず両手を握りしめ、目を輝かせてお姉ちゃんを尊敬する。
さぁ、これで覚悟は決まった! いざ行かん!!



………そしてオフ会当日



トキトワ
「おっしゃー! ビールもう一杯持って来ーい!!」

月夜に舞う漆黒の救世主
「ふっ! これぞ我が呪われた生き血を潤すのに相応しい!」
「さぁ刮目せよ!! 解き放たれた光と闇の解放をこの胸に!!」


開幕から、既に場は出来上がっていた…
私もお姉ちゃんもその状況に呆然となっており、そもそも場違い以前の問題に巻き込まれた気しかしなかったのだ。


黒竜雷電
「ほらほら、ソルガレオもイッキイッキ!!」

ソルガレオ
「ハッハッハ! 任せとけ!!」

トキトワ
「ギャハハハハッ!! ティナも飲んでる〜!?」

ティナ
「あはは…お姉ちゃん、少しは体の事も考えてね?」
「あ…ターニャさんも、こちらをどうぞ」

ターニャ
「悪いな、手間をかけさせる…」

黒竜雷電
「アハハッ! まさかターニャが来てくれるとは思わなかったから、僕嬉しいよ〜♪」

グリナ
(…ナニコレ?)

アセリナ
(ダメだ…こんなの相手に守れる気がしない!)


完全に私達姉妹は浮いていた。
それもそのはず、てっきり人間達の集まりだと思っていたのに、そこに集まっていたのは全員PKMだったのだ!!
それも、ただのパンピーPKMではない! 全員が名だたる伝説を持つ神を称するポケモン達だったのだ!!


黒竜雷電
「あれ? そういえばアルセウスは来ないの〜?」

トキトワ
「アホウ! 誰があんなの誘うか!!」
「あんなのが来たら、勝手に仕切られて場が白けるでしょうが!?」
「それより、グラードンとカイオーガは? やっぱ音信不通?」

月夜に舞う漆黒の救世主
「あれは、自由奔放だからな…無理に誘うのも、と思った」


ポンポン会話にとんでもないポケモンの名前が飛び交っている。
うわ〜何でただの序盤ポケモンの私がここにいるんだろ〜?
ちなみに、黒竜雷電さんはかの『ゼクロム』、相方の人は対となる『レシラム』の『ターニャ』さんだ。
そんでトキトワさんは『ディアルガ』で、その妹が『ギラティナ』の『ティナ』さん、人妻!!


ソルガレオ
「ふ〜! 中々良い酒だ!!」

ターニャ
「天海、お前も今は人妻だろう? もう少し自重した方が良いんじゃないのか?」


天海…と呼ばれた人は『ソルガレオ』であり、何と月夜に舞う漆黒の救世主さんのお姉ちゃんだそうだ。
そしてその月夜に舞う漆黒の救世主さんは、街でも有数の有名人たる『ルナアーラ』の琉女さん!!
まさか、琉女さんが月夜に舞う漆黒の救世主さんだったなんて〜!
海南ちゃんに話したら相当羨ましがられそうだね…


天海
「ハハハッ! 何、この位は旦那も許してくれるさ!!」
「折角、かつての身内が集まるというのだ…そんな大切な機会に楽しまんでどうする!!」


「…やれやれ、相変わらずの騒がしさだな」

トキトワ
「ゲエッ!? イベルタルゥ!? 何でアンタが来てんのよ!?」


突然、このカオスな輪に堂々と入って来た全身赤黒い女性が面倒臭そうにする。
しかしその人はそのままひとりで空いた椅子に座ってしまい、そのままテーブルを凝視していた。
イ、イベルタルって、あの全てを破壊する者って言われる伝説の〜!?


アセリナ
「お、落ち着けアセリナ、こういう時は素数を数えるんだ…素数とは何にも割られない数字、数えれば安心する…!」

グリナ
「お、お姉ちゃ―ん!? 現実逃避しないで〜!?」

イベルタル
「…む? 何だコイツ等は…ただのグラエナが混じってるぞ?」

黒竜雷電
「良いの良いの!! グリリナちゃん達はゲストでこっちから呼んだんだから!!」
「いわばお客様! 丁重にもてなさないとダメだかんね!?」


そう言ってゼクロムの黒竜雷電さんはワタシに抱き付いて楽しそうに笑う。
思った以上に幼児体型だけど、パワーの違いがダンチで恐ろしい!
向こうにとっては軽く抱いてるだけなんだろうけど、既に私の骨はミシミシいってる…!
海南さんの締め付けより更にキツイとはぁ〜!!


アセリナ
「あ、あの出来ればもう少し手加減を…!」


あのお姉ちゃんが卑屈!!
流石のお姉ちゃんと言えども、こんなおっかないPKM集団には歯向かえない様だ…てか下手に怒らせたら何回世界滅ぶのかも解んない!!


トキトワ
「こらゼクロム〜!! あんまりリアルJKイジメないの〜!!」
「アンタの馬鹿力で締め付けたら、並のポケモンはミンチになるっての!!」

黒竜雷電
「あ〜ゴメンゴメン! 正直まだ普通の力加減が完璧じゃないから…アハハッ♪」


黒竜雷電さんは苦笑いしながらも私から離れる。
うん…やっぱり、そうなんだ。


ターニャ
「それよりイベルタル、本当にどういう風の吹き回しだ?」
「お前の性格的に、こんな召集に応じるとは思えなかったが…」

イベルタル
「…『デス』だ、一応今はそのコードネームで通している」
「…ここに来たのは、相棒の推薦だ」
「人生経験になるから、絶対行きなさい!と、念を押されたからな…試しに来てみた」

ターニャ
「…相棒? ゼルネアスの事か?」

デス
「…いや、『聖(ひじり)』は関係無い」
「私が個人的に組んでいる、仕事上の相棒の事だ」


そう言ってデスさんは目の前に置かれた酒を一気に飲み干す。
お酒には強いのか、それだけで酔う様にも見えなかった。
…うーん、何か複雑そうな話題をしてるけど、一体どんな仕事をしてる人なんだろう?
デスって、直球過ぎるコードネームだし…
いや、コードネームってそもそもどういう事!?
デスさんって、裏仕事の人なんだろうか?


ティナ
「グリリナさん、こんな場で悪いね? でも、皆基本悪いポケモンじゃないから、これからも仲良くしてあげてほしい…」

グリナ
「…あ、はいっ! ゴ、ゴメンなさい…何だか飲まれっぱなしで…」
「こんな場に私達がいても良いのかな?って、何だか不安になって…」


ティナさんは優しく私にそう笑いかけてくれた。
スラッと伸びた銀髪がとても美しく、傍目から見ても優しい人だというのが解る。

そう、皆…こんなに楽しそうにハシャイでるんだ。
いくら伝説だからって、神だと言われたって、ここにいるのはただのPKMの人達。
私たちと…同じ世界を生きる住民なんだ。


ティナ
「ふふ、それはそうよね…いきなりこんな面子用意してオフ会やろうぜ!って、ある意味狂気の沙汰だもの…」
「私もお姉ちゃんの事が心配で参加したから、ね…」

アセリナ
「…あ、あのティナさん」
「ひとつ聞きたいのですが、どうしてこんな場に私たちを?」
「どう見ても身内の集いの様に思えますが、部外者の私たちが入ってしまうのは…」

ティナ
「それは別に良いのよ? だって身内が認めたんだから」
「グリリナさん達は、私たちが認めた仲間…だから、気にせず楽しんでくれた方がきっと皆嬉しいと思うわ♪」


ティナさんのその言葉を受けて、私の心は少し軽くなった気がした。
そして皆の楽しそうなハシャギっぷりを見て、段々私も楽しくなって来る。
気が付けば私は、まだ誰も手に取ってないマイクに手を伸ばしていた。


グリナ
「はーーーい!! グリナ、歌います!!」
「まずはコレだぁ!! 地獄の○バット!!」


私はリモコンを操作して店に設置されていたカラオケを動かす。
居酒屋で何でカラオケあるの?って疑問はもはや気にさえしなかった!
ただ、私の宣言に皆が大拍手する。(一部除いて!)

私はそのまま思いの丈を込めて歌い始めたのだった…


グリナ
「復讐〜の風〜!」

トキトワ
「飛鳥ーーー!!」

ターニャ
「…今の歌詞に載ってないよな?」

デス
「気にするな…そういう物なんだろ」

琉女
「フハハハッ!! 良いぞ!! 血が滾る!!」

天海
「ほ〜らほら、すっかり酔っぱらっとるな〜?」

黒竜雷電
「アハハハハハッ! やっぱりグリリナちゃん誘って良かったよ♪」
「こんなに楽しいのは久し振りだ! よーし! 次は僕も歌うぞ〜!?」



………………………



とまぁ、そんなこんなでハチャメチャ騒ぎのオフ会は終了するのだった。
気が付けばすっかり夜になっており、私達は店を出て各々挨拶を交わす事に…


天海
「それじゃあまたな! 今日は楽しかった!!」

琉女
「あう〜…お姉ちゃん、おんぶ〜…」


帰り際、すっかり酔い潰れてしまった琉女さんは姉の天海さんにおんぶされて帰って行った。
天海さんって、ゴツイ様に見えて気が効く良い人だなぁ…
琉女さんは天然で厨二病だけど、本当はちょっと臆病で内気な人だったんだ〜


ターニャ
「…まぁたまには悪くなかった、また機会があればな」

黒竜雷電
「今日は来てくれて嬉しかったよ♪ また何かあったら連絡するね!」


ターニャさんは少しだけ笑ってそのまま去って行く。
彼女はロシアに在住しているらしく、自らの翼でそのまま訪れたらしい…
普通、この国で堂々と飛行してたら通報されるはずだけど…大丈夫だったんだろうか?


トキトワ
「…ZZZ」

ティナ
「あらら…予想通りというか何と言うか」

アセリナ
「大丈夫ですか?」

ティナ
「気にしないで♪ これも妹の務めだから…」


そう言って既に眠りこけているトキトワさんを妹のティナさんが背負う。
うーん、ティナさんって妹なのに立派だよね〜
既に人間と結婚してるって話だし、ある意味憧れの存在かも!
お姉ちゃんも、少なからず共感するのかティナさんに対しては朗らかになっていた。


黒竜雷電
「おっと、忘れる所だった! グリリナちゃん、はいコレ♪」


私はズシリと重い袋を手に渡される。
こ、これってまさか!?


黒竜雷電
「約束のお古…良かったらそれでゲームにログインしてね♪」
「しばらくはギルドの枠も空けておくから!」


そう言って黒竜雷電さんはターニャさんと同じ様に飛び去っていく。
確かイタリアなんだよね〜ホント、伝説のポケモンって凄い。


グリナ
「と、とはいえ…! これは流石に重い!!」

アセリナ
「全く、私に貸せ…」


お姉ちゃんはそう言って、私の荷物をひとりで持ってくれる。
そんな所がやっぱりお姉ちゃんで、私は思わず笑ってしまった。
うん、やっぱりお姉ちゃんと一緒で良かった♪
今日は本当に色々あったけど、多分ひとりじゃどうにもならなかったと思う。
でも、お姉ちゃんがいてくれたから私も思いっきり楽しめた。
ううん、多分…神様たちが受け入れてくれたから。

だから今は……もう少しだけ浮かれよう♪



………………………



デス
「……任務、完了」


「そう、で…どうだった?」


全員が去った後、私の背後から女の声が静かに響く。
その声の持ち主は私の相棒であり、一応の保護者だ。


デス
「…特に問題は見付からない、全員普通に楽しんでいた」


「そう…で、貴女は楽しめた?」

デス
「…さぁな、まぁ飯はそれなりに美味かった」


私はそれだけ言って立ち去る。
そんな私を見て、相棒はただ微笑んでいた。
やれやれ…任務でなければこんな所には来なかったはずだがな。
ただ、あのグリナというただのグラエナ…最終的には何の物怖じもせずに溶け込もうとしていた。
あれが…今の我々と織り成すポケモンの姿だというのだろうか?
少なくとも、今の私にはまだ結論は付けられそうに無かった…










『突ポ娘異伝録 春夏秋冬 〜四人娘の学園生活〜』



第6話 『グリナ13 第一章 神々の黄昏』


…To be continued

Yuki ( 2021/09/09(木) 21:29 )