1年生編
第3話 『ルナールさんは実は良い人?』
紫音
「で、結局○か卯に来たと…」

グリナ
「まぁ、牛丼店と言えば牛丼店ですからね〜」

海南
「元々○か卯は手作りうどん店でスタートしてるからね〜」
「とはいえ牛丼も初期からの主力商品だし、牛丼店って言っても過言では無いかもね〜」


そんな感じで海南ちゃんが解説してくれる。
まぁ、間違いでは無い…って事だね!


ルナール
「思ったより混んでんじゃん…まぁ昼時だししゃーないか」
「席空いてんの?」

グリナ
「テーブル席がひとつありますよ! そこにしましょう!」

海南
「じゃあ、グリナちゃんは席を確保しておいて」
「私たちは食券買って行くから♪」

グリナ
「じゃあ私は並盛でお願いします♪」

海南
「オッケ〜♪」


そうしてグリナはひとりで先に4人の席を確保する。
私たちは3人でとりあえず券売機の前に立った。


海南
「ルナールさんは何食べる?」

ルナール
「ここは牛丼一択っしょ」
「で、うどんのセット…コレ鉄板ね」


ルナールさんは慣れた手付きで券売機のタッチパネルを操作する。
ルナールさんって、日本に来てから結構長いのかな?
フランスから移住したって聞いてるけど、まだ細かい所は全然解らないんだよね〜


海南
「紫音ちゃんは?」

紫音
「私も並で良いかな…後味噌汁があれば」

海南
「じゃあ、私は大盛に豚汁セット〜♪」


海南ちゃんって、見た目によらずガッツリ系だよね…
まぁ運動部だし、筋肉も付けなきゃならないから当然なのかな?
海南ちゃんはニコニコしながら券売機を操作し、グリナの分も注文してそのまま席へと向かった。
そして私たちは4人でテーブルを囲み、お冷やを飲みながら商品を待つ…


グリナ
「何気にここで牛丼は食べた事無いんですよね〜」

海南
「そうなの? 私はたまにうどんとセットで食べる時あったけど」

紫音
「私も初めてだね…牛丼目的でわざわざ来ないし、うどん目的ならそっち専門の方行くし」

ルナール
「逆にそれが良いんじゃん」
「考えてみ? 牛丼とうどんが両方楽しめる…しかもリーズナブル」
「他にも各種サイドメニュー豊富で、セットもお得!」
「牛丼、うどん、カレー、何より親子丼も外せない!」
「こんだけあれば、ぶっちゃけここだけで良くね?って、アタシは思うね」


ルナールさんは何故か淡々とした口調で熱く語った。
ルナールさんって、テンション低いけど語る所はつらつらと語るよね…
ツッコミも的確だし、案外話す事自体は嫌いじゃないのかもしれない。

とまぁ…そんな話題を語りながら、私たちは到着した商品をそれぞれ見る。


紫音
「見た目は普通の牛丼だよね〜」

海南
「でも、出汁を使ってるからうどんとの相性が良いんだよ〜♪」

グリナ
「…確かに、結構いけますね!」

ルナール
「やっぱうどんとのセットがパーペキ…あ、七味取って」


私は向かい側のルナールさんに七味を渡してあげる。
ルナールさんはそれを受け取って適量うどんに振りかけた。
私は牛丼を食べつつも味噌汁をずず…っと吸って息を吐く。


紫音
「はぁ〜味噌汁美味し〜♪」

ルナール
「アンタって、急にお婆ちゃん臭くなる時あんのな」

紫音
「えっ、そう!?」

海南
「確かに…たまに紫音ちゃんそういう所あるよね〜」


そ、そうなんだ…全っ然気にしてなかった!
まぁ、家ではお婆ちゃんとずっと一緒だし、影響受けた所あるのかも…


ルナール
「まっ、気にしない気にしない…ちょっと残念な所見られただけだから」
「世の中、もっと残念な奴はごまんといるよ」

紫音
「それ慰められてるの!?」

グリナ
「あはは…ルナールさんって、結構お喋り上手なんですね」

ルナール
「ん? そんな訳無いっしょ、こんな根暗なアタシが何陽気でハッピー!なお喋り上手のイメージ持たれてるわけ?」
「多分それ確実に間違いだから、絶対」


何故かルナールさんは全力で否定に走った。
別に、陽気でハッピー!なイメージは誰も持って無いと思うけど…
後、根暗でも無いと思う、絶対に!


海南
「うふふ…ルナールさんって可愛くて面白〜い♪」


海南ちゃんは口元に手を当てて微笑む。
既に牛丼と豚汁は平らげており、ゆっくりと水を飲んでいた様だ。


紫音
「いつ見ても、海南ちゃんって食べるの早いよね〜」

海南
「そうかな? 流石に男子程早くは無いと思うけど…」

グリナ
「少なくとも大盛と豚汁で私たちと同じ位なら早いと思いますけど…」


私たちはふたりとも並盛だったしね。
ルナールさんは牛丼を食べ終わり、うどんの汁を啜っていた。
現役JKが丼片手にかっこむのはワイルドだね…


ルナール
「ふ〜ごっそさん」

海南
「じゃ、皆食べたみたいだし店出よっか♪」


海南ちゃんは両手を顔の前で合わせ、少し首を傾げてから微笑んでそう言う。
天然でこういう可愛らしいポーズを取れる体育会系等、そういないと私は断言出来るね!


紫音
「それじゃ、○OUND1で良いのかな?」

グリナ
「私は全然構いません!」

海南
「まぁ、大きなアミューズメントなら、そこが妥当だしねぇ〜」
「ルナールさんも良いよね?」

ルナール
「いや、何でさも行くのが当たり前みたいな雰囲気になってるのさ?」
「そもそも、アタシまだ状況理解出来て無いんだけど」
「アンタ等が遊びに行くのはともかく、アタシは基本飯食いに来ただけだし、ぶっちゃけこっから先付き合う必要無くね?」


ルナールさんは真顔でそこまで一気に言い切った。
とはいえ、本当に嫌ならさっさと無視して帰るだろうし、そうしないって事は別にそこまで嫌ってわけでも無いのかも…


海南
「う〜ん、用事があるなら無理には誘えないけど…」

ルナール
「いやまぁ用事がある訳じゃ無いんだけどね、夕方までなら」

紫音
「夕方から何かあるの?」

ルナール
「いやそれ言う必要無いでしょ? プライベートな問題だし」


プライベートなのか…だったら確かに聞くのは野暮だね。
とはいえ、夕方までならまだまだ時間あるけど…


グリナ
「折角ですから遊びましょうよ! 同じ悪タイプですし、親交を深めましょう!」

ルナール
「アンタだけ進化形だけどね…まっ、アタシあんま金持って無いんでどっちにしても見る事しか出来ないけど?」

紫音
「それは無駄にしんどい…折角のアミューズメントで見てるだけとか」


まぁワンコインでふたりプレイとか出来るゲームもあるとは思うけど…
どっちにしてもそれじゃあんまり楽しめないかな?


海南
「とりあえず今回は親交を深めるのが目的らしいし、一緒に居て話すだけでも全然良いと思うよ?」
「こういうのは皆でワイワイしながら楽しむのが1番良いと思うし♪」


海南ちゃんは微笑んでそう言う。
本人的にはあわよくばお触りしたいのが目的なのかもしれないけど…
まぁ、それは置いておいて……



………………………



紫音
「時間がすっとんで目的地です」

ルナール
「いやいやいや、気持ちは解るけどそこまでの道程位説明しなって」
「しかも完全にアタシ連れてかれてるじゃん…もう良いけどさ」

グリナ
「ルナールさん、割と几帳面なんですかね?」

海南
「う〜ん、どうだろ?」


私たちは某有名アミューズメントスポットの○OUND1に到着していた。
この街でも1番大きな所だし、遊ぶには持って来いの施設だ。


紫音
「とりあえず、何する?」

グリナ
「私はゲームコーナーに行きたいです!」

海南
「じゃあ私もそれで良いよ〜♪」

ルナール
「アタシは付いてくだけだし、何でも良いよ」


というわけで、グリナの案で一路ゲームコーナーに…
まずは2Fに上がらないとね〜
というわけで、私たちはエスカレーターで上に移動した。


紫音
「そんなに混んでないね」

海南
「まぁ、平日だしね〜でも夕方からは混むと思うよ?」

ルナール
「へぇ〜割と色んなゲームあんのね…」
「で、何からやる気?」

グリナ
「無論対戦あるのみ!! グリナ吶喊致します!!」


そう叫んでグリナは早速筐体の方に向かって行く。
タイトルは省略するけど、何かロボットが対戦してる奴だね。


紫音
「グリナこれ得意なの?」

グリナ
「これでも階級は大尉です!」


そ、それがどれだけ凄いのか全く解らない!
これでも私はゲームとか全く無縁だから、そもそも知識すら疎いのよね〜
まぁ興味無いわけでもないから、これを機に少しはやってみようかと思うんだけど…

と、そんな風に考えながら私はグリナの慣れたプレイを見ていく。
どうやら2対2のマッチバトルの様で、ネットの向こうにいる相手と対戦するみたいだ。
対戦が始まるとグリナの選んだ機体が一気に走り始めた。
…って、走るの!? 他の皆は飛んでるよ!?


グリナ
「バァァルカンッ!!」


とか叫びながらグリナはバルカンをばら蒔いていく。
牽制っぽいけど、全く相手には当たっていない。
そんな中、グリナの僚機が十字砲火で相手を攻撃した。
相手の1機が怯み、その隙にグリナは更に距離を詰めて拳を振るう。

え、拳? 殴るの!? 剣とかそういうので戦うんじゃないの!?
困惑する私を他所に、グリナは殴る蹴るを繰り返して相手をダウンさせた。
そしてすぐにステップで距離を調節し、相手の射撃を華麗にかわす。


紫音
「今の見えてたの?」

グリナ
「コンボ後の隙を狙うのは定石なので、ヒット数減らしてタイミングずらしただけですよ」
「こっちはほぼ近接しか出来ないので、特に狙われやすいですからね〜」


ダ、ダメだ…全っ然理解が追い付かない!
サラリと専門用語が連打されて頭がパンクしそうだよ…
そうこうしてる内に、グリナは相手を撃破して次の相手を狙っていた。


ルナール
「相当上手いじゃん、相手圧倒されてるよ」

グリナ
「たまたまシャッフルの運が良かったんですよ」
「逆に相手は事故ってますし、これでほぼ決まると思います」


グリナがそう言うと、画面にカットインが入って何か機体がパワーアップした。
グリナの機体は更に高速化し、相手の機体を一気に追い詰める。
そして……


グリナ
「ヒィィィトォ! エンド!!」


その掛け声と共に決着は着く。
グリナは見事勝利し、グッとガッツポーズを取った。


海南
「凄ーい、グリナちゃんこんな難しいゲーム出来るんだね〜」

グリナ
「うーん、慣れるまでが大変なゲームですからね…」
「個人的にはもっと人口増えて欲しい所です」
「まぁ、見た目の難しさで敬遠されてるのはやむ無しですね…」


どう見ても素人には意味が解らない。
グリナの操作は特にせわしなく、ガチャガチャと凄まじい音をたてて操作してたもんね…
少なくともあんな動かし方は余程やり込まないと出来る気がしない。


紫音
「うーん、私はもうちょっと優しいゲームが良いかな…」

海南
「じゃあ、音楽ゲームとかは? 体感で出来る○DRとかならすぐにやれそうじゃない?」


そう言われても何の事かが全く解らないのだけど…
音楽かぁ…あんまり聞く方じゃないけど、別に嫌いじゃ無い。
簡単なら少しやってみようかな?


紫音
「それって、どこにあるの?」

海南
「確か、反対側の向こうだね」

グリナ
「私は負けるまで対戦してるので、また後で〜」


グリナはそのまま対戦を続けていた。
私たち3人はとりあえず音楽ゲームのコーナーに入る。
色々あるけど、何だかどれも難しそうだ…ボタン一杯あるし。


海南
「あ、これこれ〜これなら簡単じゃない?」

紫音
「うん? これ、ボタンを足で踏むの?」

ルナール
「そりゃ○DRだからね、基本っしょ」
「画面でチュートリアルやってるし、しばらく見ててみ」


そう言われて、私はしばらく画面のチュートリアルを見る。
それを一通り見終えて、私は何となくゲームのやり方を理解した。


紫音
「成る程、曲に合わせて矢印が競り上がってくるから…」

ルナール
「後はタイミングに合わせて矢印のボタンを踏むだけ」
「矢印はそのまま上下左右にあるボタンだから、直感で解るっしょ?」

海南
「ルナールさん、結構やってたりするの?」

ルナール
「まぁ…そこそこにね」
「たま〜に息抜きでやる位だし、期待はすんなし」


ルナールさんはそんな風に言うけど、実際にはどうなんだろ?
むしろ自分からやり方を教えてくれる辺り、このゲームの事好きな感じみたいだけど…


海南
「ふーん、だったら折角だし紫音ちゃんとふたりでやってみたら?」
「ルナールさんの分は私が出してあげるから♪」

ルナール
「いや、何でそうなるわけ? その流れなら普通にアンタがやるのが筋でしょ?」
「何でわざわざ奢られてまでアタシがやる流れになってんの?」


ルナールさんは相変わらずこういう場面では退き気味。
別にやりたくないとは言わない辺り、とりあえずノリが受け入れられないだけなのかもしれないね…
海南ちゃんって、唐突な所多いし。(汗)


海南
「え〜? だってルナールさんのダンス見てみたいし〜♪」

ルナール
「いやダンスって…まぁダンスゲームだけども」
「このゲームでオシャレなダンス期待してるなら、夢壊すだけだし止めといた方が良いってマジで」
「このゲーム、ダンスつーか地団駄ゲーだから実際」


そ、そうなの!?
っていうか地団駄ゲーって何!?
私今から何すれば良いの!?


海南
「良いの良いの! 私はルナールさんがプレイしてるのを見たいから♪」


海南ちゃんはニコニコしながらスマホを筐体に翳す。
するとゲームが反応し、何やら登録画面みたいなのが出て来た。
私は意味が解らず、半ばパニックになる。


紫音
「な、何々!? どうすれば良いの!?」

ルナール
「落ち着けし新米…とりあえず財布出して100円玉出しな」

紫音
「ここでカツアゲ!? 私今お札しか持ってない!!」

ルナール
「誰がカツアゲするって? アンタ、アタシが貧乏だと思って舐めてんの?」
「こちとら、物くすねてもクラスメート脅して金取ったりする程やさぐれてねーから」

紫音
「いや、物くすねるのはダメでしょ!?」

ルナール
「何言ってんの、アンタだってちょろまかす事あんでしょ? チョロネコだし」


いや、ポケモンのイメージ的にはそうだけどね!?
これでも私はヘルスでも良心的な価格で提供してたんだからね!?
…ゴホン! 過去の話だけど!!


海南
「あははっ! 紫音ちゃん今回はこれでプレイしてみて♪」


パニクる私に海南ちゃんは100円玉を渡してくれる。
私は促されるままにそれを投入口に入れ、特徴的な効果音と共にエントリーを済ませた。
すると、何やら別の画面に切り替わりルナールさんがそれを説明してくれる。


ルナール
「ほれ、これがモード選択ね」
「ひとりでやるならシングル選ぶんだけど、今回はふたりだからバーサスね」
「間違ってもダブルは選択するなし? 初心者がやるモードじゃねーから」


私はルナールさんの説明を受け、とりあえず言う通りに選択する。
すると別の画面に移り、何やら色んな文字が並んでいた。


紫音
「???」

ルナール
「いや涙目にならんでも…別に死にゃしないから」
「これが選曲画面ね、好きな曲選んでプレイしな」
「つーても曲の数に対して選択時間皆無だから、今回はアタシが簡単な曲を選んでやるよ」


そう言ってルナールさんはボタンでテキパキと画面を動かして操作する。
私はパニクりながらもそれを見てとりあえず覚えようとした。


ルナール
「ちなみにこれカテゴリね、このテーマにそった曲がまとめて入ってるから」
「このボタン同時押ししたらカテゴリ閉まって選択しやすくなるし覚えとき」
「とりあえずガチガチの初心者だし、今回はこの曲で良いでしょ」


そう言ってルナールさんはやりたい曲の所で画面を止め、何やら足元のボタンをダダダダダダ!と踏み付ける。
私は?を複数浮かべながらも、何やら画面に映っている枠が動いているのを確認した。
良く見たら、数字がいくつかある?
えっと…ビギナーとディフィカルトとか書いてあるけど、何だろう?
ルナールさんは曲を決定し、別の画面を呼び出す。
色々書いてあるけど、全く意味が解らない!


ルナール
「最初はイミフだろうけど、ここ重要な?」
「曲決めする時、決定ボタン押しっぱなしにしたらこの画面出てくるから」
「制限時間カツカツだし説明端折るけど、ここで色々設定変えれるからしっかりメモリーしとき」
「特にハイスピは最重要だから、そこだけでも覚えとくと良いよ」
「まぁ平たく言うと矢印のスピード変えるオプションだから」


ルナールさんがそう説明してくれるも、何やら警告音が鳴り響いている。
私はまたパニクるも、ルナールさんがどうどう…と両手を前に翳して私を落ち着かせようとしていた。

そして、遂に曲が始まってしまう。
何やら画面に動画が流れ始め、曲のイントロが開始されていた…


海南
「まずはアニソンからかぁ〜」

ルナール
「とりあえず足1で簡単だし、初心者でも何とかなるっしょ」


私は徐々に競り上がってくる矢印を凝視し、足元を確認してその矢印を踏む。
すると画面にはバッドの文字が出る…どうやら悪いらしい。


ルナール
「早い早い! もっと引き付けてから踏みな」
「つーか曲に合わせなって、矢印は曲のリズムに合わせてるんだから」


そんな事を言いながらルナールさんはドカドカと大量の矢印を踏んでいる。
私のと全然量が違うんですけど!?


海南
「あ、凄ーい! ルナールさんパーフェクト〜♪」

ルナール
「まぁエキスパでも足9だしね」

紫音
「え、えっと曲に合わせて…!」


私はルナールさんの足音を聞きながら何となく合わせていく。
今度はグッドが出た…どうやら良いらしい。
ルナールさんはパーフェクトやらマーヴェラスやらを連発してるけど、あれが1番良い評価なのかな?
私はとにかく慣れるべく、ひとつひとつ丁寧に踏んでいく。

やがて曲が終わり、私はどうにかクリア出来た様だった…


ルナール
「お疲れ〜、始めてでB判定なら中々じゃない」
「知識0経験0でこれなら上出来上出来」


そう言ってくれるルナールさんの判定はAAAだった…
というか、フルコンボとか出てるしミス0だしそもそもレベルが違う!?


海南
「凄いねルナールさん! 私よりもスコア上かも♪」

ルナール
「まぁ簡単な曲ならね…足13以上だと流石に安定しないし」

紫音
「ま、また選択画面に移った!」


私は慌てるも、とにかく曲を選択してみる事にした。
冷静に画面を見ると、表示されてる数字はレベル表記みたく、それが難易度の指標になっている様だ。
私は、とりあえず曲の事が良く解らないので、何となくフィーリングだけで曲を選んでみた。


ルナール
「操作は大体覚えたみたいね…その調子で頑張りな〜」


私は前の感覚を思い出しながら次の曲をプレイする。
さっきの曲よりもテンポは遅く、割りと落ち着いてプレイする事が出来た。
まだまだ足元を見ながらだけど、位置さえ覚えれば何とかなるかな?

私はそんな調子で足元のボタンの配置を記憶出来る様に動きながら画面を睨み付ける。
そして曲が終わる頃には大体位置が解る様になってきた。


海南
「今度はA判定だね〜♪ 紫音ちゃん早くもレベルアップかな〜?」

ルナール
「ふーん、だったらもうひとつレベル上げてみる?」

紫音
「え? 大丈夫なの?」

ルナール
「まぁひとつ位なら死にゃしないっしょ、どの道ラス曲だし死んでも問題ナッシング」


そう言ってルナールさんはカテゴリを切り替えてレベル2の曲を選ぶ。
そしてオプション画面を開いてルナールさんは設定を切り替えていた。


グリナ
「おっ、激渚ですか〜♪ ルナールさん実はかなりの腕前?」

海南
「あ、グリナちゃ〜ん! お疲れ♪」

ルナール
「流石に踊に難易度下げるわ…16とか無理ゲーだし」

グリナ
「元々は15だったんですけどね〜」

海南
「まぁ詐称だってずっと言われてたからねぇ〜」

グリナ
「いやあのBPMと物量で15は絶対有り得ませんから!」

ルナール
「神様(作者)も結局スコア断念してたしね」
「つか大概の足17踏める神様(作者)が死にかける位だし、当然の処置っしょ」


な、何か専門用語だらけなんだけど!?
聞いてると相当恐ろしい感じなんだけどホントに大丈夫!?
とりあえず、制限時間ギリギリまで休んで遂に最後の曲が開始された。


紫音
「うわ、何か矢印速い!」

ルナール
「そりゃそういう曲だからね」


ルナールさんは相変わらず警戒なステップで踏み抜いていく。
私もそのリズムに合わせながらタイミングを合わせていった。
速いけど、対応出来なくもない…これなら何とか!


グリナ
「お〜初心者とは思えませんね〜」

海南
「でしょ? 紫音ちゃんって、やっぱりここぞっていう時の集中力あるから、やれると思ったんだよね〜♪」


私はさっきまでとは段違いの物量に慌てながらも丁寧に踏んでいく。
たまに転びかけるも、バランスを整えて対応した。
そのまま何とか完走はするも、想像以上に疲れてしまう。
な、何か普通に走るより疲れる…!


ルナール
「お疲れ〜まぁまぁ良かったんじゃね?」
「とりあえずラストだし少し休んで…」

グリナ
「エキストラ始まりますよ〜?」

海南
「ルナールさん、ノンミスだもんね〜」


ルナールさんは少し固まりながら画面を見る。
そしてまた曲選択が始まってしまっていた。


ルナール
「あ〜うん、まぁ頑張れ…」

紫音
「何か諦め入った!?」


ルナールさんは低いテンションのまま、割り切った顔で曲をさっさと選択した。
そして4曲目が始まり、私たちはそれをプレイする…



………………………



グリナ
「見事なまでの玉砕でしたね!」

ルナール
「いや初見やし当然っしょ、つかあんなんライフ4でいきなりやれる方がどうかしてるわ」

紫音
「10秒も持たなかったよ…」

海南
「普通に簡単な曲にすれば良かったのに」

ルナール
「いやそれ何か自分的に負けた気がするし? どうせオマケなんだからチャレンジはしたい的な?」
「しかもエキストラでしかプレイ出来ない曲だし、そこは貴重でしょ」
「つか何アンタのデータ? 全曲解禁済みだったんだけど、もしかしてガチプレイヤー?」
「何か上から目線でアタシプレイさせてもらってたけど、実はアタシのが大分下的な扱いなんじゃないのこれ?」

海南
「まぁ、これでも足神だからね〜♪」

グリナ
「凄っ!? 神様(作者)でも足紙止まりだったのに!!」

ルナール
「いややっぱレベルダンチじゃん、足神様かよ!」
「足龍レベルでドヤ顔してる自分が恥ずかしいわっ」

紫音
「全然話に付いていけない…」


どうやら3人は話題に付いていけるみたいだけど、私はどうすれば良いのか?
とりあえず、疲れた〜…


海南
「あはは…ゲームに無縁の紫音ちゃんだし、流石に疲れるよね〜」
「はい、ふたりとも飲み物…ちゃんと水分補給して休んでね♪」

ルナール
「悪いね、何か奢らせてばっかで」


ルナールさんは早速スポーツドリンクを飲む。
私も同じ物を受け取ってそれを飲んだ。


紫音
「はぁ〜染み渡る〜…」

グリナ
「本当にお婆ちゃん化しますね…」

海南
「だよね〜でも可愛いから良し!!」


海南ちゃんは身をよじって嬉しそうにしていた。
ルナールさんは若干退いている。
うん、気持ちは解るよ…


海南
「そう言えば、ルナールさんの家って貧乏なの?」

ルナール
「唐突に何? そりゃ裕福じゃないのは確かだけどね…」
「別に貧乏って訳じゃ無いっつーか…あんまし無駄使いはしたくないっつーか」
「基本貯金したいだけっつーか…」

紫音
「貯金…って、何か買いたい物でもあるの?」


ルナールさんは少し黙るも、真顔のまま頬を掻く。
そして躊躇いながらも、遂に話す事にした様だった…


ルナール
「…ぶっちゃけ、アタシPKMじゃん?」
「この先何があるか解んないし、保護者が長生きするとも限らないっしょ?」
「そん時、金が無かったらどうすんの?って話な訳…」
「PKMにちゃんとした人権が与えられるのはもうちょい先になるって話だし、今の内に貯金位は貯めといた方が良いとアタシは思ってるっていう話なわけよ」

グリナ
「うーん、確かに言われると不安はありますけど…」

紫音
「私も大学受かるかは解らないし、失敗した時の事は考えた方が良いのかな?」

ルナール
「アンタ大学目指してんの? 意識高っ」
「だけど学費とかもろもろ、ぶっちゃけかなりかかるよね? それなら尚の事貯金はあった方が良いと思うけど?」


そう言われて、私は耳を垂れ下げて項垂れる。
お金は、確かにかかるよね…
お婆ちゃんは気にしないでって言ってくれるけど、それでも安い金額では絶対無いはずなんだよね。


紫音
「…でも、勉強しながら稼ぐとか私には出来ないし」

ルナール
「まぁ、そこは仕方無いよね」
「アンタは勉強、アタシは仕事…別にそれはそれで良くね?って話…」
「ただアタシ的にはお金はあって損はしないって思うわけ」
「その分、アタシは大学行こうとか微塵も思わないし」
「高校卒業したらPKMでも就職は絶対楽になるから、アタシはひとりでも生きられる様にしたいだけなんよね〜」

海南
「うーん、そっか…PKMの立場だと人間では普通の事も上手く行くとは限らないもんね〜」

グリナ
「そう、ですね…」


何だか、しんみりしてしまった。
折角親交を深める為に遊んでるのに、雰囲気を悪くしてしまった様だ。
ルナールさんが自分から語りたがらなかったのは、こういう空気を嫌っての事だったのかもしれないね…


ルナール
「あ〜そんな暗い顔すんなし、辛気臭くなる」
「別に人それぞれ、PKMそれぞれ…今は置いといたら?」
「まだ時間はあるし、折角だからギリギリまでは付き合ってあげるよ」

海南
「やった! ルナールさんありがと〜♪」


そう言って海南ちゃんはルナールさんに抱き付く。
するとルナールさんは露骨に嫌そうな顔をした。


ルナール
「だーもう、抱き付くな鬱陶しい!」
「そーいうのアタシのキャラじゃないから、空気読みなって」
「つーか嫌がられるの解っててやってるよね? 何で? 一体何がアンタにそこまでさせるの?」

紫音
「海南ちゃんは可愛い物を見ると抱き付かずにはいられないんだよ…」

グリナ
「ある意味怖い…」


低いテンションでウザがるルナールさんに対し、ニコニコ顔でスキンシップをする海南ちゃん。
私はそんなふたりを見て少し安心した。
何だかんだ、ルナールさんとは仲良くやれそうな気がしたからだ。
最初は嫌な感じに思えたけど、それはどうやら上辺だけの態度の様で、ルナールさん自身は普通の女の子だ。
ただそういうテンションってだけで、少し損をしている性格なのかもしれない。

こうして話し合ってみれば、それが解る。
だからもう少し、この時間を大切にしよう…










『突ポ娘異伝録 春夏秋冬 〜四人娘の学園生活〜』



第3話 『ルナールさんは実は良い人?』


…To be continued

Yuki ( 2021/06/13(日) 05:59 )