1年生編
第2話 『皆で遊びに行こう!』
少女
「そ、その曲はぁ〜!?」

紫音
「え、えぇっ!?」


それは、昨日の出来事…
たまたま私は大好きなオジさんに会う為、いつものコンビニに訪れていていた。
そして私たちがそれぞれ挨拶を交わした瞬間、突然オジさんのスマホから着メロが流れたのだ。
そのオジさんの着メロを聞いた謎のPKMは叫び声をあげ、コチラに向かって突撃して来た。
私は耳をピコン!と立てながら警戒するも、その少女の姿を見て裏稼業の関係ではないと予想して落ち着く。
肝心のオジさんは通話をしており、特に少女の事は気にもしておらず、電話に集中していた。


オジさん
「…ああ、そうだな」
「分かった、ならまた例の場所でな」


オジさんは通話を終えてスマホをポケットに仕舞い、叫んだ少女を見る。
そして、少女は目をキラキラさせながらオジさんを羨望の眼差しで見ていた。
そして少女はすぐにこう叫ぶ。


少女
「おじさん、○ャバンが好きなんですかっ!?」

オジさん
「お? 何だ嬢ちゃん、その若さで○タルヒーローたぁ中々の趣味だな!」

紫音
「…何それ? 調味料か何か?」


私は純粋な気持ちでそう答えただけだったのだが、オジさんは首だけをギギギ…と、そんな音がしそうな雰囲気でこちらに向けて笑っていた。
う…な、何か怒ってる!?


オジさん
「紫音ちゃ〜ん、いくら何でも宇宙刑事に対して調味料は無ぇだろ!?」

少女
「そうですよ!! 伝説的なヒーローに対して!!」


何か、いきなり怒られた。
私は涙目になりながらも狼狽えるだけで、そこから先の会話には一切付いて行く事は出来なかったのだ…


オジさん
「良いか? かの宇宙刑事○ャバンはだな……」


そこから、何故かオジさんは真剣な顔でその刑事の事を熱く語り始めた。
どうやら、オジさんはそう言った特撮ヒーローが大好きらしく、若い頃から憧れを抱いていたらしい。
そんなオジさんは、今やダークヒーロー的な仕事をしてるのだから世の中はある意味残酷と言えるだろう…

…そして、そのまま数十分に渡って私はオジさんとPKMの少女から宇宙刑事の事を語られる羽目に。
その間、オジさんと少女は気が合うのか様々な議論も挟んでいき、私は完全に放心状態でそれを聞き流す事しか出来なかった…



………………………



オジさん
「…とまぁ、こんな所だ」

少女
「凄いです! そこまで詳しいとは感服しました!!」


PKMの少女がキラキラした目でそう叫ぶと、オジさんはフフンッと照れ臭そうに胸を張っていた。
な、何故だろう? 今、私はある意味最大のライバル(強敵)に出会ったのでは?と、思ってしまった。

あのオジさんと共通する趣味がある少女というだけでも驚きなのに、その少女の方も羨望の眼差しでオジさんを見ているのだ。
私は思った…私がオジさんと共有出来る趣味なんてあるだろうか?と…いや無い。(否定形)


紫音
(そもそも私はヘルスやってた過去もあるし、マトモな趣味とか考えた事も無かった)


この世界に呼び込まれてから、私は自分を引き取ってくれたお婆ちゃんの為にお金を稼ぐ事だけを考えて生きてきたのだ。
その後、オジさんのお陰でお婆ちゃんと私は救われ、今や私は勉強の日々…
そんな私の生活に対して、アニメとかゲームとかそういうのは何ひとつ知識に無い!

…あ、他人には言えないけどイケナイ動画とかは参考程度に嗜んだ事はあるか。


少女
「申し遅れました! 私、グラエナのPKMでグリナって言います!」

オジさん
「おう、名乗ってもらって早々に悪いが、チト今日は語りすぎた…」
「ちょっと急ぐんで、また次の機会にな!」

紫音
「あ…」


私はサヨナラも言えず、その場でオジさんが去るのを見送るしかなかった。
うう…何か今日は散々だ。


グリナ
「紫音さん!」

紫音
「は、はいっ!?」


私は突然名前を呼ばれて驚いてしまう。
と言うより、さっきまでの語りのせいで軽く退く。
そんなキョドった私に対し、グリナと名乗った少女は目をキラキラさせて握り拳を胸の前に掲げていた。
そして、そのままグイッと顔をこちらに近付け…


グリナ
「以前は、ありがとうございました!!」

紫音
「…へ?」


彼女はそう言って勢い良く頭を下げる。
私はキョトンとしてしまい、一体何の事か全く理解が出来なかった。


紫音
「…私、君に何かした?」

グリナ
「何を!? 悪漢から私を助けてくれたヒーローじゃないですか!!」


悪漢…? 助けた…ヒーロー?
私はとりあえず記憶を出来る限り深く掘り進む。
何かあったっけ? ってか掲載してたっけそんな話?
私は恐らく読者ですら覚えていないであろう出来事を、ひたすらに脳内で検索する。
そして…あった、確かに。



………………………



少女
「や、止めて! 近付かないで!!」


突如の悲鳴に私は身構える。
見ると、工場の外壁の影で何やら男が少女を捕まえていた。
私はすぐにスイッチを切り替える、あれは痴漢だ。
見た所、襲われてるのは黒い犬っ娘みたいだけど、幼さが見える…ロリコンかっつーの!


紫音
「ほいっ!」


バシンッ!と私は瞬間移動の様に痴漢の目の前で『猫だまし』をする。
いつも思うけど、何で猫がやるのに猫だましなんだろ?
まぁ、とりあえず効果はてきめん、痴漢は私が合わせた両掌の衝撃波で後に吹き飛ぶ。
そのまま私は犬っ娘を引っ剥がし、痴漢から遠ざけた。
そして、痴漢が怯んでいる間に、私は思いっきり金的を蹴り上げる。
しなやかなチョロネコの脚力で蹴り上げられた痴漢は、泡を吹いて蹲った。


紫音
「こんな、いたいけな少女を無理矢理犯そうなんてバカなんじゃないの!?」
「女抱きたきゃ、金で買いなさい!」


もちろん私はお得な価格で即ヌキOKよ♪
まぁ、この人お金無さそうだけど…


犬っ娘
「あ、あの…ありがとうございます!」
「お姉ちゃん、格好良かったです♪」

紫音
「ん〜? 良いよ良いよ♪ でも、こういう怪しい場所をひとりで歩くのは危ないから、気を付けてね?」


私が笑顔で言ってあげると、犬っ娘は耳をピコピコさせて微笑んだ。
うむうむ、可愛くてよろしい♪


犬っ娘
「はい、これからは家族と一緒になるべく出かける事にします!」

紫音
「その方が良いよ、じゃあ気を付けてね♪」



………………………



紫音
「……嘘でしょ? あの痴漢に襲われてた時の?」

グリナ
「はいっ! 本当にあの時は助かりました!」
「あの一件から、お姉ちゃんの過剰な監視もあって、何とか問題は無かったんですけど…」
「ずっとお礼がしたいと思っていたので、見付けられて本当に良かったです♪」


グリナちゃんはそう言って可愛く微笑む。
むぅ…良く見るとロリ体型っぽくも、それなりにスタイルあるわね。
初見では結構年下なイメージだったけど、もしかしてそんなに私と変わらない?
ってまぁ、あの頃って去年の11月頃だしこの娘は単に育ち盛りだったのかも…

…と、そんな風に考えていた私の手をグリナちゃんは無造作に掴む。
そして…


グリナ
「紫音さん、この後暇ですか!?」

紫音
「えっ!? あ、まぁ…今日まで夏休みだし別に時間はあるけど」

グリナ
「だったら、家に来てくれませんか!?」

紫音
「は、はいぃっ!?」


グリナちゃんは羨望の眼差しで私の目を見ながら、尻尾を激しく振る。
うわ…これ多分断れない奴だ。
きっと『はい、いいえ』の2択が出るものの、どっちを選んでも実質はい1択になってるタイプの選択肢だ〜


紫音
(というか、既に時間はあると言ってしまった手前…)


どうやっても不退転な気がする。
そもそも、ここまで嬉しそうに期待された目で見られたら断るのも悪いし〜!


紫音
「えっと…家ってどの辺りに?」

グリナ
「ここからなら結構近いですよ! さぁ、行きましょう!!」


グリナちゃんはそう言って私の手を引っ張り、グイグイ進んでいく。
むぅ…流石は腐っても進化形、私よりも力あるし!
そんなこんなで、私はグリナちゃんに引っ張られたまま彼女の家にお邪魔する事になったのだ…



………………………



紫音
「うわ…私の家よりも古そうな建物」

グリナ
「築80年らしいので! それじゃあどうぞ上がってください♪」
「ただいま〜! 例のお客さん連れて来たよ〜♪」


そう言ってグリナちゃんは素早く靴を脱ぎ、急いで家に上がる。
スリッパとか使わないんだ…って、そもそも床がフローリングですらない!?
私はやや戸惑いながらも、その辺に散らばっていたグリナちゃんの靴を綺麗に揃えてあげた。
その後、私も靴を並べて上がらせて貰う事に…


紫音
「えっと…おじゃましま〜す!」


な、何だか新鮮だ。
オジさんの家に入る時とは空気が違う!
少し緊張してきたな…



「ん? 君が例の恩人さんかい?」


私はビクッ!と反応して飛び上がる。
そして空中で反転して私は背後を見た…すると、玄関にひとりの綺麗な女性が立っていたのだ。
その姿はグリナちゃんを大人にしたかの様な外見で、黒いTシャツと黒いズボンを着ている。
髪はボサボサ気味なものの、腰まで長く伸びる毛並みはかなり美しかった。

そして、何よりもその驚愕なスタイル!
筋肉質ながらも、たわわな胸を携えておりそれは重力に負けていなかった!
上半身はまるでスポーツマンか格闘家の様な物であり、多分下半身も相当強いだろう。


紫音
「…か、完敗だ!」


私はその場でガクリと四つん這いになる。
恐らく彼女もグリナちゃんと同じグラエナ…
しかし、同じ悪タイプとして女の格が違う!
立っているだけで、その大人オーラは目に見えるレベルの完成度であり、私ごときが対抗出来るはずも無かった…



「きゅ、急にどうしたんだ!?」

紫音
「いえ…お気になさらず」


私は涙目になりながらフラフラと立ち上がる。
凄いなぁ〜もしかしてグリナちゃんのお母さんとか?
ここまで女としての敗北感を覚えたのは、華凛さん以来だよ。
あ、ちなみに華凛さんって言うのはアブソルのPKMで、ここから近い喫茶店でバイトしてる美人さんだよ♪


グリナ
「あ、お姉ちゃん! 家にいたんだ?」


「ああ、夏の課題も既に終わってるからな…明日から学校も始まるし、今日はゆっくりするつもりだ」

紫音
「学校って…学生さんなんですか?」


「ああ…今は警察学校に通ってる、とりあえずはな」
「おっと、自己紹介が遅れてしまったな…私は『琴紀 アセリナ』、グリナの姉だ」


あ、姉だったのか…貫禄あるなぁ〜
少なくとも、この見た目で学生さんとはとても思えない。
もっとしっかりした職に就いている人かと思ってたよ。


紫音
「えっと、私は橘 紫音と言います」
「今日はグリナちゃんに誘って貰って、おじゃまさせていただく事になりました!」


私はそう言ってペコリとお辞儀をする。
すると、アセリナさんは優しく微笑んでくれた。
うわ〜! やっぱり完成度高いよこのお姉さん!!


アセリナ
「ふぅ…グリナもこれ位淑やかならな」

グリナ
「ぶぅ〜! 私はこれで良いんだもん!」


今の言葉がグリナちゃんは不満だったのか、顔を膨らませてプイッと顔を背けた。
アセリナさんはふぅ…と軽く息を吐くも、微笑したまま家に上がって行く。
私はそんなアセリナさんの背中を見ていると、何処と無く寂しそうな背中に見えてしまった。


紫音
(…? 何だろう?)

グリナ
「紫音さーん! ほら早くこっちに! 私の部屋に行きましょう!!」


私の腕を引っ張ってグリナちゃんはドタバタ走る。
そして階段を駆け上がって2階に向かうのだった…
途中、後ろからアセリナさんの声が聞こえたが、グリナちゃんは全く聞こえていないみたいだ。



………………………



紫音
「………」

グリナ
「ここが私の部屋ですよ!?」


そう言ってグリナちゃんは自分の部屋をバーン!と紹介した。
本人は余程嬉しいのか、両手を広げてその場でクルクル回っている。
私はそんな彼女の部屋を見て絶句した。


紫音
(うわ…散らかってるなぁ〜)


足元は畳だけど、色んな何かが散らばっている。
一応、学習机や本棚とかもあるけど、棚にはみっちりと漫画やらDVDやらが詰まっており、そこに入らないのが足元に散乱しているのだ。
とどのつまり、棚が足りてない!
私は流石に目を細めるも、グリナちゃんはお構い無しにテレビのリモコンを操作していた。


グリナ
「ふっふっふ〜♪ 時代は今やダビングなのだよ!!」
「お爺ちゃんの秘蔵コレクションは全て保存済み!! 今こそその本領を発揮する時!!」

紫音
「な、何を見る気?」


私が恐る恐る聞くと、グリナちゃんは鼻息をふんす!と鳴らして目をギラつかせる。
そしてグッと握り拳を掲げ、彼女は力強くこう言った。


グリナ
「紫音さんにも特撮ヒーローの素晴らしさを教えてあげます!」
「どうぞご安心を! 初心者にも理解しやすいのを一挙放映しますから!!」


そう言ってグリナちゃんは慣れた手付きでDVDプレイヤーにディスクを挿入する。
そしてリモコンですぐにそれを放映し始めた。
その後、32インチの液晶モニターに映し出された画面は…



て〜れって〜! て〜れって〜! てんっ! てんっ! でろでろでろでろでろでろでろでろ!


グリナ
「男なんだろぉっ!! ぐ〜ずぐずするな〜よっ!!」

紫音
「………」


私は半ば放心状態で見ていた。
熱くオープニングテーマを熱唱するグリナちゃんは完全に自分の世界に入っており、もはや画面上の事しか映っていなさそうだ。
私はとりあえず流される事にし、しばしその時間を耐えるのであった…



………………………



グリナ
「やはり○ャバンは最高なのです!!」

紫音
「………」


私は相変わらず放心していた。
まだ第1話が終わったばかりなのだけど、既にお腹一杯だ。
いわゆるヒーロー物というジャンルなのだろうけど、私にはどうにも合わない。
悪いとも別に思わないけど、理解はあまり出来ない。
そもそも、こういった作品はいわゆる子供向けとかであって、高校生にもなってる私たちがキャッキャウフフ出来る内容では無いと思うのだ…


紫音
「…ちなみに、後どの位あるの?」

グリナ
「全44話です!!」


私は聞かなきゃ良かったと後悔した。
これ仮にも1話30分だよね? いや実際にはCMとかカットしてるからもう少し短いけど…仮に約25分を44話って事は、1100分…
時間にしたら約18時間以上と、明らかに1日で網羅する内容では無いと断言出来る。


紫音
(ちなみに今の時間は13時…)


単純に全話視聴したら、そのまま登校時間になってしまうレベルだ。
どう考えても無謀でしょコレ!?
って言うか、夏休みラストにやるような企画じゃ無いよね!?
私、帰って残り僅かの宿題終わらせなきゃならないんだけど!?


グリナ
「あ、流石に全話一気はしんどいと思うんで、今回はある程度総集編的にピックアップして放映しますね〜♪」


そう言ってグリナちゃんはポチポチとリモコンを操作し、次の話に進めて行く。
どうやら見るのは確定らしい…
私はある程度覚悟を決め、とりあえず終わるのをただ待つのだった…



………………………



アセリナ
「ホンッとに申し訳無い!!」

紫音
「あ、いや〜…どうぞお気になさらずに〜」

アセリナ
「ウチの愚妹が、誠に失礼を!!」


アレから計10時間…私はみっちりと宇宙刑事の事を叩き込まれてしまった。
もはや意識は朦朧としており、眠気すら来ているのだ。
幸い食事はご同伴に預かったので問題無いのだけど、改めてこの家の人は色々凄まじかった!!


グリナちゃんのお爺さん
「ほっほっほ! また何時でも来てくれい!」
「グリナに友達が出来たのは初めてじゃし、どうか仲良くしてやってくれ♪」


そう言ってお爺さんはグッと右手でサムズアップし、にこやかに笑った。
どうも、グリナちゃんのこの趣味は全てこのお爺さんから受け継いだ物の様で、色んな意味で筋金入りらしい。
詳しい詳細は割愛するけど、とにかく今はさっさと帰りたいのだ…


紫音
「あっはは…それじゃグリナちゃん、さよなら〜」

グリナ
「あ、紫音さん待ってください!」


私は最後に呼び止められる。
今度は何〜?と私は思いながらも、彼女のやや戸惑う顔を見て私は顔を引き締めた。
そして数秒の静寂の後、彼女は意を決した様にこう告げる。


グリナ
「わ、私の事は…グリナと、呼び捨てにしてください!」
「と、友達…なら、別に良いですよね?」

紫音
「…まぁ、貴女がそれで良いなら良いよ」
「それじゃあね…グリナ」


私はそれだけ言うとすぐに走り出した。
急いで戻って宿題やらないと!
後少しだけど、それでも1時間はかかるんだから〜!!



………………………



と、まぁ…そんな事があって今に至る。
私は結局宿題を終わらせて寝たのはAM3時であり、そのまま寝坊してダッシュ登校する羽目になったのだ。
それもこれも、今目の前にいる問題児のせいだったわけだけど…


グリナ
「紫音さん! 今からアミューズメント施設に行きませんか!?」

紫音
「は?」


突然、彼女は尻尾をフリフリしながら力強くそう言う。
アミューズメント施設って…また唐突な。
この辺りには無いけど、駅前まで行く気なのかな?


グリナ
「折角ですし、親交を深める為にも一緒に遊びたいです!」

紫音
「う〜ん、まぁ別に良いけどふたりで行くの?」

グリナ
「はい! 私他に友達いませんので!!」


力強く言う事じゃ無いでしょうに…
ってか、クラスメートはどうしたんだろう?
どうせ誘うなら、そっちを誘えば良かったんじゃ?


紫音
「…クラスメートは誘わなかったの?」

グリナ
「い、いや〜…流石に、PKMの立場なんで」


私は察してしまった。
自分のクラスは、良くも悪くも私がいるから気楽に接してくれてるけど、他のクラスがそうとは限らないのか。
グリナの表情を見るに、多分避けられたって所かな?
私も最初は警戒されてたし、海南ちゃんがいなかったらすぐには溶け込めなかったはず。
グリナにとっては…その第1歩、か。
私は寂しそうに笑うグリナを見て、しゃあない!とスカートのポケットからスマホを出す。
そして、まずはひとり呼び出す事に…


海南
『は〜い、もしもし〜?』

紫音
「あ、海南ちゃん? もし良かったら、後で一緒に遊びに出ない?」

海南
『遊びにって、どこまで〜?』

紫音
「アミューズメント施設に行こうかな?って話だし、駅前辺りになると思うけど…」

海南
「って事は、ROUND○辺りかな? 何時から?」

紫音
「それじゃ昼食もかねて12時集合でどうかな?」

海南
『オッケ〜♪ それじゃ準備出来たら向かうよ〜』

紫音
「うん、待ってるね♪」


私は笑顔でそう言い、通話を切った。
そしてそのままグリナに向かってこう告げる。


紫音
「じゃあグリナ、12時に駅前集合!」

グリナ
「えっ?」

紫音
「えっ?じゃないでしょ〜? 自分から誘った癖に!」
「とりあえず制服のままじゃなんだし、一旦着替えてからにしましょ?」

グリナ
「は、はいっ! 解りました!! すぐに準備して駅前ですねー!?」


そう叫んでグリナは凄まじい勢いで走り去って行った。
ふぅ、ホントに慌ただしい娘だなぁ〜
やれやれ、何だかんだで一緒に遊ぶ約束しちゃったけど、まぁ海南ちゃんも一緒だし別に大丈夫よね?

私は気楽にそう考えながらも、とりあえず帰路に着く。
そして私も家で準備をし、時間を見計らって駅前に向かう事にしたのだった…



………………………



紫音
「あれ、私が最後〜?」

海南
「ふふ、駅前なら私は紫音ちゃんより家が近いしね〜♪」


海南ちゃんは可愛らしくもスポーティーな半袖短パンの服装。
ああ見えて陸上部だし、やっぱり動きやすい服が好きらしいのだ。


グリナ
「紫音さん、お待ちしてました!」


グリナも普段着に着替えており、こちらも黒シャツに薄手の長ズボン。
昨日のアセリナさんと似た様な感じだね…やっぱ意識はしてるんだろうか?


海南
「でもびっくりしたよ〜! 紫音ちゃんとグリナちゃんが友達だったなんて〜」

紫音
「まぁ、昨日なったばかりなんだけどね…」

グリナ
「はいっ! 紫音さんは私の最初の友達です♪」


グリナはそう言ってニッコリ笑い、尻尾をフリフリしていた。
海南ちゃんはそんなグリナがよっぽど気に入ったのか、よしよしよし!とグリナの頭を撫でていた。
まるでペットみたいな扱いだね…まぁグリナは犬っぽい所大いにあるけど。


グリナ
「あうー!」

海南
「お〜よしよしよしよし♪」

紫音
「ほら海南ちゃん、その辺にして早くお昼にしよ?」


私は放っとくと永遠に撫で続けそうな海南ちゃんを制止し、とりあえずグリナを解放した。
グリナは流石に驚いたのか、その場でフラフラしている。
やれやれ、海南ちゃんの性癖に突き刺さったのが運の尽きだね…


海南
「おっとと、それじゃあどこで食べる?」

紫音
「グリナは食べたい物とかある?」

グリナ
「そうですね〜、折角ですから牛丼でもどうです?」


私たちはやや固まる。
あ、いや別にダメって訳じゃないんだけど…


海南
「あ、あはは…グリナちゃんって意外とワイルドなのかな?」

紫音
「うーん、私も肉系は大好きだけど、まさかリアルJKが3人揃って牛丼屋に向かうのはある意味ガッツだよね〜」

グリナ
「そうなんですか? 私はお姉ちゃんと一緒に良く食べに行くんですけどね〜」


うわ、それは意外だ。
あの美人代表みたいなアセリナさんが、妹連れて牛丼とか…
いや、見た目で判断するのは流石に問題か…


紫音
「とりあえず異論は無いけど、何処で食べる?」
「駅前なら好きな店選べるけど…」

グリナ
「牛丼なら○き家1択ですよ!!」

海南
「うーん、私はどっちかって言うと○屋かなぁ〜?」

紫音
「え〜? 牛丼なら○野家以外有り得ないでしょ?」


何と、見事にバラバラだった。
いや、リアルJKが牛丼でそこまで拘る普通?
まぁ、仮にも私とグリナは肉食獣みたいな物だし、味にある程度拘りあるのはまだ解るかな?
むしろ海南ちゃんに拘りある方が意外だ…もしかして結構食い慣れてるの?


グリナ
「むむ…割れましたね」

海南
「あはは〜まぁ私は何処でも良いよ?」

紫音
「うーん、それじゃあグリナに合わせるかな」
「聞いたのは私だし、別に良いよ?」

グリナ
「いやいや! 流石にそこまでワガママは言いません!」
「どうぞ、おふたりの好きな方で!」


こういう所は無駄に謙虚なんだね…
まぁ、それならそれで決めやすいかな?
私はとりあえず一店に絞り、それを言おうとする…と、後ろから突然誰かが話しかけて来た。



「あれ、何アンタ等? 何こんな所でつるんでんのさ?」


話しかけて来たのは、グリナ同様に私たちの学校に入学して来た転校生。
暗い赤髪の長髪を靡かせ、茶色のタンクトップと半ズボンで身を包むその姿は実に健康的。
そして特徴のケモ耳と尻尾はピコピコと動いていた…


紫音
「ルナールさん!? 何でこんな所に…」

ルナール
「は? 昼時に昼飯食わない奴がいんの?」

海南
「あっ、そうだったんだ〜! じゃあ私たちと一緒に食べにいかない?」
「今、何処の牛丼店に行くかで迷ってるんだけど、ルナールさんだったら何処が良い?」


海南ちゃんはさも当然の様に誘いをかける。
ルナールさんは予想通りウザそうな顔をし、すぐにでも逃げたそうな顔をしていた。
いや、って言うか何で自分から話しかけて来たかな?
海南ちゃんの性格考えたら、こういう方向になるのは目に見えてるはずだけど…


ルナール
「そもそも何で牛丼? リアルJK4人集めて牛丼店殴り込みとか、絶対正気の沙汰じゃないでしょ?」

グリナ
「牛丼は嫌いなんですか?」

ルナール
「いや、好きだけども…そうじゃなくて、絵面の話ししてんの!」
「想像してみ? むさ苦しい男共の間に挟まれて、華やかなJK4人がキャッキャウフフしながら脂っ濃い牛丼片手にかっこむ姿とか、どう考えても違和感意外無いっしょ!?」


それは確かに色々残念な光景だ。
とはいえ、別に牛丼嫌いな訳じゃないし、食べない理由にはならないと思うけど…


海南
「う〜ん、私は皆と一緒なら全然大丈夫だけどね〜♪」


海南ちゃんは両手を口元で合わせてウフフと笑う。
凄まじく嬉しそうだ…いや嬉しいんだろうけど!


紫音
「とりあえず、コスパも良いし牛丼食べるのは賛成!」

グリナ
「右に同じく!」

ルナール
「つか、アタシも既に含まれてんのよねコレ?」
「既に食わせる気満々みたいだけど、まだ食うとは一言も言ってねーからね!?」

海南
「じゃ、行かないの〜?」


海南ちゃんはさも悲しそうな顔をしてそう聞く。
ルナールさんは露骨にウザそうな顔をし、何となく逃げられなくなったのを実感したみたいだ。
海南ちゃん、こういうとこ天然でやるからなぁ〜


ルナール
「…奢りなら行ってやっても良い」

海南
「やったぁ〜! じゃ3人で割り勘しよ〜♪」

紫音
「え!? 巻き込まれた!?」

グリナ
「うーん…まぁ良いですけど〜、後の事考えたらあんまり予算は無いので手加減してほしいです!」

紫音
「まぁ、私はそんな食べないし、そこまで高くはならないでしょ?」

海南
「そう? 私はお腹空いてるから特盛でも行けるけど〜♪」


いや海南ちゃんこそ手加減してあげようよ!?
巻き込んだの海南ちゃんだからね!?


ルナール
「チッ、マジで? そこまでしてアタシと食いたいの?」

海南
「もっちろん! これで私たち友達だよ〜♪」


そう言ってガッツポーズを取る海南ちゃん。
ルナールさんは露骨にウザそうな顔を再びし、もう逃げられないと確信したみたいだった…


グリナ
「とりあえず行くのは確定ですけど、ルナールさんはどの店が良いです?」
「○野家、○き家、○屋と3択なんですけど…」

ルナール
「は? バッカじゃないの? 牛丼なら○か卯1択でしょうが」


まさかの第4勢力が現れた…
って、あえて○か卯!? わざわざそっちを選ぶとは…フランス人の感覚は解らない!

とまぁ、そんなこんなで私たちは更に論議の種を増やすのだった…
果たして、私たちはどの店に行く事になるのか?










『突ポ娘異伝録 春夏秋冬 〜四人娘の学園生活〜』



第2話 『皆で遊びに行こう!』


…To be continued

Yuki ( 2021/05/09(日) 19:40 )