第1話
第4章 『あなただけに贈る、花言葉』
パルキア
「聖君、喉乾いた? おっぱい飲む?」
聖
「素晴らしく飲みたいですが、それはダメ! 絶対!!」
パルキアさんは、しばらくしてまたオレの部屋に来ていた。
そして、自身の豊満なバストを両手で持ち上げて強調し、大人の魅力を振り撒いて来る。
健全な青少年に、これは正直キツ過ぎる…ただでさえ逃げ場の無いこの軟禁室。
今、俺の貞操は確実に人質にされているのだと実感した…
パルキア
「今なら授乳手コキもしてあげるよ〜? まぁ、実際にはミルクは出ないけどね♪」
聖
「その手の動きはダメですって!? 想像したら息子がヤバイ!!」
「つか、人妻の時点で色々アウトなのに!!」
パルキアさんはエロい手つきでシコシコとジェスチャーする。
これ絶対アカン奴や〜!
しかし俺は絶対に屈するわけにはいかない。
何としてでも童貞は守らねば!
…何か、色々趣旨が間違っている気がしないでもないが。
そもそも、俺の童貞が狙いで軟禁してるわけじゃ無いんだろうし…
パルキア
「あっはは…人妻、ね」
「まぁ、人間的な倫理観で、夫婦とはとても言えなかったけどね、オレたちは」
「っていうか、それならオレは父親になるし…本来は」
最後の方は少し悲しそうな顔でそう言う。
な、何か悪い事言っちゃったかな?
パルキアさんは優しく笑ってはいたものの、その目はどこか遠くを見ている様であり、そして悲しそうだった。
強いて言うなら、今にも泣いてしまいそうな…そんな儚さを秘めた様な感じ。
聖
「す、すみません…」
パルキア
「ん? 別に謝らなくても良いよ〜」
「人化して女の体を得るとは思ってなかったけど、それでも人としての女の体は悪くないし」
「それに、今はちゃんと母親してるからね〜♪」
そうか、どことなく男口調な所があると思ってたけど、パルキアさんは性格的には本当に男だったわけか。
もっとも、性別不明と言われるパルキアに性別を問う事自体がナンセンスなんだろうが。
両性具有と思った方が妥当かもしれないしな…
しかし、そうなると何で人化したら、わざわざ女体化したんだ?
理由があるのか…それともたまたまなのか。
パルキア
「ん? 難しい顔して、そろそろおっぱいしゃぶりたくなった?」
聖
「しゃぶりません! っていうか、パルキアさんってポケモンだった時の事、覚えてるんですか?」
パルキア
「…覚えてるって言うか、思い出したって言うべきかな?」
「まぁ、もう必要無い記憶になるさ」
「今のオレはひとりの女で…母親」
「オレは、この姿で君と一緒に生きて行く」
「だから…オレが勝ったら、正式に結婚してほしい」
パルキアさんは俺の前で片膝を着き、左手を胸に当てて右手は俺の胸の前に…そんなポーズで、そんな恥ずかしい事を、真顔で言った。
俺は、恥ずかしくてしばらく固まりなりながらも、こう答える。
聖
「…それ、俺が受けたら死亡フラグになりますよ? 多分…」
パルキア
「だよなー…だから、まだ冗談」
聖
「…まだ?」
パルキア
「そ、オレたちが勝つまでは」
パルキアさんはポーズを解き、ゆっくりと俯きながら立ち上がった。
さっきの言葉には、強い意志が込められていた気がする。
そういう決意が、パルキアさんの全身から滲み出ている様にも感じる。
それは、何がなんでも勝つという決意。
パルキアさんは、覚悟を決めているのだろう…
その覚悟は、残念ながら今の俺には計り知れない物だと思った。
………………………
武器屋
「へいらっしゃい!!」
阿須那
「武器とかあんで? ってか、いる?」
華澄
「ひとつ位はあった方が良いかもしれませぬ」
「例えるのでしたら、技はいわばMP、無くなれば戦う術が減ります」
「どの様な刺客が放たれるかも解りませんし、各自ひとつは携帯しておきましょう」
私たちは華澄ちゃんの意見を聞き、それぞれ武器を手に取る。
剣にナイフに棍棒…本当にRPGみたい…
守連
「でも、お金あるの? 値札には100Pとか書いてあるけど」
華澄
「迂闊…この世界の通貨が必要なのですな」
「止むを得ません…品は置いて1度外に出ましょう」
………………………
女胤
「これがゲームでしたら、町の外でエンカウントですが」
阿須那
「そう都合良く出るか? しかも金落とすとは限らへんし」
私たちは一旦町の外に出てうろついていた。
町の外周をグルリと回り、敵の登場を待つ。
だけど、どれだけうろついても、モンスターが出る様な気配は無かった。
………………………
華澄
「一向に何も出ませんな…」
阿須那
「何やここ? 安全過ぎるやろ…」
守連
「これ、まずは町でフラグ立てないとダメなんじゃ?」
女胤
「成る程…RPGとして見るなら、まず王様などに1度会うわけですか」
私は頷く。
この町には王様はいない様だけど、町長さんとかがいるかもしれない。
まずはその辺りから話を聞いてみれば良いのかも。
私たちは一旦町に戻り、そこから町の人々に話を聞いて町長の家を見付ける事に成功した。
………………………
町長
「私がこの町の町長です」
阿須那
「1発ぶん殴って良い?」
華澄
「あ、阿須那殿! 落ち着いて!」
「今のはただの自己紹介でござる!!」
思わず拳を握る阿須那ちゃんを、華澄ちゃんがすかさず止める。
うん、微妙に違うんだけど、気持ちは解らなくもないよ…
でも、ここは◯ドラントの村じゃないから。
女胤
「何か事件とかあったりはしますか?」
町長
「実は、町の娘が洞窟に入ってしまって…」
「助けていただけませんか? 報酬は弾みます!」
気持ち悪い位に話が進んで行く。
とはいえ、これで確定した。
やっぱり、先に進むにはこうやってイベントを進めて行かなきゃならないんだ…
………………………
阿須那
「よっしゃ! ほなとりあえず行こか!」
華澄
「はい、まずは旅立ちの洞窟といった所ですな!」
私たちは町の北にある洞窟に既に辿り着いていた。
いかにもな感じで、凄くダンジョンっぽい。
女胤
「私(わたくし)は一応洞窟の外で待機しておきます」
「もし閉じ込められたりすれば問題ですし…」
守連
「じゃ、二手に別れる?」
洞窟の内容が解らない以上、全員で入ってそこが罠だったら即全滅も有り得るし、戦力は考えた方が良いかも。
女胤ちゃんもまだ本調子じゃないし、ひとりは危険な気がする。
阿須那
「ウチは入るで? フラストレーション溜まっとるし」
華澄
「では、拙者が女胤殿を守りましょう」
「守連殿は阿須那殿と中の攻略を」
守連
「分かったよ、女胤ちゃんをお願いね?」
華澄ちゃんは頷き、編成は決まる。
そして、私は先に進み始めた阿須那ちゃんの背中をすぐに追った。
………………………
阿須那
「ちゃんと灯り点いてんねんな…」
守連
「うん、でも敵出ないね…」
中は不気味な程静かだった。
所々にランタンが点いており、思ったよりも明るい。
洞窟内の広さは高さ、幅、共に10m位はあり、想像以上に広かった。
敵の気配は今の所無く、この広い一本道を私たちはひたすら歩く。
守連
「あ、宝箱」
阿須那
「人食い箱やないやろな? 守連、一発電撃かましたれ!」
守連
「そんな事したら中身まで黒焦げになっちゃうよ〜」
「それに、こんな序盤でミミックは出ないよ♪」
私はそう言って意気揚々と宝箱を開ける。
何かな〜? 薬草かな? ポーションかな?
ガチャ…
守連
「ん〜これ、ナイフだね」
阿須那
「とりあえず初期装備って奴やな…それはアンタが持っとき」
「アンタの方が技は使わん方が良いし、それなら使いやすいやろ」
そう言われ、私はナイフを装備する。
腰にベルトを着けるタイプの様で、簡単に装備する事が出来た。
そして、私たちは一本道をなおも進む。
やがて敵に出会う事もなく終着点に着き、私たちは足を止めた。
阿須那
「さて、この先にボスがいそうやな」
守連
「だね、逃げられるかな?」
阿須那
「一応、目的は町娘を助ける事やからな」
「逃げれるなら逃げるに越した事あらへん」
「多分、ウチ等にレベルアップとか無いからな」
私は頷きナイフを構える。
そう、これはゲームみたいだけどゲームじゃない。
私たちの体は現実その物。
歩くだけでもHPを減らし、蘇生魔法なんて便利な物は一切無い。
時間が経てばお腹も空くし、夜になったら眠くなる。
戦いにおいては、ゲームの常識に当てはめるのは危険すぎると思った。
阿須那
「行くで守連!?」
守連
「うんっ、頑張るよ!」
私たちは扉を開け放つ…その先は酷く薄暗かった。
そして、やや湿気を感じる…まさかこれって?
阿須那
「こらアカン…スライムやん」
そう、目の前で湿気を振り撒いている巨大モンスター。
それは、粘着質の塊のスライムだった。
直径5mはあろうかというその巨体は、こちらの存在を確認するとノロノロと迫って来る。
流石にナイフが役に立つとは思えないけど、私は右手にナイフをしっかり握り締めた。
近くに町娘はいない…まさかもう食べられた?
阿須那
「とりあえず近付くなや守連!?」
「下手にナイフで飛び散らしたら危ないかもしれん!」
「まずはウチが燃やしたる!!」
阿須那ちゃんは右手に炎を集め、スライムを見る。
私はそれからなるべく離れ、数メートル距離を離して阿須那ちゃんの攻撃を見た。
恐らく『炎の渦』…当たれば移動を制限出来るはず。
あそこまで遅ければあまり意味は無いかもしれないけど…
ドゴォォォォォォォッ!!
かなりの威力をした『炎の渦』がスライムの全身を包む。
それを食らってスライムの体は段々小さくなっていき、やがて燃え尽きた。
阿須那
「何や…こけおどしかいな?」
「もしかして雑魚やったんか?」
守連
「あはは…あれは多分、1番最初のボス相手に、容赦無く最強魔法撃つ様な物だよ阿須那ちゃん」
しかもレベルで言うならクリア後のレベル位かな…
弱点だったなら容易にカンストしてるダメージだね。
とりあえず、他の敵も見えないので私たちは更に奥へと進む。
すると、待ってましたとばかりに宝箱があった。
そして、そこには町娘の人もいる。
どうしてスライムの後に居たのかはツッコムだけ無駄だろう。
町娘は礼を言って走り去ってしまった。
阿須那
「とりあえず、宝箱開けるで?」
阿須那ちゃんは宝箱を開け、中身を見る。
すると、今度は鞭が出てきた。
阿須那ちゃんはマジマジと見つめるが…あまり気に入らない様だ。
阿須那
「ウチって鞭キャラのイメージに見える?」
守連
「う〜ん、微妙かも…」
「阿須那ちゃんなら弓とか似合いそう♪」
阿須那
「お兄さ〜ん、アタシと良い事しな〜い?ってか?」
守連
「あはは…色々マズそうだね」
とりあえず、鞭は持ち帰る事にした。
使うかはともかく、売却は出来るかもしれない。
まずは、ひとつ目のイベントクリアって所だね♪
………………………
女胤
「成る程、意外にも簡単だったのですね」
華澄
「この鞭、拙者が頂いても?」
阿須那
「ええで、ウチは別の買うわ」
守連
「じゃ、町長さんの所に戻ろ〜♪」
阿須那ちゃんは鞭を華澄ちゃんに渡した。
華澄ちゃんはそれを腰に装備して歩き出す。
私たちは無事に戻り、最初のイベントの報酬を貰いに行った。
………………………
女胤
「報酬は3000P(ポケと言う単価)…武器の値段からすると、かなり多いですわね」
華澄
「ですが宿屋などの問題もあります、食事の事を考えたらあまり使い過ぎない方が良いでしょう」
まさに現実的。
私たちは食事を取らなければ死んでしまうのだから。
装備も大事だけど、食料の方が優先だ。
私たちはまず食事の出来る所を探す事にした。
………………………
阿須那
「何ちゅうか…」
華澄
「何もありませんな…」
女胤
「家のほとんどはダミーで中には入れませんね…」
守連
「うぅ、手抜きだよ〜」
「要するに、武器屋、道具屋、宿屋だけが入れる施設?」
とりあえず、それだけっぽかった。
10以上の建物があるのに、半分以上はハリボテ。
町民に話しかけても同じ事しか言わないし、テキトーだよ…
守連
「うぅ、お腹空いたよ〜」
女胤
「あれからの経過時間を考えますと、とっくに夕飯の時間は過ぎているはずですからね」
華澄
「とりあえず宿屋に向かいましょう」
「この世界に時間の概念があるかも解りませんし、まずは食事の問題を解決しませんと」
阿須那
「材料あるなら作ったるねんけどな〜」
とにかく私は既にお腹の数値が0だ。
これ以上は歩く度にHPが減り続けてしまう。
これで死んだら、貧弱な伝説の勇者になっちゃうよ〜
………………………
守連
「ハムハムハム!!」
華澄
「よっぽど、お腹が空いていたのですね…」
阿須那
「せやけど、食事込みで100Pは安いんかな?」
女胤
「どうでしょう…? そもそも、こういった収入イベントがいくつあるかも解りませんし」
「今後の収入源がどうなるかも解らないままですと、同じ場所に居続けるのは危険でしょうね」
私はガツガツと食べ物を食べながら皆の話を聞く。
味はフツーだけど、量はある。
とにかく、今はお腹一杯食べるのが最優先だ。
華澄
「外の景色は変わる気配が無い…やはり時間の概念は無さそうです」
阿須那
「ちゅう事は、永遠に昼って事か」
女胤
「もしかしたら、イベント等で夜になる事はあるのかも…」
皆色々予想を立てながら食事をした。
これで残金2900P。
後は少し休んだら買い物だ。
女胤ちゃんも大分良くなった様で、これからは戦闘にも参加出来るみたい。
………………………
阿須那
「何にしようかな? 飛び道具は何か違う気するしなぁ…」
女胤
「私はシンプルにショートソードにします」
「これで残金2800P…」
華澄
「阿須那殿、棍棒はいかがですか?」
阿須那
「何かイメージ悪い〜斧も却下やな」
守連
「じゃあ、槍は?」
阿須那
「おっ、その手があったか〜ええやん、槍にしよ♪」
こうして、女胤ちゃんはショートソード、阿須那ちゃんはロングスピアを購入した。
これで残金は2600P…まだ余裕はある。
華澄
「次は道具屋でござる、使えそうな物があれば良いのですが」
守連
「現実の身体にポーションとか飲んでも効かなそうだもんね…」
あくまであれはゲームの話だ。
薬草やポーションひとつで体力が瞬間回復とか、現実では夢や幻。
となると、必要になるのはむしろ薬よりも別の物。
何かあると良いな〜
………………………
阿須那
「で、買うたのは『聖水』かい!」
守連
「う〜ん、やっぱりロクなの無かった〜」
華澄
「まぁ、各自ひとつ所持しておきましょう」
「効果は全く解りませんが…意外な所で使えるかもしれませんし」
私たちはひとつづつ聖水を購入し、それを各自自分のバッグに詰めた。
このバッグは道具を買ったらおまけで付けてくれた物だ。
多分、そういうイベントだったんだね…
そんなに大きなバッグじゃないけど、聖水位なら10個近くは入りそうだ。
これで残金2400P。
………………………
華澄
「さて、まずはどこに向かうべきでしょうか?」
阿須那
「闇雲に歩いてもどうにもならんやろ? 多分相当広大なマップやで?」
女胤
「とはいえ、町の人たちは次の町の事は何も話しませんし…」
守連
「だったら、あっちが正解だと思うよ?」
私が西側を指差すと全員が不思議そうに注目する。
な、何か新鮮な気分。
私はとりあえず自分の予想を皆に話す事にした。
守連
「えっと、私たちが来たのがあっちの東から…」
「そして洞窟は北…」
「南は海だから…行った事の無い方角は西だけだよ〜?」
阿須那
「成る程、ゲーム的には筋が通るな」
女胤
「確かに、どうせ進むのでしたら、まだ探索していない道を選ぶのが確率も高いですね…」
「流石にスタート地点に次の道があるとは考え難いですし」
私たちは頷き合い、次の探索ルートを決めた。
そして、その方向に歩き続ける事10分…ついに私たちは魔物と遭遇する。
狼
「ガルルルッ!!」
守連
「わ、狼さんだ〜」
華澄
「計4匹、皆さん油断なされるな!!」
阿須那
「どうせ雑魚やろ、モノホンの獣系ポケ舐めんな!?」
女胤
「背中は預かります! どうぞお任せを!!」
こうして、初の雑魚戦が始まった。
とはいえ、雑魚とはいえ侮れない。
仮にも狼だ、爪も牙もある。
私たちの様な人肌など、容易に切り裂いてしまうのが現実だ。
私たちは、一撃たりともまともに攻撃を食らうわけにはいかない。
阿須那
「喰らいや!」
ザシュッ!と阿須那ちゃんの槍が狼の体を貫く。
一撃で死んだ様で、狼は光となって消えていった。
華澄
「ふっ!」
狼
「ギャン!」
華澄ちゃんは鞭を器用に振るい、狼の首を締めて息の根を止める。
そっか、鞭って打つだけじゃ無いんだね〜
女胤
「はあっ!」
ズバッ!と女胤ちゃんの剣が狼の首を落とす。
血は飛び散る事無く、光となって消えた。
あくまでこれは作られた存在なのが良く解る。
これなら、私も気兼ね無く戦えるね。
狼
「ガァッ!」
守連
「!!」
グシャアッ!と潰れる音が響く。
私は向かって来た狼の頭を反射的に左手で掴み、そのまま地面に叩きつけたのだ。
それだけで狼の頭は砕け散り、私たちは無傷で戦闘に勝利した。
阿須那
「守連…ナイフの意味無いやん」
女胤
「見事なまでの怪力ですわね…」
華澄
「まぁ、使い慣れぬのもありましょう」
「守連殿は特に素手で戦うのが得意でしょうし」
守連
「う〜ん…咄嗟だと、つい手の方が先に出ちゃうんだよね…」
私の場合は本当に無意識だ。
ナイフを抜いてはいるものの、全く使い所が無かった…
皆は呆れながらも改めて勝利を祝う。
やっぱり、今後もこういったエンカウントはあるみたい。
そして、勝利すればちゃんとお金を落とした。
私たちは今回の戦利品を確認する。
守連
「うん、20Pってとこだね」
阿須那
「流石に些細やな…とはいえ、5セットで一泊分か」
華澄
「次も同じ値段とは限りませんが…」
女胤
「そうですね、基本的には段々物価は上がる物ですし」
阿須那
「そん時は収入も増えるやろ?」
守連
「敵の強さも上がるけどね…」
そう、あくまでこれは序盤。
今は楽勝でも、次がそうとは限らない。
もし、何かひとつでも間違いがあったら、すぐに私たちは全滅しかねないのだ。
ましてや、誰ひとり欠ける事の許されないこのルール。
ある意味、これはただのやり込みプレイなのかもしれない。
ただの1度もミスを許されないやり込み…しかも初見でノーセーブ。
ましてや、リセットして最初からやり直す事も出来ない…
考えると怖くなって来た。
こんな緊張感がずっと続くとなると、その内気が滅入ってくるかもしれない。
それでも、今は笑おう。
この世界の先に、聖さんがいるはずなのだから…
『とりあえず、彼女いない歴16年の俺がポケモン女と日常を過ごす夢を見た。だが、後悔はしていない』
第1話 『とりあえずノーミスノーセーブノーリセットでラスボスのタマ取って来いや!』
To be continued…