第一章 僕らの色が、交わる時
4. 初めての救助
「よっしゃ、倒した!」

目の前で戦闘不能になっているヒマナッツを見て、オレはガッツポーズをする。
もうすっかりコツを掴んだのか、技を出すときに目をつぶってしまうラグリよりも断然命中が良かった。

「なぁ、今って何階?」

どうやらここは “階段を何個か見つけて登ればダンジョンを突破できる” つくりになっているらしい。
技の命中に関してはルーブの方が上でも、記憶力と知識の多さではラグリにかなわない。

「たぶん、2階だったと思うよ。」

「そっか、あと何階かな………………あ。」

階段発見!
急いで駆け上がると、視界が開けた。

奥に居るのは…………もしかしてキャタピー?

「……えーん……おかあさん……ぐすっ……」

泣いているようだ。そんなキャタピーに、ラグリがしゃがんで目線を合わせる。

「……あの、キャタピーちゃんであってるかな?」

「……」

そりゃ知らないポケモンに話しかけられたら怖いだろう。キャタピーは怯えた様子でラグリを見つめる。

「えっと……助けに来たよ。」

「え?」

今度はオレもラグリの真似をしてしゃがんでみる。

「お母さんが待ってるぞ。さぁ、帰ろう。」

不安そうだったキャタピーが笑顔になる。

「うん!」

***

「この子も無事で……本当になんとお礼をすれば……!」

バタフリーが頭を下げる。

「い、いいですよお礼は……!最近は地割れとかが多くて危険ですし……
 でも本当に、ケガもなくて良かったです。」

「じゃあ、せめてお名前を……。」

バタフリーにたずねられて、ラグリは答える。

「僕はラグリ。そしてこちらがルーブくんです。」

「……か、かっこいい……!」

…………なんか憧れの目で見つめられてる……。
こんな眼差しで見つめられるとちょっと照れるな……。
でも、ヒーローになったみたいだしこういうのもいいかも。

「ありがとう!ルーブさんにラグリさん!」

「これはせめてものお礼です。ほんの少しですが……。
 助けてくださり本当にありがとうございました!では。」

渡されたのは色とりどりのカラフルなきのみ。
それを見つめていると、バタフリーたちに手を振っていたラグリがこっちを向いた。

「あ、あの……さっきは、一緒に来てくれてありがとう。ルーブくんって強いんだね……!
 それで……その、このあと、どうするとか……ある?」

また憧れの目を向けられた。
ラグリの方がすごいと思うけど。

…………このあと、か。
正直、行くあてはない。

「ねぇ……その、行くところがないなら、ちょっと来ない?」

黙って考えているルーブを見て、ラグリがひとつ提案をしたのだった。

ポチャ ( 2022/03/18(金) 18:29 )