鈍色の残光
第1章 第13話 成長の証
 2つ目のバッチを手に入れたと語るからには、ポケモンのレベルは相当上がっているハズ。
 根性論では決して勝つ事は出来ないと、リーフは自分で自分に活を入れた。

 (グリーンと同じ様に、私だってポケモントレーナーである以上、上を目指そうと努力してる。
 私が確実に成長していると言う事実を、証明しなきゃ……)

「ココなら邪魔は入らない。付き添いの奴、しっかり見ておけよ。
 俺の実力を。そしてロクなポケモンがいないせいで無様な姿を晒すコイツの姿を」

 天まで高いプライドと溢れる自信。強い者には必ずその傾向がある。
 謙虚に、地道に戦ってきたリーフが彼に勝てば別の道があると証明出来る様な気がした。

 (こんな奴……イキっとって腹が立つだけや!
 リーフはんにはキッチリ勝ってもらって、偉ぶるにはまだ早いと言うのを示してほしいわ)

 周囲に彼等以外の人の姿は見当たらない。誰の邪魔も入らない理想の状態で戦える。
 それが嬉しいと言う事に関しては、リーフもグリーンも気持ちは同じだった。

「ハンデでもくれてやろうか?お前相手なら、手の内を明かしても問題無ぇだろ」

 グリーンは薄ら笑いを浮かべながら手に持ったボールをバトルフィールドに投げ入れ、ポケモンを場に出現させる。

『御主人様、この小娘が我々の相手なのですか?』

「そうだ。お前の素早さと力で強引に捻じ伏せろ。何時もの通りにやるんだぞ」

『解っておりますとも』

 鋭い眼光でリーフを睨みつける鳥ポケモン。リーフは前に草叢で同じポケモンを目撃した事があった。

 (ポッポ。オニスズメと同じ様に素早さで勝負するひこうタイプ持ちのポケモン。
 私が今持っているポケモンの中で有効な攻撃が出来るポケモンもいないし……ココは真っ向勝負でぶつかっていく!)

 リーフは隣にいるロトム図鑑と視線が合う。

『ボクと考えている事はさほど変わらないハズロ』

 全幅の信頼。リーフの選択がトレーナーとして間違ってはいないだろうと言う判断。
 助言が少なくてもやっていける。そう思われた事がリーフには嬉しかった。

『ヘヘッ、コイツが俺の相手ですかい。結構やりそうじゃないですか』

『フン。言葉遣いのなっていない蝿め。我々の力をとくと見るがいい』

 リーフがバトルフィールドに出現させたのはオニスズメだった。
 同じタイプ同士で殴り勝つ。グリーンもその姿勢には魅せられた。

「面白ぇな。安易な逃げに走らねぇ所だけは評価してやるぜ」

「逃げていたら、何も掴めない」

 自分自身がずっと逃げていたからこそ、リーフにはそれがよく解っている。
 そこから離れて色々な人と出会った事で価値観に変化が生じた。
 グリーンとの勝負はその出会いが無駄では無かった事を証明する為の戦いでもある。

『では、宜しいですね?御主人様』

「始めろ」

 レベルでは殆ど優劣は無いが、素早さではポッポに一日の長があった。
 試合開始と同時にフェザーダンスを使われ、オニスズメの攻撃力が2段階低下する。

「さぁ、どうする?お手並み拝見だな」

 オニスズメを交代し、攻撃力を元に戻す手もある。
 しかし交代すれば相手は間違いなく攻撃技を繰り出し、差を広げようとするだろう。

 (後ろに控えている仲間の事も考えると、無謀でも突っ込むべきね)

 リーフは攻撃技を選択し、オニスズメもそれに従う。

『なぁに、攻撃力が下がっても俺の腕までは鈍っちゃいませんよ』

 羽根を素早く振り下ろし、一閃。つばめがえしでポッポにかなりのダメージを与えた。

 (気に入らねぇな……2段階低下状態でこの火力。
 どういう鍛え方してるんだよコイツは。とりあえず、サッサと沈めた方が良さそうだ)

 トレーナーズスクールでの努力が、確実に結果として表れてきている。
 実際のレベルよりも高い攻撃力はグリーンですら危機感を覚える程のものだった。

「ねっぷうで火傷を狙え。火傷に出来ればラッキー位の考え方で良い」

『勿論です』

 ポッポは羽根に熱を宿らせ、その風をオニスズメに当てる事によってダメージを与える。
 リーフも覚悟してはいたが、オニスズメが火傷状態になったのを確認すると悔しそうに歯を食いしばった。

「運も俺に味方してくれているらしいな。楽勝だぜ」

「まだ始まったばかりよ」

 再度つばめがえしでポッポの撃破を狙うオニスズメ。
 素の火力こそ高いが攻撃力低下の影響は大きく倒すまでには至らなかった。

 (いやぁ、ホンマに凄いわ。ロケット団と戦った時にも目立ってたけど、攻撃力がえげつないで。
 どういう育て方したらそこまでレベルが上がってへんのにああいう風に育つんやろ)

 グリーンがオニスズメの攻撃力の高さに気付いていたワケでは無いが、危機察知能力は優れていると言えるだろう。
 先に相手の力を削ってとどめを刺すという戦い方を敢行するのは当然なのかもしれない。

「さっさと終わらせろ」

『そうは言いましても、なかなか相手が粘るものでして』

 ねっぷうの攻撃力はそこそこあるが、2回使用してもオニスズメを倒し切るには至らない。
 それでも素早さの差は大きく、先手を取ったポッポが3度目のねっぷうで相手を倒した。

 (2度のつばめがえしでポッポのHPを3分の1まで削ってくるとはな。
 舐めていい相手じゃねぇ。本気で行くぞ)

 グリーンの目に炎が宿る。
 自分が手駒として育ててきたポッポがココまでダメージを受けたのは初めての事だった。
 圧倒的な勝利を続けてきたグリーンだったが、弱い者虐めをしている事が多く、実力が拮抗している相手と戦った経験があまり無い。
 勿論、ツツジと2番目のジムリーダーには苦戦させられたが、それは仕方ないと割り切っていた。

 (的確に相手の力を削いで決めてくる。侮れない相手だとは思っていたけど、こんなに強いなんて。
 でも、グリーンだけには負けられない!あらゆる手を尽くして、絶対に勝つ)

 リーフの心にも火が付いていた。ライバルと呼べるだけの実力が自分にあるかどうかはまだ解らない。
 だが高慢な相手に負ける様なトレーナーであってはならないと思っていた。

「貴方に勝つ為には、多少危ない橋でも渡らなければならないわ」

 実戦経験が乏しい、レベルが低いかもしれないポケモンをこのバトルで用いる。
 ドラゴンタイプのポケモンは強い。その事実があるからこそ賭ける価値があるとリーフは考えた。
 モンスターボールをバトルフィールドに投げ入れ、ミニリュウをポッポの対戦相手として登場させる。

『僕、マスターの為に精一杯頑張るよ!』

 グリーンは外面こそ平静を装っていたが、ミニリュウの姿を見て内心では動揺を隠せなかった。

 (おいおい、嘘だろコイツ。
 捕まえる事自体が困難だと言われているドラゴンタイプのポケモンを手持ちに加えてるってのか。
 当たり前だが全体的なステータスが高い。反則級の強さだな)

『攻撃力、防御力共に高く、既に優秀な技を多数覚えているロ!
 まずは目の前の敵を倒して、次の相手を引っ張り出すべきロ』

 リーフはロトム図鑑のアドバイスに対して頷き、ミニリュウに命令を下す。

「ミニリュウ。りゅうのいぶきでポッポを倒して頂戴」

『うん、そうする!』

 吐く息が青い炎と化し、ポッポを戦闘不能に陥らせた。

「……何処でそんなポケモンを手に入れたんだ」

「貴方に教える義務は無いでしょ。でも、意外と簡単に仲間に出来たって事だけは教えておいてあげる」

 含みのある言葉で返す事で、グリーンにさらなるプレッシャーを与える。
 だが彼もドラゴンタイプのポケモンが出てきただけで敗北が頭をよぎる程やわなトレーナーでは無かった。

 (確かに驚異的な強さだが、突破出来ない程じゃねぇ。
 それに俺のポケモンには奴に対して有効なダメージを与えられる奴がいる)

 逆境をチャンスに変える。
 グリーンもまたリーグの頂点を目指す為に戦い続けていた。
 傲慢だが、それに見合うだけの実力を持っている。
 そしてその実力を誇示する為にも、些細な事で挫けるワケにはいかないと思っていたのだ。

「ケーシィ、思いっきり暴れろ!」

『……御意』

 宙に浮いたまま瞑想を続け、集中力を高めるケーシィ。
 ケーシィも素早さには自信があったが、ミニリュウのステータスは全てにおいて勝っていた。

「ミニリュウ、もう一度りゅうのいぶきを使って!」

『解った!ちゃんと見ててね』

 威力の高いタイプ一致の技を繰り出し、ケーシィの体力を一気に奪うミニリュウ。
 ケーシィの体力は3分の1程まで減り、次に同じ攻撃を受ければ敗北は避けられない状態となった。

 (チッ、変化技を使う余裕も無ぇな。この化け物を一刻も早く排除しねぇと……)

 ミニリュウがフィールドに居座ったままの状態では敗北必至と感じたグリーンは、少しでも相手の体力を奪う判断をする。

「れいとうパンチで相手の体力を削れ」

『承知』

 ドラゴンタイプに有効なタイプの代表とも言えるこおりタイプの技。
 だがエスパータイプであるケーシィがこおりタイプの技を出す場合どうしてもダメージが低くなってしまう。

『まだまだ、頑張れるよ!』

 効果抜群だったが、それでもHPの半分を奪うのがやっとと言う状態だった。
 グリーンは苦境に立たされていたが、それでも決して焦りを顔には出さない。

 (ピンチの時こそふてぶてしく笑うモンだ。いちいち苦しい表情なんか浮かべてたら身がもたねぇよ)

 同じ様なレベルの戦いでは素早さが重要になる。
 ミニリュウはりゅうのいぶきでケーシィを倒し、後1匹と言う所まで追い詰めた。

『ココで気を抜かない事が大事ロ。緩みそうな時こそ兜の緒を締めて頑張るロ』

「そうね……」

 コイキングばかり大量に売っていた屋台で偶然手に入れたミニリュウが大活躍すると言う展開。
 リーフは天から与えられた幸運に感謝すると共に、もっと強くなりたいと願った。

 (欲張りかもしれないけど、恵まれた環境でももっと上を目指したいと思ってしまう。
 きっとそれは誰でも同じ。目の前にいるグリーンも同じ事を思っているでしょう)

 表情にこそ出してはいないが、相手が苦しい状況に立たされているのは事実。
 リーフは一気に決着を付けなければ危険であると思っていた。

「しゃあねぇな……お前相手に真打を出すまでもねぇと思っていたんだが、追い詰められたんだ。
 使ってでも勝つしかねぇよな。悪く思うなよ」

 単なる苦し紛れの悪足掻きでは無い。寧ろゾッとする程の脅威が場に出てくる。
 リーフはそう感じ身構えた。

「フシギソウ、最後はお前が決めろ!」

 あの時、ヒトカゲと戦ったフシギダネ。
 ヒトカゲがリザードに進化した様に、フシギダネもフシギソウへと成長を遂げていた。

『やっと僕の出番だねマスター!一生懸命頑張るよ』

「一泡吹かせてやれ」

 ポケットに両手を入れ、笑いながら近くにある木によりかかるグリーン。
 一番最初に手に入れた『相棒』だけあり、フシギソウに対する待遇は他のポケモンとは少し違っている様だった。

『確かにミニリュウは強いけれど、フシギソウの方がレベルが高いロ!
 最後までもつれ込んだら……マスター、後は解るロ?』

「ええ。そうしましょう」

 リーフも楽に勝てる相手だとは思っていない。
 そしてフシギソウもまた、何らかの犠牲を払わなければ一撃でミニリュウを倒す事は出来なかった。

「タイプ一致だと半減されちまうからな……ココは多少ダメージを受けてでも倒す。
 フシギソウ、すてみタックルだ」

 それでも勝負はあくまでも冷徹に、情に流される事無く勝つ為にやるべき事をするのがグリーンの信条である。
 フシギソウは自分に傷が付く事を恐れずミニリュウに体当たりを行い、ミニリュウをHPをゼロにした。

「全く……俺の手を最後まで煩わせてくれるじゃねぇか」

 HPの3分の1を失ってでもミニリュウを倒す事を優先したフシギソウ。
 戦局は有利とは言え、勝負の結果は最後まで解らない。

「お前はもっと大きくなる気がする……俺の脅威になりそうだ。
 だからこそ、今の内に叩き潰してその芽を摘んでおかねぇとな」

「私は負けても負けても這い上がる覚悟は出来ているわ。
 中途半端な気持ちでこの場所に立ってなんかいない。それは、貴方も同じでしょ?」

 相手を常に小馬鹿にしてクールを気取るグリーンが、その顔に熱を帯び始めている。
 リーフはそれを見たからこそそう問うた。自分とグリーンは本質的には変わらないのだと。

「愚問だな。俺の様にポケモンを単なる『駒』として扱おうが、お前の様に大事にしても成し遂げようとしている事は同じ。
 リーグ制覇以外の最終目標は無ぇ。俺とお前は同じ景色を見ているんだよ」

 格下と思っていたリーフを、今だけは同格として扱い、勝つ覚悟。
 グリーンも腹を決めていた。全力を尽くして勝利を掴み取る。その事だけを考えていたのだ。

「リザード、悔いの無い様に戦って頂戴」

『解ってますよ、マスター。手負いの相手だろうがやる事は一緒だ。
 俺も出来るなら、勝って喜びたいですからね』

 勝ちたいと願っても、1対1の勝負である以上涙を流す者が出るのは必然。
 理性では理解していても本能で敗北を拒否していた。
 ヒートアップしていく場の雰囲気にアカネも感化されていく。

 (力と力のぶつかり合いも、最終局面やわ。どっちが勝ってもおかしくない。
 ウチは……強敵と戦う時にここまでの熱量を保てるんやろか?)

 思わず見惚れてしまう程の恰好良さ。
 リーフも、グリーンも、己のプライドを込めてバトルに全てを捧げている。
 それ程の覚悟が自分にあるのか……アカネにはまだハッキリとは解っていなかった。

「ひのこでフシギソウにダメージを与えて!」

 リザードの口から吐き出される炎はまだ小さい。
 レベルが高くなっても、相当レベルを上げなければ強い炎技が覚えられないと言う現実が立ちはだかっていた。

「俺にもまだ勝つチャンスが残ってたぜ。フシギソウ、きりさくだ。
 急所狙いの一撃をかますぞ」

『悪く思わないでよね!』

 フシギソウの高い攻撃力を持ってすれば、きりさくで一発KOも夢では無い。
 その判断は正しかった。リザードを倒せる。急所に入りさえすれば。

『……どうやら、天は俺達に味方したみたいだぜ』

「うッ」

 グリーンは傷を負ったリザードがまだ立っている光景を見て思わず呻いた。
 きりさくが急所に入っていれば間違いなく倒せたダメージ量。
 しかし、相手のターンが確実に回ってくる。

「もう1度、ひのこで削り切って!」

 運に頼る事無く実力でひのこを決めたリザードがフシギソウを倒し、勝負を決めた。

「……『まぐれ』と言ってちゃ、先に進めねぇよな」

 グリーンはそう言うと、戦闘不能に陥ったフシギソウをボールの中に戻す。

「何が足りねぇんだ?レベルか?手駒の数か?戦略の豊富さか?
 いや全部足りねぇ。運で負けたなんて嘆くのは三流トレーナーの証。
 一流は全て受け入れたうえで勝つ。まだまだ俺は未熟だと言う事か……」

 天を仰ぎ、唇を噛むグリーン。内から湧き出る悔しさを必死に押し隠している様に見えた。
 リーフは何を言うでも無く暫くの間黙っていたが、言葉を選びながら彼に話しかける。

「……私達はお互い、歩き始めたばかりのヒヨコみたいなトレーナーでしょう?
 足りない所は当然あるわ。そして私も貴方も、強くなる為に焦っている。
 落ち着いている暇は無いけれど、たまには貴方自身を顧みる必要があると思うの」

 リーフは『己の弱さ』と向き合えなかったせいで体調を崩してしまった。
 ポケモンが強くなければ勝てないのがバトルの常識ではあるが、トレーナーが未熟でも勝てはしない。
 その現実を突き付けられた彼女は、グリーンにそれを理解してもらおうと思っていた。

「俺のメンタルも含めて改善すべき点は山積してる。この戦いでそれを知る事が出来たのは幸運だった。
 まだ『本番』じゃ無ぇからな。リーグに挑む時は些細なミスですら許されねぇ世界。
 今度お前に会う時は、成熟した俺を見せられる様に努力しなきゃな」

 プライドを折られたからこそ、出直してもっと強くなる。
 グリーンは1度の敗北で心が折れてしまう様なトレーナーでは無かった。
 敗戦から学び、糧にして勝利を目指す。それが出来る優秀な人間だった。

「お互い、もっと上を目指しましょう」

 踵を返し、その場所から離れようとしたグリーンに対してリーフは精一杯のエールを送る。

「椅子取りゲームの人生だ。成功を収める為の椅子は1つだけ。
 敵に情けをかけてると足元を掬われるぜ。そんな余裕は俺にもお前にも無ぇだろ」

 孤高の背中だった。誰に愛されているワケでも無い。
 誰かを愛しているワケでも無い。己の為に全てを捧げる。
 天よりも高いプライドが悪い方向に作用しなければいいがとリーフは思った。

 (最初は誰かの為、だったハズ。
 私はまだ、自分の為だけで無く誰かの為と言えるけど貴方は違ってきている気がするわ。
 私が言える事じゃ無いけれど、純粋であるが故に危うい。
 黒く染まってしまう危険性を秘めている。そうならない事を祈りましょう)

 強さを一途に追い求め続ければ、道徳や倫理観は徐々に欠落していく。
 最も強いのはルールから外れた『非合法』なやり方だからだ。
 リーフは自らを戒め、正しい道から外れはしないと誓った。

「恰好良かったで、リーフはん。今の勝ちは大きかったと思うわ」

 駆け寄ってきたアカネの肩に手を乗せ、自分だけの勝利では無い事を強調するリーフ。

「運もあったけれど、私だけで勝ち取った白星じゃ無いわ。
 貴方も、ツツジさんも、そして多くの人達が私を強くしてくれたり、ヒントをくれたりした。
 これからも皆で一緒に強くなっていきたいの。力を貸してくれる?」

「勿論。ウチが力を貸せる事なら何でもするわ。友達やんか」

 支えてくれる人がいるから、挫けそうな時でも立ち上がれる。
 リーフは自分が孤独では無い事を感じ、涙を流しそうになった。

 (この涙は、まだ流してはいけない涙。泣く時は、もっと嬉しい時よ)

 グリーンとのバトルで橙色に染まりかけていた周囲は完全な夕闇へと移行している。
 リーフはアカネと共に2つ目のバッチを目指しハナダシティへと向かった。

■筆者メッセージ
正直、グリーンのキャラは書いていて一番悩みます。
相手を常に見下し、天よりも高いプライドと言う小物感満載の設定に対して
実力があると言う矛盾。相手を認めつつも最終的な所は譲らないと言う
『グリーンらしさ』を模索する日々は続きそうです。
リーフは書いていてそういう悩みが出る事は無いんですけどね。
夜月光介 ( 2019/05/27(月) 01:03 )