第1章 第10話 夢から覚めて
彼女を暗く、孤独にさせたのは幼少期のトラウマが原因だった。
『ねぇ、知ってる?ククイさんの所にいらっしゃるお子さん、ククイさんの娘さんじゃ無いんですって』
『え?それじゃあ、誰の子供だって言うの』
『さぁ、詳しい事は……ただ、親がジャーナリストだって事は聞いているわ。
突然娘を残して失踪したんですって。捨て猫みたいで可哀想よねぇ』
近所の大人が、事実かも解らない噂話をばらまき、それがまるで真実であるかの様に扱われる。
親に見捨てられた子供。それがリブ島に住む島民達の共通認識だった。
誰もが彼女を憐れんだ。そしてその憐みの中に嘲笑が含まれていた事もまた事実だった。
『どうして、私の事をそんな目で見るの?』
道行く人全てが彼女を蔑んでいる様な気がしてきた。人に見つめられる事が苦痛になった。
そこから逃れる為に部屋に閉じ篭もった。あらゆる言葉や音に蓋をして、逃げ続けた。
『君の御父さんや御母さんは君を置いて逃げてしまう様な人間じゃ無い』
『そうよ、この人の言う通りだわ。貴方は愛されていたのよ』
ククイ博士の声も、バーネット博士の声も彼女には届かなかった。
あらゆる擁護が虚しく響いた。ハッキリとした答えが知りたくても、誰も教えてくれなかった。
そして何時しか、彼女は全てを諦めてしまっていた。
急に光が差し込んだ。
『私は貴方の御両親の最期を知っている。一緒に戦いましょう』
『リーフはん、ええ顔するやんか。ウチもリーフはんみたいにもっと強くなりたいわ』
真っ暗な部屋のドアが開き、眩いばかりの光が飛び込んでくる。
思わず涙が零れてしまう程の暖かい光。リーフはその光に向かって手を伸ばした。
「良かった……一時はどうなる事かと思いましたわ」
リーフが意識を取り戻したのは病院のベッドの上だった。
ゆっくりと持ち上げた手は冷たい色をした蛍光灯の光を遮り、目には涙が伝っている。
「ここは……?」
「病院や。リーフはんが倒れた後、皆が運んでくれたんやで」
上半身を起こそうとするリーフを、ツツジが慌てて押さえ付けた。
「駄目ですわよ。針も刺さっているのですからとにかく安静にしていないと」
よく見ると、光を遮った右腕の逆、左腕に針が差し込まれている。
透明な液体が入ったビニール袋がぶら下がっているのを見て、リーフはそれが点滴である事を理解した。
『マスターの運動能力はかなり低下しているロ。このまま無理に動けばまた倒れる事になるロ。
気持ちは解るけれど、ココは静養して力を取り戻すべきロ!』
ツツジやアカネの気持ちを代弁するかの様に、ロトム図鑑はリーフを諭す。
どうにもならない事を察したリーフは、悔しそうな表情のまま枕の上に頭を置いた。
「私には時間が無いのに……戦わなければいけないのに……」
屈辱的だった自分の人生を、変えられるチャンスがやってきた。
両親の無念を晴らし、自分の評価をも変えるチャンスが。
ロケット団の野望を打ち砕く為には、足踏みはしていられない。
その焦りが彼女の体調を崩してしまった。気持ちばかりが前に出て身体がついていかなかったのだ。
「……私も、貴方と同じ様に焦っていた時がありますわ」
ツツジは椅子に座ったまま膝の上に両手を置き、諭す様に語り始めた。
「ジムリーダーになると言うのは、1つの『諦め』。
本来は、ジムリーダーである私がこんな事を言ってはいけないのですけれど……
10歳の時、私は貴方と同じ様にトレーナーとして頂点に立ってみたいと思ったんですの」
何処までも高く飛ぼうとした彼女であったが、その壁はあまりにも高過ぎた。
化石や鉱物の発掘と生業とする一家に生まれた彼女はいわタイプに拘りを持っており、それは同時に足枷にもなった。
捨てようとしても捨てられない、いわタイプ使いとしての矜持。
ジムリーダーになる事を受け入れた時、最初は悔しさだけしか無かった。
「私が一番になりたかった……けれど、一番にはなれなかった。
でも、トレーナーズスクールで生徒にポケモンバトルの基礎を教える内に、人を育てる事への喜びが芽生えてきたんですの。
私が精魂込めて育て上げた生徒が、もし頂点に立ったのならば、それは私の勝利でもある。
そう思った時、この仕事をやれる所まで続けてみようと思いましたわ」
石の上にも三年。愚直に同じ事を続け努力している者は必ず報われると言う意味を持つ諺。
ツツジは同じ事をひたすら生徒に教え続けた。生徒が巣立っていっても、心が折れて戻ってきた者にも知恵を授けた。
そして生徒がツツジと同じ様に学び成長していく姿を見て、それを素直に喜べる様になっていた。
「リーフさん。貴方が背負っているものが私よりずっと重くて深いものである事は解りますわ。
でも、肉体を……命を失ってしまっては大望を果たす事は出来ないと言う事も解りますわよね。
大事なのは貴方の命。貴方自身が己の命を軽んじてはいけませんわ」
ツツジの涙が頬を伝い、握り締めているリーフの手に滴り落ちる。
リーフは生まれて初めて、他人に心から心配されているのを感じていた。
(この人が言うのなら……もう少し周りを見る余裕を持つべきなのかもしれない。
私もちょっと、頑張り過ぎたかな。ただ急ぐだけじゃ駄目なんだ……)
人よりも多くの努力を重ねて掴み取った勝利。
勝った直後はそれを素直に信じる事が出来なかったリーフであったが、時間の経過と共に実感が沸いてきた。
こんな素晴らしい人に勝てたのだと思い、リーフの目にも涙が滲む。
「強いと言う事は、強かであると言う事。がむしゃらに走るのでは無く、賢く立ち回れる人間であると言う事。
本当に強い人間は自分1人で頑張るのでは無く、周りの人間に助けてもらえる輝きを持っているものですわ。
望みを叶えたいのならば、生き急ぐより自分の実力を把握したうえで、少しでも上に行ける様にゆっくり階段を登っていくべきですのよ」
ツツジの言葉はリーフだけでは無く、彼女が自分自身に言い聞かせている様にも感じられた。
幼い頃から頂を目指して駆け抜けた数年間。挫折と少しの後悔。
そして目の前に現れた、自分と同じ様に夢を持つ少女。ツツジはリーフに己を投影していたのかもしれない。
(ツツジさんは私に『出来なかった事』を託しているんだ。そして、『私の様にはなるな』とも……
私は死んじゃいけない。生きて、この人の果たせなかった夢を代わりに果たしてあげたい)
彼女の背中に乗った『重み』に、また1つ大切なものが加わった。
ツツジとの戦いの中で漠然と感じていたものが、ハッキリと形を成した瞬間だった。
疲れがまだ残っている可能性を考慮して、1日は絶対安静。
本当はベッドから今すぐにでも飛び出して次の街に向かいたい衝動を抑えてリーフは医者からの命令に従った。
夜になり消灯時間が近付いても、なかなか寝付けない。傍らにはアカネがいた。
「宿舎に戻っていても良かったのに」
「いや、何か1人でいると落ち着かんしな。リーフはんを1人にしとるのも可哀想やなと思って……
それにウチらはもう仲間やん。大変な時はお互いに助け合わんと」
ベッドに戻って寝た方が、アカネにとって良い事は解っている。
それでもアカネはリーフの側にいる事を選択した。リーフにとってこれ程有難い事は無かった。
「元気になったら、ゆっくりでええから歩いていこうや。
お月見山を通って、今度はハナダシティやな。ニビシティ以上に賑わっとる所らしいで」
『ハナダシティには『自転車屋』があるらしいロ!
そこで自転車を買えば、歩くよりも楽になるし行動範囲もさらに広がると思うロ!』
これからの話をして、精一杯リーフを励まそうとするアカネとロトム図鑑。
ただ、何も無い旅ならばそれで良かったのかもしれないが、リーフは自分の身体の弱さを呪った。
(閉じ篭もっていたせいで、ひよわな自分が浮き彫りになってしまった……
焦らないでと言われても、ロケット団の魔の手が迫りつつある今、のんびりしてもいられない。
これからは身体も少しずつでいいから鍛えよう。疲れない身体作りを目指さないと)
運動を殆どしてこなかったリーフには、ポケモンバトルの連戦が相当辛かった。
身体が悲鳴を上げても耐えられる様な精神・肉体を持つ。足腰を鍛えてスタミナをつける。
ポケモンを強くなる事だけに目が向いていたリーフであったが、自分を強くなる必要がある事を感じていた。
「アカネ……私についてきてくれて有難う」
「困った時は助け合っていけばええんや。御礼なんてええよ。ウチかてリーフはんに助けてもらっとるんやで?」
辛く苦しい道のりを歩むのならば、アカネにも同じ道を歩ませてしまうかもしれない。
アカネが側にいてくれる事は嬉しかったが、それだけが気がかりだった。
(私1人で、何とかする事は出来ない。今回の件で、それを教えられた様な気がする。
だったら……皆で何とかすれば良い。アカネやツツジさんが助けてくれた様に)
色々な感情が心の中に現れては消えていく。確かな事は、強くならねばならないと言う事だけだった。
潰れない、逆境に屈しない強かな人間になる。ツツジの言葉が、リーフにそんな決意をさせていた。
翌朝、目を覚ましたリーフは、自分の身体が嘘の様に軽くなっているのを感じた。
点滴の針も既に抜かれている為、そのまま起き上がり、スリッパを履いた後カーテンを開ける。
(ああ、朝日だ。もう何年もこんな景色を見ていなかったけれど、こんなに綺麗だったんだ)
僅か10歳の少女が、倒れる程頑張って、倒れた後しっかり休んだ事によって超回復が発動したのだ。
若ければ若い程身体の回復が早く、倒れる前よりも強い身体になる様に身体を作り変えていく。
「これなら、もう大丈夫。歩いていける」
アカネは座ったまま船をこいでいたが、ロトム図鑑はリーフの隣に来ていた。
『無理は禁物ロ。特にアカネの体力が落ちてきているから、彼女に合わせてあげる事も必要ロ』
「助け合い、ね」
アカネがリーフの為に体力と精神を擦り減らしてしまった事はリーフにもよく解っていた。
一緒に歩いていくと言う決意を固めた以上、彼女を思いやったうえでの行動が必要になる。
「まずは起こさない様にして、シャワーを浴びなきゃ。
ロトムはココでアカネを見ていて頂戴。出発の準備を整えましょう」
『了解ロ、マスター』
リーフは医者から許可を貰い外に出ると、一度宿舎に戻り着替え等を済ませ病院に戻った。
アカネになるべく睡眠時間を与える為早く出発したい気持ちを抑えたのは言うまでも無い。
完全に元気を取り戻したリーフは、アカネの準備が整うまで待ちつつ、宿舎の外でツツジと話をしていた。
その周りにはトレーナーズスクールの生徒達が集まっている。
「風の様に舞い降りてきたと思ったら、風の様に去っていく。
トレーナーと言うのはせわしないものですわね。でも、それがあるべき姿なのかもしれませんわ」
「いずれ必ずこっちに戻ってきます。私もあの勝負の結果に納得がいっているワケでも無いので……
再戦しましょう。出来れば、今度は私自身が満足出来る形で勝ちたいです」
「フフ、随分言いますわね。それはこちらも同じですわ。
今度貴方と戦う時は、私ももっと強くなって貴方の前に立ち塞がりますわよ」
生徒達も皆寂しそうな表情を浮かべている。リーフの袖を引っ張り、名残惜しそうな顔をする者もいた。
「また来てね、絶対だよ!」
「リーフさんみたいな強い人と、対戦したいです。ううん、何時かはリーフさんみたいなトレーナーになりたい!」
ただ憧れるだけだった自分が、目標にしてもらえる様な人間になれた事が嬉しかった。
そんな自分がまだ信じられないけれど、素直に喜んでおくべきなのだろう。リーフはそう思った。
「支度に手間取ってしもうて……ホンマお世話になりました。何かあった時はよろしゅうに」
「私の持っている『ポケギア』で私が電話をかければ、ロトム図鑑で受信する事が出来ますわ。
逆もまた然り。困った事や相談したい事があったら、何時でも連絡してくださいましね」
「何から何まで本当に有難うございます。それじゃあ……行ってきますね」
見えなくなるまで手を振り続けるツツジとトレーナーズスクールの生徒達。
「私の御兄様に会ったら、私は元気でやっていると伝えてくださいまし」
「お姉ちゃん達、頑張ってね!僕達も頑張るから!!」
後ろ髪を引かれる様な別れ。大切な人達と離れるのは辛いが、それが旅と言うものである。
やがてツツジ達が完全に見えなくなった後、改めてリーフは前を向いた。
「それじゃあ、私達の旅を再開しましょう」
「まずはお月見山やな。そこまで入り組んだ場所やないと思うけど……
お月見山に行くにはまず3番道路に行く必要があるわ」
ニビシティの出口から3番道路へ。
そこは殆ど曲がる事の無い一本道で、自転車がリーフにもあればスイスイ通り抜けられそうな場所であった。
(アカネに自転車を持ってもらっているのが地味に辛いわね……
やっぱり自転車は必要だわ。何が何でもハナダシティで自転車を手に入れないと)
そんな事を考えながら歩いていると、2人は野外で露店が開かれているエリアに足を踏み入れた。
「へぇ、こんな所でものを売っとる人達がおるんやね」
『結構非合法なものが売られている事が多いから、気を付けた方が良いロ』
舗装されていない草叢に屋台を構え怪しげな人形を売るものや、ブルーシートを敷いてバザーを開いている者もいる。
中でも一際目を引くのがかなり大きな水槽を持ち込んだポケモン販売の業者だった。
「さぁ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!そこの御嬢ちゃん、お買い得だよ!
この水槽の中に入っているポケモン。俺には何が何やらよく解らないが全て1匹500円だ!
どんなポケモンでも500円で売るよ。さぁ、早い者勝ちだ!」
3番道路を歩いているトレーナーは勿論アカネとリーフだけでは無いのだが、殆どのトレーナーが見向きもせずに通り過ぎていく。
『殆どがコイキング……ちょっとした釣り竿さえあれば勝手に食いついてくるポケモンロ。
つまりタダで手に入れたポケモンを500円で転売しようとしているワケロ』
「成程、そりゃ皆見て見ぬフリするワケやわ……?でも何やアレ」
アカネは水槽の中にキラキラ光る細い物体を発見し、露天商の中年男性に近付いた。
「オッチャン、あれちょっと見てみたいんやけど」
「何だい、欲しいものがあるのかい。ちょっと待ってな。いま網を持ってくっから」
小屋の裏に用意していたらしい網を持ってきた中年男性は、アカネが指を差した場所にいたポケモンを何とか網の中に入れた。
「細くてヌルヌルしてて気持ち悪いな。こんなモン捕まえてたのか」
網に入ったポケモンは逃げ出す事も無く、つぶらな瞳でリーフの顔を見つめている。
『……マスター、あのポケモン絶対購入するべきロ。今その理由を言うワケにはいかないけれど、絶対に買っておいて損は無いロ』
ロトム図鑑がリーフの耳元で小さな声を出し、購入を薦めてくる。
「じゃあそのポケモン、500円で頂けますか」
「良いよ。元々どんなポケモンだろうが500円で売るつもりだったからね。
いやしかし、こんなのがいたら商売の邪魔だよ。嬢ちゃんが買ってくれて良かった良かった」
中年男性は元々ポケモンに全く興味が無い様子で、金儲けの為だけにポケモンを売っている様子だった。
その為どのポケモンにどれ位の価値があるのか全く理解していないらしい。リーフにもそれが解った。
「まいどあり!」
不思議な事に、そのポケモンは全く抵抗する事無くボールの中に入っていった。
まるで最初からリーフの仲間になりたかったかの様な動きに、一瞬戸惑ってしまう。
『もしかしたら、マスターに『大器』を見たのかもしれないロ。
ドラゴンタイプのポケモンは仕える主人を選ぶ。
優れたトレーナーになる素質を持つ人物にしか従わないと言う話を聞いた事があるロ』
大量のコイキングを販売していた露店から離れた後、ロトム図鑑は当たり前の様にそう言った。
「え、ドラゴンタイプ!?」
リーフも購入したポケモンがドラゴンタイプのポケモンである事を知らなかった為、心から驚く。
アカネもコイキングでは無い妙なポケモンがいるな程度の認識でしか無かったので、言葉を失った。
『ミニリュウ。滅多に見る事が出来ないから『幻のポケモン』と表現する人もいるロ。
透き通る程綺麗な池や湖に生息している事があって、ごく稀に目撃情報がある程度。
ココでこんな凄いポケモンを安価で購入出来たのは何かの運命を感じるロ……』
ロトム図鑑の助言が無ければ、このポケモンにそんな力があると思う事は無かっただろう。
リーフはククイ博士からの『贈り物』に対して、改めて感謝したい気持ちだった。
(即戦力が必要な時に、ミニリュウが私の仲間に加わってくれたのは本当に有難い事。
育てて、手強い相手とも戦える様にしていかないと……)
そんな事を考えつつ露店が並ぶエリアを通っていたリーフは、ブルーシートを敷いてモンスターボールを売っている男に声をかけられた。
「御嬢さん、アンタには大難の相が出てるねぇ。旅の中で、厳しい事態に陥る事もあるだろう。
悪い事は言わない。このボールを持っておきなさい。使えば、きっとアンタの助けになるよ」
黒いフードを被り、頭や目は確認する事が出来ない。
掠れた声や長く伸びた白い髭で、老人である事が解る程度だった。
「お金にそんなに余裕があるワケじゃないんですけど……」
「お金なんか要らないよ。アンタはきっと『偉大なトレーナー』になる。
その偉大なトレーナーには『覚悟』が必要だ。儂はアンタに問いかけたいんだよ。
このボールの価値が、アンタにとってあるのか無いのかと言う点でね」
半ば強引に手渡されたボールは、黒と紫の迷彩色が印象的な、不気味なモンスターボールだった。
ボールの中央にあるスイッチの近くに白文字で『Punisher』と言う単語が彫られている。
「パニッシャー……『断罪者』と言う意味やね。罪を犯した悪人を裁く者っちゅー意味があるんや」
「罪を犯した悪人を、裁く……」
リーフは、ロケット団が自分の両親を殺害したのならば、公の場で罪を暴き、裁いてもらいたかった。
そのボールに書かれている言葉に共感した彼女は、無意識の内にボールをリュックの中に入れる。
「それで良い。そのボールの価値を決めるのは、アンタ自身だ。
使うかどうかもアンタ次第。その使い方も自由だよ。頑張って今を生きなさい」
その老人は口元を緩ませると、去っていくリーフ達に向かって手を振った。