第2章 1話『疾風』
「やっぱり、強いですね。私の想像を遥かに越えてましたよ……」
「俺も、もう1度最初からやり直したくなったんですよ。ただの登山家としての自分を捨て、今度は最強のポケモントレーナーを目指すってね。
……弟との約束なんです。リーグで絶対に戦うと」
「そうなんですか……シオガマシティは結構遠いですよ。気を付けてください……また会えたら、戦いましょう」
既にジムリーダー2人目を倒したホクオウ。その手には、2つのバッチが握られていた。
(ユキナリ、兄としての意地だ。……リーグでは、絶対に負けはしない!山と同じだ。絶対に登りつめてみせる!)
ユキナリとユウスケはコヤマタウンを後にする前に、技マシンを自分達のパソコンに納めに行った。
自転車をこいでセンターに到着すると、早速パソコンの前に向かう。
「フタバ博士が用意してくれた僕達専用の倉庫だよ。
ユキナリ君と僕とでそれぞれ個別にスペースが用意してあって、ポケモンと技マシンや色んな道具をしまえる様になってるんだ!」
「へえ……」
ユウスケはまず見本を見せようと、パソコンの前に座った。椅子に座り、キーボートを叩く。
「ユキナリ君のパスワードは『HOKUOU』だよ。僕は……別に教えなくてもいいか」
(兄さんの名前か……ホクオウ。)
ユウスケが自分用のパスワードを打ち込むと、音声アナウンスが入った。
『ポケモン預かりですか?道具預かりですか?』
「道具預かりのポイントをマウスでクリック、と……」
すると画面が切り替わり、ある人物が現れた。
『やあユウスケ君。僕の作った道具預かり所へようこそ』
「これ、ホンバ助手じゃないか!」
「うん、これはあくまでもプログラムだけどね」
ホンバ助手はトーホクのフタバ博士の助手をしている人物だ。顎鬚を生やし、肩には色んな研究道具の入ったバッグがある。
短パン・サンダル姿と言う非常に動きやすい格好をしているが、このトーホクで何故そんなにラフな服装をしていられるかは謎である。
「この技マシンを転送するんだ。隣に転送装置があるから……」
確かに、パソコンの隣には相当大きな装置らしき物があった。一言で言うとすれば巨大な掃除機の吸い取り口っぽいモノだ。
ユウスケはそこに技マシンを放り込んだ。技マシンは飲み込まれ、パソコンの画面に『破壊光線の技マシン』と表示される。
「取り出したい時にはこのポイントをマウスでクリックするだけ。簡単でしょ?」
ユウスケは自分のモードをログアウトした。
「今度は、ユキナリ君の番だよ」
ユキナリは椅子に座ると、さっき教えられたばかりの自分の兄の名前でもあるパスワードを入力した。
そしてユウスケと同じ作業をし、ログアウトした。
「ね、別に難しくもなんとも無いでしょ?頻繁に使っていこうね!」
「うん。……そう言えば、僕等、朝から何も食べてないんじゃない?」
その途端、お腹が思いっきり音を立てた。
「ゲンタ君とのバトルに夢中だったからね……カビゴン、かなり強かったから焦っちゃったよ……」
そう言うとユウスケは溜息をついた。
「お金が無いと、大変だなあ……モンスターボールも買えないし……」
その時、センターの外の方から叫び声が響いた。そして哀願する声、怒号……
「ど、どうしたんだろう。表で何か声が……」
「ユキナリ君、行ってみよう!」
外に出ると、粉雪舞う中、1人の男性がモンスターボールを手に持って走り去っていく。しかもその姿は異様だった。
全身が薄い灰色のタイツに包まれており、変なサングラスをかけている。しかも、ツノみたいな物まで頭から生えていた。
「な、何アレ……」
「解んない。けど怪しすぎるよ……」
「クソ、待ってくれ。待ってくれ!」
その後から中年の男性が息を切らせて走ってきた。
「ワシのブルちゃん、ブルちゃんが誘拐されたぞ!」
(さっきの奴は、泥棒か!)
2人はすぐ合点し、自転車で先程の恐ろしく怪しい男を追いかける事にした。自転車を走らせると、またあの全身タイツの男の背中が見えてくる。
(おかしい……絶対おかしい人だ!)
「ユキナリ君、2人で通せんぼするんだ!」
2人は意外と足が速い男の前を通り過ぎ、自転車を横にして壁を作った。男は寸前で足を止める。
「くそッ貴様、どかんか!」
「人のポケモンを強奪しましたね!」
「それが何だと言うのだ。我等カオスに、誰のポケモンなどと言う言葉は無い!全てのポケモンはアズマ様の奴隷なのだ。覚えておけ!」
「許せない……ユキナリ君、とにかくポケモンを取り返さなくちゃ!」
「うん、解った。行くぞ、コエン!」
ユキナリは咄嗟に手にとった紅蓮のボールを投げた。コエンが出現する。
「コエン、あのタイツ男をこらしめるんだ!」
『え?……無理ですよ!僕等ポケモンは、人間に攻撃する事は禁止されているんです!』
「そんな……」
「クックック……貴様達、カオスの部下とも言えどその力は一般トレーナーを遥かに上回っているのだぞ。捕まえたばかりのブルーも俺のポケモンだ!」
男は横を向いた。……ユウスケがカレッキーを待機させている。コエンとカレッキーが男を睨み付けていた。
「……アズマ様、ゴメンナサイ!」
彼は逆方向に逃げようとする。しかし、中年男がすでに追いついていた。
「ブルちゃん、ワシの大事なブルちゃん!!」
限りなく変態に近い顔をしているオヤジだった。
「イヤアアア!」
涙を流して男は地面にへたりこんだ。肩まで雪が積もっている中年男は、ボールを奪い返した。
「おーブルちゃん、大丈夫だったでちゅかー?すぐ、お家へ帰りまちょうねー」
不気味な光景に2人は目の前が真っ暗になる。
(僕達、何でこんな争いに首を突っ込んじゃったんだろう……)
(解んない。でも今すぐ逃げたい気持ちでいっぱいだ)
へたりこんでいる全身タイツ男も血の気が引いている。中年男は頬擦りしながらボールのスイッチを押した。
(しめた!)
その瞬間、とんでもない事が起こった。閃光と共に出てきたブルーはいきなり進化し、グランブルとなって中年男に襲い掛かってきたのである。
「ひええええっ!」
「フハハハ、ウイルスに見事ひっかかったな!今や我々の科学力はボールにウイルスをしこみ、ポケモンを凶暴化させるが出来る!
しかも、もうその凶悪グランブルは俺のモンだ――!」
コエンとカレッキーを見下ろす程巨大なグランブル。グランブルは中年男を食いちぎろうと迫ってきた……
『俺達がいるッスよ!』
『ユキナリさん、早く命令を!』
カレッキーとコエンはグランブルを止めにかかった。ユキナリとユウスケも慌てて命令を下す。
「コエン、鬼火だ!」
「カレッキー、はっぱカッターを出せ!」
背中に攻撃が当たり、グランブルはうなりながら振り向いた。その表情からは殺意しか感じ取れない。
「やっちまえ、グランブル!」
灰色タイツ男はすっかり一流トレーナー気取りだ。とにかく、この気持ち悪い中年男を助けなければならない。
2人はそれぞれのポケモンで敢然とグランブルに立ち向かった。
『グルルル……』
巨大なグランブルは明らかに通常のグランブルよりも体が大きく、色が黒に近かった。ユキナリはポケギアで確認する。
『グランブル・ブルーから進化したポケモン。牙は鋭く、一撃で敵を仕留める。性格は気性荒く、食べられる物と判断した物は即座に喰らう』
「ユキナリ君、互いに別々の方向に散って、それぞれが敵を牽制するんだ!」
「解った、やってみる!」
カレッキーとコエンはY字型に距離を取った。グランブルはどちらを先に攻撃すれば良いのか迷ったが、まず先にカレッキーに襲い掛かってきた。
「カレッキー、冷たい風で素早さを下げろ!」
『解ったッス、マスター!』
カレッキーは氷の息を吐いた。その風はグランブルに命中し、素早さを下げる。調子が狂ったグランブルはますます怒り、誰彼構わず攻撃を仕掛けようとした。
グランブルにはもうポケモンに攻撃するとか考える思考能力は無い。トレーナーであるユウスケ目掛けて突進してきた。
『マ、マスター!』
カレッキーは助けに向かおうとしたが、間に合わない。その時、コエンが鬼火を当てて敵の注意を逸らした。
『こっちを狙ってください!』
「コエン……」
ユキナリは咄嗟の命令が出なかった事を恥じた。グランブルは白目をむき、泡を吹いて今度はコエンの方へと突進してくる。
「コエン、化かすで相手の動きを封じるんだ!」
『はい、ユキナリさん!』
コエンは幻覚の靄を出現させ、相手を惑わした。どうやら上手くいった様で、グランブルは頭を抱えてうめく。
「どうしたグランブル!もっと攻撃しろ!」
タイツ男はグランブルを叱咤した。いい気なものだ。グランブルは混乱状態になっている。その中で聞こえてくる自分の悪口。
グランブルは牙を向けた。勿論、タイツ男に向かって突進してきたのだ。
「ちょ、ちょっと待って!」
逃げようとするが、男は腰が抜けてしまい立てない。発狂したグランブルはもう目の前にいる物ならば
全て殺してしまおうとしている。ユキナリとユウスケは最後の攻撃を同時に出した。
「コエン、鬼火でトドメだ!」
「カレッキー、冷たい風であの変な男を助けろ!」
まず先に冷たい風がグランブルの足を止め、次に鬼火が体全体にまとわりつく。
グランブルは苦しみ悶え、煙を出してブルーに戻っていった。
「ウ、ウイルスの効果が消えちまった!」
タイツ男は逃げようとしたが、中年男に捕まった。
「よくもワシのブルちゃんを……!」
−御見苦しい場面があります 暫くお待ちください−
数分後、タイツ男は完膚無きまでに叩きのめされていた。
「畜生、お前等さえ邪魔してこなきゃアズマ様に喜んでもらえたのに。覚えてろよお前らああああ!」
タイツ男は覚えてろよと言いつつ逃げた。中年男は倒れているブルーを自分のボールに戻す。
「戦闘不能にしてしまってすみません。でも、こうでもしなきゃ僕達も危険でしたので……」
「いや、いいんだよ。おかげでブルちゃんが正気に戻った。君達のおかげだ。本当にありがとう!」
そう言うと中年男は財布を取り出した。
「この気持ちを伝えられないのが残念だ。すまないが、コレを受け取ってほしい」
そう言うと、中年男は黄金に輝く球を取り出した。
「モンスターボール?」
「いや、きんのたまだ。君達2人にそれぞれ1つずつあげよう。これで何か買うといい」
「ええ?わ、悪いですよ。ねえ?」
「そうですよ、僕達はそんなつもりで助けたんじゃ……」
「いやいや、こうでもしないと私の義理が立たない。頼むから、受け取ってくれ。本当はもっとお礼がしたい位なんだから」
2人は金の球を受け取った。
(ユキナリ君、きんのたまは売ると5000円の価値がある凄いアイテムなんだよ)
(ご、5000円!?)
「ワシはポケモン大好きクラブメンバーのリンドウだ。君達には本当に感謝している。
シオガマシティに来た時には是非寄っていってくれ。会長が歓迎してくれると思うよ!」
中年男は何度も頭を下げてその場から立ち去った。
「2人で合わせて10000円も貰っちゃったね……」
「うん。……とりあえず、この球はとっておこうか」
何故か大金をゲットしてしまった2人。ユキナリはモンスターボールをあと3個持っている。他のポケモンを捕まえる気はある様だ。
ナオカタウンへ向かう際、通る48番道路。そこには、47番道路にはいない、新たなポケモンがユキナリ達を待っているのだ。
2人は自転車を走らせ、コヤマタウンからナオカタウンへと向かった。
ユキナリは『青空』、ユウスケは『緑芝』を走らせ、粉雪舞い落ちる48番道路を走っていた。
47番道路と違ってこちらは霜が落ちている草叢だ。少し自転車を走らせにくいが2人は上手に自転車を操って、走っていく。
「ユキナリ君、ここも結構ポケモンがいそうだね」
「しばらく走らせたら一旦自転車を止めて、探してみようか」
「シオガマシティのジムリーダー、ミズキまで使用ポケモンは3体だから、そんなに急いでポケモンを集めなくてもいいよ……
まあでも、図鑑を集める為には必要な事だけどね」
「沢山のポケモンと一緒に戦ってみたいなあ……」
ユキナリは、まだゲンタ戦の気持ちの高ぶりを覚えていた。あの勝利した時の奇妙な快感。
それは、真剣勝負をして勝った者にしか解らない感覚だった。
「鍵をかけてっと……」
2人はしばらく自転車を走らせた後、自転車を草叢の中に止めた。
「ユキナリ君、セカイさんのトーホクぶらり旅の昔の記録、聞いてみたら?」
「48番道路……過去記録が見つかったよ!」
『48番道路か……雪がまた映えるんだよなあ。出現するポケモンは、変種ビードル、変種キャタピー 変種ケムッソ 変種ノコッチ、変種イトマルだ。
虫ポケモンが住みやすい場所らしい。ポケモンは地面に穴を掘って毎日を過ごしてるから、スコップで掘ってみたりすると飛び出してくるかも!』
「虫ポケモンが寒いから土の中に潜ってるのか……」
「ユキナリ君、スコップ無いけどどうする?」
「足で掘ろう、足で」
地面を蹴散らしていくと草叢に土が飛んでいく。
「深い所にいたらイヤだなあ……」
「深い所にいたら、絶対出てこないと思う」
「でも、手で掘ったら凄く汚れるよね」
「ユウスケ、とりあえずポケモンを捕まえる為なら、僕は汚れてもなんとかするよ。だってこれじゃ日が暮れちゃう……」
ユキナリは根性を決めて手で掘り始めた。ユウスケはユキナリから一旦ポケギアを預かり、綺麗な手で『ユタカのヒットナンバーチャート』を選ぶ。
「曲、もう変わってると思うんだけど……」
−疾風−
風になれ 風になれ 風になれ 風になれ 風になれ
どうしても哀しくて涙が出てしまいそうになった時は
胸に手を当てて心落ち着かせ自分を励ましてやれ
怒りで頭の中が真っ白になって 何も考えられなくなった時は
友の顔を思い出し 全てを許してやれ
風になれ 風になれ 全てを切り裂く風になれ
風になれ 風になれ 優しく気高い風になれ
楽しい時は生きている事を喜べばいい
嬉しい時は友と手を取り合い笑い合えばいいのさ
風になれ 風になれ 全てを切り裂く風になれ
風になれ 風になれ 優しく気高い風になれ
風になれ 風になれ 偉大で雄々しい風になれ
風になれ 風になれ 全てを切り裂き悪を打ち砕く
最高の風になってやれ
風になれ 風になれ 風になれ 風になれ 風になれ
風になれ 風になれ 風になれ 風になれ 風になれ
風になれ……
『今週のヒットソングは『疾風』。いい歌だなー。勿論今回もずっとこれでOK!ループ最高!!』
「この歌の遭遇率アップは……98%!凄い確率が高くなったよ!」
「ユウスケ、しばらく流してて。とにかく探さないと……!?」
急に土の中からポケモンが飛び出してきた。
「キシャー、キシャア……」
チロチロと舌を出し、尻尾を振るポケモン。その身体の色は純白で、胴体から小さい羽が生えている。
「ユキナリ君、ノコッチだよ。ノコッチ!」
ユウスケは今預かっているポケギアの図鑑を聞かせた。
『ノコッチ・人前にはあまり姿を見せないポケモン。口から毒液を出し、身体を噛まれると意識を失う。
牙には猛毒が含まれている。ドンファンを一撃で倒す程の毒らしい』
「何のタイプなんだ?」
『どく・こおり』
「どくタイプか……結構強そう……」
「ユキナリ君、ボールだよ、ボール!」
ユキナリは汚れた手でボールを投げた。中から出てきたのは変種ジグザグマだ。
『お前、何でそんなに手が汚れてんだよ……あっ!俺のボールが汚れちまったじゃねえか、後で洗えよ、キチっと!』
「解ったってば、それより今はノコッチを捕まえる方が先決!」
『絶対洗えよな、忘れてたら承知しねえぞ!』
ジグザグマはイヤな顔をしながら敵に向かっていく。ノコッチは紫色の毒液を吐いてきた。
「どくどくだ!絶対に相手を猛毒状態にする攻撃……」
毒液はジグザグマの全身にかかり、ジグザグマは鋭い痛みを感じた。
『何だ、身体が妙に痛むぞ……』
「どくどくの効果は?」
「毎ターンごとに相手の体力を削っていくんだ。しかもターンごとにダメージが大きくなる!」
「じゃあ、早めに勝負を付けないと……」
ユキナリはジグザグマに命令した。
「ジグザグマ、体当たり!」
ジグザグマは走ってノコッチの身体に体当たりしたが……
『ウグッ!?』
「お、おかえしだ。あくタイプの技で、ダメージをそのまま相手にも与えてくる!」
自分の強烈な衝撃を自らくらったジグザグマはよろめいた。それでなくとも先程から猛毒のダメージを受けている。
「シャ、シャ、シャ……』
ノコッチはケタケタと笑い、とびかかってきた。
「ジグザグマ、もう1度体当たりだ。今はノコッチも別の攻撃を繰り出そうとしている!」
『勝手な事言いやがって……こっちもキツいんだよ!』
ジグザグマは吼えるとノコッチに向かってジャンプした。2人は互いにダメージを与える。ジグザグマは体当たりし、ノコッチは毒の牙で噛み付いた。
「ポイズンキラー……時折相手を『どく』状態にするけど、それより恐ろしいのはその攻撃力だ!」
「シャ……シャ……」
ノコッチはジグザグマと同時に倒れた。予想以上にダメージを受けてしまったらしい。ユキナリはノコッチに向かってボールを投げた。
モンスターボールはノコッチに当たり、ノコッチは吸い込まれる。そして……捕まった。
「ジグザグマ、ありがとう。ノコッチが仲間になったよ!」
『へっ、やっぱり俺がいないとダメだろ……』
ユキナリはジグザグマをボールに戻した。
(ジグザグマの攻撃力が飛躍的に向上している……底知れぬ実力だ。僕も頑張らなくちゃ……)
「ノコッチは主に相手をどく状態にしていたぶる典型的なサドポケモンだよ。攻撃力もかなり強いし、作戦の要にしてもいいポケモンだね」
「ノコッチ……これから、よろしく」
ユキナリはノコッチが入っているモンスターボールを握った。またボールが汚くなる。
「ジムに行く前に絶対手を洗っておいた方がいいよ!」
「解ってるってば!はあ……ポケギアはもう暫くユウスケが持っててくれる?」
「OK、もう少し他のポケモンも探してみようよ!」
その時、ポケギアが反応した。電話の様だ。ユキナリはユウスケが持っているポケギアに耳を近づける。
『ポケモン捕まえてる?オイラだよ、ゲンタ!』
「ゲンタ!どうしたんだい?」
『いや、ひこうタイプのアオイについてちょっとオイラから言っておきたい事があってさ』
「そう言えばそもそもひこうタイプって、どんな感じのポケモンなの?」
『おいおい、タイプの事位全部知っておこうぜ……アオイが使ってるのはひこうオンリー。ひこうは鳥みたいなポケモンが多いな。
いわには弱いけど、むしやかくとうには強いよ。あとでんきとかには弱かったかな』
「でんき……」
『ナオカジムはもともとアオイがジムリーダーを務めてる所じゃ無かったんだ。
本当はアオイの兄貴がやってたんだけどさ、兄貴が四天王として旅立ってから1人でやっと後継者になれたんだよ』
「四天王?」
『トーホクじゃ無いけどね。確か……ジョウト四天王だって聞いた。トビオって奴だ。オイラも小さい頃いろいろ世話になったよ』
「へえ……」