エピローグ そして、またいつか
エピローグ そして、またいつか
少年たちが目を覚まし、起き上がると、どよめきがいくらか小さくなった。周りに集まってきていた大人たちに、大丈夫だという旨を伝える。
しばらくすると、アナウンスが入った。
少年たちの無事を伝える内容が、最初の数秒で簡単に告げられる。
あとは、そんな事件など最初からなかったかのように、本来行われるべきアナウンスが淡々と告げられていた。
その中で少年たちは話し合う。あれは、夢だったのか。そうじゃないのか。
しばらく話し合った後、夢か夢じゃないかも分からないような話を、真面目に議論すること自体おかしい。そんな結論に至った。
でも。と、みんなが口を揃えて言ったことは、確かに夢かどうかは分からないけれど、自分たちに大きな変化があったことは確かだし、何より、その世界はとても楽しかった。という、単純なことだ。深く考える必要なんて、これっぽっちもなかった。
アナウンスが終わって、人々の動きに流れができた。少年たちもその流れに乗って歩いて行く。
少年たちの数は六人。うち、一人の少年と、一人の少女が、後ろの方で恥じらいながらも手を繋いだ。
残りの四人が振り返って笑うと、二人は照れくさそうに笑い返した。
少年たちはやがて、人の波に流されて別の部屋に移る。その時、誰かが部屋に球体を落とした。
赤と白に塗り分けられたその球体は、地面に着いて、人の波の間を縫って転がり始める。
しばらく転がって、部屋の壁に当たり、球体が独りでにぱかっと口を開いた。
中は機械らしい構造になっているが、空っぽで、閉じてしまう前の空気がそこに入っているだけだった。
球体は口を開けて、天井を仰いでいる。
まるで、幻想を求めるかのように。