野風町奇譚 - 二章
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01 一
「群青、エアスラッシだ」
 佐直の群青というピジョットは華麗にまるで踊っているかのように技を繰り広げていた。
「手毬、嫌な音で応戦しろ」
 匡行は空気の刃に向かって嫌な音でかき消していた。見えない音波は空気の刃を消していった。

「そのまま、ドラゴンクロー」
 手毬は群青に接近すれば、鋭いドラゴンのような爪で群青の体を切り裂いた。
「群青、羽休め」
 群青は羽を休めるように一瞬、地につけば、少し回復をした。これの繰り返しが匡行をイラつかせていた。

「手毬、岩落とし」
 匡行は手毬に指示すれば、手毬はその辺の固い岩を持ち上げ、群青に投げつけたが、群青の素早い動きでそれは交わされた。

「群青、翼で打つ」
 群青は翼を固くさせ、手毬に一直線に飛んできた。
「手毬、上昇してドラゴンテール」
 手毬はすっと上昇をし、群青の脳天めがけてドラゴンの様なたくましい尾を振り回した。


 何かの衝撃音と共に佐直のピジョットは手毬のドラゴンテールをまともにくらい、戦闘不能になり、メガ進化が解かれた。
 佐直はあっけない戦闘に面白くなさそうな顔をしていた。
「ちっ、俺の負けだ。だがな、君自身の事を教えようとしたが、その約束はなしだ」
「何……?」
 匡行はイラつかせながら、佐直を見ていた。リーフィアの風車も匡行と同様怒った顔をして佐直を睨みつけていたら、佐直の傍らにいるグラエナが毛を逆立てて睨み返していた。
 佐直はグラエナたちをなだめ、にやりと笑みを浮かべれば、何も言わず、去ってしまった。
 約束を破られ、匡行はどうしようもない怒りにその辺の小石を蹴った。
「キュー……」
 風車が心配そうに見つめていた。匡行はそんな風車を見れば、すっと頭を撫でて『大丈夫だ』と言い聞かせた。


 家に帰った時間帯は午後十時を指していた。明日が休みだったことが幸いだったなと思いながら、匡行は布団をかけてベッドに寝ころんだ。
「クッ」
 風車が僕の傍らに飛んで座り始めた。
「お前も眠れないのか?」
 そう風車に語り掛けたが、風車は何も言わず、ただ黙っていた。匡行はにこりと微笑めば、風車の頭を撫でていたら、そのまま眠り込んでしまった。

 ふと、目を覚ますと、朝だった。時計を見ると、午前七時を示していた。
 すると、スマホを開けると、金田からのメールが残っていた。僕は返信しなければと思い、内容を見た。

――匡行、昨日夜遅かったが大丈夫か? あのさ、今日休日だからさ、遊ばない? 無理だったら良いけれど、十時に駅前の本屋で集合しようぜ。返信待っている

 匡行はその内容を見て、返信をした。答えはもちろん是だ。匡行は朝ご飯を食べ、支度をすれば、駅前へ向かった。

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久斗 ( 2016/06/29(水) 20:40 )