02 二
匡行が通う学校はここから二十分の所に位置する。もちろん、その道中でも匡行はポケモンの幽霊に出会う事がある。
でも、匡行のただならぬ雰囲気に大抵は近づいて来ない。匡行はちらちらと見えるポケモンの幽霊を素通りしながらもすたすたと歩き、学校へ向かった。
学校へ着き、匡行はそそくさと教室へ向かった。匡行は行き交う人に何も挨拶をせず、ただ黙々と廊下を歩いていた。
匡行は教室へ入ると、ちらちらと見るクラスメイト達の視線にさほど気にもせず、自分の席に座った。
しばらく、匡行はぼっとしていたら、江島先生がライボルトを引き連れて教室の戸を開いてやって来た。
「今日は、転校生を紹介する」
江島先生は教壇に立ってそう告げると、クラス中がざわめきだした。江島先生は『静かに』と咎めると、戸の向こうで入れと合図をした。
教室に入って来たのは、くせ毛が特徴の男子が現れた。江島先生は黒板に『金森純太』と丁寧にチョークで書きだした。
「今日からこのクラスに転校してきた金森純太だ。皆、仲良くするように」
江島先生はそう言うと、匡行の隣の席を指定した。純太という男子はその席に座り始めた。
「よろしくね」
純太はイスに座りながら、そう小声でそう言った。匡行は会釈をして『どうも』と短く答えた。
休み時間、やはり、純太の周りは人が集まって来た。匡行は人混みが大嫌いだったので、そそくさと廊下に出た。
すると、その後に純太がついてきたので匡行は振り返らず、黙って廊下から外を見ていた。
「君って、人嫌い?」
「は?」
匡行は純太の率直に質問にぎくりとしたが、冷静を保ちつつ、そう言い放った。
純太は苦笑をしていたら、突然、エモンガ現れ、純太の肩に乗った。
(見かけによらず、かわいいものを持っているんだな)
と、匡行は思っていたら、
「びっくりした? 僕がこんなかわいいポケモンを連れていて」
匡行は目を丸くして純太を見た。純太はしまったみたいな顔をすると、にこりと変に笑顔を見せると、
「ねえ、僕と友達にならない?」
匡行は純太の質問に面食らった。だが、匡行は目を逸らし、
「俺に関わると、嫌われるぞ」
匡行はそう言った。すると、純太は肩を揺らして苦笑をし始めた。純太は何がおかしいのか分からなかったが、笑い方がむかつく。
「それでもいいよ」
純太はそう言った。匡行は自分の言い分を否定され、驚いたが、本当に嫌われても構わないのかと思っていたら、
「別に嫌われても構わないよ。慣れているし」
純太はにこにことしながら、言った。
(こいつ、さっきから俺の心の中が見えるのか?)
匡行は不快な顔をしていたら、次の授業十分前のチャイムが鳴った。
「あーあ、もっと話したかったけれど、もう授業だ」
純太はそう言い残すと、エモンガを外へ出し、すたすたと先に教室へ行ってしまった。
匡行は何だか気難しい感じがしたが、純太の後に続いて教室へと入った。