INSANIA











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新たなる戦い
第七十二話「ギリー・ザ・ロック」

 イッシンはぼやいて椅子に座り直す。どうやらひとしきり喋り終えたようだ。

「一番に謎なのは、その叔父さんですけれど、消息は」

 イッシンは頭を振る。

「それが分かれば、ね。風来坊みたいな人だったから」

 一番の容疑者が不在。だがホウエンの警察は彼を無罪だと判断した。二十三年も前の事件とはいえそれなりの裏付け捜査はあったに違いない。

「俺が、何とか追えませんか?」

 買って出た願いにイッシンは渋い顔をする。

「無理だろう。私も何度かそれを警察に依頼したが、一度だって探し出せやしなかった」

 イッシンもその叔父とやらを疑う気持ちが一抹はあったというわけだ。ダイゴは傷を抉るような言葉だと分かりつつも尋ねる。

「お母様が亡くなられた時にも、いたんですよね?」

「ああ、いた。あの人は、まるで影みたいに」

 思い出したくない記憶だろう。ダイゴはそれでも聞かなければならない。誰が初代を殺したのか。何の目的で殺したのだろうか。

「言葉を交わしたりも?」

「連絡先も知らないさ。それに家計図を引っくり返しでもしない限り出てこない人間だ。表向き、フジ家とツワブキ家の婚礼であってその叔父さんには何の関係もないのだからね」

 だがフジ家とツワブキ家を取り計らった影があったのは事実。その人物が何も掴んでいないわけがない。

「怪しい、ですよね」

 ダイゴの声にイッシンは同調する。

「ああ、怪しいと言えば怪しいが、これはそもそも初代の死が怪死だったから、出てきた噂話であって初代の死が実験の純粋なる失敗であったのならば疑う余地もない。実際、親父は追い詰められていたとも聞く。家に帰らない日もよくあった」

 メガシンカ研究が実を結ばない事に苛立ちを募らせていた。その裏付けもある。だというのに肝心の初代殺しが誰かは分からない。

「そもそも、殺しじゃない可能性もある……」

「その通り。ダイゴ、お前がいくら嗅ぎ回っても実を結ばない事かもしれない。私は何度も言うが、厚意でお前を引き取った。他意はない。お前の名前がツワブキ・ダイゴに決まった、というのは後からリョウに聞いたものだ。反対したい気持ちがなかったでもないが、私は我が子の意見を握り潰すほど傲慢のつもりもないし、親父への冒涜だとか、そこまで考えてやるほど親父が好きだったわけでもない」

 思わぬ告白にダイゴは、「お父様が、嫌いだったんですか?」と聞いていた。

「……家庭を顧みない父親だったさ。だから私は出来れば家にいるようにしている。母親がいないだけでも年頃のクオンにしてみれば寂しいだろう。コノハさんに任せるだけじゃ親としては失格だと思ってね。もうレイカもリョウも大人ではあるが、それでも母親がいないというのは大きかったはずだ。私は、そういう父親にはなりたくない。家族だけは守りたいんだよ」

 意外であった。イッシンはもっと冷たく、冷酷にデボンの利益を追求するような人間だと思い込んでいた。それはコノハに言いくるめられたせいでもあるが、どこかに疑いがなかったわけではない。

「だからお前には感謝もあるんだ。クオンを学校に行かせてくれてありがとう。まだちゃんとお礼を言えていなかったな」

 イッシンが改めて自分に頭を下げる。ダイゴはそれこそ謙遜した。

「いや、俺は何も……」

「そのようなはずがない。クオンは、あれで強情だ。何か、お前には特別なものを感じる。人を惹き付ける魅力とでも言うのか」

 イッシンにそう言われてダイゴは嫌な気分はしなかった。というよりも複雑であった。自分は相手の鼻を明かすつもりでやってきたのに感謝されるなど。

「俺には、そんな資格なんて……」

「あるんだよ。お前には、ある。だから私もクオンを任せられる」

「リョウさんやみんながいい人だから……」

 そう言いかけてダイゴの脳裏にちらついたのは警察手帳の表記であった。ニシノと同じ部署。何も知らないはずがなかった。それなのに何故、自分を匿っている。

 その疑問に硬直しているとイッシンが顔を覗き込んできた。

「どうした? むつかしい顔をして」

「いや……、リョウさんが警察に入ったのは、いつです?」

「うん? 二年ほど前だが」

「イッシンさん、あなたの奥さんが亡くなったのは?」

「……二年ほど前だが?」

 何か不服そうにイッシンは答える。ダイゴは考えを巡らせた。どこまでが計算だ? ツワブキ・リョウは何かを企んでいる。それに間違いはない。しかし何を? 肝心のピースがはまらない。一体ツワブキ家は何のために存在するのか?

「ダイゴ。疑り深い奴だな。お前のほうがよっぽど警察に向いているぞ」

 イッシンの皮肉にダイゴは、「でも不自然ですよ」と答えていた。

「その、奥さん、つまりリョウさんやクオンちゃんのお母さんの名前は分かりますよね?」

「馬鹿にしているのか? 私の妻の名前だ」

「その名は?」

「ヒガナ、だよ。ツワブキ・ヒガナ。それが私の妻であった人の名前だよ」

 ヒガナ。ダイゴは額に手をやる。何かが繋がりかけては霧散している。もう少しなのだ。フジ家とツワブキ家の婚礼を後押しした何者かの存在。イッシンの妻、ツワブキ・ヒガナ。何かが足りていない。ツワブキ家の人々は、何を隠している?

 ダイゴが相当思い詰めたように見えたのか、「なぁおい」とイッシンは呆れ声だ。

「何でも陰謀があるみたいに考えても仕方がないだろう。私の妻は病気で死んだんだし、それは誰にも回避出来ない不幸だったんだ」

「病気って、何です?」

「そりゃお前、重病だよ。死に至る病だ」

「だから、病名は」

 そう口にしてイッシンははたと言葉を止めた。何かに気付いたのか首をひねる。

「知らないんですね?」

 確信めいたダイゴの声にイッシンは頭を振った。

「知らないはずがあるか! 私の妻の病気だぞ!」

「では病名を」

 急かすダイゴに比してイッシンは呻っていた。思い出せないのか、あるいは最初から教えられていないのか。

「……だが死んだんだ。それだけは確かなはずだ」

「死んだ、確かにそうですか?」

 これは惨たらしい話かもしれない。それでも確認しないわけにはいかなかった。

「……何が言いたい?」

「初代と同じです。その死が偽装だったとすれば? つまり死んだのではなく殺された」

 イッシンが近くにあったテーブルを拳で叩きつけた。怒りを滲ませた顔をダイゴは直視する。

「殺された、だと? どこまで、お前は侮辱するんだ?」

「大事なんです、これは。不審な点はなかったですか?」

「不審、なんて。だってヒガナは、私の前で……。いや、あれはあいつから聞かされただけだったか? 病気だと、実際に私に言ったのは、誰だった?」

 どうやらイッシンでさえも混乱しているらしい。ダイゴは、「大丈夫ですか?」と汗だくの顔を覗き込む。

「ああ、悪い夢のようだ……。ダイゴ、お前は死神か? 何でこんな酷い事を言う? 私は、思い出したくもないのに」

 涙ぐんでいるイッシンの横顔に感傷が掠めたがそれに頓着している場合ではなかった。ダイゴは畳み掛ける。

「あなたが殺したんじゃない。それは話を聞けば分かる。でも、誰かがあなたの一族を脅かしている。それも聞けば分かった。じゃあ誰が? 一体誰が、ツワブキ家を脅かしているというのか。デボンの陰の支配者は一体誰なのか」

「やめろぉ! そんな事、知りたくもない!」

 イッシンは恐らくそのような事とは無縁だった。だからこうして喚けるのだが彼も全くの無関係として片付けるには危険だと感じているに違いなかった。

「どういう事だ……。つまり、ダイゴ。お前はこう言いたいのか。初代の死も、あるいは私がこの世に生を受けたのも、今もツワブキ家がデボンを管理しているのも何者かによる力添えがあったお陰だと。そいつがツワブキ家を陰から操ろうとしている、と」

 言い切りたくはない。しかしその可能性が話していると濃くなった。

「まずはその叔父さんとやらがどこにいるのか。そこから始めないといけないみたいですね」

 フジ家とツワブキ家を結びつけた何者か。今も生きているであろうその人物こそ、自分の過去に、初代の死に関わっている重要な人物だ。ダイゴは質問を重ねる。

「叔父さんに繋がる、何か重要な写真とかは?」

「あ、ああ。それなら今はリョウが使っている部屋に――」

 その言葉が消えるか消えないかの刹那、シャッターを破って何かの破片が一斉に襲いかかった。ダイゴは瞬時に反応してイッシンを押し倒す。赤い破片が機銃掃射のようにガレージへと突き刺さった。いくつかはシャッターを破るほどの威力を見せたが何発かはシャッターに防がれる形となった。ダイゴは襲ってきたその破片を見やる。見た目は赤い鉱石で鋭く尖っていた。

「これは……」

「何が起こったんだ?」

 ほとんど寝ぼけた状態のイッシンが頭を振る。ダイゴは敵の到来に肌を粟立たせた。

「敵、です」

「敵、って、何の?」

「恐らく、俺がイッシンさんに接触したから。これ以上の情報を引き出させないための、敵」

 今の状況から鑑みてそうとしか思えない。しかしイッシンは周囲に突き刺さった破片を見やっても信じられないようだ。

「馬鹿な。本気で殺す勢いだったぞ」

「そういう連中なんです。恐らくは……」

 Dシリーズ。あるいは自分を抹殺しようとする連中の一派か。ダイゴが拳を握り締めているとイッシンがやおら立ち上がった。

「おい! どこにいる!」

 ダイゴは慌ててイッシンを宥める。この状態では的だ。

「イッシンさん! 落ち着いて!」

「落ち着けるか! ダイゴ、いいか? 私はな、これでもイラつきもしないし、家に仕事も持ち込まない、公私の別はきちんとつけるし、何よりも家ではニコニコいいお父さんで通っているつもりだ。だがな! 家族を傷つけようとする奴だけは、生かしておけない!」

 イッシンがモンスターボールを手に取る。まさか、と思う間にイッシンは緊急射出ボタンを押し込んだ。

「いけ、ギギギアル」

 出現したのは巨大な歯車のポケモンであった。まず一つ、小さな二つの歯車が噛み合い、それぞれ回転している。その背後には一回り大きな歯車があり、それも個別に回転していた。さらにその下部には赤いコアがあり、それを覆うように円弧を描く三つ目のギアがあった。

 歯車の怪物、とでも形容すればいいだろうか。一つは小さなものに過ぎないのに合わさって巨大な力へと変貌した成れの果てに思えた。

「この、ポケモンは……」

「私のギギギアルを盾にして敵とやらを追い詰めるぞ。ダイゴ、ポケモンは持っているな?」

 既にやると決めた眼差しを注ぐイッシンにダイゴは気後れしながらも頷く。

「ええ。ダンバル」

 自分もダンバルを繰り出して周囲の警戒に努めた。どこから撃ってきたのか、まるで分からなかった。ダイゴは、「先行は危険じゃ」と言いかける。

「いや、あれだけ大雑把な攻撃だ。当たればいい、程度だろう。見ろ」

 イッシンが示したのはシャッターに突き刺さっている赤い鉱石である。どうして突き破ったものとそうでないものがあるのか、ダイゴも疑問であった。

「これは恐らく距離だ」

「距離?」

「一定距離から放った攻撃とそうでない攻撃。つまり相手の射程を窺い知るいいきっかけになる。シャッターを破った第一射は、なるほど、射程内だろう。だが第二射は射程外、つまりその線ギリギリのところで相手は詰めている、と考えていい。射程ギリギリを間合いにしている奴ってのは接近戦は苦手のはず。さっきの散弾で私達の頭をあわよくば、って具合だったんだろう。ところがシャッターがあった」

 ダイゴもそれで合点がいく。シャッターを破れるか破れないかの威力の差。それはつまり――。

「連続攻撃。一回こっきりの攻撃じゃない」

 イッシンは、「スジはいいな」とダイゴの推論を肯定する。

「岩タイプの連続攻撃となればそれは限られてくる。ロックブラストか何かだろう。鋼タイプならばシャッターは全弾破っている。これはあくまで岩だ」

 イッシンはそう判断しギギギアルを先行させる。まるで巨大な浮遊要塞だ。それそのものが大きな的になるギギギアルは弱点でもあり、同時に攻め手でもあった。ギギギアルの移動にダイゴは問いかける。

「相手、やっぱり見える範囲にいるってのが」

「そう考えるべきだろう。敷地内にいるのは間違いないが、それが広域射程だとも限らない。岩タイプの技、ロックブラストで私達を殺し、その後は、まで考えていたのだろうか」

 自分を殺すのはまだ解せる。しかしイッシンまで殺してしまえば目立ってしまうだろう。

「イッシンさんを狙う必要性は、ないわけですよね?」

「次いで、かもしれないな。お前を殺して、私も死ねば秘密は保たれる」

 ダイゴは歩みを止めて尋ねていた。

「秘密、というのはやはり……」

「叔父に関する事と、私の妻と母についての事だろう。その血縁を相手はお前に聞かせたくはなかった。その秘密が露見したと感じて攻撃を仕掛けてきた、と見るのが筋だ」

 やはりイッシンの叔父が何らかの手綱を握っているのは間違いない。ダイゴはギギギアルを見やる。

「ギギギアルの、射程は?」

「ここまで来たら仕方がない。教えよう。ギギギアルの射程は極めて狭い。だが、相手を捕捉する術ならば存在する」

 イッシンが鉱石を拾い上げてギギギアルへと放る。ギギギアルの内部で歯車が噛み合い、岩を噛み砕いた。

「何を……」

「解析中だ。これで相手のタイプからどのようなポケモンかまで分かる。さらに言えば。射程圏内ならば自動追跡が可能だ」

 砕かれた破片は細かい砂流となりギギギアルが巻き上げる。ギギギアルの歯車についている目が点滅し解析完了を教えた。

「ギギギアル、ギアソーサー」

 ギギギアルの最も小さいギアが弾かれたように飛び出したかと思うとそのまま宙を浮遊して何かを探しているようだった。

「イッシンさん、あれは何をしているんですか?」

「ギギギアルはもう敵のタイプも特性も覚えた。岩タイプならば微量に含まれている炭素を自動追跡し、その基となっているポケモンを洗い出す」

 ギギギアルのギアが止まったかと思うと一気に降下し一つの岩場へと突っ込んだ。岩場から何かが横歩きで飛び出す。ダイゴとイッシンはそれを視界に入れた。

 青い岩そのものの身体が突き出しており目に当たる部分は落ち窪んでいた。身体からは放出したのと同じ赤い鉱石が付着している。岩場に紛れ込まれればまず分からないその姿にダイゴは息を呑んだ。

「これが、相手のポケモン」

「岩タイプなのは間違いない。ギアソーサーによる一撃は効果抜群のはずだ」

 ギアが相手のポケモンに食い込んでいる。ギアが生み出した回転エネルギーによって一部分が抉られていた。小さなギアがギギギアルの下へと帰ってくる。

「なに安心しているんだ? ここからだぞ!」

 帰ってくるなりもう一つ、ギアが弾き出された。ギアによる弾丸攻撃が岩のポケモンを貫く。

「ギアソーサーは連続攻撃。一撃が命中すればもう一撃が約束される。私はお前を許すつもりはない。徹底抗戦だ! ギギギアル、ギアチェンジ!」

 ギギギアルの歯車が唐突に止まり、直後逆回転をし始める。その回転エネルギーが黄金の輝きを帯びた。コアが明滅しエネルギーが充填される。

「ダイゴ。私はこの岩ポケモンを押さえる。お前はトレーナーを」

 ダイゴは周囲に首を巡らせる。トレーナーがいるはずであった。だがまるで気配も感じられない。適当に攻撃しようにも周囲には隠れられそうな草場も岩場もない。

「イッシンさん、もしこのポケモンだけが単独行動をしている、という可能性は?」

「無きにしも非ずだが、だとすればトレーナーである我々を真っ先に狙うのは考え辛い。やはり操っている奴がいるはずだ」

 ギギギアルが岩ポケモンを追い詰めようとする。間断のない「ギアソーサー」の攻撃で岩ポケモンはほとんど体表を抉り取られていた。

「主人を呼べ。そうでなければここで潰えるぞ」

 容赦のないイッシンの声にも岩ポケモンは応答しない。ダイゴは必死にトレーナーを捜した。

「一体どこに……」

 ギギギアルが岩ポケモンを仕留めようとする。完全に勝負が決した、かに思われたが土色の衝撃波が突然、ギギギアルの直下から襲い掛かった。当然、ギギギアルは回避出来ない。地面が隆起しギギギアルは傾いだ。イッシンも足場を揺らされて姿勢を崩す。

「……やれやれ。お膳立ては整ったってワケだ」

 不意に聞こえてきた声にダイゴは咄嗟に手を払って攻撃する。

「ダンバル!」

 突進攻撃が放たれるがそれを制したのは巨大な岩であった。岩礁のような塊が地面から出現し相手トレーナーを守る。思わぬ伏兵にダイゴも目を見開いた。

「お前は……」

「説明していなかったな。ガントル、よくやってくれた。ツワブキ・イッシンの注意を引きつけてくれて助かったぜ。お陰でオレはお前に肉迫出来る」

 先ほどまでイッシンと戦っていた個体が短く鳴く。ガントルと呼ばれたポケモンは身体を沈ませ赤い鉱石部分を突き出した。ハッとしたイッシンがギギギアルを前に出す。鋼の身体が弾いたのは岩の散弾であった。

「惜しい! ロックブラストが当たると思ったのに」

 男の声にイッシンとダイゴは警戒を強める。

「お前は、何だ?」

「オレか? オレはギリー。ギリー・ザ・ロック。そこのツワブキ・イッシンとは顔見知りでね」

 金髪の伊達男風の男は赤い帽子を取り出して被る。イッシンは苦々しい顔をしていた。

「お前、ギリーと言ったか?」

「知り合いで?」

 ダイゴの質問にイッシンは本宅を顎でしゃくる。

「このカナズミシティのほとんどの家の設計者だ。デボンで雇っている派遣社員でもある。確か、イッシュの出であったはずだな」

「覚えていただいて光栄だな」

 ギリーは帽子を取って会釈する。巨大な岩ポケモンがギリーの横に侍り威圧感を醸し出していた。

「オレの手持ちはガントルとその進化系、ギガイアス。こいつらは硬さがウリでね。まぁ簡単に言えば、あんたらのちょっとした攻撃じゃ傷一つつかないってワケさ」


オンドゥル大使 ( 2016/01/14(木) 22:07 )