ポケットモンスターHEXA NOAH











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最終章
最終章 四節「血の決着」

「全ての始まりに、鮮血がある」

 ヨハネはヘキサ跡地を彷徨っていた。ところどころに解説文の表札が転がっている。肩を竦めて、「だってそうだろう?」と続けた。

「人が産まれる時にも、人間は血潮と共に産まれるのだ。どのような生物であっても、血の因縁、生まれから抜け出す事は出来ない。だが、この世界に、血の因縁からは全くの無縁の生命体が存在する。その生物はタマゴと呼ばれる保育器の中で成熟し、この世に生を受けるのだ。ウツギ博士のレポートにある。誰も、何人たりとも、その事象を観察することは叶わない。どうしてその生物が増えるのか、どうしてその生物はこの世に血の因縁なしに生を受けるのか。全てが謎だ」

 ヨハネは手を振り翳す。

「だが! その謎が氷解する時が迫ろうとしている! どうしてその生物は血の因縁を消し去って存在するのか。どうして、の連鎖はもうすぐ消える」

 地面に流れている液体を見やる。転がっている黒々とした塊を視界に入れ、侮蔑の眼差しを向ける。

「血と! 肉体と! この世に生を受ける以上、どうしても必要な鎖から外れた存在には何が待っているのか。それは誰にも分からない。誰もがその違和感を違和感として感知出来ないのだ。ただ一つ、私以外はな」

 ヨハネは傍らに侍る存在へと意識を向ける。赤く染まった瞳孔が細められ、十字を形作る影を視野が捉える。

「ここに来ると言うのならば、来るといい。全ての血の決着は、私がつけよう!」



オンドゥル大使 ( 2014/12/02(火) 21:58 )