第16楽章「絶叫哲学」
ジャローダが跳ね上がりケルディオへと地面を這って攻撃を突きつける。いつの間に展開していたのかツタがケルディオの足を払っていた。
姿勢をぶれさせた途端、突き上げてきたツタによる一撃が顎を打ちつける。
脳震とうを起こしたのか、ケルディオがよろめいた。
「草タイプは水に強い。それは初歩の初歩だ。タイプ相性を覆せるのは本当に強いものだけの特権。貴様では、ワタシには届かない」
「やってみなければ、分からないさ!」
ケルディオが全身から水の皮膜を生み出す。「アクアジェット」の勢いでケルディオは逆に後退して見せた。先ほどまでケルディオの頭部があった空間を引き裂いたのは「リーフブレード」である。
「惜しいな」
一進一退の攻防に自分もケルディオも疲弊している。
以前は戦いで疲れる事などあり得なかった。ポケモンの声を聞き、最善の道が模索出来たからだ。
今は、そうではない。
ポケモンの声は依然として分からず、ケルディオが何を感じているのかも分からない。
トレーナーとして半端者だと言われればそうなのかもしれない。
だが、今の自分には覚悟がある。
自分を殺してでも、プラズマ団を止めなければ、という使命感。それが自分を衝き動かす。その先に待っているのが破滅でも、自分は歩みを止めてはならない。止まる時は死ぬ時でいい。
「今のボクは、止まっちゃいけないんだ!」
ケルディオが全身から水流を放出し、一つ一つ、水の砲弾を練り出した。
まず一発、ジャローダに突き刺さりかけて霧散する。しかしたった一発では終わらない。
二発、三発と重ねつつ、ケルディオは一歩、また一歩と前に進んだ。トレーナーである自分も同じである。
決して退かない。退けば終わる。臆せば死ぬ。
戦うしかない。己の肉体が消え失せるまで、この身が果てるまで。
「ボクは、ノアだ!」
叫んだ声に相乗してケルディオがジャローダへと突き進んだ。ジャローダから無数のツタの触手が伸びる。一本が水の皮膜を突き破り、ケルディオの前足に突き刺さった。
「インファイトで引き裂け!」
ケルディオは前足をわざと自分の側にくねらせ、角で触手を掻っ切る。ケルディオも同じだ。ここで退けば終わるのだと思っている。ポケモンの声を聞く特殊能力がなくとも、その力が永遠に失われていたとしても。それでもここで退くわけにはいかない。
臆せば死ぬ。
戦うしかない。戦って勝てるようにならなければ。
ダークエコーズの面々との戦いが本懐ではない。
本来ならば、これを超えるであろう、ゲーチス、七賢人、そしてNという自分との戦いが待っているのだ。
こんなところで立ち止まっていられるか。
ジャローダの攻撃射程に入ったケルディオが角を突き出して進む。
その進撃に迷いはない。己の心の具現のように、戦う姿勢に臆するものはなかった。
「ここまでよく来た、というべきか。だが、これ以上の近接攻撃はお前にとっても不利」
「やってみなければ、分からないさ」
「いや、分かっている。ケルディオは水・格闘。草タイプの攻撃は――」
新緑の刃が瞬間、地面から次々と突き出てきた。それぞれがつむじ風を有し、緑の結界を発生させる。
刃の園だ。
その田園の只中に自分とケルディオは踏み込んだ。
ケルディオが跳躍するも、その斜線からは逃れられない。証拠のように、草木が花開き、種を露出させた。
「効果抜群となる。ジャローダ。種爆弾」
放出された種の散弾がケルディオの表皮を突き刺した。「たねばくだん」は草タイプの中でも随一の威力を誇る。
それを四方八方から受け止めたケルディオは満身創痍であった。
もう戦えない、と判断しかける。
一度ボールに戻して形勢を見たほうが賢明か。
だが、それを制するようにケルディオは力強く鳴いた。
まだ戦える、という意思表示のように。
だが戦闘続行不可能なのは見るも明らかだ。これ以上戦わせるのは悪あがきというほかない。
「トレーナーであるのならば、退き際は心得ているほうがいい」
ここで立ち向かった以上、敗走は一度とは言え、己の心に深い傷痕を残すだろう。その傷を癒す術を、自分もケルディオも知らない。
一度の戦いでも、逃げればそれは一生の負い目となる事があるのだ。
拳を握り締める。
一番に逃げたいのは対面するケルディオのはず。しかし、ケルディオは戦おうとしている。その意思を無下には出来ない。
「……まだ、やれるさ」
「やれる? 何をもってそう言っているのか不明だが、ならば決定的なものを突きつけてやろう。敗北、の二文字を」
来る、とノアが身構えた途端、射線に入ってきたのはメラルバであった。
エンブオーとの戦いは、と見やると、既にヴァルキュリアツーのエンブオーは叩きのめされていた。
いつの間に、と問い質す前にバンジロウが声を発す。
「悪い! 遅くなったな、兄ちゃん!」
「バンジロウ、くん。キミはどうやって……」
「戦って勝った!」
にっかりと笑って言ってのけるその言葉にはいささかのてらいもない。この少年は真に、戦って勝ったのだ。
勝利をもぎ取り、自分の手助けまでしてくれる。
ノアは言葉が出なかった。
これほどまでに、心強い。
「……メラルバが相手か。しかし、ヴァルキュリアツー。仕損じるとは貴様、それでもダークエコーズの一人か」
「ああ、すまねぇな……。なんかこう、胸のつかえが取れねぇんだ。そいつを……ノアとかいうのを見ているとよ、思い出しちまう」
「誰を、だ? こんな戦闘の只中に情けないぞ」
ヴァルキュリアツーは面を上げ、ノアへと問い質した。
「ノアって言ったな。お前のその言葉、その戦い振り。誰かに似ていると思ったんだが、まさか、とは感じていた。でも、やっぱり、おれは自分を誤魔化しきれないらしい」
「何を言っている? 敗残の兵は去れ。ワタシがやる」
前に出ようとしたヴァルキュリアスリーを制したのは、エンブオーの発生させた熱線であった。
ヴァルキュリアスリーとジャローダが立ち止まる。
「……何の真似だ?」
「バンジロウとか言うガキはマジに強かった。そいつが認めた奴っていうんなら、ただの向こう見ずな反逆者とも思えない。なぁ、アデクにバンジロウ。教えてくれ。そのノアって奴の、本当の名前は何なんだ?」
まさか、と息を呑む。
自分の正体に気づき始めているのか。
アデクはしかし、口を割らなかった。
「己の魂に問い質せ。お主はもう、知っておるはず」
「……ああ、クソッ。こんな時に、自分で決めろって言うのか。クソッ」
「何を言っている? 反逆者を狩れ。我らの使命だ」
「生憎だが、おれは強い奴は好きなんでな。特に、あの人に似ているとなると、どうにも非情に成り切れねぇらしい」
「ヴァルキュリアツー? どうした? 精神安定剤が切れたせいか。飲めば治る。不安なんて消し飛ぶはずだ」
ヴァルキュリアツーは精神安定剤と思しき錠剤を取り出し、それらを一気に飲み干した。一部は噛んで砕く。
「悪いな、ノアって奴。一応はケジメってのがあるんだ。おれの心は揺らいじまっている。だから、一度だけでいい。全員、矛を収めろ。おれは見極めたい」
エンブオーと共に、その姿が前に出る。ヴァルキュリアスリーが怪訝そうにした。
「一騎打ちのつもりか?」
「いけないか? だが、おれはこのままじゃダークエコーズで一番弱い奴になっちまう。そうなった場合、どうせお払い箱だろ?」
だったら、とヴァルキュリアツーがこちらを見据える。
彼は理解し始めているのかもしれない。しかし立場がそれを容易く認めてはならないのだと言っているのだ。
彼の決着には己との戦いが絶対的だろう。
「……分かった。手は出さん。すぐに終わらせろ」
「そのつもりだよ。おい、ノアっての。そのケルディオでまだやるか?」
バンジロウの力を借りる事も出来る。しかし、ノアはこの時ばかりは一対一の決着が必要だろうと感じていた。
「分かった。ボクが一人でやる」
「兄ちゃん? でも、二人なら」
「彼はボクとの一騎打ちでのみ、自分を解き放てるのだと感じているんだ」
その言葉でバンジロウも察したらしい。譲った彼に対してノアは微笑みかける。
「負けるなよ、兄ちゃん」
「負けないさ」
「悪いが、こっちも相当ダメージを受けていてね。だから一気に仕掛けるぜ。フレアドライブ……!」
全身の血脈から炎が宿り、エンブオーを赤く染め上げた。それそのものが炎の山のように燃え盛る。
どこから攻撃を仕掛けても蒸発させられる。ノアはそう予感した。
水タイプの生半可な攻撃では、相手の攻撃は覆せない。
「ケルディオ。でもボクらが出来るのは、アクアジェットとハイドロポンプ、それにインファイトだけ」
ケルディオが頷き、攻撃姿勢に入った。その三つだけで灼熱の砦と化したエンブオーを倒し切らなければならない。
その覚悟に、ヴァルキュリアツーは鼻を鳴らす。
「勝てる、って眼をしてるな」
「負けるわけにはいかないからね」
「参ったぜ。本当に……あの人によく似ているんだな」
エンブオーが踏み込むだけで、その炎熱の広域射程が拡張した。一箇所でも触れればそれだけで炭化しかねない。
だが、ここで退けない。もう、退くのはうんざりだ。
ノアは歩み出た。それに併せてケルディオも歩を進める。
「ケルディオ……慎重に、慎重に戦えば、やれる」
「本当に、そう思ってんのか?」
慎重さ程度で埋まる実力差でないのは分かっている。だが、ここで言い訳をするわけにもいくまい。
「飛び込むぞ……、アクアジェット!」
水の皮膜を形成し、ケルディオが相手へと突進する。
あまりに猪突猛進に見えたのだろう。エンブオーが両腕を広げた。
「既に射程内だ! エンブオー、叩き潰せ!」
先ほどジャローダと戦った傷がまだ残っている。だが相手もまた己の体力を削りながら戦う「フレアドライブ」を使用している。
お互いにこれ以上の延長戦はありえない。
ここでケリをつけなければならないのだ。
「アクアジェットで位相を変える! ケルディオ、推進剤を焚くぞ! 横っ面に!」
水の推力が方向を変え、瞬時に角度を変位させる。動きを革新的に変える事によってエンブオーの攻撃に少しでもロスを生じさせる。
その策はしかし、圧倒的な熱量を前に霧散した。
ケルディオの水の皮膜が剥がれたのだ。
「熱さではおれのほうが上だったみたいだな」
エンブオーが片腕を振るい上げる。そのまま突き上げる一撃を見舞うつもりなのだろう。
その瞬間、ノアは命じていた。
「蹄からハイドロポンプ! 浮力を得る!」
ケルディオが発動させたのは蹄の先からの「ハイドロポンプ」であった。まるで水上スキーさながらに空中を水で滑走する。
エンブオーの攻撃にブレが生じた。
その動きについて来られないのだ。
「浮く、とはなぁ。だが、エンブオー! おれ達も、浮くくらいは出来るぜ!」
エンブオーが脚部に力を加える。発生したのは「ヒートスタンプ」の爆発力であった。
エンブオーがその巨躯に似合わぬ速度で跳躍する。
上を取ったのはエンブオーのほうであった。
「取られた! これじゃケルディオは!」
「このまま、打ちのめす!」
バンジロウの声とヴァルキュリアツーの声が相乗し、エンブオーが腕を固めて叩き潰そうとする。
「その時を、待っていた」
ノアの声に誰もが耳を疑ったであろう。
しかし自分の狙っていたのはまさにこの位置関係なのだ。
「エンブオーが浮かび上がって攻撃をする。普段、エンブオーの強大な膂力を支えているのはその下半身のはずだ。相当な負荷を地面に受け流している。だからエンブオーとの地上での戦いはボクも避けたいところだった。そのために、ケルディオのギリギリまで踏み込ませた。相手に、浮かび上がってもらうように」
エンブオーの力は受け止める場所がなければ半減する。この状態の場合、エンブオーはどうやってもいつものように勢いを逃がせない。
「だが、それがどうした! どっちにしろ、ケルディオには届く!」
「その言葉は二段階目、だ。ケルディオ、突き破るぞ。ハイドロポンプで接近! アクアジェットを併用し、体当たりを仕掛ける!」
ケルディオの体表の水滴が浮かび上がり、瞬時に皮膜を形成した。次いで彗星のようにケルディオが中空を駆け抜ける。
突き刺さったのはエンブオーの腹腔であった。完全に虚をつかれた形のエンブオーは仰け反る。
「この! 離しやがれ!」
エンブオーは引き剥がしにかかったその時こそが、最終段階であった。
最早、ケルディオとエンブオーの距離は超至近距離。
この状態での戦いは――単なる我慢比べとなる。
「その状態から突き崩せ! インファイト!」
ケルディオが前足を嵐のように叩き込む。
圧された形のエンブオーの体表へと打ち抜かれたのは角による打撃であった。水の刃を纏い付かせた一閃がエンブオーにダメージを与えた。
姿勢が崩れる。
勝った、と思った瞬間であった。
「ざけんな……。我慢比べなら、負けた事はねぇ!」
エンブオーの身体から再び炎が点火した。しかしこのダメージでは本当の意味での
「フレアドライブ」は撃てまい。
お互いに相手の水が勝つか。炎が勝つかだけの確率勝負。
ノアは吼えた。ケルディオに少しでも戦いの意志が宿るようにと。
Nであった頃には吼えた事などなかった。吼える必要などなく、ポケモンの言葉も、その意思も理解出来たからだ。
だが今は、吼えるしか出来ない。
吼えて、ポケモンを鼓舞する事しか出来ない。
「負けんな、エンブオー! 性根見せてやれ!」
エンブオーがケルディオを押さえ込み、炎を流し込んだ。ケルディオからしてみれば体表を焼く以上に、高熱の炎が己を囲っている状態だ。
ただのポケモンならばここで退かせる事すら躊躇うほどに接近している。
一歩でも動けば炎の檻に包まれて死ぬだろう。
だが、ケルディオはこの時、全身を包み込む水を一点に掻き集めていた。
身体を炎で焼かれるのも厭わず、角先に水を集約させる。
ノアでさえ、その行動の理由は分からなかった。ただ、ケルディオへと言葉を投げる。
「ケルディオ! 勝つんだ、ボクらは!」
そのために来た。
そのために飢えているのだ。
ケルディオの水を集めた角が煌き、一瞬だけ、不明な光を明滅させた。
黒と白が書き換わるほどの光の螺旋。その途端、エンブオーの巨体が吹き飛ばされていた。
ノアも何が起こったのか分からなかった。
ケルディオは息を切らし、角を突き出したまま地上に降り立つ。
暫時、沈黙があった。
その末に、バンジロウが呆然と口にする。
「勝ったのは、兄ちゃんだった……」
その言葉でようやく、ノアは己の勝利を確信した。
「ケルディオとボクが、勝った……」
ケルディオの発生させた技の性能はまるで分からない。ただ今の瞬間だけ、ケルディオは別の何かに成ったかのようであった。
「……負けたか」
舌打ちし、ヴァルキュリアツーは歩み出る。まさか、これ以上戦闘を続けようというのか。
息を詰めたノアに、ヴァルキュリアツーは呟いた。
「……本当、近くで見るとあの人そのものみたいな感じだな。違うのは、どこかあの人より先を見ている気がするだけ、か」
ヴァルキュリアツーは踵を返し、ダークエコーズ二名へと視線を向ける。
「決めたぜ。おれはこいつにつく事にする」
その言葉にノアも驚愕していた。ダークエコーズの二人は無論の事である。
「正気か? ヴァルキュリアツー。粛清対象になるぞ」
「構わないさ。おれはこっちにつくほうが、何かと納得出来ると思ったんでな」
ヴァルキュリアスリーがジャローダと共に睨み据える。ヴァルキュリアツーは口角を吊り上げて笑った。
「どうだい? かかってくるか、ヴァルキュリアスリー」
「……馬鹿を言え。今の貴様では勝てんし、何よりも、そちらに万全のアデクとその孫であるバンジロウがいるのでは、我がジャローダは真価を発揮出来ないだろう」
ヴァルキュリアスリーが身を翻す。ヴァルキュリアワンが戸惑った。
「どうするって……」
「ここは退く。だが、ダークエコーズに泥を塗ったな、ヴァルキュリアツー。もう貴様は敵だ。次に会えば殺す」
「そりゃどうも。おれもそのつもりでね」
ヴァルキュリアスリーともう一人は瞬時に掻き消えた。
ようやく自分達に立ち向かってきたプレッシャーの塊が消失し、ノアはその場にへたり込む。
「大丈夫か?」
手を差し伸べたのはヴァルキュリアツーであった。その手を取るべきか悩んでいるとバンジロウが声を放つ。
「バッカだなぁ。さっきまで敵だったヤツの手なんて握れるかよ」
バンジロウの言葉にヴァルキュリアツーは、おっとと手を拭った。
「これでどうだい?」
「数秒前まで敵だったんだ。そんな簡単に信頼出来るかよ」
バンジロウが代わりに手を差し伸べる。ノアは素直にその手を取った。
「ありがとう、その……」
「いいって。どうせ相手も三人がかりだったし、本当はじィちゃんの戦闘能力を見たかったみたいだけれど、あまりにシツレイだよな。チャンピオン相手にあんな三人で向かってくるなんて」
「おれは何にも言えん」
ヴァルキュリアツーが肩を竦める。追いついてきたアデクが彼の眼を見据えた。
「真に覚悟があっての裏切り、と見ていいのかのう?」
「元々、おれ達ダークエコーズは特殊な細工がしてあってね。後で話すが、長持ちしないんだ。それでもいいなら、おれはあんたらを支援する」
「信用なるのか? オレ、やっぱりニガテだ」
バンジロウの言葉にアデクは、まぁ、と言葉を進める。
「少しの間でも仲良く出来れば幸いじゃな」
「奇遇だね、おれもそう思っている」
アデクとヴァルキュリアツーが握手する。それを不思議な心地でノアは眺めていた。
本来ならあってはならない実戦部隊と、いずれ自分の倒す男が今は手を組んでいるなど。
「ノアタロー。お前の言った通りになったのかもしれん」
「……ボクの、言った通り?」
「未来は変えられる。これで分かったじゃろう? ワシらの努力次第で、プラズマ団の行く末は変えられるんじゃ。今、小さな流れかもしれんが、一つの出会いがあった。ヴァルキュリアツーと言ったな。呼び名はそれで?」
「長ったらしいな。ヴイツーでいい」
ヴァルキュリアツー――改めヴイツーはそう言ってのける。アデクは手を払った。
「ではヴイツーよ。まずは回復といこうか。エンブオーも随分と無茶をしたらしいからのう」
「それには同意だ。さっきの光、よく分からなかったがあれは技なのか? ケルディオの何ていう技だ?」
それに関しては自分でも分からない。ケルディオはしかし、ただのポケモンではない。
今ハッキリしているのはそれくらいであった。
「……少なくとも、ボクの予想以上に、強いって事だけだ」
「いいねぇ。分かりやすくっていい」
ヴイツーの言葉を受け、ノア達は歩み出した。