あとがき
あとがき
拙作『Ki-SS』をここまで読んでくださり、ありがとうございます。
長編があるのに、何故、このような作品を? と思われたかもしれません。
今回、試みようと思ったのは「キャラクターから話を作る」という方法論なのです。
元々、ルパン三世やキャッツアイのような作品を作りたい、と思い立ったのがこの作品の始まりでして、しかしながら長編作品をまだ書かなければならないのと、固まっていない設定のままやれば恐らく行き詰まりを感じるだろうと思ったので、今回、『F』のスタイルを踏襲し、とりあえず中編程度で話を纏らせる、というやり方に致しました。
実際にやってみると、怪盗、というのは難しい題材でした。
盗みの鮮やかさは当然の事ながら、爽快感となおかつ読者があっと驚くような仕掛けを施しておかなければならない。
HEXA第六部『MEMORIA』で悪人を書くのは慣れたかと思いきや、今回はそちらとはまるで違うキャラクターを書く必要に駆られました。
サギサカ・モナカ――キッスというキャラクターに関して、踏み込みすぎず、なおかつ距離を保ってキャラを描写する。
今回は言うなれば読み切りのようなものなので、あまり深く追求するとページ数的にも後戻り出来なくなるのは分かっていたので、うまいこと自分の手綱を引いて書き込み過ぎないようにするのには苦労しました。
モナカとそのライバルキャラになるキザキ警部もそうです。
キザキに関してはあまり深く描写せず、キッスを追いかけることに執念を燃やしている、という部分のみにフォーカスを当てる。
今回、割と大変だったのはその塩梅でした。
いつもならば内面に踏み込むのですが、今回はそれをしてはならないと自分で分かっていたので内面に関してはさわり程度で。あえて、キッスの過去も断片で語る。
そしてそして、最後の最後、ある種「つづく」に近い終わり方をしたわけなのですが、はい、続きます。
とはいっても、まだ肝心のそれは一行も書いていないのですが……。
キャラクターから逆算して話を作る、というやり方が思いのほか面白かったので、次も似たような趣向を凝らすかな、と思いつつ、ここであとがきを終わらせてもらいます。
ありがとうございました。
2016年12月30日 オンドゥル大使より