EPISODE141 炸裂
『コルニ! エターナルスーツの永続効果が消滅した! 変身出来るぜ!』
ルイからの報告にコルニは薄く微笑む。
「……遅いっての」
「アンタ、やるじゃない。ワタシ達も結構、苦労したわぁ」
バグユニゾンを操る相手と、ウォーターユニゾンを操る相手。さすがにルチャブルと一緒とは言え、変身せずに戦うのは限界が生じていた。
「どうやら、仲間がどうにかしてくれたみたいでね。ここから先は、あんた達の希望に添えるよ」
バックルを取り出した途端、バグユニゾンのほうが喚いた。
「まさか、テトラちゃんが?」
「Eフレーム、イグニッション!」
装着したバックルからエネルギーが迸り、黒い鎧が暴風域を作り出した。
虫の節足が弾かれ、水の弾丸も防御する。
青い炎が燻り、コルニは一瞬にして変身を遂げていた。
「閃光闘者、イグニス! 命、爆発!」
「イグニスですって?」
「……テトラ。何をやっている」
振り仰いだウォーターのほうに、イグニスは斬りかかっていた。双刃を閃かせ、相手へと肉迫する。
足首に埋め込んだユニゾンチップが火を噴いた。
『コンプリート。スティールユニゾン、エレクトリックユニゾン』
相乗したユニゾンの攻撃にウォーターが気圧されつつも、銃撃で回避しようとする。
イグニスは宙返りして腕時計型の端末のボタンを押し込む。
「Eフレーム、ネクストイグニッション!」
降り立ったイグニスの装甲が展開し、青く染まった。地を踏みしめると同時に加速へと至ったイグニスコアがウォーターの相手を突き飛ばす。
中空に放り投げられた相手へとイグニスコアが瞬間的に攻撃を叩き込んだ。
『スティールユニゾン、エレクトリックユニゾン、ツインエレメントトラッシュ』
「炸裂しろ!」
まさしく神速の攻撃がウォーターの相手を打ちのめす。
だが相手は変幻自在の水の属性の持ち主。どうやら攻撃を半減したらしい。
しかし、まだ空中の只中にいる相手は、回避行動にも移れない。
着地したイグニスコアはルチャブルをモンスターボールに戻した。
露出した制御核を取り外し、ルチャブルのボールを埋め込む。
バイザーが持ち上がり、口元が露となる。全身を押し包んだ灼熱が双刃へとエネルギーを供給した。
「瞬神超者、イグニスコアハート! 命、爆発!」
中空に位置するウォーターが銃口をこちらへと向ける。正確無比な銃撃がイグニスコアハートを狙い澄ましたが、全身から迸るエネルギーの熱量が水の弾丸を蒸発させた。
「これで、とどめェッ!」
双刃から巨大なエネルギーの瀑布が放出され、中空のウォーターのEスーツを叩き割った。
あまりの余剰エネルギーに大地が割れ、粉塵が舞い上がったほどである。
水のユニゾンでも減衰し切れない攻撃に相手が爆発した。
双刃を翻し、イグニスコアハートは核を戻してコアモードへと戻る。
水のユニゾンを得ていた相手の変身は解けていた。
「……ゲームオーバー」
Eスーツの中核を成すバックルが破砕され、ニョロトノの入ったボールが転がってくる。
バグユニゾンの相手は恐れを成したのか、プリズムタワーを虫の節足で駆け上がっていった。
さすがに二体同時に倒せるほどの余裕はない。
『リフォーメーション』の音声と共にコアモードが解除される。
息を切らして、イグニスは双刃を杖代わりにした。呼吸を整える。
ルチャブルが心配そうに顔を覗き込んだ。
「大丈夫……ちょっと疲れただけだから」
とはいえニョロトノをエスプリに届けなければならない。
まだ戦いは終わっていなかった。
飛行のユニゾンチップを挿入し、イグニスは空を仰ぐ。
「行こう、決着だ」