MEMORIA











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胎動の真紅、斜陽の街
第七十五話「彼女の戦い」

 メイ達が先輩の路地番に付き纏われているのを発見したのはリオだ。

 知り合いだと割り入ってメイから話を聞く。

「ちょっとここでは……」

 驚いたのは炎魔シャクエンと、瞬撃アンズが同行している事だったが、メイだけよりかは冷静に動けた。

「分かった。二十七番、空いてましたよね?」

 先輩に言伝すると、いい顔はされなかった。

「おいおい、自分のプライバシーに路地番の権限を使うのは……。まぁ、いい。今回だけだぞ」

 礼を言ってリオは二十七番の路地に入る。端末でこの路地の封鎖の処理をしてから話を切り出した。

「で、何だったんだ?」

「その、アーロンさんについてなんですけれど」

 やはり波導使いか。ある程度予測はついていたが、自分は所詮、使い走りなのだろう。

「アーロンさんが、どうかしたのか?」

「新しい波導使い、知っている?」

 シャクエンが前に出て声にする。リオは眉根を寄せた。

「新しい波導使い? 聞いた事もない」

 その返答にメイは目に見えて落胆した。何が彼女をガッカリさせたのだろう。リオは慌てて取り繕う。

「えっと、どういう事なのか、説明してくれればおれでも力になれるかもしれない」

 メイは新たな波導使いがこの街に現れた事、その波導使いとアーロンは敵対している事を述べた。リオは考えを巡らせる。その情報はどこから得たのか。

「アーロンさんが君に言うはずがないよな? 誰から聞いた?」

 うろたえるメイにシャクエンが代わりに答える。

「オウミから」

「オウミ刑事? よく前の飼い主に会う気になれたな……」

 自分でも失言だと思ったがシャクエンは気にも留めない。

「メイが望んでいたから」と短い返答だけだ。

「でもでも! シャクエンちゃん、本当にありがとう! あたしだけだったら絶対に行き詰っていたよ」

 心から勘謝している様子のメイにシャクエンもまんざらではないのか、僅かに笑みを浮かべている。いつから、この街でも冷酷な殺人鬼、炎魔は笑えるようになったのだろう。

「でも、新しい波導使いの情報はないな。もしかしたらホテル辺りで止められているのかもしれない」

「それは多分、意図的」

 シャクエンの言葉にリオは頷く。

「そうだな。だってそうでもしないと、商売あがったりってのは目に見えているし」

 理解していないらしいメイは二人を交互に見やる。アンズが腰に手を当てて説明した。

「つまり、お兄ちゃんは自分の仕事の領分を守るために、既にホテルやハムエッグと交渉しているって事でしょ。だって波導使いなら誰でもいいって連中だとは思っていないだろうし、何よりも自分を騙られれば困るからね」

 幼いとはいえ暗殺者の家系で育っただけはある。領分を守れない暗殺者は街から排除される理も分かっているのだろう。

「つまり、アーロンさんはホテルとハムエッグさんに、話し合いを持ちかけているって事?」

「そうなる。でもそんな事をしている間に、一番に危惧しなければならないのは」

「相手の波導使いがどれほど動くのか、だな。もし相手が本気でアーロンさんを潰すつもりなら、バックにこだわってないだろう。すぐにでも資金源となる企業に声をかけているはずだ。相手からしてみればこの街の覇権を狙えるかもしれない戦い。企業からしてみてもホテル、ハムエッグの一極集中から逃れられるかもしれない。賭けてみる気にはなるだろうな」

「もう動いているかもしれない」

「だったら、ここにいるのも少しまずい。封鎖してあるが、飛び込まれればそれまでだ。おれが出来るだけ裏路地を使って案内しよう。安全な場所まで行って、アーロンさんに助けを乞うのが一番いい」

「それは駄目!」

 メイが遮る。端末を手にしようとしていたリオは顔を上げた。

「何で? アーロンさんに保護してもらうのが絶対いいはずだろ」

「……アーロンさん、怒るから」

 まさか、とリオはシャクエンに目配せする。シャクエンは、「止められなかったから」と応じた。

「参ったな……。アーロンさんに黙って出てきたのか。アーロンさん、言わなかったかい? 外に出るな、って」

「言っていたけれど、でもそんなの横暴じゃない。アーロンさんは自分の事はいつも自分で解決するのに、どうしてあたし達に出るなって」

 どうやらメイは事の重大さを理解していないようだ。リオは懇々と説明する。

「あのね……、アーロンさんは一番にあっちゃいけない可能性として相手の波導使いの動きの迅速さと、君らの身柄の拘束、を考えていたはずだ。炎魔、瞬撃は何とかなるだろう。でも、メイ、君だけはどうにもならない。……まぁ、だからこそ炎魔も瞬撃も戦闘姿勢で出ているんだろうけれど」

「そうなの?」

 今さらのメイの問いかけにシャクエンとアンズは答える。

「一応、いつでも敵が来てもいいように警戒はしている」

「右に同じく。いつだってスピアーを出せるよ」

 そこまでの非常時だとは思っていなかったのだろう。メイは明らかに狼狽していた。

「でもそんな……。そこまでの相手だなんてアーロンさんは」

「言わないだろうね。言わないからこそ、そこまでの相手なのだと思う。今回、アーロンさんは全く油断していない。ホテルとハムエッグに言い含めるほどだ。つまり、確実に相手を潰す気であるのは明白。だから、メイ、君の身柄の保護だけは絶対だった」

 メイは自分がジョーカーだとは思いもしなかったのだろう。後ずさり、「どうしよう……」と呟く。

「もう出てきたんだからどうしようもないとして、炎魔、瞬撃、二人とも対応の準備は?」

「出来ている。いつでも、〈蜃気楼〉が見張っているし」

「スピアーをいつだってメガシンカさせられる」

 この二人ほどの実力者ならば相手の接近に気づかない、という事はないだろう。リオは、よし、と膝を打つ。

「裏路地から、アジトまでの道を案内する。メイ、出来ればこのゴタゴタが収束するまで出て来ないほうがいい。それはアーロンさんじゃなくっても、おれだって同じ気持ちだ」

「でも……、少しでもアーロンさんの力になりたくって」

「今は、アーロンさんの力になるのなら絶対に姿を見せちゃいけないんだ。案内する。絶対に割れない路地くらいは頭に――」

「見ぃつけた」

 割って入った声にリオが視線を振り向けた瞬間、鳩尾へと鋭い一撃が突き刺さった。

 赤い、とリオは感じた。

 赤いコートに赤い旅人帽。まるでアーロンの姿を反転させたような人影が降り立ち、自分を殴りつけた。

 あまりの衝撃に声が出る前に吹き飛ばされる。

 揺れる視界の中には、赤い人影と追従する二人の黒服の姿が見て取れた。

「ツヴァイ。この娘か?」

「ああ、こいつだよ。アーロンの妾か何か知らないが、重要だと思っているはずだ。人質に取ろう」

 ツヴァイなる人物の傍に帯締めのような腕を有する獣型のポケモンが佇んでいる。

 メイは瞬時に動けないようであった。

 ポケモンが前に出てメイを狙おうとする。

 リオは制する声も出なかった。

 暗転しそうな意識の中、シャクエンの繰り出したバクフーンがその戦闘に割って入るのが最後の視界だった。
















「〈蜃気楼〉!」

 シャクエンの声が弾け、相手のポケモンを焼き切ろうとしたバクフーンの一撃が奔る。

 直前に回避していた相手のポケモンがバクフーンと対峙した。

「波導が見えていた。不可視のポケモンのようだが僕には通じない。炎熱で光の屈折率を利用し、姿を見えなくする。炎魔、とかいう炎の殺し屋がいるとも聞いたな。まさか、その炎魔か?」

「答える口はない。〈蜃気楼〉、火炎車」

 バクフーンが襟巻きから炎を弾き飛ばさせ、車輪を形作る。真っ直ぐに体当たりしたバクフーンを相手のポケモンは避けようともしない。

「コジョンド、波導弾」

 コジョンド、なるポケモンが片手で青いエネルギー体を練る。そのエネルギーの光が輝いた瞬間、バクフーンは弾き返されていた。

 何が起こったのか、メイには理解出来なかった。

「〈蜃気楼〉の攻撃が、押し戻された?」

 見えた事をそのままに告げるとシャクエンが歯噛みする。

「波導使い……。虚偽ではなかったのか」

「僕はペテン師になったつもりはない。最初から、波導使いアーロンを殺す波導使いとして、この街に来たのだが」

 空気を振動させてツヴァイの背後から迫ったのはスピアーである。その針が突き刺さる前に赤い波導使いは、なんと生身の手で制した。

「危ないなぁ。針のある虫タイプ。だが、こんなもので」

 赤い波導使いは指でトンと突く。それだけでスピアーが仰け反りダメージを受けたようだった。

「スピアー、こっちへ!」

 アンズが虫笛を吹いてスピアーを傍に寄らせる。その手首から勾玉が垂れていた。

「行くよ、メガシンカ!」

 スピアーを紫色のエネルギーの甲殻が包み込もうとする。その瞬間であった。

 コジョンドが瞬時に肉迫し、アンズの腹腔を殴りつけた。

 突然の事にシャクエンも、メイも対応出来ない。アンズが一瞬で昏倒し、コジョンドが倒れ伏したアンズを見下ろす。

「メガシンカ、確かに恐ろしい。だが、トレーナーが失神すればメガシンカは実行されない」

 その言葉通りに、中断されたメガシンカエネルギーは霧散し、スピアーは持て余したように周囲を見渡していた。コジョンドの掌底がスピアーを打ち据える。スピアーは壁にぶつかって痙攣した。

「スピアーレベルなら、コジョンドの敵じゃない。さて、今度は炎魔だが、どうする?」

 強気の相手にシャクエンも歯噛みしていた。先ほどの火炎車が何故通用しなかったのかを考えているのかもしれない。

「〈蜃気楼〉、本気で行く!」

 手を突き出したバクフーンに呼応して地面が赤らんだ。直後に、粉塵が巻き起こる。炎熱を湛えた粉塵はまさしく噴火であった。

 その噴火の炎がコジョンドを狙おうとするがことごとく外れる。何故、とシャクエンも解せないようであった。

「噴火、か。確かに強い。だが、ポケモンの放つエネルギー波は地熱を通り、僅かな元素を吸収し、発火現象を作り出す。その過程が見えていれば、もう恐れる事はない」

 シャクエンは目を慄かせた。このように追い詰められたシャクエンを見るのは初めてであった。

「……〈蜃気楼〉の炎熱コントロールが」

「そうとも、全て、見えている」

 コジョンドが見当違いの方向に波導弾を撃ったかに見えた。だが、その直後、バクフーンの様子に変化が生ずる。右腕を持ち上げるが震えているのである。

「発火コントロールに使っていた右手を麻痺させた。方法は聞くなよ? これは波導使いにしか出来ない」

 そんな事が、とメイは瞠目する。アーロンでさえも苦戦したシャクエンを、目の前の男は一瞬で無効化した。

「何者なの……」

「名乗っていなかったかな。それともアーロンは言わなかった? 波導使いツヴァイ。アーロンの兄弟子に当たる」

「兄弟子……」 

 アーロンからは一言も。そう口にしようとした瞬間、コジョンドがバクフーンの懐に入った。

 バクフーンが炎の拳を打ち降ろそうとするが、その前にコジョンドの放った掌底が鳩尾へと打ち込まれる。

 奇妙な事に、さほど力の入ったとも思えない掌底一つでバクフーンの戦意が凪いでいった。

「〈蜃気楼〉……、〈蜃気楼〉! どうして。動いて!」

 主人であるシャクエンの声も聞こえていないようだ。

「聴覚を潰させてもらった。感覚器の麻痺は波導使いならばお手の物だ。今のバクフーンには、目も見えていない。先ほどの攻撃の布石で、視力もほとんど奪っておいた」

 まさか、そんな事が出来るはずがない。そう思うのと同時に波導ならば、どこまででも操れるのではないか、という恐怖心が鎌首をもたげる。

「波導使い……」

「そう。波導を使うとはこういう事を言う!」

 コジョンドが再度、バクフーンに拳を放った。今度の攻撃は完全に吹き飛ばすつもりで放ったらしい。バクフーンが背中から仰向けに倒れる。今までの戦歴を知っていればまず考えつかない醜態であった。

「〈蜃気楼〉! 何で、私の言う事を……」

「ポケモンは、感覚器を用いて主人の言葉を介する。このバクフーンの場合、僅かなサインで瞬時に次の行動を予見し、素早く動けていたようだがそれは視力と聴力頼みのにわか仕込みだ。同調でもなければ、それを超えた波導の仲介もない。そんなのでよく、殺し屋を名乗れたものだ」

 コジョンドが跳躍し、飛び膝蹴りをバクフーンに見舞う。シャクエンは目を見開いていた。

「もう勝負は……!」

「おいおい、殺し屋ってのは勝負している気になっているのか? 出会った時点で殺しだろうに。どうやら随分とこの街の殺し屋はぬるいらしい」

 コジョンドが間断のない拳を見舞う。バクフーンは抵抗も出来ず攻撃されるだけだった。シャクエンの、下がれ、という指示も聞こえていないらしい。

「やめて……、〈蜃気楼〉……、私の〈蜃気楼〉が……」

 シャクエンの訴えかけにメイは声を荒らげた。

「あなた! 何をやっているのか分かっているの! 戦意のない相手のポケモンをいたぶるなんて!」

「酷いかな? だが相手は殺し屋だ。手加減をして大丈夫な相手じゃないだろ?」

 まるで良心の呵責も感じていない声音。メイは思わずホルスターからモンスターボールを引き抜いた。

「行って! メロエッタ!」

 飛び出したメロエッタが音波攻撃を仕掛ける。コジョンドは即座に後退し、ツヴァイの指示を待つまでもなく、メロエッタの上を取った。

「速い……」

「トレーナーだったのか。だがそれにしたって粗野だな。音波攻撃を波導の読める僕のポケモンにするなんて」

 コジョンドが飛び膝蹴りをメロエッタに決める。メロエッタは吹き飛ばされる形となったが、何とか持ち堪えた。

「脆そうな手足。それに遠隔以外に使い道のなさそうな見た目だ。そんなんで、近接格闘型のコジョンドは沈められない。お前達、炎魔と瞬撃、それにあのトレーナーを」

 黒服達が動き、こちらを捕縛しようとする。メイは咄嗟にシャクエンとアンズを守るためにメロエッタに指示した。

「メロエッタ! サイコキネシス!」

 メロエッタの放った青い思念がシャクエンとアンズの身体を保護する。黒服達は触れられずに戸惑った。

「何を躊躇している? 撃てよ。持ってるんだろ、銃くらい」

 まさか、とメイは血の気が引いたのを感じた。黒服二人組が拳銃を取り出し、シャクエンとアンズに向けて構える。

「何で! 人質にする気じゃ……」

「人質は一人でいいんだ。この二人、目が覚めれば厄介。殺しておくのに何の躊躇いもない」

 ――この男は……!

 メイは生まれて初めて、憎しみで脳内が白熱化するのを感じた。

 何があってもここで倒さなければならない。自分が、ここで――。

 そう判じたメイの内奥で声が発した。

 ――手伝ってあげる。

 誰、と問い返す前に、声帯を震わせてメイは歌っていた。

 自分でも知らない歌。何語なのかも分からない歌を紡いでいる。

 ツヴァイが眉をひそめた。

 その直後、メロエッタの姿がオレンジ色の光を帯びて変貌してゆく。

 髪が巻き上がり、その体躯に力が篭った。姿勢を沈め、攻撃色に染まった眼光がツヴァイを睨む。

 メロエッタは跳躍していた。コジョンドの攻撃網を掻い潜り、ツヴァイ本体へと肉迫する。

「まさか……、僕とコジョンドの網を……」

 その声が発せられる前にメロエッタの放った蹴りがツヴァイの頬を捉えていた。ツヴァイが後退し、その身へと追撃の拳をメロエッタが見舞おうとする。

「コジョンド!」

 呼びつけたツヴァイの前にコジョンドが立ち現れる。

 それでもメロエッタは止まる様子はない。力強い拳をコジョンドへと打ち込もうと構える。

「地面を捲り上がらせろ! 盾に使え!」

 コジョンドが青いエネルギーを纏った拳で地面を殴りつけると段階的に地面が捲れ上がり、メロエッタの拳を遮った。

 その刹那、コジョンドが音もなくメロエッタの背後を取る。

 メイも反応出来なかった。

「何の気配もない……」

「波導使いだぞ……。気配くらいは消せる。コジョンド、やれ!」

 コジョンドが不意打ちの拳をメロエッタに浴びせようとするが、その前に跳び上がっていたメロエッタが肘打ちをコジョンドに決めた。

 誰しも予想出来なかった。無論、トレーナーであるメイも、である。

 メロエッタがこれほど近接格闘で動けるなど、夢にも思わない。だが、兆候はあった。アンズが言っていたではないか。

 ――自分には正体不明の力がある。

 コントロール出来ている今ならば、とメイは拳を握り締める。

 先ほど歌ったのは完全に無意識だったが、今はメロエッタを見据えている。

「メロエッタ! コジョンドを倒して!」

 声を受けたメロエッタが翻り、コジョンドの懐で超近距離格闘を行った。メロエッタの細い手足がまるで鞭打ちのようにコジョンドへと叩き込まれる。その速さにメイも圧倒されていた。

「なんて……スピード」

「……速いだけなら! コジョンド!」

 コジョンドがメロエッタの拳を受け止める。その瞬間、攻防が逆転した。コジョンドが拳を押さえ込んでメロエッタを引きずり落としたのである。メロエッタのオレンジ色の攻撃形態が解けてゆく。

 巻き上がった髪が元に戻り、手足から力が失せた。

「何だって言うんだ、今のは……。フォルムチェンジか? だが、お前」

 ツヴァイが自分を睨む。今度の標的はトレーナーである自分以外になかった。

 逃げようとして回り込んできたコジョンドが前を塞ぐ。

「何をした……小娘が。無害かと思ったが……。お前ら、銃を構えろ」

 黒服二人がメイに向けて銃口を構える。メイは金縛りにあったように動けなくなった。

「コジョンドが退路を塞いでいる。本来なら人質に使おうと思っていたが、もういい。殺せ!」

 その声が木霊した瞬間、黒服達が引き金を引く。

 終わった、とメイは感じた。

 しかし、その時、この場にそぐわないエンジン音が響き渡る。

 目線を向けたのはツヴァイだった。

 次いで黒服が目を向けた直後、大写しになったのは獣のような排気筒を有し、いななき声を上げるバイクであった。

 そのバイクから人影が立ち上がって黒服へと飛び移る。

 瞬間的な事に、ツヴァイも、黒服も対応出来ない。

 現れたその人影にメイだけが声にした。

「アーロン、さん……」


オンドゥル大使 ( 2016/06/24(金) 21:31 )