第六章 十五節「矜持なき戦い」
肘掛を握った掌に汗を掻いたのを感じて、指揮官は制服で拭おうとした。
だが、支給されたばかりの制服を汚す気にもなれずに、結局、肘掛で拭った。指揮官が着ている服は白地に青い六角形が胸に描かれ、「HEXA」という赤い文字が上書きするように刻まれている。
今、戦闘ブリッジにいる人間全員が、同じ服を着ていた。ディルファンス、ロケット団の区別なく同じ服を着ているが、隣り合うコンソールにかつての仇敵がいるというのは奇妙な光景に違いなかった。ロケット団内で見知った顔を見つけるたびに指揮官もほっとしたものだ。
組織自体がヘキサになったとはいえ、まだ割り切れぬ部分はある。なぜキシベが全権を任されているのか。総帥はどうなったのか。分からぬことだらけな頭に風を通そうと、帽子を上げかけて手が何もない空を切った。そうだ、帽子は廃止されたのだ、と思い出した指揮官は言い知れぬむなしさが胸中を過ぎ去ったのを感じた。だが、過去にすがってばかりではいられない。未来を生き残った団員達と共に掴むと決めた志があったはずだ。
だが、たった一日で志はどこへやら消え去ってしまった。
今、残っているのは惰性だ。守るべき者達もおらず、自分達は何のために戦っているのかという根本さえも見失いかけている。ロケット団の矜持など、今や何の価値もない。ディルファンスの構成員達のほうが若く、彼らのほうが状況に疑問を抱きそうなものだが、若さがそうさせるのかそれとも上官への忠誠か、順応が早いのは彼らのほうだ。結局、自分達ロケット団員は過去を切り捨てられない。それも老いか、と認める事は出来たが状況に振り回されている自身を顧みて、果たして出来る事を今までやってきたのかという疑問が浮かぶ。それを振り払うように、部下に言葉を投げた。
「現在の状況を伝えよ」
「指揮官。現在、空中要塞ヘキサの浮遊機関は安定状態にあります。推進剤を使えば、カントー政府までの距離は稼げるかと」
返ってきた声はロケット団員の見知った声ではなくディルファンス構成員のものだった。上がそうだと定めれば、彼らは敵にさえも忠義を尽くせるのか。それが本当に人のあり方なのか。またも疑問が鎌首をもたげて、指揮官は眉間を親指でぐいと押し付けた。迷ってはならない。自分は戦闘ブリッジの指揮官だ。そう言い聞かせる。
「カントー政府、ならびにカイヘン政府からの交渉の呼びかけは?」
「現在、ありません。状況を理解していないのでしょう」
今度は聞き知った声が返ってきた。確かフクトクと言ったか。歳も近いもの同士、どこか似たものを感じて指揮官は少しだけ張り詰めた感情を緩めた。
「推進機関、及び浮遊機関の状態はどうか」
懸念次項の一つを口にする。元々は、タリハシティという街だったのだ。初めから空中要塞化することが決めてあったとはいえ、年数の過ぎた浮遊機関や推進機関が異常を来たさないとも限らない。
「ノズルに詰まっていた土などは第一次噴射により、あらかた排出されました。浮遊機関は四つとも正常に作動中。内在電力の30パーセントは浮遊機関の維持に使われています」
残り七割は空中要塞の様々な箇所に使われている。だが、どれも年数の経った骨董品ともいえるものばかりだ。それらの兵器を使う事に対して指揮官は一抹の不安を覚えていた。リツ山の時よりも敵対勢力に対抗できる戦力はないと考えてもいい。警察勢力、公安、政府、ディルファンス残党、これらが本気で攻めてくればどうなる事か。キシベには何らかの自信があるようだったが、一般団員である自分達には分からぬことだらけだ。胸に「R」の矜持もなければ、その不安に拍車がかかる。ロケット団にいた時のほうがまだ不安などとは無縁なところにいられた。それは鈍感だったのか、はたまたどことも知れぬ場所に隠居しているサカキへの忠誠があったからか。少なくとも忠義に生きる、という総帥の言葉には賛同できた。だからこそ、残党の汚名を被ってまでここまで来る事が出来たのだ。だが、その先に待っていたのがロケット団でなくなるというのは皮肉なものだった。
サカキの帰還に指揮官は少しばかりは期待していた。またロケット団が法となる日が来ると。しかし、今指揮官席に収まっている自分にあるものは何だ。キシベの言葉に踊らされ、右も左も分からずにとてつもないテロ行為を行っている。そこには理念も何もない。隷属関係と何が違う。指揮官は肘掛を握り締めた。その時、コンソールに収まる団員の一人が声を上げた。
「右舷に熱源二、探知。真っ直ぐにこちらへと向かってきます!」
「民間の航空機か?」
この非常時に民間が飛ばせるはずがない。分かっていながらも発した言葉に、自身の無能さが滲み出る。
「カイヘン地方内に該当する航空機ありません。識別信号もなし。データベース検索の結果、イッシュの輸送機のようです」
「イッシュのだと?」
発した言葉に、まさか、という緊張が走る。既に他地方の手が回っているというのか。しかし、イッシュ地方から事態を把握してやってきたにしては早すぎる。別勢力がイッシュの皮を被っているのか。それとも通りすがりのただの輸送機か。しかし、普通の輸送機が真っ直ぐこちらに近づいてくるとは考えづらい。ならば、やはり政府かディルファンスのものか。
巡らせた思考では答えは出ず、指揮官は閉塞しかけた事柄を払うように手を振るった。
「迎撃行動用意! 三番の砲門を開け。目標、未確認の熱源」
復誦の声が響く中、指揮官は額に滲んだ汗を拭った。この短時間で精神をすり減らしすぎている。ロケット団にいた頃はこれほど疲れることなどなかった。ヘキサの環境に馴染めないのか。それはやはり年齢のせいなのか。若い団員がキーボードを叩く音が伝わってくる。何も考えず、ただ上の命令だけを聞けていた若い頃に戻れたら、などという感情が浮かんだが、指揮官はそれを頭の中から追いやった。
今は有事だ。陣頭指揮を預かる者としてそのような甘い考えなど浮かべてはならない。だが、完全にその感情を払拭する事も出来ずにため息が漏れた。
「た、タリハシティ上空に到着しました」
パイロットの声に、操縦席にいたエイタは眼差しを強くした。視線の先にはタリハシティの全景が映っている。操縦桿を握るのがやっとのパイロットは輸送機に置いたまま、自分達だけで上陸するしかなかった。そう、最早「上陸」という言い回しが正しい。タリハシティは空に浮かぶ島だった。赤い稲光が砂埃の雲の中で瞬く。その影響か、電子機器がまともに動作しない。本来ならば、コンピュータ制御で自動的に着地予測を立てられるはずだったが、今はマニュアルで降りるしかない。パイロットの腕を疑っているわけではないが、この程度で怖気づく肝ならば脱出までもつかどうか。そうでなくとも、砂埃と高速で視界が悪く、舞う石粒が輸送機の表面を叩く。その程度で壊れるようではイッシュの地形に対応出来るはずもない。無論、輸送機の飛行には問題はない。しかし、中にいる人々の精神状態はそうもいかないだろう。たたでさえ狭い空間に押し込められて緊張の糸をピンと張っているのだ。少しの衝撃が、その糸を切る要因にならないとも限らない。かといって、パイロットに負担をかけすぎれば帰りどころか、着地すら危うくなる。どちらに気を削ぐべきか、エイタは悩んでいた。
その時、パイロットが出し抜けに声を上げた。
「ひ、人だ」
その言葉にエイタは目を向けた。高層ビルの屋上に集団がいる。皆、一様に空を見上げており、それは何かを待っているようであった。エイタは顎に手を添え、「奇妙だ」と呟いた。
「どうして屋上にいる。殺すのは面倒だからか?」
「あ、あのビルにも」
パイロットの声に視線を移動させると、他のビルの屋上にも多くの人がいた。タリハシティの高層ビルの数は50のはず。その屋上に人だかりが出来ている。軽く見積もっても千人はいるだろう。それらの人々が浮いていく街には目もくれず、空ばかり仰いでいる。それがエイタの目には不気味に見えた。彼らはパニックを起こしているわけではない。押し合いへし合いの状態になっているわけでもなく、ただ整然とこちらを見ている事に薄ら寒さを感じた。
「……一体、どうなっている?」
その時、一つのビルの屋上にいる人間全員が一斉に片手を挙げた。それらは波のようにぴったりとしたものだった。エイタは「拡大しろ!」とパイロットに命令した。パイロットは一瞬躊躇したが、エイタが「早く!」と怒声を投げると、素直に従った。ヘッドアップディスプレイの片隅に屋上の人々が拡大表示される。その瞬間、エイタもパイロットも息を呑んだ。
彼ら全員がモンスターボールを握っていたからだ。そのモンスターボールの緊急射出ボタンに指をかける。直後、千個ものモンスターボールが一斉に開き、眩い光がストロボのように瞬いた。
現れたのは紫色の気球、のように見えた。だが、実のところそれは気球などではない。風船のような身体に赤い眼がついている。縦に線が走り、眼と眼の間にはバッテンの印がついている。下半身が無く、赤い布が締めている。手のような布のようなどちらとも言いがたいものが腹部と背中の辺りから垂れ下がっていた。頭頂部には雲が髪の様についている。
「フワライド、だって……」
エイタはそのポケモンの名を口走った。そのフワライドは一体ではない。人の数と同じ。ゆうに千体ものフワライドがずらっと居並び、その身体をふわふわと浮かせている。まるでウイルスが一斉に増殖する様を見ているかのようだった。フワライドが頭を俄かに下げる。すると、人がその上に飛び乗った。飛び乗った先からフワライドは赤い下半身から空気を噴き出し、非常にゆっくりとしたスピードではあるが輸送機へと近づいてきた。それが瞬く間に十、二十と増え、百以上になった時にはタリハシティの地表が見えないほどであった。パイロットが目を戦慄かせ、歯の根が合わないのかガタガタと震えだした。エイタも口中で「まずい」と口にした。これでは着地出来ない。どうするか、と頭の中で思案していると通信が唐突に開いた。ノイズ混じりの声が聞こえてくる。
『……二番機。こち……一番、機。これより……ょう行、突入に入る……、繰り返す』
「何だって? 強行突入って言ったか?」
エイタが機器に両手をついて問い返す。もう一機の輸送機のパイロットが続けた。
『強行、突入する。着地する、……必要だ』
「駄目だ」
遮るようにエイタが言った。エイタはパイロットに「通信はこのマイクで?」と機器からマイクを手に取って尋ねる。パイロットは怯えた表情で頷いた。エイタはマイクを口元に近づけて、はっきりと口にした。
「もう一度言う。駄目だ。強行突入は許可出来ない。いいか? フワライドの特性は――」
『もう遅い。突入コースに入っている』
明瞭に耳朶を打った声に、エイタはマイクを取り落とした。前面の強化ガラスの向こう、視界の端に輸送機が映る。輸送機が無理やり、フワライドの群れに突っ込んだ。
その瞬間、フワライドが内側から弾けた。一瞬にして酸素を奪い取り、轟と空気が激しく鳴動する。爆発、なんて生易しいものではなかった。まさしくハゲタカについばまれるが如く、輸送機がフワライドに衝突した分、質量を食われたように翼をなくした。機首に三体ものフワライドがぶち当たり、根こそぎ奪い取る。一つならば爆発だが、三つ五つともなればそれは抗いようのない暴力そのものに見えた。これがフワライドの特性「ゆうばく」である。フワライドに直接触れて破壊した場合、誘爆を起こし戦いではこちらがダメージを負う。だが、ポケモンのダメージと機械のダメージは大きく異なる。ポケモンにならばある程度の耐性はあるが、機械は駄目だ。爆発に簡単に反応して、さらなる爆発を起こす。通信機器から際限なく響く爆発音と断末魔にパイロットは耐えがたかったのか通信を切った。今や、燃え盛る鳥と化した輸送機がタリハシティへときりもみながら墜落する。その時、タリハシティの端に黒い何かが見えた。
「……何だ、あれは?」
呟いた声にパイロットは気づいたのか、即座にその部分を拡大する。フワライドの群れの中から垣間見えるそれは黒い砲台だった。細く長い二重構造の砲身と丸い砲塔を有している。それが緩慢な動作で火達磨になっている輸送機へと砲身を向ける。砲の内側で緑色の光が束をなし、何度か往復したのを見た瞬間、フィルターのかかったガラスでも減殺しきれない光が閃いた。
槍の如く真っ直ぐに砲から放たれた緑色の光が輸送機を貫いた。輸送機は貫かれた部分から再び燃え上がり、ついには地上に墜落する前に爆砕した。バラバラの破片がフワライドに突き刺さり、また爆光を輝かせる。砲台からは煙が上がっていた。一瞬だけ砲身と砲塔のつなぎ目がオレンジ色に瞬いたかと思うと、砲身がスライドして彼方、地上へと落ちていった。
今起こった一瞬の出来事にパイロットはついていけていないのか、呆然とタリハシティ下腹部へと収まる砲塔を眺めていた。エイタはパイロットの肩を後ろからがっしりと掴んだ。耳元ではっきりと言葉にする。
「今ので分かったでしょう。下手にフワライドに近づくと危険です。それに相手は長距離射撃用の兵器も持っているようです。あれがデータにあった人工破壊光線でしょう。いいですか? フワライドをうまく盾にして砲撃を防ぎつつ、大回りでもいいからタリハシティに上陸するんです」
「そんな事が――」
「出来ます。うまくいけば。うまくいかなければなぶり殺しにされるだけです。我々にはもう、選択肢は少ない」
遮って放った言葉には最早希望などない。退路など残されていないのだ。ならば、しゃにむに前に進むしかない。
――タリハシティに上陸さえ出来れば。
エイタは今も視界を埋め尽くさんと増え続けるフワライドの群れを見て、舌打ちを漏らした。
「ヒューズ、及び砲身の切り替え開始!」
「次の発射は420秒後です。それまでフワライドの群れで何とかするしか……、指揮官?」
団員の声にも指揮官は反応を示さなかった。ただ戦闘ブリッジ前方にある五重の強化ガラスと、タリハシティに備え付けられたカメラから受け取れる映像に目を奪われていた。数千のフワライドが空を待っている。まるでタリハシティを覆うように、紫色の身体をお互い擦れ合うぎりぎりのところで均衡を保っている。フワライドなど聞いていなかった。一体、どういう事なのか。立ったまま映像を見つめている指揮官に言葉をかけたのはディルファンスの団員だった。
「指揮官。よもや、聞いていなかった、というわけではありませんよね?」
その言葉に指揮官はようやく我に帰って、頭を振った。納得できずに席に座りなおし「だが」と口にする。
「トレーナーは誰なんだ。あれほどのフワライドを一度に操るなんて――」
「トレーナーは市民ですよ」
その言葉が冷たく背筋に差し込んできた。もう一度、確認の意を込めて問い返す。
「……何と言ったんだ?」
聞き返された団員はディルファンスの人間だった。どこか不機嫌そうに眉をひそめ、「だから」と苛立ち混じりに椅子を回転させ指揮官に座ったまま向き直った。
「市民にそれぞれモンスターボールを持たせて、フワライドに乗ってもらっているわけです。そうすればたとえ政府直属でもディルファンスでも公安でも動きにくいでしょう」
どこか得意げな感じさえ覚えさせるその口調に、指揮官は暫時沈黙を挟んだ。かつてロケット団だった者達へと僅かに目を向ける。皆、ばつが悪そうに顔を背けた。知らぬは指揮官だけというわけか。指揮官は立ち上がった。ディルファンスだった団員へと歩み寄る。それでもどこか余裕を感じさせる笑みを浮かべている団員の頬へと、指揮官は思い切り振りかぶった拳を見舞った。団員が椅子から転げ落ちる。その音と光景に戦闘ブリッジにいた全員が凍りついたように動かなくなった。火がついているのは指揮官だけだ。熱い拳をさらに握り締めながら、激情に任せて叫ぶ。
「市民を人間爆弾にしたと言うのか、貴様!」
胸倉を掴み上げて無理やり立たせるが、団員はまだ笑みを浮かべていた。
「何をたるい事言ってるんですか。戦争なんでしょう? だったら、これも戦術の一つでしょうが。市民を持て余すよりかは、有効な作戦だと思いますけどね」
「有効も無効もあるか! 貴様、それでも人間か!」
激昂の声が戦闘ブリッジを揺るがす。誰も口を開こうとはしなかったが、当事者である団員だけはクックッと嗤っていた。
「何がおかしい?」
「じゃあ、聞きますけど。ロケット団は人間なんですか」
「当たり前だ。我々は義で立ち上がって――」
「その結果がディルファンスに追い詰められて解散。カントーではたった一人のトレーナー相手に壊滅。マジ、惨めじゃなっすか」
その言葉に指揮官の思考が白熱化した。次の瞬間には団員を突き飛ばして、馬乗りになって殴りつけていた。
「黙れ。黙れ、黙れ、黙れ! 我々は崇高な理念と共にここまで来たのだ! それを貴様のような青二才が、立場を弁えろ!」
「ここはもうロケット団じゃない。ヘキサですよ。いつまで負け犬衣装にしがみついているんですか」
負け犬衣装。確かにそうだ。だが、そこに自分達は矜持を持っていた。その矜持を、こんな場所で打ち砕かれるわけにはいかなかった。指揮官は拳を大きく振り上げた。その時、腕を誰かに掴まれた。振り返ると、かつてのロケット団員であるフクトクがいた。フクトクは小さく首を横に振り、「もう、やめましょう」と言った。
「ヘキサにいる以上、仲間なんですから。お互いを罵りあうのは」
フクトクが力を込めて指揮官の腕を握る。フクトクとて悔しいに違いない。だが、指揮官である自分が心乱れてどうするのか。立ち上がり、「すまなかった」と言おうとするも、その言葉は喉の奥でつっかえた。殴られた団員も何も言う事無くコンソールへと戻ってゆく。指揮官も自分の席に戻った。まだ解決していない事だらけだ。先送りになったわけでは決してない。しかし、今出来る事をやらずして何が指揮官か。血のついた拳を見つめ、これが自分のやった事かと自嘲する。指揮官らしい事などしていないというのに、部下に手を上げた。上官失格だ。
「砲塔冷却急げ。新しい砲身を早く繋げるんだ。……それと、君」
殴った団員へと声をかける。団員は顔も向けずに「イタクラっす」と名乗った。
「イタクラ君。私はこの作戦を承服したわけではない。それだけは覚えておいてくれたまえ」
イタクラは返事をしなかった。彼を責めても仕方がないのだ。誰がこの作戦を考案したか。指揮官の中で察しはついている。
――キシベ、か。
キシベの顔を思い返し、指揮官は肘掛を強く握った。