第二十四話:水晶の湖
水晶の洞窟。ギルドから北東に位置し、その名の通りあちこちに水晶が露出しており、それが光を反射して洞窟全体がきらきらと輝いて見えるのが特徴。時空の叫びによりここに時の歯車の謎が隠されていると知った私達は、ギルド総出で水晶の洞窟へと赴いた。探検家志望の実力者から普段は支援に徹する者まで、一同がこうしてダンジョンの入り口に集結している様は壮観だ。
「ここに、時の歯車が」
「そして、盗賊ジュプトルもここへ」
「みんな、これは極めて重要な任務だ。気を引き締めてかかるよ〜♪」
『おおーッ!!』
プクリンのフリーダムのおかげで胃を痛めていたペラップも元気を取り戻し、時の歯車捜索に向けて再度号令をかけた。今回の目的は、時の歯車の発見もそうだが、最重要なのはジュプトルの撃退及び捕獲。せっかく時の歯車を見つけたとしても、ジュプトルに奪われてしまったら水の泡。だからこそ、それ相応の準備はしてきたつもりだ。次こそは、奪わせたりしない。なにがなんでも守り通して見せる!
「カズキ、準備はいい?」
「もっちろん、準備万端だよ!」
「オッケー。それじゃあ、行きましょうか!」
「うんっ!」
総勢十七匹という大所帯。ギルドの精鋭を選び出していく予定だったのに結局全員で行くことになった遠征の時を彷彿とさせる。広いダンジョンとは言え、さすがにこのまま固まっていくのは効率に欠ける。皆もそれをわかっているのか、分かれ道になるたびに二、三匹のチームになって別れていった。いつもならペラップが仕切っているところだが、弟子達の率先した行動に舌を巻く。
「俺達はこっちを探す。そっちは任せた」
「ええ。僕達はヒナタさん達と一緒に最深部を目指してみます」
気づけば私の周りにはカズキとチームクレスント、そしてチームイクリプスの七匹だけになっていた。当初に比べたら少なくなったが、まだ多い。そう感じたのか、次に二手に分かれようと提案したのはガランだった。
「お前らだけで大丈夫か?」
「心配するな。俺達もそこまで柔じゃねぇよ」
「一度死にかけたがな」
「うるせぇ!」
二手に分かれる案は悪くない。特に、ジュプトルより先に時の歯車まで到達しなければならないこの状況では良い選択と言えるし、実際に他の弟子達もそうして別れていった。
しかし、その案に乗り気でないポケモンが一匹。スカイはそれ以前にガランとアランの事が心配になっていた。冗談交じりにアランが言っていたが、その言葉は比喩でも何でもなく実際に経験したこと。自分も他人のことは言えないが、ルナティックに命を狙われている不安感は拭い去れない。
「……ウィン、ルナちゃんのこと頼めるか?」
「スカイ?」
普段の様子とはまるで違うスカイの様子にウィンは首を傾げた。タイプと同じで炎のように熱く、戦闘ともなれば我先にと飛び出していくような猪突猛進。例え場が暗い雰囲気に包まれていても、それを消し飛ばす豪快な立ち振る舞いを見せるムードメーカー的存在。そんなスカイが改まって姿勢を正している姿は少し滑稽に見える。
ウィンはその行動の真意を掴めずにいたようだが、ちらちらとガラン達に目線を向けてそわそわしているのを見れば私でも理解できる。案の定、同じようにスカイの気持ちを察したウィンは静かに肯定を示した。
「ええ、もちろん」
「サンキュー。そっちは任せたぞ!」
自分の気持ちを汲んでくれたウィンに感謝しつつ、スカイは強引にガラン達を連れて分かれ道の先へと進んでいった。道中、非難を浴びせる声や笑い声が聞こえたが後ろを振り返ることはなく、最初の曲がり角を曲がる頃には三匹仲良く並んで歩いていた。
「ねぇ、スカイどうしたの?」
「いつものスカイらしくない」
「あれが友情ってやつじゃないかしら」
『?』
私が男同士の友情を語るのもどうかと思うけど、目の前でまざまざと見せつけられるとわずかながらうるっと来てしまう。さすがに涙もろすぎるって?そんなことは……あるかもしれないけど。
いまいち状況が呑み込めていないカズキとルナを尻目に、しばらくの間三匹の去って行った方を見つめていた。だが、いつまでもこうして感傷に浸っている場合ではない。気持ちを切り替え、私達は最深部に向けて再び歩き始めるのだった。
水晶の洞窟は鉱石にとって良い環境なのか、水晶の他にも資源が豊富だ。それが影響しているのか、洞窟に住み着くポケモンには岩タイプや鋼タイプのポケモンが多い気がする。これらのタイプの特色である高い防御力は今の私達のパーティには少し辛いものがあった。私はともかく、ヒノアラシのカズキやキュウコンのルナ、それにイーブイのウィンと相性だけ見ればかなり不利だということがわかる。しかし、クレスントはそれを感じさせないが如く敵をなぎ倒していく。私もだいぶ戦闘には慣れてきたつもりだが、ウィン達は更にその上を行く。戦闘慣れしているだけあって不利な対面であってもどう立ち回ればいいかを理解している。そんな二匹を見習い、私もカズキやウィン達とお互いにカバーしあいつつ進んでいき、ようやく最深部へと辿り着くことができた。
「ここで行き止まりみたいね」
不思議のダンジョンは入るたびに地形が変わるが、規模まで変わるわけではない。だから、最深部は決まって広い地形になっており、ダンジョンの制覇の目安となる。大規模ダンジョンともなると途中にもこうした地形があるためわかりにくい時があるが、中継地点の役割を果たしてくれているため探検家にはひと時の休息ができる場所として利用されている。
「ちょっと、しんどいかな」
「カズキさんはこのダンジョンとは相性が悪いかもしれませんね」
例に漏れず、水晶の洞窟の最深部は広場となっていた。なにかの成分を含んでいるのか、壁や床からせり出している水晶は一色だけではなく、赤や黄、青など様々な色が存在している。さすがに最深部ともなると外の光は届かないが、水晶の反射の影響かわずかだが明るく感じる。暗闇が苦手な私にはありがたいことだ。
「ここに秘密があるみたいだね」
「ここまで特に変わったところはありませんでしたし、あるとしたらここでしょう」
ウィンに差し出されたオレンの実を食べ、へたり気味だったカズキがわずかながら元気を取り戻す。通常の洞窟に比べて明るめとはいえ、薄暗いことに変わりはない。そうした場所ではヒノアラシ特有のの背中の炎は目立つらしく、カズキに対する攻撃が多かった。少なめだが水場もあり、敵は苦手とする岩や地面タイプ。最初こそ大所帯だったこともあって被弾も少なく、戦闘にならなければ背中の炎も消していられるため大丈夫だったが、数が減っていくにつれて攻撃が集中してきた。ただでさえ長い道のりだから疲れるのも無理はない。
気を取り直したところで、目の前の謎に注目する。広場の中央には巨大な水晶が三つ聳(そび)えていた。壁からせり出しているものに比べて形が整った美しい形状で、それぞれが等間隔になるように位置し、上から見ると正三角形を形作っているように見える。明らかに自然に生成されたものではない、不自然な水晶。
「キマワリ達、これを見てなにも感じなかったのかな」
最初、水晶の洞窟の調査に当たったのは、キマワリ、ダグトリオ、そしてビッパの三匹。時の歯車を見つけるために気合を入れていたし、三つの巨大水晶も見ているはずだが、なにも見つけられなかったと報告していた。キマワリはプクリン、ペラップを除けば最も古参の弟子だし、洞察力はかなりの物だと思うのだが……。
「わっ!?この水晶、触ると色が変わるよ!」
「ホントだ!面白い〜♪」
カズキが何気なく水晶に触れてみると、紫色に輝いていた水晶は途端にその色を変え、オレンジ色へと変化した。その様子を見ていたルナが別の水晶に触れてみると、今度は赤色から緑色へ変化する。瞬時に色が変わっていく様が面白いのか、何度も触れてみてははしゃいでいた。水晶は赤、緑、紫、オレンジ、黄、青と変化し、ある程度色が変わるとまた赤に戻り、同じ順序で変化していく。
「遊んでいる場合じゃありませんよ」
「あはは……」
二順目が終わり、三順目に差し掛かるところでウィンに窘められた。不服そうに頬を膨らませるが、ウィンの言うことは正論。しぶしぶといった様子だったが、素直に身を引いた。
まあ、気持ちはわからなくもないけどね。調査のために来たのにもかかわらず、お土産として水晶を持ち帰ってしまったビッパもきっとこんな感じだったのだろう。でも、水晶を通してここに時の歯車があることがわかったわけだし、結果的にはよかったが。
「ヒナタも触ってみたら?」
「え?え、ええ」
目の前で遊んでいる場合ではないと怒られているのを見た手前、あまり気が進まないが興味はある。カズキに促され、最後の一つに触れてみると、他の二つと同じように色が変わる。黄色から青に、更に触れると緑へ。
この色ってもしかして、全部同じ順序で変わるのかしら?
先程カズキとルナが触った水晶と私が触れた水晶。変わる色はすべて同じで、変わる順番も同じようだ。なにかの色を組み合わせればいいのか、それとも――
グワンッ……
「うっ!?」
症状は唐突に表れた。視界が歪み、頭痛を伴うめまいで立っていられなくなり、その場にうずくまる。この感覚、どうやら時空の叫びが発動したようだ。
次第にひどくなるめまいは目をつぶっていてもがくがくと揺さぶられているかのような錯覚を引き起こし、耳鳴りが聴覚を封じる。頭の中が真っ黒に染まり、一点にぼんやりとした白い光が集まり始める。それはやがて一筋の線を描き、耳鳴りが最高潮に達すると同時に弾け飛んだ。
キーーーン!!
《なるほど、三つの水晶の色を合わせれば道は開くのか!問題は何色に合わせるかだな……》
《時の歯車を護る三匹のうち、アグノムは意志を司る神だ。意志とは成し遂げようとする心。つまり、アグノムの心の色。では、アグノムの心の色は何か……》
《アグノムは水晶の湖に住む。ならば、アグノムの心もまた、水晶のように――》
シュピン!
映像が途切れる。私を苦しめていためまいや頭痛はきれいさっぱりなくなり、ぼんやりとしていた頭も次第に思考力を取り戻し始めた。
今回の時空の叫び、映像というよりは声だろうか?今まで何回か時空の叫びを体験してきたが、声だけのケースは稀で一度しか聞いたことがなかった。声ははっきりと聞こえるのになぜか特徴を捉えることができず、思い出そうとしてもはっきりと思い出せない謎の声。あの声は、一体誰なんだろう?
「……タ!ねぇ、ヒナタってば!」
「へっ?」
気がつくと目の前にカズキの顔がドアップで映し出され、思わず後退りする。周りを見るとウィンとルナもいつの間にか集まっており、私を囲むように立っていた。ま、まあ、いきなり苦しみだしたら集まってくるよね……。
今までも何回かこういった場面はあったはずなのにどうも失念してしまう。時空の叫びは激しいめまいを引き起こすけど、終わってしまえば気持ち悪くもなんともないから迷惑をかけたっていう自覚が薄いというか、終わった直後は少し頭がぼんやりして気づけないというか。心配そうに声を掛けてくるカズキに大丈夫だと軽く手を振って応える。シャキッとしないと。
「もしかして、時空の叫びですか?」
「え、ええ」
今は時空の叫びで聞こえた声についてだ。声の特徴はわからないけど、何と言っていたくらいは思い出すことができる。確か、三つの水晶を一つの色に合わせれば道は開く。その色は、水晶の洞窟の時の歯車の守護者であるアグノムの心の色。そう言っていた。
「アグノムの心の色、ですか」
「心に色なんてあるのかな?」
「待って、少し考えてみる」
ルナの言うとおり、心の色を考えることは難しい。心は知識や感情、意志といったものの根源と言われているけど、一つの物体として形作られているものではない。形無きものを探り、それの色を言い当てるなど普通に考えても答えが出るはずないのだ。思い出せ、あの声はまだ何か言っていたはずだ。
……そう、アグノムは水晶の湖に住んでいる。なら、アグノムの心の色もまた水晶のように……透き通っている?あるいは、冷たい水のような色なのかもしれない。
「なにかわかった?」
「うん、もしかしたら……」
この洞窟には色とりどりの水晶が散りばめられているが、水晶には元々色はなく無色透明だ。仮に色を付けるとしたら、最も近しいのは白色、あるいは水色。巨大水晶が示す色の中で絞るのなら青色が一番近いだろうか?そもそも合わせる色がアグノムの心の色だという保証はないが、あの時聞こえた声は以前も道を示してくれた。あの声を信じ、三つの水晶を“青色”へと合わせてみる。すると――
ゴゴゴゴゴッ!!
地響きとともに水晶が発光し始め、頂点に収束していく。収束した光は徐々に大きさを増し、電流のような閃光を纏い始めた。三つの水晶が十分に発光すると、バチィ!と大きな音を立てて三角形の中央へとエネルギーを集めた。
目が痛くなるような強い光に身の危険を感じ、部屋の端へと避難する。中央へと集められたエネルギーは次第に形を成し、三つの水晶を飲み込むほどの巨大な水晶を作り出した。
「こ、これは!」
「どうやら、道が開けたようですね」
三つの水晶をさらに分厚く、高く巨大化したかのような特大の水晶はエネルギーの余波を受けて白く輝いている。中央には裂け目が開いており、奥へと続く道があるようだ。
時の歯車を護るために施された謎は解かれ、水晶の湖への道――“大水晶の道”は開かれた。この先にアグノムがいる。そして、時の歯車も……!
「行きましょう」
「うんっ!」
「気を引き締めていきましょう」
時の歯車へと続く大水晶の道。水晶の洞窟の特色である色とりどりの水晶はより輝きを増し、一つ一つが大きくなっている。正直一つくらい持って帰れないだろうかと思ってしまった……。当然、そんなことをしている余裕などないのでぐっと我慢し、絡み付く物欲を振り払って黙々と歩き続ける。こんなんじゃビッパのことを言えないよ。
しばらくすると、開けた場所へ出ることができた。エムリットがいた地底の湖も広かったが、ここはさらに広いように見える。壁にはこれでもかというくらい水晶が散りばめられており、地面に至っては水晶で床が張られているかのようだ。広大な湖の中にも水晶は惜しげもなく散りばめられ、湖の中央にはせり出すように道が続いており、先には小島が存在する。湖からは淡い緑色の光が漏れだしており、壁や床の水晶に反射して、洞窟全体を照らしている。
「きれい……」
ほんのりと湖を包む淡い緑色の光は、まるで光の粉を撒いたように輝き、木々の隙間から森に差し込む木漏れ日のように心地よい。無意識に開いた口からは自然と感嘆の言葉が漏れ出ていた。湖の美しさに感銘を受けたのは私だけではなく、カズキやルナさえもしばしの間その光景に見とれていた。
「美しい景色ですが、どうやら感傷に浸っている場合ではないみたいですよ」
「えっ?」
いち早く異変に気が付いたのはウィンだった。ハッと我に返った私はウィンに促されるままに湖中央の島部分を注視してみる。今の場所からではそれなりに距離があるらしくよく見えない。目を擦り、島に焦点を合わせてよーく見てみるとそこに二匹のポケモンがいるのが確認できた。
一匹は妖精のような容姿をしており、頭部は青色。ふらふらと宙に浮き、湖を背にしてもう一匹の前に立ち塞がるように位置している。もう一匹は二足歩行のトカゲのような姿。全身が森に溶け込むような緑色の体色で、遠目でわかりにくいが腕先が輝いているように見える。ここからでは鮮明に確認することはできないが間違いない。アグノムとジュプトルだ。
「あっ、アグノム!」
「ジュプトルもいるよ!?」
「急がなくちゃ!」
ジュプトルの腕が光っているのはリーフブレードの名残だろうか。なんとか奮戦していたアグノムだったが、その甲斐も空しく敗北。満身創痍でもはや浮いているのも精いっぱいといったところだろう。その光景はまさしく時空の叫びで見たものと同じ。あと少し早ければアグノムを助けられたのではないかと思うと悔やまれるが、どうやらまだ時の歯車は盗られていないみたいだ。まだ、なんとかなるかもしれない。急がないと!
「時の歯車はもらっていくぞ」
「ま、待て……待つんだ、ジュプトル」
急いで駆け出したもののやはり距離があるのか、島までたどり着くには時間を要した。こうして走っている間にもジュプトルが一歩、また一歩と湖に沈む時の歯車に近づいていくのが見える。このままでは間に合いそうにない。
しかし、私とて何も準備をしてこなかったわけではない。地底の湖でのジュプトルとの闘いを踏まえると、実力が云々という前にまず素早さが足りないということがわかる。目の前で、そして自身の身を持ってそれを体感した私は、あるアイテムを持ち込んでいた。
「みんな、これを!」
走りながらバッグから取り出したのはちょうど私の爪くらいの大きさの小さな種。四つ取り出し、三つをみんなに一つずつ投げ渡す。
一見何の変哲もない種のように見えるが、これも不思議のダンジョンで生成されるアイテムの一つ。食べると睡眠作用があったり、身体が硬直したり、あるいは攻撃力を高めてくれたりと様々な状態を引き起こす。不思議玉のエネルギーを凝縮したものと言えるかもしれない。
そして、今回持ってきたのは“俊足の種”と呼ばれるもの。食べると一定時間だけ素早さを高めてくれる。状態には使用者に悪影響を及ぼすものが多いが、その中でも数少ないメリットがある種。
「ジュプトル!!」
「!?またお前達か」
食べた瞬間、まるで身体が羽になったような感覚が全身を駆け巡る。合わせて足の動きも格段に速くなり、今までとは比べ物にならないスピードで走ることができた。あまりの速さに足をもつれさせそうになったが何とか堪え、勢いのままジュプトルの前へと飛び出す。突如として現れた私達にジュプトルも驚いた様子。しかし、瞬時に平静を取り戻して距離を取った。
「お前達に用はない。そこを退け」
「退くもんか!」
平静を装うジュプトルだったが、表情の陰にわずかに苛立ちの感情が見え隠れする。おそらく、アグノムに相当苦戦していたのだろう。後から聞いた話だが、ユクシー、エムリットのテレパシーを受けて対策をしていたらしく、湖全体を囲むように水晶の壁でバリケードを張っていたらしい。アグノムが倒されたことによって水晶壁は壊れてしまったが、ジュプトルを相手に決して退かず、戦い抜いた。傷だらけになっても時の歯車を護るために果敢に立ち向かったアグノムは守護者の鑑だと思う。
強気に前に出るカズキ。それに続き、ルナ、そして私も退く意思はないと立ち塞がった。傷を負ったアグノムを助けに入ったウィンも鋭い視線を送る。確かな決意、そして勇気。そんな私達を見てジュプトルも覚悟を決めたのか、静かに腕を上げた。
「……そうか、ならば仕方がない。ここでお前達を倒す!」
戦闘の構えを取ったジュプトルに私達も身構える。時の歯車は渡さない、なにがなんでもここでジュプトルを止めてみせる!両者とも自らの志を果たさんと決意を新たに。今ここにリーフブレードによって、戦いの火蓋は切って落とされた。