第一話 ここはどこ?
『カチカチ……』
時計のカチカチという音が厭に耳に響いた。
(ここはどこ?)
僕は、体が動かない。
(痛い……僕はどうしたんだろう)
見上げれば、いつもと同じ空が広がっていた? いや、なんか鳥が飛んでるんだけど、なんかいつもと違う。
なんだろう?
(ああ、頭が痛い……)
ああ、意識が遠のいていく――。
僕はどうしたんだろう……。
……――――。
「おじいちゃんありがとう! この時計ほしかったんだ! 嬉しいよ!」
僕の名前は雪兔。ゲーム好きな高校生。
今ハマっているのはポケモン!
新作が出て楽しんだよなぁー
ポケモンたちが住む世界はいいなぁと日々思っている。
「雪兔、学校は楽しいのかい?」
「え。あ、うんまぁ……」
あのね、いいにくいんだけど僕、引きこもりなんだ。
下手な正義感でいじめにあってる子を助けちゃったら、僕までいじめにあうようになっちゃって。助けた事、後悔してる? って聞かれたら少し。
だって、僕までいじめに遭って不登校になっちゃったんだから。
恨んではいないけど、ちょっと余計な事しちゃったなって。
でも、その子の気持ちになってみたら、いじめにあう気持ちがどんなに惨めかわかったから……。勉強させてもらったというか、理不尽ないじめはいけないって思ったんだ。
いじめは本当に醜い。今やってる『ポケモン』というゲームの世界では、お互い助け合い、生活している。。
そう、僕の気を紛らわせてくれるこのポケモンというゲーム。すごい楽しい。
悩みを打ち明けれる友達もできたし、話の合う人と毎日通話しがらプレイしている。。
そんなある日、母さんに『豆腐を買ってきてといわれ』渋々その買い物を引き受けた。
自転車を漕ぎつつ、考え事をしながら、ボォーっと道を進んでいたら――……。
うっかり車道へと飛び出していた。そこへ車が近づいて来る音がした……。
そこで僕の意識は途絶えた。
「ンン……」
「気がついた? キミ海で倒れてたんだよ? 大丈夫?」
女の子の声がする、
「ぅぅ、頭が痛い……」
目が開かない。
「これ飲んだほうがいいかも。飲ませてあげる」
にが……。水は? 水。
「水欲しい……」
「今が上げるから待ってて」
ぅぅ、苦すぎる。
「水早く欲しい……」
「今持っていくよ。はいどうぞ」
そこでやっと目が開く。そこにいたのは……。エルフーンだった!
「え、キミ……ポケモン!?」
「なんでそんなに驚くの。エルフーンのコハナよ。よろしくね」
「えええええええ!!!」
僕が、ポケモンの世界にいるなんて、夢を見ているのかな?
なんて思っていた。
これが現実なんだということを受け止めるのに苦労する僕。
これから待ち受けている物語が、おじいちゃんからもらったこの時計がトリガーになる出来事が起きるなんて思いもしなかった。不思議な時計と僕の運命はどうなるんだろう。