*6*
宛らテレビの砂嵐のような、先程まで光で在れたモザイクが、黒の比重が大きくなったモノトーンに散っていく。
突如訪れた静寂の中で、アイレスはそれを呆然と眺めていた。
なんで
どうして
疑問は渦巻くだけで、答えは返って来ない。
本来持てる筈が無い『こころ』にゆっくりと存在を主張する黒い靄は、自分の中ではとても昔に感じられたモノと同じだった。
………嗚呼、これは
『怒り』だ
操縦士(プレイヤー)と
何も出来ない自分に対しての。
ごめんね、フィーリア。
独白という形でアイレスは届かない謝罪を送る。
ココがボクだけの…………ボクと、主人公だけの空間になっただなんて、ウソだったんだ
操縦士の干渉の手は此処まで伸びてくる
突然キミが消えてしまったのだって、そのせいなんだ
届く筈なんて無いけど、もし万が一でも届いてたなら、さ
許せなんて言わないから
キミもボクのこと覚えててよ。
一通りの懺悔にも似たそれを終えると、アイレスは現れた時と同じ様に背景に溶けようとする。その過程の中で呟いた。
『………操縦士。キミたちにとっては、ボクたちはきっと娯楽の中のひとつなんだろうね。飽きたらすぐに売(す)てられるくらいの、軽いモノなんだろうね。でも、造られたのでも、偽りのでも、ちゃんと、こころは有るんだよ。感じることが出来るんだよ。…そーいうの、さ。
…………ちょっとは考えろ、バカ。』