やせいぐらし - 一日目〜
変わった出会い
グレイシア「はぁ……」
ニンフィア「なーにため息ついちゃってるのさ?」
グレイシア「最近鬱陶しいポケモンに付きまとわれてて…」
ニンフィア「それは大変だねぇ…どんな子なの?」
グレイシア「えー…と。俺がここに散歩にくると必ず絡んできて」
ニンフィア「うんうん」
グレイシア「無視するとリボンを足に絡めて動けなくしてくるんだよ」
ニンフィア「酷いね…」
グレイシア「だからやめてほしいんだよ」
ニンフィア「シアくんにそんなことする子がいるなんて…早くやめてくれるといいね…」
グレイシア「…お前それわざとか?」
ニンフィア「え?」
グレイシア「さっきから話してることお前の話なんだけど」
ニンフィア「……私?」
グレイシア「そう」
ニンフィア「ポケ違いじゃない?」
グレイシア「お前今の状況見てよく言えるな?」
ニンフィア「今の状況って?」
グレイシア「お前が俺をリボンでぐるぐる巻きにしてる状況だよ」
ニンフィア「え?」
グレイシア「え…?」
ニンフィア「ちょっとなに言ってるかわからないなぁ…」
グレイシア「…冷凍ビームとふぶき、どっちがいい?」
ニンフィア「技で脅すなんて酷い!」
グレイシア「大人しく離れればこんなことはしないぞ」
ニンフィア「もぉ…せっかく久しぶりに会ったのにさぁ…」
グレイシア「最後に会ったの昨日だけどな」
ニンフィア「じゃあまた明日ね〜!」
グレイシア「ちょ、俺は明日も会う気は…!……聞いてるわけないか……」

−森の中−
グレイシア「最近あの辺散歩するとニンフィアに必ず絡まれるな……散歩コース変えるか…?」
ヒノヤコマ「変えた方がいいんじゃないか?」
グレイシア「だよなぁ……ってお前いつの間に…」
ヒノヤコマ「親友が独り言ぶつぶつ言ってたら気になるだろう?」
グレイシア「誰が言ってても気にはなるだろ…」
ヒノヤコマ「で?ニンフィアに会わないように散歩コースを変えるのか?」
グレイシア「まだ考え中だけどな」
ヒノヤコマ「俺はお前が決めた結果を尊重するからな」
グレイシア「お前に尊重されなくても別にいいけど」
ヒノヤコマ「そんな冷たいこと言うなよ…」
グレイシア「そういえばヤコは今なにやってるんだ?」
ヒノヤコマ「俺はお前の気配を察知して飛んできたんだ」
グレイシア「へぇ…」
ヒノヤコマ「もう少し興味をもってくれてもいいだろ…」
グレイシア「ニンフィアに絡まれて疲れてるんだよ…」
ヒノヤコマ「お前は絡まれてなくてもいつもそんな感じだろ?」
グレイシア「……じゃあまたな」
ヒノヤコマ「別れを告げるタイミング考えろよ…!…またな〜」

−グレイシアの住処−
グレイシア「今日は一段と絡まれたな…イアにもヤコにも……もう寝る…か…」
???「……」
グレイシア「何かいるな…神は俺を寝かせてはくれないのか…?」
???「……」
グレイシア「白い…毛玉か?丸まってるからわからないな…」
???「んん…?誰…?」
グレイシア「いや…こっちのセリフなんだけど」
???「見た感じ種族はグレイシアだね?」
グレイシア「見た感じと言うか…普通一目見たらわかるだろ」
???「わたしは何の種族かわかる?」
グレイシア「さっきは丸まっててわからなかったけど…白いがイーブイだよな?」
イーブイ「せーかい!」
グレイシア「色違いのイーブイか…」
色イーブイ「わたし本物のグレイシアなんて初めてみたよ!」
グレイシア「あっそ……どうでもいいけどここ俺の住処だからどっか行ってくれないか?」
色イーブイ「え…無理」
グレイシア「無理ってなんだよ…お前野生なのか?」
色イーブイ「あなたも野生でしょ?」
グレイシア「…聞き方が悪かったな、家はないのか?」
色イーブイ「ある…けど……」
グレイシア(家出か…?)
色イーブイ「帰るところはないの…!」
グレイシア「…追い出されたのか?」
色イーブイ「そうじゃないけど…」
グレイシア「じゃあ家に帰れ」
色イーブイ「…ここにいちゃ駄目?」
グレイシア「俺にお前と暮らす義理はない」
色イーブイ「……」
グレイシア「…」
色イーブイ「……」
グレイシア「……」
色イーブイ「……」
グレイシア「………一週間以内には家に帰れよ」
色イーブイ「いていいの?」
グレイシア「一週間な」
色イーブイ「一週間以上いたら?」
グレイシア「無理やり追い出す」
色イーブイ「乱暴…」
グレイシア「文句があるなら帰れ」
色イーブイ「いじわる…」
グレイシア「…何か雰囲気がイアに似てるな…鬱陶しいところとか」
色イーブイ「イア…?誰それ…」
グレイシア「いや、こっちの話だ」
色イーブイ「そういえばあなたの名前は?」
グレイシア「名前…?グレイシアか?」
色イーブイ「それは名前じゃないじゃん!」
グレイシア「あぁ…名前って俺自身のか…そんなものない」
色イーブイ「そんなわけないじゃん!名前は誰にでもあるもん!」
グレイシア「いやだってほとんどの奴からはグレイシアって呼ばれるし…」
色イーブイ「…」
グレイシア「数名からはシアって呼ばれるけど」
色イーブイ「それが名前?」
グレイシア「名前…なのか?グレイシアを短くしてるだけだけど」
色イーブイ「それじゃ名前じゃないじゃん!」
グレイシア「別にグレイシアでいいだろ…通じるし…」
色イーブイ「つまんない…」
グレイシア「名前につまらないとかないだろ」
色イーブイ「あ!じゃあわたしがつけてあげる!」
グレイシア「…えぇ……まぁ勝手にすれば…」
色イーブイ「んー……じゃあウミくん!」
グレイシア「ウミ…?海……俺シャワーズじゃないけど…?」 
色イーブイ「ウミくんの瞳が海みたいに綺麗だから!素敵でしょ?」
グレイシア「……お前は?」
色イーブイ「え?」
グレイシア「お前の名前は?」
色イーブイ「…わかんない」
グレイシア「は…?さっきからお前は記憶喪失なのか?」
色イーブイ「違うよ…!ちゃんと記憶あるし名前もある!」
グレイシア「じゃあ何で名前がわからないんだよ」
色イーブイ「…忘れちゃっただけ」
グレイシア「名前を忘れるとかあるのか…?」
色イーブイ「………じゃあウミくんがつけて?」
グレイシア「何でそうなるんだよ…」
色イーブイ「お願い…!」
グレイシア「えぇ…ブイ」
色イーブイ「それ絶対イーブイのブイでしょ!」
グレイシア「別によくね…?」
色イーブイ「やだよ…!」
グレイシア「じゃあシロ」
色イーブイ「それ私の体色からでしょ!」
グレイシア「文句多いな…じゃあマロ」
色イーブイ「マロ…?それは何が由来なの?」
グレイシア「もふもふでマシュマロみたいだから」
色イーブイ「ましゅまろ…?何それ…」
グレイシア「知らないのか?まぁこの辺では見ないし当たり前か…」
色イーブイ「マシュマロが何かわからないけど…でも気に入ったよ!」
グレイシア「それは良かったな……名前がある奴に名前つけるのも変な感じだけど」
色イーブイ「覚えてないからいいんじゃない?」
グレイシア「…やっぱ名前覚えてないとか記憶喪失…」
色イーブイ「私は記憶喪失じゃないもん!お姉ちゃんの記憶もあるし!」
グレイシア「お姉ちゃん?」
色イーブイ「もういい…!今日は寝るもん!」
グレイシア「そこ俺の寝床だけどな」
色イーブイ「寝床って言ったって葉っぱ集めただけじゃん!」
グレイシア「文句があるなら寝るな」
色イーブイ「おやすみ〜」
グレイシア「…はぁ……」
色イーブイ「ため息つくと幸せ逃げちゃうよ?」
グレイシア「誰のせいでついてると思うんだよ…」
色イーブイ「疲れてるならウミくんも寝ようよ」
グレイシア「…そうだな……寝るか…」
色イーブイ「ウミくんおやすみ!」
グレイシア(誰かにおやすみって言われるの久々だな…)
色イーブイ「ウミくん…?」
グレイシア「…おやすみ」

マナ ( 2022/02/09(水) 19:53 )