Noise Breaker〜ハルとメイの事件簿〜
一曲目 我らこそノイズ ブレイカー!
1話目 フルート使い
ノイズ。
それはこの世界のポケモン皆が、発生させている化け物。
実態は靄の様で、つかむことは難しい。

そんなノイズは、どのように発生するか。
それは世界の皆誰しもが抱える感情。嫉妬や怒り、憎悪とかとか。そんな負の感情が集合体となったもの、それがノイズだ。

それを排除すべきものたちは、Noise Breaker(ノイズ ブレイカー)と呼ばれ、いくつかあるギルドに皆が所属している。
ノイズブレイカーたちは各々が奏でる音楽でノイズを打ち払うことが出来る。







「団ちょぉ…。これは厳しいですって…。私のトランペットが効かないんですよぉ…?」

大市街地、ソルシティの近郊では、ノイズが大量発生しているらしく、三匹のポケモン達が必死に食い止めていた。

「そのようだな。だがな、このまま僕らが戦線を下げてしまうと、市街地に危険が及ぶ。それだけは避けなくては…。」

「俺が応援要請しに行こうか?」

「ん、ジャミル、頼んだ。エーファ、お前と僕でこの戦線を出来る限り後退させないようにしなければならない。頼んだぞ、エーファ。」

「わーかってますってぇ…。じゃ、ジャミル、頼んだよぉ…。」

「おうよっ!」

ジャミル、と呼ばれた大きい翼をもつ、ドラゴンタイプのポケモン、オンバーンは、翼を広げ、全速力で応援要請しにソルシティへと向かう。

「とはいえ、速攻で来てくれないと、厳しいぞ、これは」

「−なら、僕がお手伝いしますよっ」

背後から影が急に飛び出してきた。
その影は体に身に着けていた深い緑のマントと帽子を投げ捨てると、黄色いネズミのようなポケモンは銀色に光る横笛ーすなわちフルートを口に近づけ、次の瞬間、美しいメロディーを奏でた。
その旋律は心を綺麗に洗ってくれるようで、あんなに居たノイズ達も、気づけば光に包まれて消えていった。

「…久しぶりだから、緊張しました…。」

「す、すごいぃ…。」

「き、君。名前は…?」

「ぼ、僕ですか?僕はハルです。パートナーが居ないので、さすらいのノイズブレイカーです。最近はギルドも増えてきたので、平和ですからね。僕の腕も訛ってきちゃいましたよ。」

黄色いネズミのポケモンはさっき投げ捨てたマントと帽子を拾いながらへらへらと話す。

「君の種族はピカチュウなのかい?」

「団ちょぉ…。がっつきすぎですよ…?」

「いえ、大丈夫ですよ。僕はピカチュウです。ピカチュウのハル。あの、団ちょぉさん、よろしければ、良いギルドとかありませんかね?さすがにピンで活動していると、給料も出ないし、あと危うくなった時どうしようもできないんですよね。だからそろそろギルドに所属しようかなぁ…と思って。」

「な、ならうちのギルドはどうだい?ソルシティにある、ギルド:メリオッサ。最近入ってきた新入りも居てね、ぜひタッグを組むといい。」

「い、いいんですか団ちょぉさん!」

ハルは少年のように目をキラキラと輝かせて団長を見つめる。

「いいよ、ただし僕の名前はエレン。デンリュウで、ギルド:メリオッサのギルド長さ。演奏楽器はクラリネット。宜しく。」

「私はギルド:メリオッサのシュガー。ヌメルゴンで、楽器はトランペット。宜しくね〜」

「はい!よろしくおねがいします!」











「メイ〜。今日、新入りが入るんだよ〜?」

「新入り?へぇ…。どんな子なの?」

「うーんとねぇ。とーっても強いよ〜。ノイズ5〜6匹を一気に倒せるんだよ〜」

「それはすごいわね。会ってみたいわぁ〜」

「そろそろ団ちょぉが来る頃だから、会えるよ〜」

期待を胸に膨らませ、メルはギルドのエントランスでシュガーと待つことにした。
しばらくすると、ギルドの入り口から二つの影が近づいてくるのが分かった。
「おはよう、二人とも。ええと、メイ。こちらが今日から共にする、ピカチュウのハルだ。」

「ハルです。楽器はフルート。よろしくおねがいします。」

「私はメイよ。演奏楽器はサックスよ。よろしくね!ハル。」

「はい!」







朝の朝礼も終わったので、ギルド:メリオッサの館内の案内をメイがたのまれ、今案内しているところだった。

「ギルド:メリオッサって、あと何名ほどのメンバーが居るんですか?」

「えとね、このノイズブレイカーでは珍しい、声でノイズを攻撃するジャミルっていうやつと、あとはトロンボーンを演奏するテナよ。ここはメンバーが少ない代わりに一人一人の技術がとても高いのよ。」

「そうなんですか…!確かにシュガーさんもエレンさんも演奏、すごかったです…!」

「そうよ!特にシュガーはすごいのよ!シュガーのトランペットは一つ一つの音色が繊細でとても聞きやすいのよ!」

「へえ、素晴らしい方なんですね!」

階段を上がりながら熱弁するメイと、それを頷きながら興味深々で聞き入るハル。

そこへ事件は訪れる。




「危険度2!危険度2!今回はハルとメイ!行ってくれ!」

「了解よエレン!初仕事、頑張りましょ、ハル。」

「はい、足を引っ張らないように頑張ります!」
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うに。 ( 2019/02/24(日) 04:18 )