01 1話 ポケモン達と僕と
”行ってらっしゃい”
”もうあんたもそういう年か、胸を張って行けよ!”
そんな優しい村の人々の声を背に、僕は旅に出た。
僕は今日からポケモントレーナーとなる。
親や先輩トレーナーの話を聞き、ずっとポケモンと旅をしてみたいと思っていた。
そんな夢が、今日叶うのだ。
これから待ち受けているものは、ポケモン達との楽しくも厳しい難関もある旅なのだろう。
そして難関の中で衝突を繰り返しながら絆を深めるのだろう。
‥そう、信じてやまなかった。
まず僕は最初のポケモンを貰うため、博士の所へ行った。
そして前々から気になっていたアチャモを最初のポケモンとすることにした。
ドキドキしながらボールからポケモンを出す。
いよいよ念願の瞬間が来る。
そして澄んだ瞳をしたアチャモが出てきた。
そして”これから宜しく。”と言おうとした。
しかしそんな言葉は遮られた。アチャモの一言によって。
”うわぁ。”
わかりやすい程にその言葉は失望を示していた。
ポケモンが喋ったことに疑問を覚えつつも、
”どうしてそんなことを言うのかな?”
と言ってみた。
すると返ってきた言葉がこれである。
”キミがトレーナー?頼りなさそうにも程がある。って思ったから。”
と辛辣な言葉が返ってきた。
出だし早々にこんなことで僕はトレーナーになれるのだろうか、行く末がもう不安です。
”ぼんやりするな、旅に出るんでしょ?なら早く支度しろよ。”
あまりの言葉にぼんやりしていたら怒られてしまった。
図鑑やらモンスターボールやらを貰い旅へ出る支度をする。
そして最後にアチャモをモンスターボールに入れようとした。
しかし、モンスターボールはアチャモにあっけなく弾き返され、虚しく地面に落ちた。
彼女曰く、
”狭苦しい場所に閉じ込めようとはいい度胸だね。”
ということらしい。
モンスターボールは嫌いなようだ。
言い忘れていたが、アチャモは♀らしい。
彼と言いかけたら怒られた。
前途多難、僕の旅は一体どうなるんだろうか。