まっしろな闇











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続・キリにて
Side 1-2 : ブラッキー
 にの。
 にの。
 どこにいる。
 ここはどこ。
 わからない。
 おれはだれ。
 にの。
 りゅーど。
 らーなー。
 せるど。
 えーふぃ。
 ちのにおい。
 ちのにおいがする。
 ころしたい。
 ころす。
 とまらない。
 さみしい。
 ああ。
 だれかのこえがする。
 うたがきこえる。
 ちのにおいがする。
 こえがきこえる。
 うるさい。
 だめだ。
 これいじょうはだめ。
 あのこ。
 らな。
 ないてしまう。
 ころす。
 だめ。
 ころしたい。
 あいつをころす。
 なにがあっても。
 まもってあげて。
 どんなことをしてでも。
 まもるよ。
 こんどこそまもるよ。
 しね。
 まもりたかったんだよ。
 だまれ。
 にの?
 ここはどこ。
 きこえないんだ。
 わからないんだ。
 どうしてないてた。
 どうしてきずつけた。
 どうしてしんだ。
 どうして?
 どうして。
 どうして。
 どうして。
 どうして。
 どうしても。
 どうしたって。
 にの。
 いたいよ。
 いたい。
 やめて。
 やめろ。
 やめて!!
 にの。
 だれ。
 にの……。



 暗転。
 雑音。
 衝動。
 憎悪。
 殺意。
 破壊。
 切断。
 静寂。
 意識を辛うじて掴んだ時闇夜に立ち上った血の臭いは己から漂っていた。牙が抉る肉は最期の躍動に震えていた。悲鳴すら噛み砕いた。本能とも怨念とも狂気とも線引きのできない衝動に身を任せた直後何も見えなくなった。胸の内を月光が閃いて黒い土砂降りに消えた。力が湧いた。巨大な力が溢れた。全身の隅々まで力が渡った。止まらない。止められない。煽られた心はまた殺意に変容しただ剥き出しで肉を喰らい熱い血潮が口内を満たしそのまま喉を突いて通り過ぎていったあまりに鮮やかな瞬間が内側から理性を破壊して獣の心を赤銅に蝕みことごとく支配せんとした。

( 2020/04/13(月) 20:23 )