ルカリオ冒険記 - 時を超えた出会い編
ゾロアークは警察嫌い
家に帰ってから、ルカリオは受話器をとってゾロアークの家に電話をかけた。もさかこんな遅い時間になるとは思っていなかった。どうやら、洞窟の中だけ時間が遅く進むようだ。
ルカリオは一刻も早く真相を知りたかったのである。


そのころ、ゾロアークは家で新聞を見ていた。この時代では、新聞がちょうど開発されたときで、町では大流行だ。だれかが思い付きで町で起こったことを紙にまとめてみんなに見せたところ、これが大当たりで一夜にしてあっという間に広まったのだ。
そんなとき、電話が鳴り響いた。
「ったく、誰だよ。こんな時間に!」

ゾロアークはめんどくさそうに立ち上がると、新聞を机の上において電話に出た。
「はい、もしもし?」

その電話は意外な相手からだった。
「もしもし、オレだ。ルカリオだ」

ゾロアークは驚いた。なにせこんな時間から電話がかかってくるとしたら、セールスかなにかだろうと思っていたからだ。それに、ルカリオから電話がかかってくるのは初めてだった。

「ルカリオか。どうしたんだ、こんな時間に?」

「こんな遅くに電話なんかかけてごめんな。実は聞きたいことがあってさ…。お前、ブラック団って知ってるか?」

「ブラック団だって?」
ゾロアークは拍子抜けした。思わず受話器を落としそうになる。
彼は気を取り直して話した。
「ああ、知ってるよ。でもなんでそんなこと聞くんだ?」

ルカリオは少し間を開けると話し始めた。
「実は、今日エムリットのところへ行ったんだ。そしたら、ブラック団がオレのことを狙ってるって言われた。なんでも、オレが波動の勇者だからだって言われたんだけど…。お前、こんなこと急に言われて理解できるか?」

「いや、無理だな…」

「だろ?だからオレもわけがわからなかったんだ。それでお前ならブラック団のこと、なにか知ってるかなって思って電話したんだ。」

ははあ、ナルホドとゾロアークは思った。でもなんでエムリットのところになんか行ったんだ?そういった疑問が彼の頭の中に浮かんできたが、ひとまず説明が先だ。
「ブラック団っていうのは、ミュウツーを筆頭に、世界征服を目的としている組織だ。奴らは実に残酷だ。目的のためなら手段を選ばず、奴らのせいで犠牲になったひとびとや国は数知れない。無論、警察は奴らを追っているが、未だにアジトをつかめずにいる。つまり警察は今のところなんの役にも立ってねえってことだよ」とゾロアークは声を荒らげて言った。ブラック団の説明はいつのまにか、警察への文句へと変わっていた。実は彼は警察が大嫌いだった。その理由ものちに明らかになる。

ルカリオは不思議に思って聞いた。
「ブラック団のリーダーはギラティナじゃないのか?」 

「ギラティナだと?どうしてやつが出てくる?」
ルカリオはなぜ、ゾロアークが急にそんなに真剣になって聞いてくるのかが分からなかったが、答えた。

「いや、エムリットが言ってたんだ。ギラティナは元七賢人の一人だったけど、追い出されて今はブラック団のボスをしているって」

ルカリオは、ゾロアークが受話器の向こうでつぶやくのを聞いた。
「まさか…やつが復活したと言う事なのか?」

「どうしたんだよ?」

「ルカリオ、そいつはやばいぞ。ブラック団には絶対に気を付けろよ!なんかあったらすぐオレに言えよ?」

「ああ、分かってる。でも伝説ポケモンがいるから大丈夫だってー「大丈夫なわけあるか!相手はあのギラティナだ。いつでもお前のことを殺せると思っておいた方がいい」
ゾロアークの言葉に、ルカリオはゴクリと唾を飲み込んだ。殺されるって…まじかよ?オレ、この時代に飛ばされてそんでもって殺されるのかよ!
「どうしたらいいんだ?」

「だからオレに言えって。警察に言っても意味ねぇしな。」
ルカリオが問いただそうとしたとき、ゾロアークが衝撃の一言を言った。
「オレは昔…やつと戦った事がある。」

「え?」
ルカリオは聞こうとしたが、ゾロアークは有無を言わせない感じで言った。
「いいから、オレに言えよ?なんなら気休めに警察でもいいけたどな。」
ゾロアークは一言そういい電話をきった。

「なんだよあいつ。電話きりやがって。」
ルカリオは受話器をおいた。
彼は晩ご飯を食べながら考えた。テレビは今の時代は白黒だから、なんだか味気ないように感じた。やってる番組も昔風だ。
この世界はどうやらルカリオが生きていた時代の世界とは系列が違うようだった。なぜなら、彼が学校で習った歴史とは少し違っていたのだ。国も全く聞いた事がないものだし、ゾロアークから教えてもらった歴史も違うものだった。
もしかしたら…この世界はパラレルワールドなんじゃないのか?オレがこの時代に飛ばされたのは…波動の勇者だからなのか?
「全く…オレがこんな事考えるなんて」
しかし、そうとしか考えられなかった。全く…だんだん雲行きが怪しくなってきたな。ブラック団ってやつらがオレのことを狙ってきたり…。
「やってられないよ。もうさっさと寝るか」
ルカリオはベッドに入ると、すぐに眠りについた。
ブラック団がもうそこまで、迫っているとは知らずに。

リア ( 2015/04/17(金) 23:12 )