04
連れて行かれた部屋は、冷たいコンクリートの壁であった。
壁にはなにが通っているのか分からないパイプが走り、部屋のあちこちにむき出しの電灯。
しかしそこには妙な安心感がある。
「さて、僕の素晴らしい文才で説明してあげようじゃ無いかあ!」
「すまないな、こいつ久しぶりの来客で浮かれてるんだ。」
いや、そこで殴らなくても。
エンさんの話はこれでもかというほど長かった。
うん、長かった。混乱しないように要約すると、
・ここはリーダーのリードさんと副リーダーのエンさんの幻夢団。
チカラを操れるようになるまで世話をする裏組織。
団員は、リードさんとエンさんのほかにも数名いる。
・ボクのチカラはそばに居る生き物の生命をすいとる能力ではない
それは、ボクのチカラの副作用のようなもの
本当のチカラは不明
・能力は訓練しなければ大変なことを引き起こす
ボクも、訓練をすればほかポケを殺さずにすむ
・リードさんの『存在感を消す』能力は、ほかポケからの興味を最小限に抑えることができる
また、同時に能力の存在も薄めることができる
・エンさんの能力は『話を聞く』
ほかポケの気持ちを読み取ることができる
ってところだろうか。
「僕たちも小さい頃は大変だったんだよ〜?ほかポケの考えがまるで波みたいに流れ込んでくるし、リードは気がついてもらえな・・・すみませんほんとにすみません以後口をつつしみますからにらむのやめてください」
「よろしい」
説明されなくても幻夢団の力関係がよくわかる。
・・・なんだろう、あってまもないのに冷静に見れるボクがいる。
やばい、すごく怖いこの集団。
なじみやすくて逆にこわい。
「・・・で、注意してもらいたいのはここからだ。」
一通りエンさんをにらんだリードさんが口を開く。
エンさんはこっちを見て、にやりと笑った。
「君をここへ呼んだわけ、さ。」
「それは・・・訓練して、能力を操れるようにする。じゃないんですか?」
「だいたいあってるけどね。それだったら政府に送ってるさ。特別環境保全事務局。知ってる?」
知らない。
「おいエン。話が外れてるぞ・・・。」
リードさんはボクを見る。
その深い赤色の目からは、なんの感情もよみとれなかった。
「ずばり・・・君は、いや、君の能力は、世界を壊すんだよ。」