1. 隣人は幻?!
―お、着いた着いた。
彼の名はジョウイチ。イラストレーターである。
安く一軒家に住めるという理由で、ここモトソス町に引っ越してきた。
それにしても、家賃の割に大きな家だ。
―早速、荷物を入れますかね〜。
1時間もしないうちに、全ての荷物を運び終えた。
1人暮らしということもあり、荷物自体が多くなかったのだが。
―…お隣さんに挨拶ぐらいはしとくか…
引っ越しソバの用意をして、まず左隣の家に向かった。
ピンポーン
「あれ?人間さんなんて珍しい…」
―(え、何故にマナフィ?)
「…今、『なんでマナフィが?』とか思った?」
―(ばれてる)あ、私、隣に越してきたジョウイチという者で…
「私はミッケ。高1の1人暮らしってとこかな。ジョーさんは何やってる人?」
―じょ、ジョーさん…まあ、イラストレーターやってますが…
「じゃあ先生だ!あ、タメ口でいいよー」
―(ジョーですらなくなった…)
聞けば、なぜかは分からないがこの町に人間が住んだことはないという。
また、ミッケ自身は親にムリを言って1人暮らししているそうだ。
…などと話をしているうちに、夜だ。
「あ、もうこんな時間かー。いやー、先生ゴメンねー」
―ああ、気にしないで…
そういえば、モトソスの住民は総じて個性が強いと聞いた気がする。
―明日からどうなるんだ…まあどうにでもなるか!
はっはっは!!なんだかテンションがおかしいジョウイチをよそに、夜はふける。