教えて!ケイ先生 〜トレーナーの現実編〜
――某所、レグルス団のアジト。
「馬鹿なの?」
「バーカ」
「馬鹿だ……」
珍しく下っ端たちが同じ机で食事をとっており、シレネ、ココナ、メグリが話を聞きながら一様にキッドに罵倒を浴びせた。
「ま、まあグルマシティのジムリーダーとやりあって逃げ切っただけでも十分だよ」
一応サイクがフォローを入れるがけっ、とココナがパック飲料のストローを噛みながらもごもごと言う。
「最近ろくになんも成果があがってないけどやる気あんの?」
「ほんと……無能の働き者って一番、最悪……」
シレネも呆れたようにわざとらしく頬に手を当て、次いで、ずっと気まずそうにしているリジアを見る。
「で、結局成果らしい成果もなく、持ち帰れたのはドヒドイデだけって……ふざけてる……?」
「私も非常に心苦しいですがあそこで足がつくわけにはいかなかったんです……!」
今味方がキッドとサイクしかいないこともあってリジアの胃は死んでいた。ただでさえあまり良く思われていない二人にねちねち失敗を指摘され、庇われたら庇われたでまたそれを理由に文句をつけられるのだから早く逃げ出したいという気持ちが強かった。
しかし、今の状況はテオが「お前らまたどうせチームで動くから少しくらい親交でも深めておけ」という指示により食事をともにしているわけだ。それから逃げるということは遠回しな「あなたたちと仲良くするつもりはありません」宣言でもあり、テオからもあとで何か言われたらと思うと今はただ耐えるのみだった。
相変わらず、メグリは何を考えているのかわからない一方で、執拗に責めることもない。てっきり、二人と一緒になって馬鹿にするかと思っていただけに、リジアはやっぱりいい子なんだろうなと認識を更に改める。
「そのドヒドイデはどうしたんだい?」
サイクが助け舟なのか話を少しだけそらし、どうにか話題を変えようとしてくれる。リジアもそれに乗るために少しだけ無理に明るい声を出した。
「ああ、それがですね! テオ様もイリーナ様もいらないと仰ったので私の手持ちに加えることにしました」
個体としては優秀だったのだが求められていたものではないのでいまいち反応が良く無かったドヒドイデ。せっかくなので自分の手持ちにしてしまおうと確認したら好きにしろとのことだったので今は部屋で他の手持ちと仲良くなるためにボールから出して好きにさせている。まだ懐いていないのでこれからどうするかとリジアも悩んでいるがまあなんとかなるだろうと楽観的な考えで手持ちたちと一緒に過ごしてもらっていた。
「……本当に、組織に何も貢献してない……」
「はーグズ。もーこの天然なのかわざとなのかわかんないアホさ加減イライラするー」
シレネとココナはやっぱりというかもうなんでも難癖をつけたいだけのようで、再び胃が重くなる。早く部屋に帰りたいが全員食事の進みが遅くて、口元を一文字に引き結ぶしかリジアにはできなかった。
――――――――
――同時刻、リジアの部屋。
ドヒドイデは困惑していた。誰かの手持ちになることもそうだが、新しい主人にまだいい感情を持っていないなどと考えることすら忘れた。
他の手持ちたちはのほほんとお気楽に過ごしており、自分に対して【まあ仲良くしようよ】などと言ってくるがこの状況でこいつらは正気か?と思ってしまう。
窓には頑丈な鉄格子。そしてこの部屋は完全に他の部屋と違って隔離されているのか周辺に他の部屋がある様子はない。
なんとか鉄格子から外を覗いてみればこのアジトでも高い位置にあるのか、わあ絶景が広がってる。部屋が広いけど妙な間取りだと思ったらこれどっかから見られてる気がするなーとドヒドイデは呆けながら一応尋ねてみた。
【あのさ……これ、何】
【んー? 防犯用だってイリーナ姉ちゃん言ってたよ】
クレッフィが呑気な答えをこちらに向けてくるがこいつさてはアホか盲目かのどちらかだとドヒドイデは確信する。
(こんなの逃げないようにしてるだけに決まってんじゃん!)
防犯というのもあながち間違いではないだろうが、条件的に他人が入り込むより、この部屋の人間を外に出さないための造りとしか思えなくてドヒドイデは元々よくない顔色を更に悪くさせる。
もしかして、自分はかなりわけありな主人の手持ちになってしまったのでは?
ぽん、と頭を叩かれ振り返ると慈愛に満ちたネイティオがただ一言呟く。
【ウェルカム、気苦労の絶えない職場】
もう慣れきったという濁った眼差しがどこか哀愁を漂わせており、ドヒドイデは直感的にここで信じられるのはこのネイティオしかいないことを悟ったのであった。
【それに気づいたのは君が二匹目だ……。ちなみに一匹目は私】
【ち、ちなみにトレーナーの方は……】
【気づいてるわけないよねー! ハッハッー!】
やけっぱちなネイティオと、ほかの呑気な手持ちたちを見比べながら、いっそ自分だけうまく逃げるべきか真剣に考え出すドヒドイデであった。
――――――――
――ワコブシティ、道場。
見事なまでに4人抜きどころか3人目と止まって膝をつくしかない。
確かに息をつかせぬ連戦ではあるがレベルは合わせているだろうし数だって向こうは1人2匹か3匹なのにこちらの消耗が激しすぎる。
チルなんか完全にバテており、今日これ以上戦わせるのはさすがにきつそうだ。
「ケンガで止まるか。まあ想定の範囲内だな」
ケイは頬杖をつきながら一緒にバテている俺を見てくる。ただ指示しているだけのはずなのになんでこんなどっと疲れているんだろうか。
ていうかなんでドッコラーあんなに強いんだよ。ケンガというジムトレのドッコラーは完全に角材を使いこなしており、進化前だし余裕だろとか思ってたら一気にこちらが三匹瀕死に持ってかれた。
「つーか結構時間かかったし、どうせまだ4人抜きしばらくかかるだろうから泊まってけ」
「ああうん……疲れた……」
一応イオトたちの方へ連絡を入れようとのろのろとした動きで起き上がるが手持ちともども死屍累々で、果たしてコハクに勝てるのだろうかという思いが益々深まった。
「ついでに飯準備してる間に風呂とか済ませとけ。お前らはジムの方戻って片付けとかの手伝いしてこい」
「押忍! んじゃ明日もよろしくなー、ヒロ」
4人のジムトレはつかれた様子もなくジムの方へと去っていく。やっぱり俺、基礎体力が足りないのかもしれない。
とりあえず、前にも泊まらせてもらった部屋で体を伸ばしながらイオトたちに連絡する。テレビ通話にしたつもりはなかったが間違えたのかマリルリさんが画面の7割を占めてこちらを見ている。
『まりまり?』
『あ、マリルリさん返して返して』
イオトと、カメラが動くときにエミやシアンの姿も見える。どうやら食事中だったらしく、3人とそれぞれの手持ちは何かしらもぐもぐと食べているのがわかった。
「あー、ちょっと道場の方でしばらく特訓するっぽい。俺の飯は気にしなくていいや……」
『なんだよー、俺もそっちで飯食いたかった』
知るかよ、と思いつつ、俺用に買っているであろう弁当がちらっと見えて申し訳ない気持ちも少しだけ湧く。だが正直疲れたし、チルもあんまり飛ばせるのはかわいそうだ。
『つーか、そんなに大変ならジム戦のときマリルリさん貸そうか? そのほうが早いと思うけど』
イオトがそんなことを言うとマリルリさんはシュッシュッとシャドーボクシングを後ろでしながらやる気を伝えてくる。まあ、相性上マリルリさんがいれば勝てる気がするというか、マリルリさん今のところ俺の中で規格外だからちょっと反則のような気がしてならない。
「ありがたいけど、さすがにそれってずるいと思うし、俺にマリルリさんへの指示ができるとも思えないからやめとく」
すると、マリルリさんは微妙にショックを受けたのか、いじけたようにきのみをけっとばしてとぼとぼと離れていく。いや、気持ちだけ、気持ちだけ受け取っておきます……。
『んー、まあまだ時間あるし、きつそうなら言えよ? マリルリさんの方は様子見るに構わないっぽいし』
「わかったよ。とりあえず戻る時また連絡する」
通話を切り、とりあえず風呂に入ろうと再び立ち上がると、強面のサワムラーに着替えとかタオルを渡された。相変わらず顔に反してマメだなお前。
風呂も長々とする気力がなかったので早々に食事場に向かうとケイが用意を終え待っていた。
「んじゃ飯と……ついでにお前の問題点とかについてだな」
「あのバトルで何がわかったのかわからないんだけど」
「まあとりあえず聞け」
ケイは軽く茶を飲み、一息ついたところで話し始める。俺は飯を食いながらそれを聞く態勢になった。
「まず、お前知識だけはあるんだよな。見たところ、この地方であんまり見かけないポケモンのことも知ってるし」
出だしから俺のボロが出そうな話を振られた。
いやでもさすがに前世の記憶で……とかちょっと痛いにも程がある。正直言うのはやめとくべきだけど、こう嘘をつくのも心苦しいのでそれっぽく誤魔化したい。
「も、元々興味は昔からあったからな……」
「ま、ぶっちゃけ俺らみたいなバトルを仕事にするやつは必修みたいな分野だからそれはいいんだけどよ」
煮物は味が染み込んでいて美味しい。多分これ、一日置いたやつだろう。
「お前、どーも微妙に知識の扱いが下手だよな。考え過ぎ」
「考え過ぎって言われても」
「バトルなんて一秒あれば戦況が刻々と変化するのにダラダラ考えるな。まずお前はとっさの判断力が足りない。ついでに知識に関しても、お前なんでか知らんが個体特有のデータに囚われすぎてる気がするんだよ。レベルが全てじゃねーぞ」
耳が痛くなってきた。確かにその通りである。レベルに関しては思うところがありすぎて反論できないが、判断力に関しては前より良くなっていると思いたい。
「つーかお前、言っちゃなんだがトレーナーとしてやっていこうとしてるくせに、少なくともアマリトでの身の振り方がわかってなさすぎでわけがわからないんだが……アリサはなんも教えてないのか?」
「姉さんは家出た後帰ってはくるけど俺にそういう話はあんまりしないからなー」
実際家業手伝い期の俺ってあんまりそういうことに興味なかったし、トレーナーとしての知識はゲームの基準しかないんだよな。
「……はあ……そこからもしかして俺が説明しないといけないのか……?」
ケイが面倒そうに頭を抱え、漬物をぽりぽりと咀嚼する。どうやらこれ、自家製らしい。なんというか、ケイはちょっと古風なところあるから爺さんみたいだなとか思ってしまう。
「とりあえず、トレーナーとして、ポケモンバトルに関わる仕事のことを説明してやるから覚えろ」
まず、アマリト地方ではジムリーダーという存在が8人おり、それぞれ町やエリアを管轄としていわゆる役人に寄った存在であることを再度確認する。
権限としては町でも上位。更には緊急時には町の長として実力行使も可能とするいわば町の守り手だ。
そんなジムリーダーだが、実際給料はそんなに多くない。大半が副業、または兼業だし、給料が低いということ以外にも兼業が多いのには理由がある。
「ジムリーダーって、本当は結構入れ替わりが激しいんだよ」
任期というものも一応は存在するが、それ以上にジムリーダーを長く続ける者と、長く続かない者の差は極端に激しい。要するに、ジムリーダーを辞めた後の職に困らないように兼業も多いというわけだ。実際問題、元ジムリーダーというだけでよほどのことがない限り職には困らないようだが、そもそも何も考えないちゃらんぽらんならまずジムリーダーになっていないだろうとケイは言う。
「俺の爺ちゃ……祖父は結構長い任期だったがそれでも何度も引退させようとするやつもいたし、それだけジムリーダーになりたいやつも多い。バトル職ではわかりやすい花形だからな」
「競争率ってどんなもん?」
「地域やその時期、あとジムに引き継ぎによっては大きく違うな。俺の場合、そもそも祖父の遺言で孫の誰かが後を継ぐようにとあったから外部からの候補者は出なかったし」
一方で、ハマビジムやヒナガリジムあたりは結構競争が激しいという話を聞いたとケイは言う。ハマビシティは交易の要。ヒナガリシティはアマリト有数の大都市。その辺も理由としては大きいのかもしれない。
「ジムの後任は前任者の推薦やリーグ側の募集が主だが、後者は特に募集要項が結構厳しい。なんせ実績がまず必要になってくるからな」
「例えば?」
「ジムトレーナーの経験や、バッジ集め、あとは公式大会での入賞経験とかだな。ここにきちんとした身分証明も必要となってくるからこの時点でかなり絞られてくる」
「そんなに絞られるか?」
ジムトレになる方法とかは知らないが、バッジ集めなら俺だって既に3つだし、大会もがんばれば俺だっていけるかもしれない。
「お前、やっぱり馬鹿だな」
一蹴された。そんなに世間知らずだろうか、俺。
「そもそも、手持ちが6匹ってどれだけハードル高いかお前わかってんのか?」
まさかの手持ち6匹がハードルということに思わずぽかんとしてしまう。確かに俺は捕まえるの下手だし、というか実際俺がまともに捕獲できた経験はないが――
「生き物を6匹養うのにどれだけ金がかかると思ってんだ」
金、という妙に生々しい言葉に思い当たることがあり「うっ」となる。というか、そうだなぁ……エミも初対面時は飢えていたし、ヨツハも飢え死にしかけていた。
「公式大会の参加基準は最低6匹。更にジムリーダーが最低限所持していなければならないポケモンの数は8匹。ここまで言ってわからないなら蹴るぞ」
「もしかして、アマリト地方でポケモンバトルを生業にするの、すごくきついのか?」
「そうだよ。お前は金に余裕があるみたいだが大半は手持ちをそんなに多く持てない。シアンみてぇな馬鹿はお嬢様育ちもあって考えなしに増やしてるが世の中にはエモンガ一匹養うのが精一杯なトレーナーだっているんだよ」
この時点で、ジムリーダーがどれだけ生活にある程度の余裕があって、かつバトルの才能がある人物かがわかる。ていうか考えてみれば俺の知ってる範囲でジムリーダーって確かに金に余裕ありそうな人ばっかだよなぁ。リコリスさんとかあれだけの数の手持ちがいるし、様子からしていいとこ育ちのお嬢様っぽいし。
「ジムトレの方はポケモンは最低一匹でも構わないが、それだけ実力も求められる。多くは非正規雇用扱い、まあバイトだな。正規だとハマビのガンエとかがそうだ正規雇用のジムトレはリーグ公認。それ以外はバイトだが、ジムトレの経験があるだけで次の職に有利だし、学生のジムトレが多めなところは将来へのツテ作りや経歴に箔付けだな。ジムリーダーよりも入れ替わりが激しい分、長く続けるような仕事でもない」
思ってたよりアマリト地方のポケモンバトル職事情が厳しい。そんな生々しい現実聞きとうなかった……。
そう考えると、俺ってこの歳で今更旅に出て実家の仕事継ぐからと呑気にジム挑戦してるちゃらんぽらんなのでは?と思ってしまう。
「だからお前は実家継ぐのなら別に無理してジムに勝つ必要もないんだ。安定した仕事をするに越したことはないからな」
とはいうものの、俺も俺ではっきり目標ができたし、今更やめるつもりもない。コハクとの揉め事に関しては姉も関わってきてしまうので避けるわけにもいかないが、今後の行動に関しては確かに色々考えるべきなのかもしれない。
「要するにお前、諸々の心構えがなってないっていうか、年の割にふわっとしすぎてていまいちバトルも浮ついてるんだよ。あと基礎体力。お前、バトルでトレーナーが指示するだけの木偶の坊だと思ってんなら本当に考え改めろ」
「そういえばなんでさっきあんなに疲れたんだ……」
「まあ俺が疲れるように仕向けたんだが……」
何さらっと聞き逃せないこと呟いてんだよケイ。しかもそのまま話を進めようとする。
「バトルでトレーナー側が必要なのは基礎体力、精神力、判断力、知力、あとは突き詰めて運だな」
「知力と判断力はわかるんだけど基礎体力と精神力っていうのは」
「バトルでポケモンと同調……まあ噛み砕いて言えば心を通わせる事によってポケモンの力を引き出すことだな。お前はこれをさっき無意識でやったから疲れてんだよ。体力も精神力も使うし」
なんか俺の知らない領域のはなししてる……。難しい話だ……知能がシアンレベルに落ちてる気がするぞ、俺。
「あとはこの2つはメガシンカでも消耗する。一度のバトルで一匹しかできないのはそれが原因だな。莫大なエネルギーを消費するし、下手すりゃポケモン側の暴走の原因になる」
おばあさんから聞いたグルマシティの前ジムリーダーが危険視していたのはこれのことだろう。たしかに、そう考えると誰かれ構わずメガシンカをさせるわけにはいかないだろう。
「あとは……遠くのアローラ地方とかではZ技、なんて呼ばれてるものもあるが、こはアローラ特有の装身具を使わないで行う場合、激しい消耗が不可避とされてる。一部の実力者は実質Z技と同等の真似事をしてくるからな。そう考えると2つの要素が不可欠なのはわかるだろ?」
「むずかしいはなししてる……」
「遠い目すんな。ああ、一気に詰め込みすぎたのか……シアンみたいなアホ面してないで飯食え飯」
色んな話を詰め込まれてちょっと整理が追いついていないが、とにかく、俺には色んな力が足りてないらしい。
「ポケモンのレベルだけ強くなっても意味がない。トレーナーも同じく強くなることが大事なんだよ」
「ちなみにイオトとかは――」
「あれはただの規格外のバケモノだ。あんなの才能と精神力だけで体力の不足をカバーできるアホみてぇなゴリ押ししてるから強いんであって誰でも真似できることじゃない」
その点で言えばエミも十分規格外ではあるものの、ケイ視点では体力精神力ともに高いため、イオトに比べたらまだマシらしい。
「ああ、ちなみにジムリーダーになる条件って推薦だろうがなんだろうがバトルの腕、それも複数のルールに対応できることが絶対条件なんだよ」
「複数って、フラットとかか?」
お腹がいっぱいになってきたら更に思考力が低下している気がする。これ以上詰め込まれると俺が混乱するから一旦やめてもらえないだろうか。
「レベルフラットルールもそうだがファイトルール、まあこれが一番の難関だな。トレーナーがバトルの場に入ってともに戦う特殊ルールだ。よその地方じゃどうか知らないが、これはアマリトでは必須。んで、俺がお前に教えるのがこのファイトルールでの戦い方だ」
「そうなのか……」
うん? ちょっと待て。
「なんでだよ!?」
ジム戦に備えた特訓なのになぜファイトルールとかいう物騒なルールをしなくてはならないのか。
ケイはそれを無視して「片付けるぞー」と食器を片し、俺の言葉を無視し続け結局その日はその理由を教えてもらうことはできなかった。
寝ようにもファイトルールをしなければならないという緊張で体がこわばり、イヴが心配したりごろごろと何度も寝返りを打ったが疲れに負けてそのうち眠りにつくのであった。