新しい人生は新米ポケモントレーナー





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1章
VSランタ

 アクアリウムに案内されたあとはひたすらナギサの講義つきでエリアで何度も立ち止まり、途中からエミなんかはうんざりした様子で聞き流していた。シアンは楽しそうに聞いていたがイオトも少し疲れた顔をしていたのを見逃さなかった。
 しかも、ナギサがSNSにあげたのを見たのか俺への視線もやたら集まるし正直居づらかった。
 それはそれとしてアクアリウムはとても楽しい施設で、なるほど、盛況なのも頷けると納得したものだ。子供から大人まで楽しめる、勉強にもなる。俺達はできなかったが水上でのバトル講座とかもやっていた。あれは便利そうだ。俺はマリルリさんに引っ張られてもう感覚で覚えたし。
 途中でシアンのクルマユが流されかけたりマリルリさんがショーのステージでアクアリウムのポケモンより目立ったりとちょっとしたトラブルはあったものの総合的に言えば楽しいまま終わり、明日には発つことをナギサに伝えると少しだけ寂しそうだが笑顔で「また来てね? 約束!」とかわいらしい様子で見送ってくれる。
 本音を言うとこのホテルを何日も利用するの申し訳ないのもあるのだがわざわざ宿泊先を変えるとそれはそれで気を使ってるみたいなのでまたの機会にしよう。



――――――――


 そして朝食を終え、出立の準備を整えている最中にシアンが部屋の扉をノックする。
「ヒロくーん。えっちゃんいますー?」
「あー、今いないけど?」
 エミとイオトはなんか回復薬とか旅の必需品を買い足しに行っており、今は俺しかこの部屋にいない。
「あちゃー。お買い物一緒にいこうと思ったですが先に行っちゃったですかー」
 部屋に入ってきたシアンはクルマユを頭に乗せて少し残念そうだが「まあたいしたものじゃないですしいいけどです」と呟く。
 すると、部屋の電話が鳴り響き、こんな時間になんだろうと取ってみると落ち着いたスタッフの声が聞こえてくる。
『失礼します。お客様をお探しの方がロビーにお見えになっています』
 言い方からしてナギサやガンエさんではなさそうだが少なくとも向こうはこちらを知っているので全く知らない相手でもなさそうだ。
 誰だろう、とシアンと二人で首を傾げながらロビーへと向かい、示された場所へと向かうと明らかに目立つ人物が壁に寄りかかって待っているような様子なのがわかる。
 ただ、その人物が異様に目立っているのには理由がある。
 まず、サングラスをかけており、口にこう、白い棒状の何かをくわえている。言ってしまえばガラが悪い。服装も今時の若者という感じで派手ではないが着崩したような印象である。
 このホテルに宿泊している人がそこそこ金持ちだったりいわゆる上流階級みたいなイメージがあるせいかものすごく浮いていた。
「あの人……です?」
「あれ……だろうなぁ……」
 柱の陰からシアンとその人物を観察していると気づいたのかこちらを向いたその人物が露骨に舌打ちし、早足で近づいてきた。
「おい、待たせてんじゃねぇ」
「ど、どちらさまでしょうか……」
 全く知らない人物なのに一方的に知られていることもあって不安しかない。その男はサングラスを外すと鬱陶しそうにそれを服の胸元にひっかける。
「顔見てもわかんねぇのか」
 改めて顔を見るとこう、特別特徴的というわけではないが平均より少し上くらいの顔立ちだが見覚えがあるようなないような……?
「し、四天王のランタさんです……?」
 シアンが控えめに聞くと「そうだよ」と不機嫌そうに返事し、四天王の顔をろくに覚えていない自分が非常識と思われてないか少し不安になった。
「あ、姉がいつもお世話になってます……?」
「あぁ?」
 なぜか睨まれるし、顔つきからして自分より幼いように見えるのに迫力があって少し怖い。
 顔立ちそのものはナギサととても良く似ているというかほとんど同じ顔だ。表情でだいぶ印象が違うためか最初は気づかなかったが。
というかタバコに見えた白い棒はよく見るとただの棒付き飴だ。紛らわしいことしないでほしい。
「いい加減じろじろ見てんじゃねーよ。蹴っ飛ばすぞ」
「あのー……どういったご用件で……」
「喧嘩売りに来たならボクも相手するですよ!」
 俺の後ろでシュッシュッとシャドーボクシングするのやめろシアン。せめてやるなら俺に隠れながらじゃなくてかばってくれ。
「てめー、人の姉貴にちょっかいかけてんじゃねーぞ!」
「身に覚えが全くない!」
 身に覚えのない罪で怒鳴られてる。イヴが威嚇するように足元で唸っているしシアンのクルマユも講義するようにぱたぱたと葉っぱをはためかせる。
「姉貴のことを覚えてないとかてめーはド低能かよ!」
「え、ていうか真面目に姉貴って……あ、いや、もしかして……」
 へらへらと笑うナギサが頭に浮かび、次いでこの人相の悪いチャラ男のランタがそれに並ぶ。こう、雰囲気はぜんぜん違うがよく似た二人はつまり――
「ナギサにちょっかいかける男は全員俺がぶっ飛ばす! ナギサの魅力がわからねぇ男もぶっ飛ばす!」
 この人理不尽すぎる。
 あれ、でもなんでだろう。初めてなのにすごく既視感ある。
「むきー! 黙って聞いてりゃいきなり出てきてなんです! ヒロくんは確かに地味だしまだ新米だし甲斐性もまだまだですが――」
 シアンの援護なんだか傷口をえぐってんだかよくわからないフォローに涙出てくる。うるせぇ地味って言うな。
「ナギサちゃんが彼氏できない理由はおめぇですね! ヒロ君に喧嘩売ってるついでですよ! ボクも相手になってやらぁ!」
「上等だ表出ろモモン頭!」
 イオト、エミ。助けて。
 しかし助けはくるはずもなく、ホテルの外のビーチで俺とシアンが並び、向かいにランタが経って2対1のバトルの構えだ。
「ヒロくん。四天王ランタって言えば炎使いですよ。エンペルトとかがおすすめですよ」
「お前どうすんの?」
 シアンの手持ちに水タイプや地面タイプはいない。相性はあまりよくないがどうするつもりなんだろうか。
「ゴリ押すですよ!」
「それはなんも考えてないってことなんだな。わかった」
「おい、さっさとはじめんぞ」
 若干苛立ったランタが急かし、非公式とはいえ四天王を相手にする緊張に生唾を飲み込む。
 少なくとも姉と同レベルの相手。緊張するなという方が無理だ。
 手持ちが互いに全滅すればその時点で負け。俺は6匹シアンは4匹。向こうは6匹なのでかなりこちらが有利だ。
 が、どうせうまくいかないことなんてわかりきっている。
 恐らく相手に攻撃する隙を与えた時点で負けだ。
「エンペル――」
「パルス」
 繰り出したエンペルトに指示を出そうとした時点で異変に気づき言葉が途切れる。
 バチバチと激しい電撃の後にエンペルトは倒れ、シアンの出したカモネギも倒れて目を回している。

「そら、やってみせろよ弟くん?」

 ランタの前にいたそれはバクーダとヒートロトムだった。
「ロトム!?」
「へぇー、ロトム知ってるとか博識だな」
 やべぇ、またボロ出しかけた。
「まあ、知ってたところで対応できるかは別だけどな?」
 つーかあれほぼ電気タイプだろ、ずるい。
 シアンは次にミミロップを繰り出して俺もグーを繰り出す。
「グー、どろあそび!」
「ミミこ、ピヨピヨパンチ!」
 先程のはおそらくほうでん。バクーダに効かないであろうから連発してくる可能性が高く、電気の威力を下げるておく。ミミロップがピヨピヨパンチを当てたはいいがこんらんにはなっておらず、勝ち誇った顔でランタは言う。
「ナギサに認められたって言うからどんなもんかと思ったらたいしたことねーのな。ジム巡りしてるらしいけど――」
 すっと、手を掲げたかと思うとナギサを彷彿させる穏やかな笑顔で呟いた。

「四天王じゃない俺に勝てねぇならあの人に勝てねぇよ」

 次の瞬間、バクーダが砂嵐を巻き起こしたかと思うと視界が覆われるほどの砂煙。風の音で聞こえづらいもののボールの音がして、ようやく収まったかと思うとロトムが消えてバクーダとすなあらしだけが残った。ビーチは平らではなく山のように砂が積もっていたり平坦ではなくなったが互いの位置は見えるような即席のバトルフィールドだ。
「お前ら俺のことを炎使いだと思ってるだろ? そうだな。四天王の俺はそうだ。だが今の俺はただのランタとしてここにいる。思い込みは敗北に片足突っ込んでるようなもんだ」
 かざした手を振り下ろすと警戒するグーとミミロップの足元が流砂のように渦巻いて慌てて下がろうとするももう遅く、そこにはシロデスナが二匹を捕らえていた。
 シロデスナはゴーストじめん。炎一切関係ねぇとかそんなこと考える前に二匹は目を回して即座に瀕死となる。
 ビーチでシロデスナとか独壇場でしかない。勝てる気が一切しないどころかマジで一匹も倒せないまま終わりかねなかった。
「ずりーですよ! 地形的にそっちが有利じゃねーですか!」
「はぁ? 自陣を有利にするなんてバトルの常識だろ?」
 シアンも言い返せないのかむぎぎぎと唸りながらクルマユを繰り出し、俺もイヴを出す。
 さすがに一回奇襲したのだから二回も同じことをするのは芸がない。
「イヴ、ギガドレイン!」
「クルみ、はっぱカッター!」
 俺とシアンどちらもシロデスナ狙い。はっぱカッターはバクーダにあたりそうだが距離的に怪しい。
「ははっ、痛い痛い。ザサンド、すなあつめ」
 多少なりとも削られたはずのシロデスナはすなあらしもあってか即座に回復し、もう勝てるビジョンが正直見えない。なんだこの無理ゲー。
「うぎぎぎぎぎぎぎぎ!」
 悔しそうに歯を食いしばるシアンを見てランタはけらけらと笑っている。余裕しかない態度に俺まで苛ついてきた。
「それにこっちはザサンドだけじゃないぜ? チャーリー」
 バクーダがふんかでこちらを徹底的に潰しに来る。攻守ともに遠慮も容赦もないランタは本当にナギサの弟なんだろうか。
 シアンにとっては最後の一匹であるワカシャモ。そして俺はチルを出して攻撃しようとしたその時――
「ひでぶぁっ!?」
 ランタが突如として横から突進してきたサメハダーにふっ飛ばされて俺達の視界から遠のいていく。えぇ、と呆れながらそれを見ているとフィールドにも乱入者が現れる。

「はいスト――――ップ!」

 両者の間に割って入ったミロカロスによって戦いは中断され、サメハダーに突進されたランタが焦ったように叫ぶ。
「まっ、なんでわかっ」
「私のテリトリーで派手にバトルすればすぐにわかるに決まってるでしょ!!」
 怒った様子のナギサがビーチに降り立ち、サメハダーに甘噛みされているランタに詰め寄る。
「いきなり帰ってきたと思ったら人様に何喧嘩売ってるの? ねえ、しかもあなた四天王なのにどうして力量差も考えず初心者狩りみたいなことしてるの? ねえ、なんで? 負けろとは言わないけど限度ってものがあるでしょう!?」
「ち、違うんだ! 俺はナギサに寄り付く悪い虫を退治しようと――」
 その瞬間、氷タイプでも出たのかと思うほどに寒気がし、ナギサの目が尋常じゃないほど虚無をたたえていた。
「……ねえ、ランタ。私ね、何度言ってもわかってくれないような、物分りが悪い子は嫌い」
 ぞっとするほど低い声。ナギサのかわいらしさは鳴りを潜め、恐ろしさしかなかった。
「ご、ごめんなさい……」
「ほら二人にも謝って! ごめんね二人共! うちの愚弟が……」
「あ、いや……別に……」
「なんかおごったら許してやるですよ」
 シアンに言われてナギサがランタのケツをひっぱたくと近くのトロピカルジュースを買いにいかされ、ビーチを元通りにしようとナギサのポケモンが数匹飛び出して砂を平らにしていく。
「本当にごめんね……ちょっとランタってアホだから……」
「いきなりびっくりしたけどまあ、いい経験だったよ……」
 四天王の強さ。ケイやナギサも強かったが二人はまだ本気ではないこともあって実力者の本気は初めて実感したのだ。レベルを上げるだけじゃ勝てない。そんな現実を改めて思い知る。
「つーか炎タイプ使いだと思ってたら思い切り裏切られたですよ」
「ランタはそもそも水タイプ使いだよ?」
 えっ、と屋台に並ぶランタを見るとまだサメハダーに甘噛みされている。
「というかジョーズ……ああ、あのサメハダーね。ランタのポケモンなのよ。私が今預かってるけど」
「あいつだけニックネームのつけかた違うもんな……」
 とんとんだのさくらだのに並んでジョーズとかだいぶ浮いていたので地味に気になっていたのだ。ランタの名付け方だとしっくりくる。
「昔はねー、遠くの地方にいる双子ジムリーダーに憧れて、私達も双子だしって理由で一緒に二人で一人のジムリーダーを目指したんだけど、試験受けたらどっちかだけって言われちゃって。それで、強かった方のランタがって流れだったんだけどランタ怒っちゃってね。辞退して私がそのままジムリーダーになったの」
 ダブルバトルのジムリーダーといえばフウとランみたいなのがゲームにもいたもんな。だがそれが駄目だったとは何かあるんだろうか。
「なんで二人じゃだめだったです?」
「予算の都合だって。大人になったらわかるけど昔はそんなの全然納得できなくてねー。ランタはそのまま四天王になって私はジムリーダー。それ以来あんまり帰ってこないしちょっと心配なんだけど……」
 さっきとは違う、純粋に弟を心配する姉の穏やかな目は帰ってきたランタによって再び曇る。
「お前、姉貴に変なこと言ってねぇだろうな!?」
 トロピカルジュース両手にキャンキャン吠えるランタからジュースを奪い、俺達に渡したナギサはそのままランタの肩を掴み、流れるようにアームロックを決めて「あだだだだだだだ!?」と叫ぶランタにナギサは言う。
「いい加減姉離れしてほしいんだよな〜。帰ってこいとは言うけど人の付き合いにとやかく言うのはやめてほしいんだよね〜。なんでわかってくれないのかなぁ〜」
「ギブ! ギブギブギブ! 折れる! マジで折れるから!」
 微笑ましい姉弟喧嘩を見守りながらトロピカルジュースをちゅーっと吸い、残りはイヴにあげると喜んで飲み干していた。げふぅ、とイヴが満足したところでナギサのお仕置きも終わり、息絶え絶えのランタはよろよろと立ち上がって呟く。
「まったく……時間あるから潰しにきただけなのにとんだ目にあったぜ……」
「え? 他に用事あったの?」
「あるに決まってるだろ! 俺がただ喧嘩売りにきただけだと思ってんの?」
「うん」
 姉からの信頼0かよ。
 迷いなく言い切ったナギサに「俺そんなに信用ないの……?」と少しだけ落胆しつつも、どこからか封筒を取り出してナギサに手渡した。
「まずはこれ。今度のジムリーダー対抗戦での日程表の最新版。郵送でもよかったけど俺がついでに持ってくってことで、ほい」
「ああ、そういえばそうだったわね。ありがとう」
「ジムリーダー対抗戦?」
 なんか聞いたことあるようなないような。
「イドース地方で両地方のジムリーダーの対抗戦をするのよ。新しい施設のデモンストレーションか何かで。確かテレビ中継もあるんだよね」
「そーそー。で、俺らはこっちに残ってジムリーダー不在の間しっかり仕事するってことで……まあもう一つの案件」
 ランタは少しだけ言葉を濁し「あの馬鹿マジでどこにいやがる……ここにいるってタレコミはデマかよ……」と半分くらい聞こえない声で呟いて頭を掻く。
「あー……ナギサ、チャンピオン見てねぇか?」
「チャンピオンさん? 私そもそも会ったことないからなぁ……」
 ジムリーダーすら会ったことないのかよチャンピオン。
 シアンが飲み終わったトロピカルジュースの入れ物をぐしゃぐしゃと潰しながら「偉い人は大変ですねぇ」と俺に言い、ナギサとランタの会話を見守る。
「せめてチャンピオンさんの特徴教えてくれないの?」
「あー……口外厳禁って契約でさ……うーん……強いて言うならすっげー目つき悪い」
「うーん、それだけじゃわからないかなぁ。ごめん」
「いや、しょうがないよ。こっちも言えないのが悪いし。てか会ったことあるって勘違いしてたわ」
 さっきのノリとはかけ離れた穏やかなやり取りになんというか、喧嘩してもすぐに忘れるところが姉弟だなぁとしみじみ思う。
「とりあえずやることやったし俺は戻るわ。……ほんっとうにそいつ違う?」
 俺を指差したランタの指をへし折りかねない勢いで曲げようとするナギサは「いい加減にして」と威圧してランタを黙らせ、ファイアローで飛び去っていくのを見守りながら嵐のような突撃訪問は終わった。
「二人とも迷惑かけてごめんね」
「ナギサちゃんが謝ることじゃねぇですよ。ナギサちゃんも変な勘違いされてかわいそうに」
「俺は? 俺も勘違いされた側なんだけど」
 シアンってこういうとき俺に厳しい。
「え、あ……勘違いされてもいいかなーって……なんて」
 ちょっと照れたようなナギサの様子にうっかり調子に乗らない男とはホモだと思う。
 いや、嬉しいんだけどまあほら、それこそ勘違い野郎になりかねないので何も言えないがそれ以上に誰かを思い浮かべてしまってそういう対象としては見れない。
「じゃ、じゃあ私は戻るね! 今の気にしないでいいから!」
 顔をまだ少しだけ赤くしたナギサが去って、残された俺とシアンはぽつんと砂浜で取り残されてホテルに戻るかとため息をつく。
「モテる男はつらいです?」
「辛いっていうかなんか乗り気になれない自分が嫌だ」
 どうしてこんなにも何か引っかかったようにかわいい子を見ても惹かれないんだろうか。
 やっぱり夢のあの少女のせいなのかもしれない




――――――――

 ホテルに戻るとイオトとエミが戻ってきてもう旅立てる準備を済ませていた。
「あれ、どこいってたの?」
「いやーちょっと絡まれてた」
 間違ってない。
「で、次はレンガノシティだっけ?」
 次の目的地であるレンガノシティはそれほど遠くない。ここハマビシティとの間にほかの町もないので一直線で向かうつもりだった。
「じゃあ森を抜ける感じか」
 イオトが地図を確認しながらこことレンガノの間にある森を見て少し複雑そうな顔をする。
「どうかしたのか?」
「いや……なんかここあったような……気のせいか」
 煮え切らない様子だが思い出せそうにもないので放っておく。準備万端。
 次の目的地レンガノへどれくらいでたどり着くかはわからないがまあのんびりとレベル上げしつつ向かうとしよう。

 こうして、ハマビシティをあとにした俺たちはこのあとレンガノシティで起こる出来事が一つの節目になるということをまだ知らなかった。




■筆者メッセージ
ランタの手持ちは洋画にちなむニックネームが多いです
・ジョーズ(そのまんま)
・パルス(パルスショック)
・ザサンド(ザ・サンド)
とぅりりりり ( 2017/11/12(日) 19:28 )