第三節 その壱:家の材料調達 〜キール&グレイ〜
「くっそおおお!」
「追いつけねえ、こうなったら!」
”かみなりパンチ”
それを当てた大木はキールの方へ向かって倒れた。
”かわらわり”
大木は綺麗に2つに割れた。
「お?木を切る気になったのか?」
キールは煽るようにそう言った。
「なんだとぉ!?」
”でんこうせっか” 続いて ”かみなりパンチ”
”みきり”
「どこを狙ってるんだ?また木を切っているぞ?」
「今度こそ!」
「何度やっても無駄だ」
「やってみなきゃわかんねえだろ!」
結局一発も当てられないまま30分が経過した。
「はぁはぁ…」
「なんであたんねえんだよ…」
「お前には集中力が足りないんだ」
「技にキレがない」
「ここら一帯の木を木材にすることができたらまた戦ってやろう」
グレイにそう言うとキールは山の方へと向かった。
「くそ…」
「やってやる!100本でも1000本でも切ってやる!」
”インファイト” ”インファイト” ”インファイト”
「まだまだぁ!」 ””インファイト””
ーその頃 キールは
「はぁ、センスはいいんだがなぁ」
「木を切ることで集中力が高まればいいが・・」
と岩を砕きながらつぶやいた。
「お、この岩は大きいな」
「マーガレットに頼んで石鍋にしてもらおうか」
「よし!このくらいあればいいだろう」
「そろそろ日が傾きかけてきたし、グレイを連れて帰るか」
そういって岩や石が置かれた木の板を持ち上げ、もといた森の方へ向かった。
「うむ、さすがに重いな」
しばらく進むとグレイが倒れていた。
「グレイ!?どうした!」
「はぁ…ちょっとやりすぎちまったかな」
そう言って指差した方向には、木材が山のように積まれていた。
「お前・・これをこの時間で・・?」
「へっ、まいっ...たか….」
「おい、グレイ?」
「はぁ..がんばりすぎだよまったく」
「荷物が増えてしまった」
キールは石材を木材と同じ場所に置き、グレイを担いで砂浜へと向かった。
砂浜にはまだ誰もいなかった。
「あれ?まだ誰もいないか」
ふぅと一息ついて砂浜に腰を下ろしたときにある違和感を覚えた。
「ん?」
キールはあたりを見回した。
「あれ?俺たちの船がなくなってる…?」
そんなばかなと思って、周りを探したところ船を結びつけておいた杭を見つけた。ところがその杭は誰かが意図的に切ったかのように綺麗に斜めに切れていた。
「誰だいったいこんなことをしたのは!」
「まず俺の仲間達はありえない」
「もしかしてこの島に誰か居るのか…?」
みんなを心配に思ったが、グレイをおいていくわけにはいかないので
そこから動かなかった。
(みんな…無事にかえってきてくれ…!)
今のキールには祈ることしかできなかった。
To Be Continue…