序幕
「ええっと、遠征費と治療費を人数に変換…、あっ、団長、ゴードの谷でのロケ、お疲れ様です」
「どうもどうも。いゃあ、やはりあの二人の噂は本物だったわい」
「でしょう! デンリュウといえば、水の大陸の調査団、霧の大陸の探検隊と言われてますからねー。団長も、復帰後の初演にはベストだったでしょう」
「まぁそうじゃな」
「だってあの二人って、霧の大陸では知らない人がいないみたいだもんね」
「そりゃあそうですよー。彼らは私の店の常連ですし、一時代を築いたチームですからねー」
「だってレオンさんのイチオシだもんね」
「そうじゃったな。…おっとそうだ、レオンよ」
「はい、何でしょう」
「今回の経費は何とかなりそうかね」
「そう、ですねー…、戻ってくるまでは何とも言えませんけど、治療費次第で運営費から建て替えなくて済みそうです」
「そうか。あやつらも上手く演じているようじゃからの、今回も成功じゃな」
「やっぱりそうだね! …ねぇレオンさん、今のうちに主演二人の事、教えてくれる? 」
「そういえば彼らの事は知らなかったんですよね。彼らは霧の島のジョンノエタウンを拠点に、デンリュウとキュウコンの二人で活動している探検隊です。私が商いを始めた時期とほぼ同じなので…、レイダーズと同世代のチームになりますね」
「えっ、そうなの」
「はい」
「でも何でそんな人たちを、この劇団がサポートすることになったの? 」
「それはですね…」