P.5 Tet 集いし七つの光
Diary of Kizasi
『ええっと、ヘキサ? そのフェンフ、っていうのは……』
『何年か前にトレーナー就きになった、あたし達のお姉ちゃん。……今どこにいて何に進化したのかわかんないけど』
『旅の目的かぁー。いいなぁ、そういうの』
『だよね』
『うん。じゃあチータ、そろそろいくね』
『おぅ! 』
Written by Tetra
『テトちゃん、足の方は大丈夫そうです? 』
『うん、ちょと疲れてはいるけど、大丈夫そうだよ』
あの後私達はスーナさん達と別れてから、暫く話しながら歩いてた。シアちゃんがわたしのペースに合わせてくれてた、って言うのもあるけど、ちょっとだけ予定よりも遅れてると思う。今丁度みんなとの待ち合わせ場所のニビシティに着いたところなんだけど、夕方には着くつもりが今ではすっかり日も暮れて暗くなってる。その代わりにシアちゃんがこんな風に気遣ってくれてたから、残ってる左の前足が少しだるくなってきただけで済んでるけど……。
『それならよかったです。けどテトちゃん、あまり無理しないでね? 』
『向こうでブルーにもよく言われたよ。うん』
けど三足での生活にも大分慣れてきてはいるつもりだから、これでも最初よりはマシにはなってるとは思う。当時は少し歩いただけで足が痛くなってきたし、とてもじゃないけどまともに戦う事すら出来なかった。シアちゃんの時代だとダンジョンで当たり前のように、それも長時間戦わなきゃいけないから、尚更ね。もう二年ぐらいは向こうの時代に行ってないけど。
『ブルーさんに――』
「あっテトラ。アーシアちゃんも、無事来れたみたいだね」
厳密には合流する予定のセンターには着いてはないんだけど、話しながら歩いてる私達の後ろ――トキワ方面から一つの声が呼びかけてくる。フラッシュは使ってないから薄暗いんだけど、この声が誰なのかはすぐに分かる。シアちゃんは急に話しかけられてビクッてしてたけど、振り返るとそこには――
『はいです! ライトさん、みんなも、元気そうで安心しました』
私達のトレーナーのライトと
『アーシアもね。前に向こうで会った時以来だから、二年ぐらいになるよね』
『そですね』
マフォクシーのティル。もうひとり後ろにいるけど、そのふたりとティルは私達に気づいて駆け寄ってきてるところだったんだけど、ライトは走りながら手を大きく振ってる。私も向こうの支部にいて会うのはひさしぶりだから、いつものライトが見れてちょっと安心した。ティルはティルで一歩引いて見守るような感じだし
『そうやんな。僕らも色々忙しかったし、何かあっという間やったね、二年って』
『だよね』
メガニウムのフルロも、コガネ訛りで砕けた笑顔を浮かべてる。フルロは最年少でまだまだ荒削りな部分があるけど、こう見えて意外と頼れる部分もあるんだよね。
「うん。一応支部長から聞いてはいるけど、そっちの方は落ち着いた? 」
『大分ね』
ひとまず久しぶりの再会で軽く言葉を交わせたって事で、ライトが私にこんな風に問いかけてくる。私もホウエンの事――というより同じ支部に所属してる、ブルーのお姉ちゃんからジョウトの事は聞いてはいたけど、ホウエンの事は聞けてないから――
『ブルーの上の子供達も大分大きくなったし、他の子達の事も面倒見てくれてるよ』
左目に白い眼帯を着けたライトの方を見上げる。眼帯の下に火傷の古傷がある彼女の事をまっすぐ見で、向こうでの最近の事を話してみる。
あたしの子供達の事もそうだけど、テトラには色々助けてもらったからねぇ。
ブルー自身の事は流石に知ってるだろうから言わないつもりだけど、ブルーの四つ子の事はライトも気にかけてたからね。子供がいるって聞いてシアちゃんはえっ、てビックリしたような声をあげてるけど
『そっか。あの子達、もうそんなに大きくなったんだね』
『今年で四にんとも七歳になるからね。こっちの方はどう? 』
この流れで私もティル達の近況を訊ねてみる。実はライト達よりも、シルクの従弟のコット君とかジョウトの事の方が知ってるけど……。シアちゃんもこっちに来るのは久しぶりだから、変わらないよね?
「私達は軽い任務漬けの毎日だったね。最近はジムの監査も増えてきたんだけど、今回の任務が終わったらみんなで休み取ろう、って決めたぐらいかな」
するとライトはすぐに、大まかに私がいなかった間にあった事を教えてくれる。私は私で向こうの支部の体制を軌道に乗せるのでも忙しかったけど、この感じだとライト達も休む暇も無いくらいに動いてたのかもしれない。仕事の中心が屋内だった私よりも大変そうだったのかもしれない、大まかにしか聞いてないから判断しきれないけど、率直に私はこう思う。
お姉ちゃん達からも聞いた事あるけど、テトラ、もしかして張り合ってる?
すると思った事がブルーにも伝わっちゃったみたいで、繋がってる心を通じてこんな風に訊いてきた。そんなつもりはなかったんだけどなぁ……。
『ジムの……てことは、前みたいにジム巡りをしていたのです? 』
『それに近いんやけど、僕らは戦っとらんね』
『ジムリーダーの強さとか戦績以外にも、ジムの設備管理とか清掃が行き届いてるかを視てくるのがメインだよ』
「ラグナ達と合流する前にふたりには言っておくけど、今回の任務の一つも監査だから」
シアちゃんも今日――はもう遅いから明日からになるけど、これも今回の旅の目的の一つになると思う。と言っても私達ふたりも八カ所全部の監査に立ち会うとは限らないけど、早かれ遅かれ経験する事にはなると思うからね。私も今監査も今回の任務の一つだって知ったけど……。シアちゃんは一応前回――、ジョウトを巡ってた時に実際にジムで戦ってはいるから、いい経験になるかもしれないね。
『分かったよ。じゃあシオンの任務の合間にするんだね? 毎年恒例の』
「そんな感じだね」
それからこっちの事は道中でシアちゃんには話したけど、シオンタウンでももう一つ任務がある、って聞いてる。ユウキさんが関わるようになってから増えた割と新しい任務みたいなんだけど、簡単に言うとテレビの生放送の収録の警備。当時私達はニアミスしてたんだけど、その収録が何者かに襲撃されて収録が中止になった事件が四年ぐらい前にあった。それ以来放送局の方が厳戒態勢を取るようになって、そこで白羽の矢が立ったのが、私達が所属してる“エクワイル”。その当時私達もシルク達も所属はしてなかったんだけど、後でユウキさんが局に紹介したんじゃないかな?
「――あっそうだ。シオンで思い出したけど、アーシアちゃん」
『ん、なんです? 』
それで今丁度待ち合わせ場所のセンターに向けて歩き始めたところで、ライトが急に声をあげる。多分何かを思い出したんだと思うけど、提げてる鞄を漁りながら、シアちゃんの方に視線を降ろしてる。何かライトもうっかりしてたような感じはあるけど、それはシアちゃんも同じかもしれないね。私も全然心当たりないし。
「私達は会えなかったんだけど、シルクがアーシアちゃんに渡して、って」
『私に? 』
「うん」
するとすぐに見つかったみたいで、鞄の中から小さい箱を取り出す。十センチぐらいだから私から見ると割と小さめだけど、イーブイに退化してるシアちゃんからすると結構大きく見えると思う。
『渡してくれたユウキさんも中は知らないみたいだけど、ライトに渡せば分かる、って言ってたね』
『ユウキさんが? 』
「うん。そう言われても私もあれ以来会えてないから、私もさっぱり分からないんだけど、開けて見たら分かるんじゃないかな? 」
シルクならこんな曖昧な説明はしないと思うんだけど、ユウキさんはライトなら全部知ってる、って思ってるのかもしれない。結局のところここにいる誰も中身の事は知らない事になるから、ライトの言うとおりな気がする。この箱の送り主が知らないひとなら、私ならすぐには開けずに振ってみたりして様子を見るけど、シルクだからね。ろくな説明もせずにユウキさんに託した、って事の方が私は気になるけど……。
シルクにしては珍しいねぇ。あたしはあれから何回か会ってるけど、そんな事なかったし。シルクの事だから、また無茶して何かやらした、ってあたしは思うよ。
『そですね。何なんだろう……』
繋がってる心を通してブルーもこう言ってるし、本能に全く見当が付かない。ブルーが私が向こうの支部にいない間にシルクと会ってたのは意外だけど、ブルーが思ってる事もなくはないと思う。シルクと初めて会った時からそうだったけど、シルクって結構頻繁に無理して体壊したり、無茶して何度も死にかけてる。それがシルクだから今更何を言っても変わらないけど、だからこそ色んな事がうまくいってるからなぁ……。
で、シアちゃんは地面に置いた箱の蓋に前足を添え、こくりと首を傾げる。シアちゃんが開けるにはちょっと大変そうだけど、開けるとその中には――
『よいしょっと。んと、これって――』
『何なんやろう? 僕には大分小さいけど』
「ブレスレットかな? 宝石? が埋め込んであるけど」
私が着けるには少し無理がありそうな、白くて小さなブレスレット。こんな感じのアクセサリーをどこかで見た事があるような気がしなくもないけど、真ん中ぐらいに埋め込まれてる黒い宝石が、街灯の光を受けて黒く光ってる。
『シルクさん、こっちの時代で完成させたんだ』
『シアちゃん、知ってるの? 』
シアちゃんは一目見てピンときたみたいだけど、シアちゃん以外はいまいちパッとしない表情をしてる。私は知ってるような知らないような――凄くモヤモヤしてきて、多分なんとも言えない複雑な顔になっちゃってると思う。このまま分からないままなのも気持ち悪いから、試しにシアちゃんに訊いてみると――
『はいです! “変色のブレスレット”、て覚えてる? 』
『“変色の”――』
にこっ、って笑顔を浮かべながら、すぐに教えてくれる。“変色のブレスレット”、どこかで聞いたような気もするけど、正直に言って覚えてない。前にシアちゃんと会ってから今までの二年間が忙しすぎた、ってのもあるけど、何だったかなぁ……。
「何だっけ、“変色のブレスレット”って」
あれ、テトラ、覚えてない? シルクがあたしの子供達に貸してくれてた、イーブイの姿を変えてくれるアレ。一番下の子は貸してもらう前に進化しちゃったけど。
『ええっと……ん? あっ、思い出した! さっきブルーが教えてくれたんだけど、目覚めるパワーの属性変えたり、属性違いの姿に変えれるんだよね? 』
今さっきブルーに教えてもらうまですっかり忘れてたけど、言われてみればそんな感じのブレスレットを貸してもらってたような気ガする。……よくよく考えてみると、そういえば私も、シアちゃんの時代の方で一時借りてた時があった。その時はまだ試作品だって聞いてたけど、私は元々水タイプだった目覚めるパワーを炎に変えてた。
大切な事なのに忘れちゃってたのがちょっと悔しいけど、思い出せたって事で小さく声をあげる。耳もピンと立ったけど、この流れで念のため、あってるかシアちゃんにこう訊いてみる。
『うん。あの時テトちゃんとは別々だったけど、テトちゃんは炎タイプだったね』
『うん。シアちゃん、早速着けてみたら? 』
するとシアちゃんは、にっこりと笑顔を浮かべながら大きく頷いてくれる。今シアちゃんが持ってる“変色のブレスレット”、その宝石は黒色だから、悪タイプかもしれないね。向こうの時代にいる時は、使う宝石がまだ見つかってなかったみたいだけど……。
『うん。ええと、こうかな? 』
陽も沈んで薄暗いから少し見にくいけど、どのみち使う事になるから今提案してみる。今までシアちゃんは前足で掴んでじっくり見てたりしてたけど、私に言われて左の方に着けてくれる。入ってた箱が少し不釣り合いな気がするけど、見た感じブレスレットはイーブイの姿のシアちゃんにピッタリ。上下にパタパタ振ってみてもずり落ちたりしてないから、シルクがシアちゃんにサイズを合わせて作ってくれてたのかもしれないね。
「いいんじゃない? ちゃんと――」
『中々来ないと思ったら、こんな所にいたのか』
『もしかしてどこかで戦ってたりしてた? 』
ライトがシアちゃんの何を言おうとしてたかは分からないけど、このタイミングで別の誰かの声が聞こえてくる。流石に二回目だからシアちゃんも驚きはしてなかったけど、ため息交じりのと合わせて二つの声が駆けてきてる。正確に言うと一つは羽音だけど、そっちの方に振り返ると、そこには――
『ラフ、ラグナ! 』
『来るまでに色々あってね』
呆れた表情をしたグラエナ、ラグナと、彼とは正反対の顔をしたチルタリスのラフ。ライトが言うにはふたりは私達のチームの中では最初にカントーに来てたみたいで、色々と事前調査とか地方の状況とかを調べてくれてたみたい。ラグナはチームの中では最年長で、一言で言うならライトの保護者って感じ。参謀みたいな役割をしてくれてるってのもあるけど、ライトはよくラグナに叱られてるね。
『先にトキワの監査も済ましてきた、ってのもそうなんやけど、立ち話が弾んだってのもあるね』
『はぁ、またか……』
『いつもの事だからしょうがないよ』
私も何となくそんな気はしてたけど、そうじゃなかったらライト達が最初にトキワのセンターに着いてたと思う。ライトがジムリーダーと話し込むのはいつもの事で、その度にラグナに呆れられてる。毎回だから私――多分ティルとかみんなもそうだと思うけど、あまり気にしてないね。ティルもこう言ってるし。
『だろうな……。で、アーシア、テトラも、久しぶりだな』
『前に会ってから二年は経ってますからね』
『そうだな』
このまま呆れ続けても埒が明かないからって事で、ラグナは一度咳払いしてから私とシアちゃんに話しかけてくれる。私は向こうの支部に異動になった時以来だから、確か一年半ぶりぐらいになると思う。
『あれ以来会えてないが、テトラ、向こうの俺はどうしてる? 』
『例の彼だよね? 私も時々話すんだけど、元気でやってるよ』
『そうか。今回の任務が終わってから、久しぶりに会いに行ってみるか』
「あっ、それいいかもね。私も向こうのみんなに会いたいって思ってたし」
『そうだね』
私は今まで向こうの世界にいたから久しぶりって感じもしないけど、私以外のみんなにとっては良いかもしれない。シアちゃんは向こうでの任務の時にいなかったから仕方ないけど、みんな向こうの世界にも仲が良い知り合いがそこそこいる。中でも私も始めた会った時は驚いたけど、向こうの世界のラグナにあたるグラエナがいる。他にも向こうの世界には、シルクにあたるエーフィとコット君にあたるサンダース、それからホウエンの支部のシャワーズもいたね。
『私もお会いしてみたいです。センターにも着いたから、部屋で聞かせてくださいね? 』
『うん! 』
みんなに話したい事は山ほどあるけど、正直今は早く休みたい。今日一日ずっと歩きっぱなしで疲れてるし、その方がゆっくり出来るからね。シアちゃんの言うとおりセンターにも着いたから、そっちの方が良いような気もする。もうこんな時間だから部屋が空いてるか心配だけど、受付に女の子が一人いるから、まだ大丈夫だと思う。あの子で最後の部屋が――
「あっ、ユイちゃん。ユイちゃんもニビまで来れたんだね? 」
『ん? 』
あの子で埋まるかもしれない、ってちょっと心配になったけど、私の心配を余所にライトが何かに気づいて声をあげる。ライトがそっちの方に走っていったから私もついていったけど――
『よかった。トキワの森って割と迷うって聞くでな。まぁウバメの森もなかなかなもんやと思うけど』
『確かにね。けど森育ちのテトラとフルロならそんな事ないんじゃない? 』
『へっ? うっうん』
ティルとフルロも似たような反応してる。ふたりもあの子の方に手を振りながら走っていってるから、もしかすると知り合いなのかもしれない。私は私で考え事してて、変な声出しちゃったけど……。まぁとりあえず考えても始まらないから、とりあえずライト達の背中を追――
『あっ、テトラ姉! 』
『ええっ、嘘……』
追ってたんだけど……ちょっ、ちょっと待って!
てっ、テトラ? 何か凄くビックリしてるみたいだけど、何かあった?
私の今の気持ちがブルーにも伝わっちゃってるみたいだけど、私はあの女の子の側にいるふたりのイーブイに思わず目を疑ってしまう。何故なら他にも氷タイプのロコンもいるけど、白い方のイーブイは――
『なななっ、何でヘキサがここにいるの? 』
トキワの森にいるはずの、私の従妹のヘキサだったから。
『えっ? 』
「へっ? 」
何でヘキサがここにいるのかさっぱり分からないけど、いても経ってもいられなくなって私は三本の足で彼女の方に駆け寄る。もうひとりのイーブイ――何か跳ねっ毛があるけど――その子も不思議そうに首を傾げてる。
『テトラ姉! あたしもあれからすぐトレーナー就きになったんだよ! 』
『とっトレーナー就きに?』
『で、ですけどヘキサちゃん? それだとお兄さんには何て――』
……そんなことよりも私は、ヘキサの予想外の言葉に耳を疑ってしまう。私とトリ姉はそれよりも前にトレーナー就きになったけど、ジル兄はあまりトレーナー就きになることを勧めてはくれない。ヘキサ以外にも従兄弟はふたりいるけど、就きになった方のひとりがトレーナーに酷い事をされた、って今日ジル兄から聞いた。詳しくはジル兄も知らないって言ってたけど、ジル兄がいうぐらいだから相当だと思う。
『あの時は近くにいなかったけど、チータに頼んだから』
『チータに? 』
『うん! 』
ヘキサはこう言ってるけど、黙って出てきてなくてちょっとホッとした。チータは私のトレーナー就きになってない方の従弟だけど、チータなら……、まぁいいかなぁ。ヘキサは勢いよく尻尾を振ってるけど……
「ええっとテトラ? もしかしてユイちゃんのメンバーのこの子の子、知ってるの? 」
『わっ私もビックリしたけど、真ん中の従妹のヘキサ。ライトも、ヘキサ達の事、知ってるの? 』
とっとにかく私は、ヘキサの事もそうだけど、この女の子の事をライトに訊いてみようとする。だけどライトも同じ事を考えてたみたいで、私より少し早く口を開く。結局私が訊くつもりだったから変わらないけど……。
「うん。トキワのジムで逢ってね。ヌフ君とセプタ君の名前――」
『ちょっ、ちょっと待って! 』
『ん? 』
で、すぐにライトが話そうとしてくれてたんだけど、そんな彼女の言葉をロコンの彼が遮る。もうひとりのイーブイはティル達と話してるけど、そのロコンが駆け寄ってきたからとりあえず……。なんか撫でるように私の事を見てるけど、私は私でその子の事がが気になってしまう。氷タイプのキュウコンにならシアちゃんの時代で会った事あるけど、ロコンは初めて。こっちの時代でも会えるなんて思わなかったけど、確か一部の地域では属性が変わる、って向こうの時代のキュウコンから聞いた事がある。こっちの時代ではどこに氷タイプのロコン達がいるのかは分からないけど、少なくともカントーではないね。カントーは普通の炎タイプだし。
『ニンフィアさん。さっきニンフィアさんのトレーナーのライトさん、ニンフィアさんの声に応えてなかった? 』
『やっぱりセプタもそう思うよね? テトラ姉、テトラ姉のトレーナーも、もしかしてトリ姉のトレーナーと一緒で――』
ここでヘキサも入ってきて、ロコンのこの子、多分セプタ、っていう名前なんだと思うけど、その事一緒にライトの事を聞いてきた。まぁ私もヘキサ達にライトの事は話してなかったけど、そう思うのも無理ないと思う。ライトはラティアスだから厳密には違うけど、人間にはポケモンの言葉は分からないのが普通だからね。
『うん。カレンさんと全部が一緒じゃないんだけど、ライトは解るんだよ、私達の言葉が』
『えっ、嘘でしょ? そんな事ってあり得るの? 』
『そうなんだよ。トキワで会った時は言えなかったんだけど、ライトもポケモンだからね』
To be continued……