Chance Des Infinitude〜ムゲンの可能性〜










































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Chapitre Une Des Light 〜新たなる大地〜
Six 二つの組織
  Sideライト



 「ライトちゃん、わたしからも、伝えておくね」
 「うん。だって、それが本当の目的だもんね」
 無事ユウカちゃんに“夢現の笛”を渡せたわたしはあの後、実際にその効果を試してもらった。でも、センターの前、っていう人通りが多い場所では騒ぎになるから、場所を変える事を忘れずに…。
 笛を吹いた瞬間、突然一人の人間がポケモンになるんだから、当然と言えば当然だけど…。
 場所をセンターの裏に変えた後、わたしの笛の所有者になったユウカちゃんに、本当に吹いてもらった。すぐに姿を変えて、今に至る。
 わたしの笛の一件が済んで、今度はユウカちゃんが、わたしに話しかける。いつもは明るい彼女の表情が、この瞬間に、真剣なものになる。それがわたしに、重要な事を話す、と知らせ、気を引き締める事となった。
 「まずはじめに、“プライズ”から。まだ調査中だから詳しくは分からないんだけど、一言で表すなら、密猟組織、かな」
 「みつ、りょう…」
 密猟組織…、しつこく付き纏ってきたあの人と、あの出来事を思い出すよ…。いい意味でも悪い意味でも、色んなことがあったなぁ…。
 彼女の言葉で、わたしの脳裏に、ある光景がフラッシュバックする。様々な想いに満たされながら、わたしはその言葉を再び唱えた。
 『密猟か…。ツバキ、他に分かってることがあれば、教えてくれないか』
 嘗て関わりがあった組織の事を思い出していると、傍でわたし達の話を聴いていたラグナが、神妙な様子で声をあげる。彼は『もしかすると…』と小さく呟きながら、視線をわたしから正面に向ける。その先にいたのが、ユウカちゃんのパートナーでジュカインのツバキ。彼女はついさっきまでティル達と技の調整をしていたため、身体や腕に少しだけ砂埃が付いていた。
 『“プライズ”だね。プライズは二カ月ぐらい前から、活発になってきたみたい。ジョウトの情報屋から聴いた事なんだけど、一日でアサギ近くのポポッコの群れが姿を消したみたい…。最初は移動したのかなー、って思ったんだけど、地元のポケモンが言うには、移動するにはまだ時期が早いみたい…』
 『集団で、か…』
 「ラグナ、どう思う?」
 ツバキはユウカちゃんの説明に、こう付け加える。相変わらず声が弾けてるけど、それでもいつもよりはトーンが暗かった。一言も逃がすまいと、ラグナは両方の耳をピンと立てる。その甲斐あってか、彼は一言も聞き逃さなかったらしい。彼女達から得た情報を基に、ラグナは自分の頭の中で論を展開する。知ってる人は知ってると思うけど、彼は自分の経験とも照らし合わせながら、色んなことを分析し始めた。
 『…一度に沢山を捕獲する手法…、あいつらの手口に似てるな…。解散したと聞いているが、気がかりだな』
 『そういえばラグナさんって、昔は組織のメンバーだったっけ』
 『もう今となっては懐かしいがな』
 「だよね。…ええっとラグナは、わたし達が出逢った頃にあった組織と手口が似てる、って思ってるみたい」
 青い空を見上げて思考を巡らせていたラグナは、そういう結論に至り、こう答える。元々その組織の幹部のパートナーだったラグナは、いかにも思い悩んだ表情をしながら、ため息交じりに呟いていた。
 一通りラグナの分析を聴いたわたしは、ごく普通の人間のユウカちゃんの為に、こう通訳した。
 わたしも、ちょっと複雑な気分、かな…。あの組織に狙われてなかったら、ツバキ達はもちろん、シルク達にも逢えなかった。だから、嫌な思い出もあるけど、あの組織には感謝もしないといけないんだよね…。
 わたしはラグナの代わりにこう伝えながら、大切な人たちとの出会いを思い出していた。
 「ライトちゃんと出逢った頃って事は…、あの時のだね」
 「うん。ラグナが言うんだから、そうだと思うよ」
 わたし達よりも一回り年上っていうのもあるけど、ラグナの意見は本当に参考になるよ。経験も豊富だし、“エクワイル”に入ってからは、いわゆる非社会的組織の心理とか、そういう人たちがしそうなことを教えてくれる。頼もしい存在だよ。
 そう彼の事を想いながら、親友の言葉に大きく頷いた。その彼女はというと、わたし達の出逢いを懐かしそうに思い出しながら、こう呟いていた。
 初めてユウカちゃんに正体を明かした時の反応、今でも忘れられないなー。
 『あの時はラグナとは戦わなかったけど、そうだよね』
 『だな』
 「だよね。ええっと、もう一つの組織は“プロテ―ジ”…」
 「あっ! もしかしておねえさんってホウエンでゆうめいながかだよね」
 「えっ、なっ、何て言った?」
 びっ、ビックリした…。
 話し込んでいるわたし達は、最終的に同じ思いで満たされた。続けてユウカちゃんが、次なる組織の情報を放そうとした丁度その時、センターの表の方から、早すぎて何を言っているのか分からない声が響いた。突然の事で不意を突かれたわたしは、エスパータイプって事もあって、驚きのためにとびあがり、変な声をあげてしまった。わたしとは違い、効果がいまひとつなラグナは、何ともないみたい…。いたって冷静に、その声がした方に振りかえっていた。
 「おねえさんってユウカっていうがかでしょ」
 その方に振り返ると、見た感じ十二、三歳ぐらいの少年が、興味津々と言った様子で、目を輝かせていた。
 「そっ、そうだけど…」
 『私達、まだジョウトでは活動しはじめたばかりなのに、よく分かったよね』
 『本当にそうだな。あるいは、ホウエン出身か、だな』
 一方のユウカちゃんは、いきなり自分の事を当てられたため、目が泳いでいる。今までそういう経験が無かったのか、凄く戸惑っていた。ツバキは、自分のパートナーの事を知ってもらっていたために、凄く嬉しそう。さっきまでのトーンとはかなり違い、声に活力が感じられた。
 「だってユウカさんってがかなのにリーグをにかしょもせいはしたってゆうめいだから。トレーナーならしっててとうぜんでしょ」
 やっ、やっぱり、聞き取りにくいよ。この子くらい早口なひと、初めて会ったよ。
 突如現れた少年は、神速並の速さで、言の葉を連ねる。よく一息でこんなに長く話せるね、って半ば感動しながら、彼の話す声に必死に食いついた。それはユウカちゃんにツバキ、ラグナも同じみたいで、揃って眉を細めながら、聞き入っていた。
 「それにおねえちゃんオイラエレンっていうんだけどおぼえてるかなー」
 「わっ、わたし!?」
 『ライト、この事知りあい?』

  ううん、知らないよ。こっ、こんなに早口なら、覚えてるはず。だっ、だけど、覚えてないよ。

 えっ、ユウカちゃんなら分かるけど、何でわたしまで知ってるの!? 会った事、無いはずなのに!
 立て続けに飛び出す彼の爆弾発言に、わたしは再び驚かされた。弱点を突かれたわたしはあまりの事に、今まで経験したことが無い程、鼓動が小刻みに音をあげていた。
 この事にいち早く反応したのが、ジュカインのツバキ。彼女は彼の発言から、当事者のわたしに、首を傾げながら訊ねてきた。それにわたしは、彼女だけに言葉を念じて返事する。念じたトーンから、多分、わたしの驚きの度合いも、彼女に伝わる事となった。
 「うん。だってライトさんライトさんのメンバーにいろちがいのニンフィアがいるでしょ。そのニンフィアがあそこにるポケモンでしょ」
 「わたしの名前まで!? そっ、そうだけど、何でわたしのことをそんなに」
 『俺も覚えてないが、ここまで当たれらたなら…、もしかすると本当に会ってるのかもしれないな』
 こんなに知られてるとちょっと気味が悪いけど、やっぱりそうなのかな? テトラの事まで知ってるみたいだし。本ッ当に覚えてないけど…。
 気持ちいいぐらい言い当てれたわたしは、彼に対して若干の嫌悪感を覚える…。でもそれを表情として出す暇は無く、ただならない驚き、それだけがわたしの表情、感情までをも支配していた。
 「さんねんまえにたたかってるんだけどおぼえてないみたいだね。まぁいいや。ユウカさんにもあえたしそろそろいくよ」
 「えっ、あっ…」
 気が済んだのか、早口な少年、エレン君はわたし達の言葉を待たず、立ち去ってしまった。
 あまりの事に唖然としたわたし、ラグナ、ユウカちゃん、おしゃべりなツバキまでも、言葉を失っていた。


 あの子、一体何だったんだろう…? あんなに不思議な子、会うの、初めてかも…。



   Continue……

■筆者メッセージ
シルク『“絆のささやき”第十一回目は、ゲストとのトークをお送りするわ。今回のゲストは、〜導き〜から出演している、エレン君よ! エレン君、久しぶりね。
エレン「うんシルクさんひさしぶり。
シルク『エレン君、早速だけど、今回はどんなことを話してくれるのかしら?
エレン「うーんとそうだね。じゃあたぶんみんながきになってるライトさんとのかんけいこれをはなすよ。
シルク『そういえば、本編で、会ったことがあるって言ってたわね。
エレン「うん。じつはオイラライトさんと〜みちびき〜のときに たたかってるんだよ。
シルク『そうだったのね。
エレン「うん。
シルク『エレン君、ありがとね。

今回の放送はこれで終了。ゲストはエレン君でした。また次回、お会いしましょう。お楽しみ!
エレン「オイラたちはどっちにもでるからよろしくね!
Lien ( 2016/04/14(木) 21:58 )