Chance Des Infinitude〜ムゲンの可能性〜










































小説トップ
Chapitre Une Des Light 〜新たなる大地〜
Trois 船上の群れバトル
  Sideティル



 「さぁ、始めよっか」
 ライトは正面を向いてる俺の背後で、彼らにそう呼びかける。背中でパートナーの宣誓を受けとめた俺は、疾走する潮風に尻尾、体毛を靡かせる。その風に彼女の宣言を乗せてから、自らの士気を高めた。
 この三年間で色んな状況に接してきた…。睨みを利かせていた組織に見つかって、囲まれた事もあったし、連戦続きで疲れた状態で何十分も全力で走って逃げた事もあった…。今思えば、この三年間の経験が、俺だけじゃなくて、テトラにラグナ、ラフ、ライト…、みんなを色んな意味で強くしてくれた。だから、負ける訳にはいかないね!
 『なるほどね。君達は、相性では俺に勝ってる。それで押し切るつもりだね』
 俺は本の一瞬だけ感傷に浸ってから、対峙する一匹一匹に視線を流す。一目見ただけで種族、相性を判断してから、彼らにこう呟いた。
 『折角私達が有利な風にしてもらってるんだから、当然じゃない』
 このバトルの切っ掛けとなった少年のメンバー、ニドリーナの彼女が、つんとした様子でこう返す。
 ニドリーナは、確か毒タイプを中心に戦う種族だっけ? それから、進化したら地面タイプも入るはずだから、油断できないね。
 『それがバトルの基本じゃないの』
 次に、後ろで控えめにいた子のパートナーと思われる彼、頭の葉っぱが特徴的な種族…、ホウエンでよく見かけたコノハナ。彼はニドリーナの彼女をチラッと見、こう呟いた。
 彼は相性だけで考えると、俺の方が有利。でも、不意を突かれて騙し撃ちをくらったら、一気に攻められかねないね。
 『スクールで習ったもんね』
 『だからおれ達が勝ったも同然だな』
 見た感じ彼らの中では一番年下っぽいこの子、リオルの少年が無邪気な声でこう言い、如何にもガキ対象っていう出で立ちのワルビルの彼が、リオルに加勢した。
 リオルなら問題ないけど、ワルビルは要注意だね。だから、最初にこの子を倒さないを、流石にマズいかも。
 『でも、油断しないほうがいいかもね』
 最後に、見るからに活発な女の子、デンネネの彼女が、声の調子からは想像できない慎重な発言で、仲間に注意を呼びかけていた。
 この子もそうだけど、特性が毒の棘のニドリーナもいるから、今回は接近戦はナシだね。接近戦以外はあまり得意じゃないけど、今回は最初からそのつもりだったから、まっ、いっか。
 『本当にその通りだよ。でも、そうはいかないから、覚悟してよね』

  ライト、今回は追い込みたいから、使える技も言っちゃっていいよ。

 各々がそれぞれに言葉を交わし合う彼らに、俺はこう呼びかける。数で圧倒的に有利な彼らに、後半からは鋭い視線に切り替えてから、こう警告した。その後すぐにライトにもこう言葉を念じ、開戦する戦闘に備えた。
 「わたしのマフォクシーが使える技は、サイコキネシス、未来予知、火炎放射、瞑想の四つ。こんな感じだから、容赦なくいかせてもらうよ!」
 ライトはたぶん、俺の頼みを聴いてから、こくりと頷く。するとすぐに、右手の指を一本ずつ立てながら、俺が使う技を数えていった。最後に声を張り上げた事によって、戦場の対戦が幕を開けた。


  ここからはキリが無いから、ライトとトレーナーの指示は割愛させてもらうよ?


 『悪いけど、先攻はもらうよ! サイコキネシス』
 ライトが言い終えるや否や、俺は真っ先に正面に向けて走り出す。吹き荒れる潮風に体中の毛を靡かせながら走ること約四歩、俺は隠し持っているステッキに手をのばす。それを右手で水平に振り抜き、空気との摩擦で炎の曲線を描いた。それだけには留まらず、一歩分遅れて超能力を発動させる。すぐにそれで朱の軌跡を拘束し、そのまま放射状に解き放った。
 これは、ラグナが使える悪の波動からヒントをもらって考えたもの。炎の全体技で熱風があるけど、エネルギーを沢山使うのが難点。かたちが悪の波動に近いから範囲は狭くなるけど、大分節約できるから、十分かな。
 『なっ、何、あの技。電気ショック』
 『泥かけ。お前ら、頼む!』
 『任せて! まねっこ、泥かけ』
 『当然よ!』
 俺の見慣れない攻撃に、彼らは一瞬驚く。でもすぐに体勢を立て直し、炎の波に迎え撃ってきた。
 まず初めに、デンネネの彼女が持ち前の素早さで先行し、ほっぺのあたりから電気を放出する。ほんの一秒ほど遅れて、ワルビルの彼が右手を若干下げる。そこにエネルギーを溜めていたらしく、それを振り上げ、数センチほどの大きさの泥の塊を飛ばしてきた。リオルの彼もワルビルに続き、技を発動させる。文字通り動きをそのまま真似し、土色の弾を撃ちだした。
 残りの二匹は、迫り来る俺を挟み撃ちにするために、二手に分かれる。ニドリーナの彼女は俺から見て左に走る。あの様子からすると、何かの技のイメージを膨らませながら、俺に狙いを定めた。右に回り込むコノハナの彼は、彼女の様子をチラチラ見ながら、同じように距離を詰める。
 なるほどね。連携はいい感じだけど、次の行動がバレバレだよ?
 『もう一発』
 右腕を目一杯広げた俺は、今度はそれを思いっきり左に振りかざす。さっきの要領で赤い曲線を描き、迫る彼女達の牽制を仕掛けた。
 その間にも、俺の第一波と彼らの三発が接触する。最初の電撃は並の中心を捉え、厚さを薄くする。後の土がそこを集中的に攻撃し、炎の縄を分裂させた。彼らは何とか切れ目を作るのに成功し、俺の攻撃を回避した。
 『乱れづぅっ! 一発じゃ、なかったの!?』
 『騙し撃ちで…、うわっ!』
 第二波は見事に相手の不意を突き、発動させかけていた技を中断させることに成功した。相性の関係で、コノハナの彼はかなりのダメージを受け、逆方向に飛ばされる。しかしニドリーナの彼女は堪え、構わず跳びかかってきた。
 『でも、技を使ったすぐ後なら…、今度こそ、乱れ突き』
 『そうはさせないよ』
 そっちから近づいて来てくれたなら、使わない訳にはいかないね。
 振りかざした勢いをそのままに、俺は次なる作戦を仕掛ける。左に振った勢いを逃がさずに、俺は身を屈めて体勢を低くする。事実上しゃがんだままその場で一回転する事になった。この瞬間に、維持していたサイコキネシスを解除した。
 その間に、彼女は額の角に力を蓄え、しゃがんだ俺の顔を狙う。
 『えっ、くぅッ…!』
 彼女の正面を向いた瞬間、俺は右手のステッキを、手のひら側を上にして振り上げた。それは連続攻撃を仕掛けようとしていた彼女の下あごを、正確に捉えた。
 あの様子だと、コノハナのあの子は、もう戦えないかな。この一発も手ごたえがあったから、この子も多分…、
 『電光石火』
 『はっけい』
 『なっ、しまった』
 ニドリーナの彼女に集中し過ぎたせいで、俺は残りの三匹の攻撃を許してしまった。 まず初めに、若干左向きになっていた俺の右の腰の辺りに、デンネネの彼女が捨て身で突っ込む。体重差もあって弾かれた彼女は、すぐ後ろに控える彼の為に、場所を開けた。
 リオルの彼は弾かれる彼女の下を潜り抜け、右腕を広げ、構える。それを力任せに振り、俺の脇腹を思いっきり叩いた。
 これは、さすがにやられたなー。
 『火炎放射』
 『きゃっ!』
 『デンネネ!』
 彼からの連続攻撃を避けるために。俺はすぐに跳び下がる。同時に口元にエネルギーを集め、炎のブレスとして解き放った。それは彼の右側スレスレを駆け抜け、一直線に突き進む。その先で電気を溜めていた彼女を掠め、弾き飛ばした。
 『おれの事を忘れるんじゃねーぞ。ダメ押し』
 ごめん、正直な話、忘れてたよ。
 燃え盛る火炎を吹きだしている俺の右から、空気になりかけていたワルビルが迫る。彼はこうはき捨てながら、自身の右手を振りかざしてきた。
 『まねっこ、ダメ押し』
 さらに左からもリオルの彼が接近し、俺の弱点を突いてきた。
 …なかなかの連携だね。でも、このくらいでは、俺は倒せないよ。
 『えっ、嘘でしょ』
 俺はすぐに口を閉じ、技を中断する。それから俺は、左側にいるリオルを狙い、右手に持っているステッキを投げ飛ばした。突然の飛び道具の登場に驚いたのか、彼の攻撃は空気を捉えた。
 『残念ながら、君の事は忘れてないよ』
 『ハァッ? 絶対に…、何っ!?』
 もちろん俺は、残りの彼を放っておくことはしない。振りかざしてきた彼の右手…、ではなく、腕の方を、左手で掴む。それと同時に、彼の左肩も右手で掴み、技をかけるタイミングを見計らう。
 彼が前に踏み出そうと右脚を地面から放した瞬間に、俺は高さを合わせて左足でそれを払った。同じタイミングで掴んでる左で引っ張り、右を押し込む。すると彼の重心は反時計回りにズレて、右肩から倒れ込んだ。
 『火炎放射』
 『ぐぅっ! おれの方が有利な、はずなのに…』
 相手が崩れた瞬間に、俺は彼から両手を放す。すぐに間合いを開け、高温の炎で追撃した。
 出足払い、久しぶりに使ったなー…。
 『ワルビル! もっ、もしかして、もうぼくだけ? でっ、電光石火』
 最後に残ったリオルの彼は、明らかに動揺している様子…。冷静さを失ったのか、真正面から俺に向かって突っ込んできた。
 『サイコキネシス。焦ったら、負けちゃうよ?』
 それに対して、俺は彼にこう優しく語りかけ、超能力を発動させる。見えざる力でリオルの彼…、ではなく、さっき投げたステッキを手繰り寄せ(たぐりよせ)た。
 『だって…』
 『それから、周りをちゃんと気にかけた方がいいよ』
 右手を地面につけ、体勢を低くする。左足を少し地面から放した状態でのばし、彼との距離を測る。
 『えっ…』
 そして、そのまま左足で蹴り払い、相手の足元に当てる。案の定バランスを崩し、彼は前のめりになる。
 『くっ!』
 そこに俺が操るステッキが先回りし、振り上げる事で彼を空中に放り出す。
 『火炎放射』
 すぐに技を解除し、トドメの火炎を解き放った。
 『うわっ! …負け、た』
 それは為す術がない彼に命中し、体力を削り切った。


 とりあえず勝ったけど、まだまだかな。試した作戦もまだ不十分だったから、もうちょっと改善が必要かな…。


  Continue……

■筆者メッセージ
シルク『“絆のささやき”第六回目は、お詫びと、お知らせね。

第五回目の事はフライから聴いてるわね? 本当はすぐに仕事を終わらせて来るつもりだったけど、長引いてしまったのよ。“テレパシー”を使っても、そもそも私はポケモン。上手くいかないものだわ…。そう言う理由で、来れなかったのよ。本当に、申し訳ないわ。

…ええっと次に、お知らせの方は、本編の更新について。第六回目が更新された今日、七月三十一日から、@が夏休みに入ったのよ。昨日まで大学の試験で時間が取れないって言ってたけど、もう大丈夫って言ってたわ。だから、更新頻度も上がるかもしれないわね。

第六回目はこれで終了、次回をお楽しみに!
Lien ( 2016/04/14(木) 21:55 )