Dernier コガネシティへ
Sideライト
「…またのご利用をお待ちしています」
「はい、ありがとうございました」
『ありがとうございます』
昇格試験も無事に終わって、わたしは戦ってくれたみんなを回復してもらうために、タンバのセンターへ…。その途中でメガ進化が説かれたから、ユウキ君に肩を借りながら何とか辿り着いた。気を失っているアーシアちゃんは、目を覚ましていたらしいコルドに頼んで、代わりに乗せてもらったから何とかなった。コルド自身も疲れてるはずだけど、それはユウキ君も同じ…、かな?
それで回復してもらったから、わたしはみんなが控えている五つのボールを係の人から受け取る。アーシアちゃんはその人の後ろからついてきて、自力で出てきてくれる。いつもの位置にセットしたわたしは、その係の人に頭を下げる。右目で見た感じだと、アーシアちゃんもぺこりとお辞儀をしていた。
「アーシアちゃん、体は大丈夫? 」
『はいです。守るで軽減できたから、大丈夫です! 私は途中で気絶しちゃったけど、シルクさんはどうなりました? 』
「何とか倒せたよ」
『ということは…』
「正式には退院後になるけど、合格だよ」
退院後だから、いつになるか分からないけど…、それからだね。アーシアちゃんも制御が効いてないシルクの攻撃をうけてたから、何ともなさそうだけど一応聞いてみる。だけどわたしの心配は杞憂に終わり、彼女は笑顔で答えてくれた。センターの出口に向けて歩きはじめたところで、今度はアーシアちゃんが試験結果について尋ねてきた。みんなには向こうに着いてから言うつもりだけど、外にいる彼女には一足先に教えてあげることにした。…どのみち、これからユウキ君から聴く事にはなると思うけど…。
『内定、みたいな感じですね? 』
「そうなるかな? …さぁ、ユウキ君達が先に外で待ってくれてるから、ちょっとだけ急ごっか」
『ええと確か、コガネシティに行くのですよね? 』
「うん。入院は明日からだけど、色々と手続きが必要みたいだから、時間に余裕を見るため、だって」
回復してもらうのを待ってる間に聴いた事だけど、入院するための手続きだけじゃなくて、昇格試験に関する事とかその他諸々の事で書類を作らないといけない、って言ってたっけ?
『そうなのですか』
「うん。そういう事だから、行こっか」
『はいです! 』
入院中の事はこれから相談するつもりだけど、確かユウキ君、大学のバトルサークルの顧問をしてる、って前に言ってたっけ? だから、その間はサークルに顔を出したり、エクワイルの別の任務の手伝いをしてもらう事になりそうだね、きっと。わたしはこんな事を考えながら、右側を二足で歩いてくれているアーシアちゃんと話し込む。どうなるかはまだ分からないけど、今はまず、コガネに行く事から始まるかな? シルクの話しだと、左目の鎮痛剤の効能が今晩にも切れるみたいだから、まずはそれから済ませることになると思うけど…。
で、わたしがこんな風に呼びかけたら、アーシアちゃんはにっこりと答えてくれた。…思い返せばアーシアちゃんはテトラ…、大元はシルクを通してだけど、ふたりを通して知り合ったから、最初はどうなるか分からなかった。森で会った時は何ともいえない距離感が合ったけど、今では思った事を色々話せる、そして一緒に話していて楽しいって思える、いい友達になれたと思う。直接聴くのはちょっと恥ずかしいけど、多分アーシアちゃんも、そう思ってくれているんじゃないかな?
そうこうしているうちに、わたしはセンターから出て、外の砂を踏みしめる。和気藹々と彼女と話し、これから飛ぶ事になるから、わたしはいつものように光を纏う。
『シルク達が待ってくれているからね! 』
右目で笑いかけながら、わたしはブラッキーの彼女にこう言う。そしてわたし達は、優しい潮風をうけ、親友達が待つ浜辺へと砂を巻き上げていった、それぞれの思いを胸に秘めながら……
Chance Des Infinitude Histoire des Light 〜夢現の可能性〜 Complet……