De Lien Douzieme もう一つの方法
Sideユウキ
『
うぅ…、シルクが、物理技を…? 』
『シルクさん、十分経ちました! 』
『……』
……。これは…。気を失っていた僕は、近くでする物音でふと目を覚ます。僕はラグナさんと戦っていたはずだけど、倒れてたって事は、僕の負け、たぶんそういう事なんだと思う。ひとまず僕は閉じていた目を開け、横たわったまま今の状況を把握しようとする。物音だけでバトル中っていう事は分かってたけど、そのじんぶつまでは分からなかった。
『…ライトと…、シルク…? でも何で…、ライトとシルクが…』
『あっ、ユウキさん。気がついたね? 』
『…うん。…これって、どういう状況? 』
数秒して焦点が定まってくると、そこでようやく、僕は戦闘を繰り広げているのが誰なのか知ることができた。戦っていたのは、キュリーブとして試験に挑んでいるはずのライトと、試験監督として結果を判断することになっているシルク。ライトがメガ進化しているから、おそらくお互いが全てを出し切った戦いをしている、パッと見ただけでそれだけは分かる。だけど分からない事が一つ、使えないはずのシルクが、尻尾でライトに攻撃をしていたということ…。当事者が戦っている以上訊けないから、僕はこの光景を見ながら考える。だけどその途中で、僕の意識が戻った事に気がついたらしく、色違いのニンフィアのテトラさんが話しかけてきた。
『ええっと、二勝二敗、二分けで判定できなかったから、シルクとライトのバトルで決着をつけよう、って事になったんだよ。私もシアちゃん…、ブラッキーから聴いただけだけど、シルク…、“チカラ”を封じて戦ってて…』
『“チカラ”を封じて? 封じてって…、“証”を外してから何分経ってる? 』
『えっ…、十分、だけど…』
十分、ならそろそろ、エネルギーのコントロールが出来なくなるくらいか…。僕の問いかけに、テトラさんはすぐに答えてくれる。どういう内訳でこう言う結果になったのかまでは分からないけど、テトラさんがいるっていう事は、多分彼女が白星を上げたんだと思う。そう感じたのも束の間に、僕は彼女の口から出た試験内容に、思わず頓狂な声をあげてしまった。僕自身にも言える事だから、その危険性は十ニ分に分かっている。
『それなら、すぐにでも“証”を着けさせないと、大変なこ…』
『それも聴いてるよ。外してから三十分以内に、シルクを気絶させればいいんだよね? だから、多分ライトなら、大丈夫だ…』
『いや、大丈夫じゃないよ! 』
『えっ…』
『あの時は僕が無理やり、寸前で着けさせて何とかなったけど、フライでも一週間は動けないくらいの大怪我を負った…。シルク自身もまともに喋れない状態まで言ってたから、本当に危なかった…。そのくらいだから、ただでさえふたりとも万全な状態じゃないから、取り返しがつかなくなる…。だから、今すぐにでも“証”を着け直さないといけない。そうすれば、“チカラ”が戻って守りが無くなるから…』
『その時に、一発でも当てればいいんだよね? 』
『そういうことに、なる…』
『じゅっ、十五分です! ライトさん! 』
『それじゃあ、私もすぐに行ってくるよ。…ライト! ムーンフォース! 』
本当は僕がするべきだけど…、テトラさん、頼んだよ。大分端折って危険性を話したから、正直言って伝わったかどうかは分からない。だけど彼女は彼女なりに分かってくれたのか、チラッとシルク達の方を見ながら頷く。とそこに、時間の番をしてくれているのか、アーシアさんの焦った声が響き渡る。それが合図っていうことになってたのか、僕と話していたテトラさんは、戦場になっているライト達の方へと駆けていった。
Continue……