Chance Des Infinitude〜ムゲンの可能性〜










































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Chapitre Douze Des Light 〜立ちはだかる壁〜
Quatre-vingts-six 月光に憚る哲心の壁(第壱戦)
 Sideアーシア



 「アーシアちゃん、一戦目、頼んだよ! 」
 『はいですっ! 』
 「それなら…、コルド! 」
 一番手だから、絶対に負けられないですね! ライトさんから先鋒を任された私は、ぴょん、軽く跳んで一歩前に出る。最初は結構大切なポジションだから、誰が相手なのかわからないけど、負ける訳にはいかない。ここで勝って流れを作って、一気に勝ち進みたい…。だから私は、ライトさんの呼びかけに大きく頷いた。
 『はい! アーシアさん、お手柔らかにお願いします』
 えっ、こっコルドさんが、私の相手? ユウキさんが投げた赤と白のボールから跳び出したのは、コバルオンのコルドさん。コルドさんとは直接話したことはないけれど、ライトさんと同じ、伝説の種族ていう事は知っている。四足で立っている私から見ると結構大きいけれど、他の人みたいな息が詰まりそうな重圧はあまり無い気がする。
 『私こそ、よろしくお願いしますっ! 』
 『はい! …それでは、いきますよ! 神秘の守り! 』
 『電光石火! 』
 伝説の種族が相手でも、負けません! 向かい合うコルドさんの一声で、私達の代一戦目が幕を開けた。コルドさんはすぐにエネルギーを解放させ、淡い光を纏う。パンッ、って弾けたから、技は成功したと思う。私は状態異常とか能力を下げる技は使えないけど、万が一の時に備えるのがバトルの鉄則だ、ってリファルさんから聴いた事がある。
 だから私は、コルドさんとほぼ同じタイミングで、後ろ足に力を込める。ターンッ、って勢いよく地面を蹴って、一気に駆け出す。六メートルぐらいの距離があるけど、私はほんの一瞬でその距離を詰める。二メートルぐらいになったところで二足になって、力を溜めながら跳び上がった。
 『アイアンテール! 』
 走った勢いも乗せて、私は体を捻る。コルドさんの首元を狙って、溜めていた力を解放する。反時計回りに回転しながら、硬質化させた尻尾で思いっきり叩きつけた。
 『中々いい攻撃ですね! …メタルバースト! 』
 『えっ…、くっ! 』
 かっカウンター攻撃? 打ちつけた尻尾には、確かに手ごたえはあった。だけど見た感じだと、あまりダメージは通っていなさそう。その証拠に、コルドさんは一歩下がり、頭を低くする。その状態で弾かれた私を狙い、反撃を仕掛けてきた。
 空中に投げ出された私は、何もできずにその頭突きを食らってしまう。致命傷を負うほどではなかったけれど、不意を突いた攻撃だったから、そこそこ痛い。ジーンと来るような痛みが、私の中を駆け抜けていく。着地の時に少しふらついたれけど、何とか耐える事はできた。
 『月の光…』
 『今度は僕からいきますよ! 』
 これくらいのダメージなら、完全に回復できるかな? 私はすぐにエネルギーを活性化させ、天に祈りながらそれを解放する。すると明るいから見にくいけど、空から私の所だけに暖かな光が差し込む。その光が私を包み込み、痛みをある程度緩和してくれる。その間も私は、迫ってくるコルドさんに目を向けながら、その出方を伺った。
 『ラスターカノン! 』
 『守るっ! 』
 結構近いから、圧しが凄い…。私から四メートルぐらいの位置で、コルドさんは口元にエネルギーを蓄え始める。殆ど時間をかけず、そこに銀白色のエネルギー体を創り出す。それを走りながら、ブレスとして撃ちだしてきた。
 それに対して私は、もう一回二足で立ち上がり、対処する。手元に技のエネルギーを集中させ、両手を前に突き出しながら解放する。衝撃に備えて重心を落とすと、その瞬間に、私の目の前に緑色のシールドが出現する。ギリギリだったけれど、何とか受け止める事はできた。
 『これならどうですか? 』
 正面を向いた状まま、コルドさんは私から見て右に跳ぶ。銀白色のブレスを放ちながらだから、多分守りの薄い横側から私を撃ち抜くつもりなんだと思う。だから私は、右足を一歩下げ、コルドさんの動きに合わせて回れ右をする。結構長い時間受け続けてるから、シールドにヒビが入りはじめたけれど…。
 『平気ですっ! スピードスター! 』
 それなら…。ヒビが一気に広がり始めたから、私は割れる前にシールドを意図的に消滅させる。だけどこのままだと攻撃を食らうことになるから、同時に左に跳んで回避する。右足で砂を押し込んでから、すぐにエネルギーを蓄積させる。体の右側に両手を構え、左足が地面につくのと同時に前に突き出す。すると具現化させていた白い球体が空気をかき分け、七つに分裂。星型になって、技を中断したコルドさんに向けて飛んでいった。
 『聖なる剣! アーシアさんの思い通りには、させませんよ! 』
 『臨むところですっ! 』
 だけどこの攻撃を、当然コルドさんは素直には受けてはくれない。一つ一つ襲いかかる流星のタイミングに合わせて、コルドさんは右に左に…、と跳躍する。距離を保っている私に迫りながらだから、多分近距離技を仕掛けてくるつもりなんだと思う。
 私の予想通り、コルドさんは七つ目を回避したところで大きく跳躍してきた。角を光らせ、頭を下げながら私を狙ってくる。どんな技かは分からないけれど、これだけはかわさないといけない、そんな気がする。だから私は、エネルギーを活性化させながら、テンポよく後ろへと跳び下がった。
 『もう一ぱ…』
 『体当たり! 』
 『っく…! 』
 一発で攻撃が通らないなら、強化すれば…! 連続で角で突いてきたから、私も一定のリズムで後ろに下がる。もちろんただかわすだけじゃなくて、剣の舞で潜在能力を高めながら…。四回目に突いてきたところで、私は下がる方向を右にずらす。右足で着地し、遅れた左足で砂を踏みしめる。方向転換し、隙が出来たコルドさんの腰に捨て身で突っ込んだ。
 『体当たりでここまでの威力…、流石です! …メタルバースト! 』
 『電光石火、シャドーボール! 』
 『僕にゴーストタイプの技は…、効きませんよ! 』
 シルクさんから聴いていたから、分かってます! 密接する位置にいるから、私はすぐに別の技を発動させる。物理技を命中させたらコルドさんは反撃してくるから、両手が砂につくとすぐに、前にグッ、と押す。三メートルぐらい跳び下がり、二歩目を踏みだしたところで技を中断。口元に漆黒のエネルギー体を創り出し、目くらましのつもりで正面から発射した。
 『知ってます! 』
 『ラスターカノン! 』
 このまま強化して、あの技を発動させれば…! コルドさんは格闘タイプだから、シルクさんから教えてもらったあの技なら、多分大ダメージを与えられると思う。そのために私は、剣の舞で限界まで強化するつもり。向き直ってブレスを放ってきたけれど、そういう訳で私は、防ぎきれるけどあえて左に跳んで回避する。首をふって追撃してきたけど、私は徐々に三メートルある距離を詰めながらかわし続けた。
 『スピードスター! 』
 『くぅっ…! 威力が、上がってる…? 』
 コルドさん、気付いたみたいですね? 一メートルの所まで詰めてから、私は口元にエネルギーを溜める。十分に溜めなかったけど、剣の舞で強化しているから、それでも十分にダメージを与えられるはず。四つの流星が勢いよく降りかかり、コルドさんに確実にダメージを与えていく。結構効いているらしく、コルドさんは私の特殊技で圧され始めていた。
 『そうです! アイアンテールっ! 』
 『…っ! 』
 ほんの少し距離が開いたから、私は二足で跳びかかる最高点に達したところで力を溜め、捻りを利かせて尻尾を横に振り抜く。そうする事でコルドさんの前足を払い、体勢を崩す。狙い通り前のめりになったから、私は潜在的な力に意識を向け…。
 『これで最後です、アシストパワーッ! 』
 コルドさんの足元に、気柱を出現させる。剣の舞で強化された薄紫色のそれで、思いっきり突き上げた。
 『…っくぅっ……! …アーシア…、さん、お見事…、です…』
 もしかして…、勝てた…? 私の気柱に突き上げられたコルドさんは、受け身が取れず砂浜に叩きつけられる。すぐに立ち上がろうとしていたけれど、力が入らなかったらしく、崩れ落ちてしまう。そのままコルドさんは、一言つぶやくと、気を失ってしまった。


  Continue……

Lien ( 2017/06/11(日) 18:06 )