Chance Des Infinitude〜ムゲンの可能性〜










































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Chapitre Douze Des Light 〜立ちはだかる壁〜
Quatre-vingts-cinq 本試験の課題
 Sideライト



 「それじゃあアーシアちゃん、行こっか」
 『はいですっ! 』
 …慣れてるはずだけど、やっぱり緊張するなぁ…。一夜明けて、わたしとアーシアちゃんは、同時に立ちあがって互いに言葉を交わし合う。昨日は動けなくて一日中部屋にいたけど、今はもう大丈夫。薬の効能が切れかけてきて若干左目が痛み始めてる気がするけど、多分昼ぐらいまでなら我慢できると思う。
 『ええと確か、シルクさん達って外の浜辺で待ってる、って言ってましたよね? 』
 「うん」
 右肩から斜めに提げているショルダーバッグを右手で持ちながら、わたし達は泊まっていた部屋を後にする。ユウキ君の話しだと、今日の昼過ぎから夕方にかけてコガネに移動するみたいだから、これから部屋のチェックアウトをしにいくつもり。だから左手で持つ鍵を握りしめ、確認してきたアーシアちゃんの問いかけにこくりと頷いた。
 「…みんなが揃ってる間に訊きそびれたけど、アーシアちゃんは疲れ、とれた? 」
 『うーん、完全にはとれてないけど、多分大丈夫です! 』
 そっか。それなら、何とかなるかな? センターの受付で鍵を返してから、わたし達はセンターの出口に向けて歩きはじめる。朝食の時間帯も過ぎてるから、ロビーにはあまり人影はない。無事な右目で見た感じだと、わたし達以外に、トレーナーらしい人が二人だけ…、かな? 今日は休日だけど、まだピークの時間には早すぎるから、それほど騒がしくはないと思う。そんな中わたしは、昨日はテトラと外を散策していたブラッキーの彼女にこう訊いてみた。すると彼女は、少しだけ視線を上に向けてから、にっこりと笑いかけながら答えてくれた。
 『ライトさんも、目の方は大丈夫です? 』
 「ちょっと左目の奥の方が痛んできた気がするけど、今日中は我慢できると思う」
 『そうですか。…でも、あまり無理はしないでくださいねっ』
 うん、もう任務は終わってるけど、そうするよ。砂を踏みしめて歩きながら、わたし達は待ち合わせ場所の浜辺を目指す。昨日はそれどころじゃなくて全く気にしてなかったけど、タンバシティはどこか、ムロタウンと似ているところがあるような気がする。海岸線にある町っていうのもそうだけど、潮風とか雰囲気とかも同じようなものを案じる。それにこれはセンターの受付で聴いた事だけど、ここのジムも格闘タイプらしい。…今日は昨日の襲撃の事で、臨時休業してるらしいけど…。
 「流石に今日は無理はしないよ。明日にはコガネで入院することになってるし。…あっ、ユウキ君、シルクも、お待たせ! 」
 アーシアちゃんがわたしを気遣ってくれたから、本当に嬉しかった。よく考えたらジョウトに来てから無茶しっ放しだったから、彼女の言葉がいつも以上に響いてきたような気がする。…ジョウトに来てから、ラグナに何回叱られたかな? マダツボミの塔…、カナちゃん達と始めて出逢った時と、コガネで大勢のプライズを相手にした時…。初めてエンテイと戦った時と、ヨシノでの二回目…。昨日の事はラグナも賛成してくれてたから、ノーカウント、かな?
 それで右側を歩いてくれているアーシアちゃんと話しながら歩いているうちに、親友達との待ち合わせ場所に辿りつく。ザァーン、ザァーン…、とリズムよく刻まれる波の音を聞きながら、わたしはその彼らの名前を呼ぶ。ふたり揃って白衣を羽織ってるし、わたしの大切なひとだから見間違えるはずがない。自信を持って呼んだから、彼女たちはすぐに気付いてくれた。

  ライト、アーシアちゃんも、待ってたわ。

 「アーシアさんも一緒だね。…どうかな、もう一度訊くけど、受けてみる気はある? 」
 「うん! みんなも賛成してくれてるし、挑戦してみるよ」
 だってこの機会を逃したら、次に受けれるのが一年以上先になる。それに今回見送ったら、みんなが頑張ってくれたのが無駄になる…。だからわたしは、昨日の夜相談した事を、すぐにオーリックのふたりに申請した。

  ライトならそう言うと思ったわ!

 「それなら、すぐに試験内容を説明しないとね」

  ええ!

 『はい! お願いしますです! 』
 「一言で言うなら、六対の入れ替えルールで、僕に勝ち越すこと」
 「って事は、カントーのリーグ戦と同じだよね? 」

  そうなるわね。一戦ごとにメンバーを入れ替えて、合計六戦での勝利数で判定するわ。追加ルールは、二つ。メンバーは挑戦者が先に出場させて、ユウキが後だし。…二つ目は私達だから結果的にそうなるのだけど、互いの手の内を知った状態で戦ってもらうわ。

 確かに、ユウキ君のメンバーは全員戦法も技も知ってるし、逆にユウキ君達も私たちの事は熟知してる。アーシアちゃんに関しては全部知らないと思うけど、フルロは野生時代、リーフ達に戦い方を教わってた、って言ってた。
 『そうですよね。ライトさんとシルクさんは親友同士ですし、ユウキさんとは師弟関係ですからね』
 「まぁね。…じゃあライト、準備は出来てる? 」
 「うん! 」
 「ここまで経験してきた事、感じてきた事、全部を僕達にぶつけてきて! 僕達も、全力で相手するから」
 『はいですっ! 』
 「ジョウト支部オーリック、支部長として、絆の名の下に…、いくよ!


  Continue……

Lien ( 2017/06/11(日) 15:47 )