Chance Des Infinitude〜ムゲンの可能性〜










































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Chapitre Onze des Light 〜譲れない想い〜
Quatre-vingts-trois 離島の激戦(終焉)
  Sideライト



 『グアァぁぁぁぁぁーーっ!
 『くぅっ…! 』
 『…っく!
 …っ! すっ、凄い声量…。“癒しの波動”を発動させ、それをティルに託したわたし。ティルはそれを自分の炎に混ぜ、刀状にしてエンテイに挑んでいた。わたしはてっきり何もせず、変質化させるのかと思ってた。わたしのは技じゃないけど、特殊技を混ぜてるところを見ると、やっぱりティルもシルクの影響を受けてるんだなぁー、って率直に思った。
 それでティルは、代償の効果で動けないわたしの代わりに、アーシアちゃんと協力して戦ってくれた。ふたりで協力して隙を作り、渾身の一撃を仕掛ける。アーシアちゃんがアイアンテールで体勢を崩し、そこへティルが斬りかかる。ティルは創り出した刀で赤黒い鎖、“服従の鎖”を狙う。思いっきり振り抜いていたから、右目で見た限りでは、ティルは鎖を断ち切ることに成功する。一瞬鎖の破片が飛び散ったような気がしたけど、急に轟いてきた大声に驚いて右目を閉じちゃったけど…。
 『…ライト、大丈夫? 』
 『うん、何とか…
 この距離だから、何とかなったけど…。ゆっくり右目を開けたタイミングで、動けないわたしを守ってくれていたテトラがこう訊いてきた。彼女は両方のリボンを耳にあてて防いでいたらしく、そこから降ろしていた。
 『それなら良かった。…どうなった、のかな…? 』
 『…終わった…?
 うーん、どうなんだろう…。わたしが答えると、テトラは安心したように笑顔を見せてくれる。テトラも大丈夫そうだったから、わたしもホッと肩を撫で下ろす。それからテトラは、ティル達の方に視線を向けながらこう訊いてきた。わたしも気になって…、って言ったらいいのか分からないけど、ティル達の事が心配だから、その方に右目を向ける。そこには顔を上げ始めているティルとアーシアちゃんと、さっきまでの様子が嘘のように倒れているエンテイの姿があった。
 『シアちゃん! 』
 『テトちゃん! 』
 『これで倒せた…』
 『いや、まだだ。油断はするな』
 あっ、はい! しばらくの静寂の後、テトラが大声でふたりに呼びかける。それにすぐ気付いたらしく、ティルと並んで様子を伺っていたアーシアちゃんが振り返る。ティルはまだ警戒しているけど、アーシアちゃんはこっちにチラッと振り返り、横目でテトラに応える。二足で立ち上がっていて、わたしも倒れた状態から、いつも以上に大きく頼もしく見えた気がした。
 『鎖が切れたとはいえ、まだ戦闘中だ』
 『はっ、はいです! 』
 そこへスイクンさんが、少し気が緩んだ? わたし達に喝を入れる。スイクンさんはわたし自身が闘っている少しの間に、エネルギーの回復をしてくれていた。戦うのがティルとアーシアちゃんに代わってからは、その回復したエネルギーをチカラに使っていた。直接聴いてないからどうかは分からないけど、多分スイクンさんがチカラで降らせている雨には、炎の勢いを弱める効果があるんだと思う。
 『スイクンさん、とりあ…
 『…ぅぅっ…』
 『っ! まだ倒れて…』
 『伏せろ! ハイドロ…
 えっ、まっ、まさか、斬っても無駄だったの? わたしがスイクンさんに訊こうとしたタイミングで、倒れていた相手が微かに動く。唸り声みたいなのが聞こえた気がしたから、作戦は失敗した、わたしの脳裏にこういう考えが過る。この考えと同時に、対峙していたエンテイが動き始めたから、濡れている羽毛が逆立ちそうなくらいの緊張感が一気に張りつめる。これにいち早く気付いたスイクンさんが、咄嗟に口元に水のエネルギーを…
 『この声は…、リーヴェル…、か…
 『フラム…! お前は…』
 『…安心しろ…、正気は…、取り戻した…
 スイクンさんはエネルギーを溜め始めていたけど、何かを聴きとったらしく、それをピタリと止める。ハッとそっちに振りかえるように声をあげ、彼はティル達がいる方へ駆けていく。このタイミングではわたしは初めて聴きとれたけど、今までとは違って、エンテイは朦朧としてるみたいだけど、声を絞り出している。弱々しいけど、ちゃんと言葉として聴きとることが出来た。
 『エンテイ…、さん? 大丈夫…、なのです? 』
 『ブラッキー…、か…。前が見にくく…、意識もはっきり…、しないが…、何とかな…
 って事は、エンテイを助けれた…、のかな? 一番近くにいたアーシアちゃんが、自我を取り戻したらしいエンテイに、恐る恐る話しかける。この時には前足を地面につけていたけど、エンテイには本当にハッキリとは見えていなかったらしい。横たわった状態で彼女をじーっと見、シルエットでどんな種族なのかを探ってるようにわたしには見えた。二、三秒かかってたけど、アーシアちゃんの事を認識できたらしく、一言ずつこう続ける。身動きがとれないから結果的に傍観することになっちゃってるけど、わたしはここでようやく、アルファに囚われたエンテイを解放する事が出来た、って実感する事が出来た気がした。


  Chapitre Onze des Light 〜譲れない想い〜  Finit……

Lien ( 2017/06/02(金) 23:29 )